20170826-理系夏祭り-発表スライド4. 熱帯低気圧( Tropical Cyclone, Typhoon )
台風 ハリケーン サイクロン
北西太平洋
北東太平洋
大西洋
インド洋
南半球
熱帯低気圧
強い弱い
【注意】強度のしきい値が機関によって異なる
はじめに
台風ってNANDA?
積乱雲群(Cloud Cluster)
積雲・積乱雲
風が
8. What is Weather Forecast?
天気予報 =「天気」を「予報」する。「天気」 「予報」
=空の様子
=今分かっているルールと
情報から未来を想像
(する・したことを伝える)
18. 予報実験設定
オアフ島
対象 ハリケーンPALI
モデル WRF-ARW v3.6.1
水平解像度 10km × 10km
格子点数 250 × 250 × 40
タイムステップ 30 秒
予報期間
8日間
(2016年1月6日00Z〜14日00Z)
メンバー数 11 (境界値摂動有り)
積雲対流パラメタ Kain-Fritsch (Kain, 2004)
境界層
Mellor-Yamada Nakanishi and Niino Level 2.5
(Nakanishi and Niino, 2006)
大気データ
NOAA’s 2nd-generation global ensemble
reforecast dataset
土壌・海面水温
NCEP FNL analysis
(全メンバー共通)
※領域モデルを使用
※8日間予報を行う計算時間は約5時間
←京大スパコンを使用(こんなやつ
スパコンについては後ほど…
23. なぜ強かった?弱かった?
𝜕 𝑣
𝜕𝑡
= − 𝑢 𝑓 + 𝜁 − 𝑤
𝜕 𝑣
𝜕𝑧
− 𝑢 𝜁 − 𝑤
𝜕 𝑣
𝜕𝑧
+ 𝑃𝐵𝐿.+ 𝐷𝐼𝐹𝐹.
Chen et al. (2017)
風速の時間変化=渦の集まり方の平均+鉛直風の強さの平均
+集まり方の平均からのズレ+鉛直風の強さの平均からのズレ
予報時間(時間)
風速の時間変化
色:11メンバー
=8日間
24. なぜ強かった?弱かった?
𝜕 𝑣
𝜕𝑡
= − 𝑢 𝑓 + 𝜁 − 𝑤
𝜕 𝑣
𝜕𝑧
− 𝑢 𝜁 − 𝑤
𝜕 𝑣
𝜕𝑧
+ 𝑃𝐵𝐿.+ 𝐷𝐼𝐹𝐹.
Chen et al. (2017)
風速の時間変化=渦の集まり方の平均+鉛直風の強さの平均
+集まり方の平均からのズレ+鉛直風の強さの平均からのズレ
予報時間(時間)
風速の時間変化
色:11メンバー
=8日間
Editor's Notes みなさんはじめまして。
吉岡大秋といいます。京都大学の博士三回生です。
今日は気象学は天気予報だけじゃない!…でも、僕は台風を予報したいというタイトルで、お話させてもらいます。
よろしくお願いします。
人に見せても良いTwitterやってます。笑
2017年8月2日、フラフラした台風5号ノルー 今日の発表の流れです。
イントロダクション、台風の研究1までは真面目にやります。笑
台風の研究2は出来なくてもいいと思っているので、みなさんわからないことがあったら止めてもらって構いません。
コーヒーブレイクは…全部やりましょう。 では早速本題に移ります。
まずはイントロダクションです。 はじめに、台風とは何かを簡単に。
まず、現象の名前としては熱帯低気圧と呼んでいます。熱帯で発生する低気圧だからです。笑
それを、強度と発生海域によって名称を変えて呼んでいます。
まず、どの海域でも弱い熱帯低気圧を熱帯低気圧と呼びます。
そして、北西太平洋で強い熱帯低気圧を台風、北東太平洋・大西洋で強い熱帯低気圧をハリケーン、インド洋・南半球で強い台風をサイクロンと呼びます。
つまり、台風もハリケーンもサイクロンも、現象としては同一のものということです。
僕は、今ハリケーンを研究していますが、台風を研究しているのとほぼ同義ということになります。 『君の膵臓をたべたい』を見た人、読んだ人いますか?
僕好きなシーンがあって。
主人公のぼくが、ヒロインの桜良に国語を教えるシーンがあるんです。
そこで、桜良が「教え方が上手いなあ。教師になりなよ」と言ったのを真に受けて、映画版では主人公の小栗旬が教師になるんです。 北海道札幌市出身のアラサーです。
1年浪人して、学部は横浜国立大学の教育人間科学部…いまは教育学部になっているのかな…に入学しました。
その2年後研究室を選ぶ時に、彼女に「明日晴れるかな?」と聞かれて、答えられたらかっこいいじゃん!と思って、気象学研究室に入りました。
そのまま横浜国立大学で修士の学位を取得して、博士後期課程から京都大学に移りました。
コーヒーブレイクです。
天気予報とは何か。僕なりの辞書的説明をさせてもらいます。 天気予報ってそもそも何かわかりますか?
そう。天気を予報することなんですけど。
天気は空の様子のことです。
そして、今、わかっているルールと情報から未来を想像して、それを伝えることを予報といいます。 さらに深く、予報って何か考えてみます。
予報したいことは「今寝たら、明日の朝、何時に起きるか?」です。
ルールはいつも9時間寝る。情報は今は22時。
さて、明日の朝何時に起きますか?
