オープンキャンパス講義資料（江川）

1. 活気あふれるアジア経済
（大学案内用資料）
江川 暁夫（えがわ あきお）
桃山学院大学 経済学部経済学科 准教授

2. アジアはどこからどこまで？
• 中学・高校の「地理」の勉強で教わる「アジア」（赤点線）
＝ヨーロッパでもなく、
アフリカでもなく、
中東でもない地域
• 経済を考えるとき、
もっと積極的にアジアを
位置付け、範囲を絞る
（赤点線×青点線の下）

3. どうして経済学ではアジアの範囲を絞る
の？
• 共通点を探すため。 「アジアって○○なところ」
• 国どうしの経済の関係を研究するため。
- 経済関係 ＝ モノやサービスの取引【貿易】
お金の動き【投資】
- 範囲を絞る＝貿易・投資関係が強い国どうしを
「一つの塊」とする
→ １）アジア内での経済の大まかな動きをつかみやすい。
２）アジアが「一緒に成長していく」姿をつかみやすい。

4. アジアって○○なところ （１）
• 狭いエリアにたくさんの人が住んでいるところ
この白い円の内側に住む人口のほうが、
円の外側に住む人口より大きい

5. （狭いエリアにたくさんの人が住むアジア）
• 狭いエリアにたくさんの人が住み、多くの会社がある
＝一緒に物を作るパートナーや、作ったものを買ってくれる
お客さんを探しやすい（商機がある）
• でも、その国の多くの人が貧乏だったらだめだよね・・・
→アジアの「経済の力」を確認する必要

6. アジアって○○なところ （２）
• 急速に経済成長し、所得が伸びているところ
世界平均で3％程度の成長見込みに対し、アジアは6％
-3
0
3
6
9
12
15
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
China India ASEAN World
（経済成長率、％）
（予測値）
世界平均
東南アジア
（ASEAN）
インド
中国

7. （経済が成長し、所得が伸びているアジア）
• 経済成長 → 国全体の所得が増える
＝「プチぜいたく」の余力がある人が増える
• 「プチぜいたくできる人たちが狭いエリアにたくさん」
＝中間所得層の人口が、狭いアジアで爆発的に増える
（2011年に16.7億人→2020年には24.2億人）→アジアの活気
• プチぜいたく、ぜいたくの内容として、アジアの人が日本に
興味を持ち、消費するように。
→ 日本から、外食産業、旅行会社などが、どんどんアジアに進出。

8. （日本のものをアジアで食べたい！）
シンガポール
タイ・バンコ
ク

9. アジアって○○なところ （３）
• アジアどうしでの貿易や投資がさかんなところ
ASEAN, 21.1%
日本, 13.2%
中国, 13.6%
香港・韓国・台
湾, 8.2%
インド, 1.8%
アメリカ, 7.8%
EU, 9.5%
中東, 9.8%
その他, 15.0%
アジア全体で57.9％
＝アジア域内の
「相互依存関係」
例えば、タイの貿易相手を見ると・・・

10. （貿易や投資の関係が強いと・・・）
【貿易・投資関係が強い国どうしでは・・・】
• 貿易や投資をもっとやりやすくしよう！とお互が合意する
（この合意を条約で交わすものが自由貿易協定（FTA）です）
 互いの貿易・投資が更に増える
• 「距離が近い」「経済が大きい」「高成長をしている」国との
貿易が増えると、自分の国にとっても大きなメリット。
（経済学では、「貿易の重力モデル」という名前がついています）

11. （大きく伸び盛りのご近所さんがたくさん）
【アジアの状況】
• アジアの国どうしは、近い、大きい、高成長を兼ね備える。
（FTAもたくさん締結。）
• 日本もアジアとの関係では、近くて大きい経済。（FTAもたく
さん締結。）
日本＋アジアで一緒に成長するチャンス＝アジアの活気

12. まとめ－アジアの活気とは
1. アジアの活気は、
• 人口の大きさ・企業の集積と高い経済成長（→中間所
得層の爆発的増加）による生産・販売等の商機拡大
• 経済の相互依存関係の強化（→一丸となって更に高
い経済成長を実現）
によって支えられている。
2. アジアは高成長を実現し、今後も高成長が持続すること
で、経済圏としての重要性を更に増していくと考えられる。