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ケイパビリティ・マネジメント
意識資本の管理と投資方法
1.意識資本、ケイパビリティマネジメン
トとは?
2.詳細な導入プロセス
3.導入例
4.派生議論
目次
1.1
複雑化し、高速化した現代社会でのビジネス
パーソンの「意識資本」の重要性
情報化、グローバル化、経済の自由化などにより、社会の変化の激しさは留まることを知りません。
そのようなビジネス情勢において、「有能さ」が求められるビジネスパーソンとしても、ナレッジやスキ
ルの継続的なアップデートや投資は不可欠となっています。
しかしながら、あまりにも複雑化し、高速化した現代社会情勢に、スキルおよびナレッジ面で完全につ
いていけていると自負できる方は少数であると思われます。
本当の意味での現実のビジネス醸成に対応するために、スキルやナレッジの基盤である「意識」に目を
向ける重要性が高まっているように思われます。
• 高速化し複雑化した社会において、「できるこ
と」である「スキルやナレッジ」の発達支援では
限界。(すぐにアップデートされるため)
• 「できること」の基盤である「意識そのもの」で
ある「ケイパビリティ」への着眼の必要性が、欧
米のタレントデベロップメント研究では強く示唆
されている。
• 上記を理論化した「成人発達理論」は米国では
CIA(諜報機関)のトレーニングの前提に取り入
れられている。複雑な職能であるほど、「意識発
達」のトレーニングが必要であるため。
参考資料:「水平発達」と「垂直発達」
水平に拡大:同一の段階における拡大(新たな技術の獲得、新
たな知識の追加)
垂直に上へ:変容、新たなステージにおける新たな視点の獲得
成人のほとんどの成長は、水平的・拡張的なものである。人々
は新たな技術、新たな方法、新たな事実、そして知識を体系づ
ける新たな方法さえ学ぶが、しかし彼らの位置する段階すなわ
ち世界に関する心的モデル (mental model) は同じままである。
一 方、自我発達理論では、心的モデルそれ自体が、時とともに
どのような段階を踏んで発達していくのかということが記述さ
れる。
Sussane Cook-Greuter “Nine Levels of Increasing Embrace
in Ego Development”
参考資料:ケイパビリティ・マネジメントとは?
エリオット・ジャックス は、ある個人が何を持っているのか・何をすることができるのか(コンピテ ンシー)とその
個人が何たるか(ケイパビリティ)を明確に区別しました。
ケイパビリティはコンピテンシーの根幹を成します。つまり、ケイパビリテ ィがあることによって、私たちは自分
のコンピテンシーを発揮することがで るのです。…ケイパビリティのレベルが異なれば、コンピテンシーの使われ
方も異なってきま す。
仮にケイパビリティとコンピテンシーの区別が明確にされていれば、組織における「人材開発・人材管理」の考え方
は大きく異なってくるでしょう。残 念ながら、ほとんどのコーチングコミュニティにおいては、未だ行動的な側 面
(コンピテンシー)にしか着目しておらず、この区別を今後より厳密化させていく必要があり ます。
会社全体のケイパビリティを測定し、その会社が保有する発達的なビジネス インテリジェンスを測定することは革
新的な考え方でしょう。(中略)
それでは、どのように組織全体のケイパビリティ(社会的・感情的発達およ び認知的発達)を管理すればよいのでしょ
うか?現代の企業組織において、 「コンピテンシー」「タレント」を管理することは大きなトピックです。し かし、
そうしたコンピテンシーやタレントを規定し、その活用を左右するケ イパビリティの管理に対する意識は非常に希
薄です。ケイパビリティマネジメントとは、組織における社会的・感情的発達構造および認知的発達構造に 基づい
た戦略的な人材管理のことを指します。 オットー・ラスキー『心の隠された領域の測定』加藤洋平訳
1.2 経営層にとりわけ求められる「意識発達」
組織全体の意識資本
意識発達カルチャーを幹部間で醸成す
ることで、組織全体へ波及させること
が可能になる。
経営者(チーム)の意識資本
各自の意識資本を明確にし、今後の発
達ポテンシャルを相互理解する。
• 経営チーム内での「意識資本」の
蓄積が経営において最重要。
• まず経営チーム内での意識発達に
おける取り組みと相互理解を行な
い、順次、組織としての取り組み
に遷移していくことが重要。
• 自我発達アセスメントは、明確に
数値化されるため、管理や効果測
定が容易。
*参考:チーム対象の意識発達のコンサルティングを体系化した、Otto E.