そう、明日の朝は7時に起きる!わけです。
これが予報の流れです。
天気の話に戻すと、「明日の朝の気温は何度になるか?」を予報したい時、物理の法則をルールに、これまでの観測結果を情報として使って、明日の朝は26度!と予報することになります。 ここからやっと台風の研究についてお話していきます。笑 北海道出身なので、気象現象の中でも「雪」をやりたかった僕なのですが。
大学院に進学する前に「今日からおまえの研究は台風だ!」と先生に言われて。
とりあえずはいと答えて、気がついたらJAMSTEC、海洋研究開発機構の研究船みらいに乗って1か月間海上観測に参加しました。
それまで台風に一切興味の無い大学生だった僕が、この船の上で一つ疑問を持つのです。 これが船の上で見た雲の写真です。
たくさんぽこぽこたった雲を見ました。この光景を1か月見続けて台風の素人だった僕が持った疑問が、
「どの雲が台風になって、どの雲が台風にならないのか」です。
実は先行研究で、どのくらいの割合で雲が台風になるかを調べた人がいて、全球でおよそ7%の積乱雲が台風に発達すると報告されています。 僕の研究のキーワードの一つは、「どの雲?」です。
ちょっとこれだと雲が多すぎて、僕には大変なので、もう一つキーワードを足しました。
それは「低緯度」です。 まず、低緯度だと台風は発生しにくいことが知られています。
低緯度はコリオリ力が小さい領域で、コリオリ力が大きい方が台風が発生しやすいとされます。
これだけ覚えてください。笑
この理由は、りけぷらのサイトに書いてくれているので、ぜひ読んで下さい。
日本語は気になりますが、式の扱いは正しいです。 僕の研究のキーワードは、「どの雲?」です。 僕達はいわゆる天気予報のことを実験とか数値実験とか予報実験と呼びます。 上は高度1kmの風速を時系列にしたものです。
色で11のメンバーを示しています。 ちょっと多いので、オレンジと赤だけ残しました。
色で11のメンバーを示しています。 ちょっと多いので、オレンジと赤だけ残しました。
色で11のメンバーを示しています。 ちょっと多いので、オレンジと赤だけ残しました。
色で11のメンバーを示しています。 Now, we conducted Tangential Wind Budget(バジェット) Analysis by Chen et al. two thousand seventeen.
To reveal the dynamical processes responsible for tangential wind.
I show every symbols means parameter bottom of this page.
Four terms are flux and advection terms.
MRAD is the mean radial flux of absolute mean vertical vorticity so it has absolute vorticity including Coriolis parameter.
ERAD and EVAD are small value.
So I show ERAD, EVAD and total.
30秒 Now, we conducted Tangential Wind Budget(バジェット) Analysis by Chen et al. two thousand seventeen.
To reveal the dynamical processes responsible for tangential wind.
I show every symbols means parameter bottom of this page.
Four terms are flux and advection terms.
MRAD is the mean radial flux of absolute mean vertical vorticity so it has absolute vorticity including Coriolis parameter.
ERAD and EVAD are small value.
So I show ERAD, EVAD and total.
30秒 はじめに、熱帯低気圧・台風の発生条件の先行研究をご紹介します。
Gray(1968)では、海面水温、条件付き不安定、低気圧性循環、鉛直シア、高湿度・上昇流域といった条件を提示しています。
その6つ目に、コリオリ力が大きいことが上げられています。
その他の研究でも、コリオリ力が小さい緯度5度までで発生するクラス3、17m/sの台風に発達するのは稀だと報告されています。
また、Ooyama1964,1969では、壁雲付近のCAPEの値が大きいことが提唱されています。 2回目のコーヒーブレイクは、アンサンブル予報とは何かです。 次に僕が汗をかいて研究している内容を少しお話します。笑 最盛期の水平分布図がこちらです。
左上が初期値で、コントロール実験からプラス10度実験までを示しています。
コンターで気圧、シェイドで気圧のスプレッド、ベクトルで17m/s以上の地上10m水平風を示しています。
中心位置が各メンバーのトラックと対応しており、縦軸横軸がそれぞれ中心位置からの250kmまでの距離を示しています。 こちらが先ほどのトラックを使って算出した、ダウンスケール実験によるハリケーンの強度変化を示した図です。
上の図が最大風速、下の図が中心付近のCAPEの値を示しています。
それぞれ各実験のアンサンブル平均値で、横軸は予報時間です。
赤から橙、水色、紫の順に、南から北へコリオリ力を変化させた感度実験を示しています。
先ほどの時刻の強度のばらつきを、箱ひげ図で示したものがこちらです。
横軸にコントロールからプラス10度実験までを示しています。
左に行くほど南、右に行くほど北を示します。
縦軸に強度の指標として最大風速を取っています。
CTL実験からプラス6度までは、風速が大きくなっていますが、プラス6度からプラス10度までは風速が大きくなっていません。
つまり、それ以上コリオリ力を大きくしてもハリケーンが強くならないことが推測出来ます。
また、両端の実験では、箱ひげ図が縦に伸びており、バラつきが大きくなっています。
コリオリ力を変えた時の初期境界条件の違いはどうなっているのか。
最後のコーヒーブレイクは、天気予報とスーパーコンピュータです。 京は今年の6月の報告で世界一位に返り咲いています。 最後に今日のまとめです。 まとめです。
台風の正確、精確な予報はとにかく難しいのです。
PALIというある台風は、渦がどんどんどんどん集まってきたおかげで強くなりました。
そして緯度と台風の強度の関係はガウス分布、どこかに山のある分布であると。
発表は以上です。
ご静聴ありがとうございました。