多角化の成功要因
- 2. 目次
2
1.はじめに
1.1 研究動機
2.先行研究
2.1 会社概要
2.2 主な事業
3.仮説
3.1 仮説1の背景
3.2 仮説2の背景
4.変数説明
4.1 仮説1の変数説明(1)
4.2 仮説1の変数説明(2)
4.3 仮説2の変数説明
5.変数
5.1 仮説1の変数
5.2 仮説2の変数
6.分析結果
6.1 仮説1の分析結果(1)
6.2 仮説1の分析結果(2)
6.3 仮説2の分析結果(1)
6.4 仮説2の分析結果(2)
7.最後に
7.1 まとめ
7.2 これからの課題
- 12. 2. 先行研究
12
1 基本的な多角化戦略と 業績との関わり→事業の関連・非関連
2 個々の事業が位置付けられている産業の潜在的収益性や、
各産業にお ける実際の競争ポジション →参入障壁
3 様々な事業のキャッシュフローの特徴や各事業間の
キャッシュフローの間のバランス→関連・非関連
Prahalad and Bettis (1986)
高業績をもたらす多角化の特徴とは?
- 18. 3.1 仮説1の背景
18
1. 業界動向全般
2. 市場規模・マーケットシェア
3. 経営指標
4. 予測
5. インターネット情報
6. 関連するレファレンス事例
国立国会図書館
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-102076.php#1
業界動向の調査方法
- 32. 6.1 仮説1の分析結果(1)
32
𝑹𝑶𝑨 非基軸事業 基軸事業
係数 t値 係数 t値
ℎℎ𝑖_1 -.0315953 -1.78**
ℎℎ𝑖𝑎𝑣𝑒 -.0084332 -3.58***
𝑚𝑎𝑥𝑖 .0003942 1.35 .0001415 0.50
𝐿𝑒𝑣𝑒𝑟 -.0834088 -35.84*** -.0842796 -36.44***
𝑙𝑛𝑎𝑠𝑠𝑒𝑡 -.0001376 -0.46 -.0001677 -0.56
𝑅𝑆𝑄 0.1841 0.1836
サンプル数 15434 15434
- 33. 6.2 仮説1の分析結果(2)
33
𝒕𝒐𝒃𝒊𝒏 − 𝒒 非基軸事業 基軸事業
係数 t値 係数 t値
ℎℎ𝑖_1 -.0377822 -0.20
ℎℎ𝑖𝑎𝑣𝑒 -.0744198 -2.82***
𝑚𝑎𝑥𝑖 .0103353 3.15*** .008118 2.55***
𝐿𝑒𝑣𝑒𝑟 -.0951125 -3.65*** -.1041339 -4.02***
𝑙𝑛𝑎𝑠𝑠𝑒𝑡 -.0026307 -0.78 -.0029901 -0.89
𝑅𝑆𝑄 0.1380 0.1375
サンプル数 13707 13707
- 34. 6.3 仮説2の分析結果(1)
34
ROA diffseg_1 diffseg_2
係数 t値 係数 t値
diffseg_1 -.0003649 -0.63
diffseg_2 .001109 4.72***
maxi .0001807 0.56 .0001783 0.61
lever -.0787563 -32.06*** -.0786156 -32.08***
lnasset -.0004769 -1.55 -.0003492 -1.13
RSQ 0.1905 0.1918
サンプル数 13075 13075
- 35. 6.4 仮説2の分析結果(2)
35
tobin-q diffseg_1 diffseg_2
係数 t値 係数 t値
diffseg_1 .0181103 2.55**
diffseg_2 .0094122 3.43***
maxi .0147017 3.91*** .0097744 2.89***
Lever -.0539504 -1.89* -.0578134 -2.03**
lnasset -.0109758 -3.05*** -.0105636 -2.93***
RSQ 0.1398 0.1402
サンプル数 11611 11611
Editor's Notes
- 多角化とはある会社が新たな製品を開発したり新たな市場を開拓したりと、従来からの事業領域を超えて、事業領域を拡大していくことを多角化と呼ぶ。
- 例えばキャノンでは、最初は35mmのシャッターカメラを発売してから、展開していき(横展開?)デジタルカメラ、プリンター、オフィス用のコピー機やレーザープリンター、また、コンピューターのCPUやメモリーなどに刻まれている電子回路をつくる半導体露光装置などに多角化しております。
- また、富士フィルムは1980年代、基軸事業としてカメラフィルムの販売が好調でしたが、2000年代にデジタル化の流れが進みフィルムは衰退していきました。しかし、そこで、2004年にヘルスケア市場に参入し、経営立て直しに成功しました。そこから事業構造を大きく変え、今では、医療品や医療機器などにも展開しております。