Laske, Measuring Hidden Dimensions: The Art and Science of Fully
Engaging Adults (volume 1).
参考資料:組織における「垂直的多様性」
発達論の視点に基づいて人間を認識する、ーーすなわち垂直的多様性を認識す
るーーとは、ある意味では人間というものが、意識的な努力では簡単に克服でき
ない構造的な限界に囚えられていることを知るということです。
各発達段階は、独自の枠組みを通して世界を開示します。しかし、私たちは普
段、ある特的の発達段階の意識構造を通して世界を認識していることを自覚して
いません。また、意識構造とは、その性格上、完全に客観化できるものではあり
ませんので、私たちはどうしても自らの意識に映る世界に囚われてしまうことに
なります。(中略)
共同体とは、このように意識的な努力では克服できない多様な認知の枠組みに
囚われた多様な人間が共存している場所と言えます。そして、垂直的多様性を認
識するとは相互に共有することのできない多様な「光景」(世界観)を見ている
多様な人間が共存していることを理解することです。それは、とりもなおさず、
容易にはわかりえない多様な人間が共存することを認識する、ということでもあ
ります。そして、そのうえで、共同体が「重層的存在」として総体的にどう調和
することができるかを探求する、ということなのです。
鈴木規夫ほか『インテグラル理論入門Ⅱ ウィルバーの世界論』
2.1 詳細な導入プロセス-個人編
Step 1
アセスメント
Step 3
ワーク
Step 2
フィードバック
Step 4
継続的な自己
発達
Step 1:アセスメント
成人発達理論の観点から、アセスメントを受けて
いただきます。インタビューが中心となります。
Step 2:フィードバック(コーチング)
アセスメントの結果をお知らせします。ご自身の
現在地を知り、今後の計画を立てて参ります。
Step 3:ワーク(1Q~2Q)
意識発達のための継続的な取り組みを、一四半期
ほど試行錯誤していただきます。様々なセオリー
やTipsで伴走させていただきます。
Step 4:継続的な自己発達
ワークの結果、発達のサイクルが回り始めました
ら、あとは生きながら、仕事をしながら自ら発達
が加速されていくと思われます。
組織における事象の最小単位は「個人」です。その意味では、個人の変化が組織の変化を促します。組織単位での大きな変化を促すために、
まずは個人単位での変容の取り組みにフォーカスすることが重要です。
参考:自我発達アセスメント方法
日本でも著作が著名なロバート・キー
ガンの弟子筋であるオットー・ラス
キーが監修したアセスメントを参考。
日本でこの領域を牽引している加藤洋
平氏がスーパーバイズ。
このアセスメントにより、0.2刻みで意
識資本を数値化することが可能に。
人材管理や人材育成に携わる人が覚えておかなけれ ばならないことは、測定
可能なものだけが管理可能であるという事実です。 オットー・ラスキー
2.2 意識発達のプロセス
垂直発達の存在を知
る
自分の意識段階を知
る
これまで知らなかっ
た自分を知る
リーダーシップ次元
を上げる
他者に開示する
他者の発達を支援す
る
成人発達理論全般
自我発達理論
シャドーワーク
深層心理学
学習する組織作り
リーダーシップの
段階論
Kegan, Wilber
Sussanne Cook –
Greter, Otoo E.Laske
インナーチャイルド
エニアグラム
行動探求
ダブル・トリプル
ループ学習etc..
