2015年度コース導入講義（大島）

1. アジアの経済・社会は
今どうなっているのか
大島 一二（桃山学院大学経済学部）

2. アジアのイメージとは？
 →このゼミでとくに注目したいのは、
アジアの３つの側面＝
①現在世界でもっとも急速に経済発展している地域。
②日本との関係がますます緊密化している地域。
③東アジアの近代以降の歴史的な成り立ち、社会
の特徴。
バリ島の棚田、万
里の長城やアン
コールワットの悠久
の歴史、モンゴル
の大草原・・
世界の工場、香港
の摩天楼、中国・イ
ンドの人口過密な
都市、経済発展と
環境破壊 ・・

3. バリ島の寺院（インドネシア）

4. 東南アジアの棚田（タイ）

5. 万里の長城（中国、北京市）

6. アンコールワット（カンボジア）

7. 大草原（モンゴル）

8. 香港島中環（セントラル）

9. 上海の過去（外灘）と現在（浦東）

10. 上海の繁華街（南京路、淮海路等）

11. 東アジアをめぐる近現代史を知っていますか？
 たとえば、香港は 年７月に中国に返還さ
れた。どういう経緯で香港は中国から切り離され、
その後、異なる経済発展をとげたのか。
 1840年の 戦争。その後の 条
約で、香港島はイギリス領となった。
 また、台湾は1894年の 戦争後の
条約で日本に割譲され、51年間日本の植民地とな
った。1949年中国大陸での内戦で敗れた
党が台湾に撤退し、現在に至っている。
 ＊ に入る数字・語句がわかりますか。
② ③
④ ⑤
⑥
①～⑥
①

12. アジア経済の二面性（１）
 １．発展するアジア
 現在世界の中でもっと
も急速に経済発展
 例、1990年と2009年の
世界の主な港湾のコン
テナ取扱量と順位
 アジア地域の港湾が
いずれも上位
 （日本は東京25位、横浜
38位、神戸46位等、EUは
ロッテルダム10位等）
1990年 2009年
シンガポール 522 2587
上海 46 2500
香港 510 2500
深圳 0 1825
プサン 235 1195
広州 １0 1119
ドバイ 367 1112
寧波 5 1050
青島 7 1026
単位：万ＴＥＵ、資料：データブックオブザワールド2011

13. アジア経済の二面性（２）
 ２．アジアの経済格差
 すべてのアジア諸国が
均一に発展しているわ
けではない
 停滞した国と地域（農
村）には開発が必要
 表：2011年，アジア諸
国の１人当たりGDP（ド
ル）
 アジアの地域間に大き
な格差が存在
2011年
日本 45,920
韓国 22,778
台湾 20,101
マレーシア 9,700
中国 5,413
タイ 5,394
インドネシア 3,509
インド 1,389
バングラディシュ 678
単位：ドル、資料：データブックオブザワールド2011

14. 日本とアジア経済（１）
 １．日本の貿易相手国・地域
 →例：日本の2011年の輸出相手国
１位中国（19.7％）、２位アメリカ（15.3％）、３位韓
国（8.0％）、４位台湾（6.2％）、５位香港（5.2％）、
6位タイ（4.6％）、7位シンガポール（3.3％）・・・。
 →日本の最大貿易相手国（2006年以降）
これまでの から に
 →皆さんの生活をみて下さい。
日本は、アジアから工業製品をはじめ、食料、衣
類、雑貨、玩具など何でも輸入し、我々の生活に
はアジアで生産された物資があふれています。
アメリカ 中国

15. 日本とアジア経済（２）
 ２．日本企業の海外進出先
 →2010年 国外に進出した20,680社の内、
が 12,077社（58.4％）
が 3,680社（17.8％）
が 3,340社（16.2％）
が 837社（ 4.0％）となっている
 →国・地域別では、中国、アメリカ、タイ、香港、シ
ンガポール、台湾、イギリス、マレーシア、韓国、イ
ンドネシア、ドイツ の順
アジア
北米
ヨーロッパ
南米