- また、多角化事業として、テーブルマークという、これは完全子会社ですが、食品産業や、医療産業にも展開しているのは、タバコ産業に展開しているJT。と、全く関連のないように思える産業への多角化の例もあったりします。
- 70年代から90年代にかけて、日本企業は事業多角化を進めることが多かったが、90年代後半以降は逆に「選択と集中」が経営戦略の基本とされるようになった10。このように考え方が変化した背景には、以下の要因が指摘できる。 第一に、企業経営における株主重視の高まりである。企業の資金調達における株式の比重が高まるとともに、制度面の改革もあって、株主の意向を重視した経営戦略が求められるようになってきた。株主の視点からは、事業分野に関するリスク分散は、複数の事業分野の企業に投資することによって可能である。したがって、企業自身が事業多角化によってリスク分散をする必要はなく、むしろコアとなる事業分野に経営資源を集中的に投入して収益性を高めることが重要な関心事となる。 第二に、90年代の低成長期において、多数の事業を抱えることによる弊害11が顕在化したことである。このことは、上記の「株主重視」の動きとあいまって、相乗効果の期待できない非関連事業を整理する必要性を浮き上がらせたと考えられる。なお、アメリカでは、この問題は多数の事業を抱える企業全体の価値が個々の事業価値の総和を下回って評価されるという「コングロマリット・ディスカウント」につながっている12。
- ○青木「日本における多角化の推移」
1990年代の後半から2000年代の初頭にかけて、事業の「選択と集中」という用語が経営戦略のキーワードとして頻繁に用いられるようになった。
→事業ポートフォリオの再編
2000年前後では、鉄鋼と金属・非金属、情報通信機器と電子部品・デバイス、食品業界などで、専業化方向への転換が確認された。
- というように、先行研究を読んでいると、多角化は企業価値を下げるため、「選択と集中」がうたわれているというように言われがちですが、
ただし、すべての企業にとって「選択と集中」が望ましいわけではない。例えば、いわゆる「成熟産業」においては、売上げの伸張が期待できず、企業価値を高めるためには思い切った多角化が必要である。このような形の多角化は、既存事業に安住せずに新分野を開拓するという意味で、リスクテイク行動とみることもできる。
内閣府 年次経済財政報告によると、
では、こうした考え方の変化に伴って、日本企業の「選択と集中」は実際に進んだのだろうか。ここでは、日経300採用銘柄のうち金融業を除く276社13について、連結財務諸表の事業部門などによる区分(セグメント)情報から、幾つかの指標を作成してその動きを探ってみよう。 第一に、セグメント数である。これは、91年には平均で2.99であったが、その後増加を続け、2007年には3.83に達した(第2-3-1図、付表2―2)。セグメント数の増加は、「選択と集中」ではなく、「多角化」が進んだことを示唆する。ただし、セグメントの項目については、個別企業の判断で細分化できるため、セグメント数の増加が必ずしも実際の「多角化」を反映していない可能性もある。そこで、幾つかの業種について、こうした見かけ上の増加を除去したところ、セグメント数はおおむね横ばいであった14(第2-3-2図)。いずれにせよ、少なくとも「選択と集中」が進んでいないとはいえそうである。 第二に、コア事業への売上げの集中度である。具体的には、1位セグメントの売上高が、売上高合計に占める割合を調べてみた。その結果、91年に65%であったものが、2007年でも63%と、ほとんど変化していない(第2-3-3図)。 ただし、こうした中でも、業種によっては「選択と集中」を進めている様子が明確に示されている。その一つは、製薬業である。製薬業はセグメント数が減少した数少ない業種であり、集中度の上昇も同時に生じており、国内外を問わず成長性の高い医薬品分野への集中を行っている。鉄鋼業も、見かけ上の増加を除去すればセグメント数がほとんど増えていない中で、2000年代に入ってからはコア事業への売上集中度が上昇しており、集中化が進んだ業種である。
- また、最近の多角化の成功例としては、一昨日の記事にあったのだが、先ほど例にもあげたキャノンが医療事業にも展開し、3期ぶりに営業利益が1割り増しとなったとあった。
- 次に先行研究です。
- そこで、多角化が成功する要因はなんであろうかということを調べた。
すると、プラハラッドとベッティスの主張には、
1 基本的な多角化戦略と 業績との関わり→事業の関連・非関連
2 個々の事業が位置付けられている産業の潜在的収益性や、各産業における実際の競争ポジション→参入障壁
3 様々な事業のキャッシュフローの特徴や
各事業間のキャッシュフローの間のバランス→関連・非関連
この三つのことが言われていた。