スキーマ療法
Planning training
2.3 詳細な導入プロセス-組織編
意識資本経営
(マネジメント)
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
Vision
組織の人的発達の側面にお
ける、「意識資本」の概念
とそのマネジメント手法の
導入
3.1 これまでのアセスメントおよび発達支援実績
32名
(社)
起業家・経営者
(CEO)
15名
経営チーム
(CEO除く)
26名
メンバークラス
18名
(6社)
うち、英語
実績(海外)
私は日本では有数の「自我発達段階アセスメント」をご提供できます。
これまで述べ70名以上のビジネスパーソンの自我発達段階のアセスメントと、意識発達の伴走支援(
コーチング)を提供して参りました。
4.1 組織的なプロセスの階層構造図示
Assesment
Developmental Support
Self Inquiry
Ⅴ数値としての会社の資本化
会社が株式市場で評価を受ける変数は拡大し続けています。「
意識資本」を可視化し管理・投資していることが評価ででプラ
スの因子に働く日が必ず参ります。.
Organizational Culture
Capitalization of
Consciousness
Ⅳカルチャーとしての組織
化
自己探求すなわち意識発達の取り組みが、組織として
自動的にプロセスとして進捗してこそ、真の意味での
「自己発達的」組織となります。
Ⅲ自己探求
意識の発達は究極的には「自己探求」の
取り組みとなります。そこには自己の深
い理解が伴います。
Ⅱ発達支援(コーチング)
我々が提供するのは「コーチング」と似てはおり
ますが、それをより広義にしたものです。ここで
は「発達支援」と定義させていただきます。
Ⅰアセスメント
弊社は、「アセスメントなきコーチングは不誠実」という立
場を取ります。なぜなら、個人の段階ごとに取り組むべき発
達課題が異なりますし、「コーチ」の次元もそこには関与す
るからです。互いの発達段階を正しく可視化した上で、我々
はサービスを提供いたします。
4.2 バリエーションに向けた高評価?
ESGの文脈から。
2021
Future
Valuation
Analysis
事業価値
ビジネスとしての強さ
PL,BS,
S = 社会
人権問題や地域社会との連携
貢献といった社会貢献への評
価
人的資本
組織内の人間的側面での資産
E = 環境
CO2削減や化学物質管理など
といった環境保全の取り組み
への評価
G = ガバナンス
企業コンプライアンスや経営
の透明性、情報開示といった
企業統治そのものへの評価
意識資本
広義では人的資本の一種。人
的資本をより具体化したもの
の一つ。見方によっては、あ
らゆる資本、価値の基盤。
資本主義における株式会社の活動の評価(バリエーション)対象は、引き続き拡大傾向です(例:環境、ガバナンス、CSR
など)。拡大しつつある評価対象の中には、人的資本という、人間的側面も含まれつつあります。「意識資本」はその「人
的資本」の根幹を成すものであり、企業の持続的な反映と評価のためには必ずプラスをもたらすことになります。
4.3 CEOとしての意識発達の重要性
2021 2023 2025 2027 2029 2031 2033 2035 2037 2039
$ ?
$
時間幅に関してもう少し詳しく述べると、企業における平社員はその日
の仕 事に従事することが求められ、それほど先を見通した思考や職務を
要求され ません。一方、CEO レベルになると、少なくとも 25 年という
長大な視野を 持って職務を全うする必要があります。このように、認知
的発達段階が異な れば、時間幅と職務の複雑性が異なってくるのです。
(中略)
コーチングやコンサルティングを行う際には、職務階層と認知的発達と
のず れ、認知的発達と社会的・感情的発達のずれに焦点を当て、支援を
行ってい くことが望ましいです。 オットーEラスキー『隠された心の
領域の測定』より
本資料に興味を持っ
てくださった方へ
気軽にご連絡ください。
沢津橋紀洋
tsuvashi@gmail.com

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Editor's Notes

  1. OSとアプリの例とか