卒業論文
最終発表
X学部X年 XX研究会
XX XX
2016年 2月2日
49 pages
発表プログラム 1
はじめに
研究の背景
研究の概要
本論
「中国語の部屋」の〈射程〉
〈射程〉からの帰結
おわりに 結論
人工知能の春? 2
国内の人工知能研究 3
人工知能学会
※XXも学生会員
最近の人工知能学会の動向 4
工学(要素技術)
(工学に加えて)
科学技術社会論
科学技術倫理
3
いわゆる“表紙問題”
2014年 学会誌 Vol.29
・女性型 である
・コード に繋がれている
・掃除 をしている
ジェンダー論からの批判
哲学的議論の例1 5
哲学的議論の例2 6
2014年9月
倫理委員会が発足
人工知能と人間のよりよい関係を模索
哲学的議論の背景 7
個別のタスクを遂行するAI
AGI(汎用人工知能)
学習によって様々なタスクをこなすAI
ニューラルネットワーク、深層学習によって現実的に
哲学的議論の背景 8
AGI(汎用人工知能)
ニューラルネットワーク、深層学習
→ 本当に「汎用性」を獲得できるのか?
哲学的人工知能批判の議論を再検討する必要性
Ex: 自然言語理解、志向性、意識
発表プログラム 9
はじめに
研究の背景
研究の概要
本論
「中国語の部屋」の〈射程〉
〈射程〉からの帰結
おわりに 結論
研究の概要 10
人工知能の自然言語理解に関する哲学的検討
――Searleの「中国語の部屋」における射程の分析を通じて――
ページ数: 約50ページ
文字数: 約65000字
感想: つかれた
何をやったの? 11
Searle の 「中国語の部屋」に依拠
・機械と人間の認知過程の違い
・心の哲学からアプローチ
「中国語の部屋」とは? 12
中国語の部屋
コンピュータのような 形式的過程
人間の 自然言語理解 などの認知過程
「中国語の部屋」とは? 13
“Minds, brains, and programs”(1980)
・中国語が全くわからない英国人が部屋に入る
・部屋の中には中国語で書かれた物語の本
・部屋の外から物語に関する質問が(中国語で)渡される
★部屋の中に適切な中国語を返すためのマニュアルを置く
中の人は依然、質問の意図を理解しない
しかし、質問に適切な回答をすることは可能
Q.中の人は中国語を「理解」したか?
→ していない(意味理解に十分ではない)
「中国語の部屋」は ”終わった”? 14
「中国語の部屋」(1980)
→ 哲学者は「終わった議論」だと見なす
Ex: システム説、ロボット説…
これらの反論
→ Searle の議論における「射程」を誤解
「中国語の部屋」を肯定するにせよ、批判するにせよ、
思考実験の射程の輪郭づけが必要不可欠
最初の作業 15
「中国語の部屋」の〈射程〉の 解明
・用語の定義、問題設定
・何を主張したのか
・何を主張しなかったのか
Searle の人工知能批判を正しく批判検討する
最初の作業 16
「中国語の部屋」の〈射程〉
Searle の 心の哲学(+言語行為論)
→ 今後のAGI研究に何を示唆するのか
発表プログラム 17
はじめに
研究の背景
研究の概要
本論
「中国語の部屋」の〈射程〉
〈射程〉からの帰結
おわりに 結論
Searleに対する批判 18
Searleの議論における
射程 を 誤解
Searle への反論 19
理解は個人ではなくシステムに帰されるのだ!
身体を備えたロボットなら?
脳の自然言語処理を真似ればいいのでは?
システム説(カルフォルニア大学)
ロボット説(エール大学)
脳シミュレーター説(マサチューセッツ工科大学)
さらなる問題 20
「中国語の部屋」の〈射程〉の 誤解
1980年代 の最初期の批判
最近(2000年~)の Searle批判
進歩なし…例えば
Levesque (2009)
射程の確定作業 21
1.「強いAI」という用語に関する誤解
2. 生物学的自然主義とCRAの両立
3. マニュアル実装不可能性の誤解
4. コネクショニズムからの再構築可能性
「強いAI」に関する誤解 22
「強いAI」
(strong AI)
「強いAI」に関する誤解 23
Searleは「強いAI」を批判
「強いAI」の定義は?
「強いAI」に関する誤解 24
一般に知られる「強いAI」
AI が人間の認知活動の模倣を超え
意識をもちうるという立場
(本来の用法とは遠く離れる)
「強いAI」に関する誤解 25
適切にプログラムされた機械は
〈それだけで〉心にほかならない
という立場
Searleの本来の用法での「強いAI」
機械の思考可能性 26
Q. 機械は考えることができるか?
A. 明らかに「イエス」(Searle 1980)
SearleのAI批判
→ 機械の考える可能性を全て否定するものではない
生物学的自然主義との両立 27
生物学的自然主義
→ 心を脳神経システムに「因果的に」還元する立場
(心は脳そのものではないが、因果的還元は可能)
デカルト的な心身二元論の枠組みを批判
心的なもの 物理的なもの
res cogitans res extensa
物理法則に従わない 物理法則に従う
自由意志がある 自由意志がない
主観的 客観的
4つのテーゼ 28
意識状態は…
1. 現実世界における現象
2. 神経生物学的過程により引き起こされる
3. 脳内において脳組織の性質として現実化
4. 現実世界で因果的に機能する
→ 1~4 すべて「中国語の部屋」と両立
マニュアルに関する誤解 29
「中国語の部屋」のマニュアルは作れないのでは?