16. 日本とアジア経済（３）
中国の日系企業等から多くの製品が日本へ供給される。
そこで働く農村出身の出稼ぎ労働者（中国広東省）

17. 日本とアジア経済（４）
日系企業を見学する大学生（中国広東省）

18. 日本とアジア経済（５）
皆さんが愛用しているiPhoneやｉＰａｄを中国広東省などで
製造している会社は、 の何という会社でしょう
か？
①アメリカ、②日本、③中国、④台湾、⑤韓国、⑥シンガ
ポール、⑦フランス、⑧ドイツ、⑨香港
①～⑨

19. 解答
 ④の台湾、
 会社は「鴻海」です。
 最近シャープへの資本投入で話題になりまし
た。

20. 日本とアジア経済（６）
日本の大手自動車メーカーは、すべて中国、東南アジアで
生産・販売しています。

21. 日本とアジア経済（７）
残留農薬問題で大きな話題になった日本向け冷凍ホウ
レンソウの加工、その後生産システムの改善が進み安
全が確保されつつあります（中国山東省）

22. 輸入量 比率
合計 914,982 100.0
中国 518,830 56.7
アメリカ 151,132 16.5
ニュージーランド 88,315 9.7
メキシコ 74,489 8.1
韓国 24,148 2.6
台湾 17,482 1.9
オーストラリア 12,041 1.3
タイ 10,621 1.2
表．2011年の日本の生鮮野菜輸入量と輸出国（トン、％）

23. 総輸入量 中国の輸出量 中国の比率
1995年 737,841 152,644 20.7
2000年 971,116 363,216 37.4
2005年 1,125,200 709,928 63.1
2006年 956,169 604,173 63.2
2007年 719,468 446,360 62.0
2008年 602,733 329,393 57.4
2009年 615,271 338,288 55.0
2010年 820,594 458,773 55.9
2011年 914,982 518,830 56.7
表．日本の生鮮野菜輸入量の推移と中国依存（トン、％）

24. 日本とアジア経済（８）
多くの水産物が中国・タイ・インドネシアで加工され、日本
へ輸出、大阪の回転寿司屋へ（中国の日系水産企業）

25. 日本とアジア経済（９）
海外で販売される日本産農産物
（りんご、香港日系スーパー）

26. 日本とアジア経済（10）
海外で販売される日本産食品
（味噌、台湾日系スーパー）

27. 日本とアジア経済（11）
アジアで大規模な店舗展開をとげている
日本の外食産業

28. 日本とアジア経済（12）
アジアで大規模な店舗展開をとげている
日本のコンビニエンスストア

29. 日本とアジア経済（13）
アジアで大規模な店舗展開をとげている
日本のデパート

30. 日本とアジア経済（14）
 ３．アジアの環境破壊は日本にも到達
 →中国内陸地域やモンゴルの砂漠化は深刻
毎年春に日本にも黄砂が飛来、PM2.5も深刻
 →長江河口域でのエチゼンクラゲの発生と日本
への漂着
日本と東アジアの関係は経済、環境、歴史、文化、
いずれの面からもまさに切っても切れない関係。

31. 森林・草原破壊・エロージョン・黄河の渇水（中国、モンゴル）

32. 「アジアの経済・社会」ゼミのねらい
 この「アジアの経済・社会」ゼミでは、アジア地域
の経済・社会について以下の視点から学習し、皆
さんの東アジアの経済・社会への理解を深めるこ
とをねらいとします。
 １．東アジアの近現代史の流れ
 ２．アジアの社会の特徴
 ３．アジアの急速な経済発展と課題
 ４．日本のアジア向け貿易と投資の変化
 ５．日系企業のアジア進出の実態と問題点
 ６．アジアでの新しいビジネス
 ７．中国・台湾・香港・マカオの事例紹介