Levesqueの批判 30
Levesque (2009)
「足し算の部屋」という思考実験を提案
→ 「中国語の部屋」の計算量は膨大であることを指摘
中島(2011, 人工知能学会誌の特集にて)
Levesqueの議論を大いに評価
「画期的で決定的」
Searleをはじめ、哲学者は計算量の概念を知らない
Searleの議論の要点 31
抽象的な統語論的存在物として分析される記号
記号にあてはめられる〈意味〉
この間隙に計算量の概念は関与しない
(1997年に言及済み)
コネクショニズムからの再構築可能性 32
古典的計算主義
コンピュータをモデルにした認知観
Ex: Weizenbaum の ELIZA
コネクショニズム
脳の神経ネットワークをモデルにした認知観
Ex: ニューラル・ネットワーク
中国語の部屋の”前提” 33
初期の「中国語の部屋」
「古典的計算主義」が前提
(服部 2000)
Ex. Winograd の SHRDLU,
Weizenbaum の ELIZA
CRAとコネクショニズム 34
Searle の 「中国語の部屋」
→ コネクショニズム からの再構築は可能か?
Churchlandとの論争 35
Churchland (1990)
コネクショニズムから「中国語の部屋」を批判
Searle(1990)
「中国語のジム」で再反論
→〈シミュレーション〉と〈複製〉の違いを強調
シミュレーションと複製 36
コネクショニズム
→ 心のシミュレーション
推論・認知などの一部の心的機能は再現可能
しかし「心そのもの」の実装ではない(Ex:台風)
意味論・志向性にとって十分なものを作る
→ シミュレーションではなく複製が必要
発表プログラム 37
はじめに
研究の背景
研究の概要
本論
「中国語の部屋」の〈射程〉
〈射程〉からの帰結
おわりに 結論
「中国語の部屋」の帰結 38
「中国語の部屋」の〈射程〉を確定させた
→ “汎用”人工知能に何を示唆するか?
(意識・意味論に要請されるものは?)
脳神経は要請される? 39
脳神経は要請されるか?
→ されない(生物学的自然主義)。十分であるだけ
脳と同じ因果関係を持つことができるならば、
脳のプロセスと同様の結果(=意識)を生み出す
少なくともコンピュータの形式的過程は十分ではない
→ 「中国語の部屋」の帰結
それ以上に強い主張をしているわけではなかった
意識と意味理解 40
脳神経は意識にとって十分
→ 意識をもつことは意味理解にとって十分?
→ 意味理解=志向性(記号接地)だけではないので不十分
志向性の問題のみが解決されなければならないのなら、
意識に関する問題のみが解決(解消)されればよい
→ しかし実際はそうではない
具体的には、意味と意図の問題(+言語行為論)
真理条件意味論では捉えきれない”意味”
言語と行為 41
言語と行為… なめらかに繋がる
言語を発話することが即ち行為である(J.Austin, 1960)
「中国語の部屋」(チューリングテスト)
→ 自然言語のコミュニケーションにのみ着目
身体的行為は無視
自然言語の入力に対して
適切な出力が自然言語とは限らない
Ex: アパートの隣人「隣のマンションが家事だ!」
ロボット説と身体性 42
ロボット説
「中国語の部屋」を頭とし、それに身体を付け加える
ロボット説は「中国語の部屋」の批判にはなり得ないが、
身体をもった私たちが”意味”理解にとって十分なのは明らか
意図と言語行為の問題の解決に何が要請されるかは不明
→ 脳神経+身体はこれらの解決に十分
(生物学的自然主義の論法を拡張)
発表プログラム 43
はじめに
研究の背景
研究の概要
本論
「中国語の部屋」の〈射程〉
〈射程〉からの帰結
おわりに まとめと結論
まとめと結論1 44
★「中国語の部屋」の〈射程〉を捉え直した
・生物学的自然主義と両立させることは可能
・古典的な反論の多くは射程を誤解
・全ての人工知能に対する批判ではない(狭い議論)
・少なくとも現在の人工知能研究は射程内
機能主義的に特定のタスクをこなす人工知能
→ 機械が汎用性を持たせることにはなめらかに繋がらない
まとめと結論2 45
自然言語理解に何が要請されるか
→ 詳しくはわかっていない
記号接地問題は志向性を獲得することによって解決される
志向性は意識の性質のひとつ
∴ 少なくとも意識経験は要請される
言語行為や意図を含んだ広い意味での”意味”
→ 脳神経+身体性で十分に到達できる
なぜ身体性は記号接地を超えた言語行為を可能にするのか?
→ 人工知能が”汎用”になるために必要な探究テーマ
文献1 46
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文献2 47
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