2011建築研究賞_宗教都市ヴァラナシ_08N1015泉泰葉_高村研
- 3. 歴史
ヴァラナシ(Varanasi)
ガンジス河中流に位置し、古代よりヒン
ドゥー教の聖地とされてきた都市。現在も
多くの巡礼者を受け入れている。
遂次発展してきた寺院町なので、組織的は
道路は見られず、狭く曲折。
河岸に三つの火葬場があり、インド全土か
ら遺体が運ばれ、ここで遺灰がガンジス河
に流される。
ガートの風景
- 5. 調査範囲
ガート成立年代とその建設者
ガート名 成立年代 建設者
ダシャシュワメード・ガート 1740 Bajirao Pesava-Ⅰ
1775 アヒリャバーイによって改修
シータラー・ガート 1740 Bajirao Pesava-Ⅰのグルである
Narayana Diksit
アヒリャバーイ・ガート 1778 インドール女王
アヒリャバーイ・ホールカル
ムンシー・ガート 1912
ダルバンガー・ガート 1915 ダルバンガーの王
ラナ・マハル・ガート 1670 ウダイプルの王
チャウサティー・ガート 1670 ウダイプルの王
ディグパティヤー・ガート 1830 ディグパティヤー国の王
サーヴェシュヴァラ・ガート 18c後期 Mathara Pandey*2
パーンデー・ガート 1805 Pandey Babua
コーリー・ガート 19c後期 Kavindra Narayana Singh
ラージャー・ガート 1720 Bajirao Balaji*3
1780-1801 Amirita Raoにより再建
ナーラドー・ガート 1788 Dattatreya Svami
マーナサローワル・ガート 1585 Mana Singh(Amber)
1805
クシェーメーシュワル・ガート 18c初頭
チョウキー・ガート 1790 僧院
ケダール・ガート
- 8. 開発過程
王宮
寺院
ガート空間に王宮、寺院に対する中心性を持たせようとする
- 12. 領域
生きている人が
巡礼を行う空間 死者に対する
儀式を行う空間
宗教空間
- 15. 領域(チャウサティ・ガート 1670建設)
堤防としての城壁
王朝の衰退
境界
沐浴する人々
ガートが生活空間から分離
火葬場、沐浴場としてのガート
=
死の空間として確立
生活空間
チャウサティ・ガート 1670建設
宗教空間
- 21. 空間構造
商店エリア 民家・邸宅エリア 王宮・寺院エリア ガートエリア
承
起 丘を越え、心を鎮める
迷宮へといざなう
転
真の聖域へと踏み出す
母なる大地の胎内へと潜る
結
この一連の空間を経ることで、人々は聖域の再認識をする
- 22. 結論
ガートの始まり=人間の欲
しかし、ガート空間に欲望を反映させることはできなかった
水辺空間は太古から変わらず絶対的な死 の空間
ヒンドゥー教における死=己が己であるための死
ヴァラナシの水辺空間=死の景観
- 25. ガートの成立年代と建設者
表1 ガート成立年代とその建設者
ガート名 成立年代 建設者 補足
ダシャシュワメード・ガート 1740 Bajirao Pesava-Ⅰ
1775 アヒリャバーイによって改修
シータラー・ガート 1740 Bajirao Pesava-ⅠのグルであるNarayana Diksit
アヒリャバーイ・ガート 1778 インドール女王アヒリャバーイ・ホールカル
ムンシー・ガート 1912 Sridar Narayan Munshi*1 にちなんで
ダルバンガー・ガート 1915 ダルバンガー(ビハール州)の王 1995年富豪によってBrijrama宮殿が買収されホテルへ変換途中
ラナ・マハル・ガート 1670 ウダイプル(ラジャスターン州)の王 チャウサティーの拡張部分
チャウサティー・ガート 1670 ウダイプル(ラジャスターン州)の王
ディグパティヤー・ガート 1830 ディグパティヤー国(ベンガル)の王 Sataram Omkarという美しい建物がある
サーヴェシュヴァラ・ガート 18c後期 Mathara Pandey*2
パーンデー・ガート 1805 Pandey Babua
コーリー・ガート 19c後期 Kavindra Narayana Singh ラージャー・ガートの拡張部分
ラージャー・ガート 1720 Bajirao Balaji*3 王宮は特別な演奏会に使用
1780-1801 Amirita Raoにより再建
ナーラドー・ガート 1788 Dattatreya Svami*4 (当時の僧院長)
マーナサローワル・ガート 1585 Mana Singh(Amber) インド西部、チベットの有名な湖にちなんで
1805
クシェーメーシュワル・ガート 18c初頭
チョウキー・ガート 1790 僧院 蛇の絵で有名
ケダール・ガート
:実測調査を行ったガート
*1 Sridar Narayan Munsi:ナーグプル(Nagpur)国の財務大臣。1812年に辞職。その後をヴァラナシで過ごし、1824年に亡くなる。
*2 Pandey:Pandeyが多い地域は、ウッタルプラデーシュ、ウッタラ・ビハール、デリー、ビハール、マディカプラディシュ。
*3 Bajirao Balaji(1700~1740):マラータ王国皇帝。マラータ同盟に所属し、1660年前後よりデカン高原西部にてムガル帝国に対して反乱を起こす。
18cにはムガル帝国の衰退に乗じて覇権を握るが、その後にイギリスとの衝突で衰退する。
- 26. モハッラ
ムンシー・ガート
ダルバンガー・ガート
ラナ・マハル・ガート
チャウサティー・ガート
モハッラとは
民族やカーストを基盤とする住居区域
の単位
寺院、バザール、井戸を共有し、その
境界に門を設ける場合もある
モハッラ境界とアプローチの関係
①全体が一致
ラジャ・ガート
②半分まで一致
ナラド・ガート ③一致しない
- 27. アプローチ比較
二つのガートの分岐点
王宮
寺院
モハッラ境界
境界以外のアプローチ
- 28. アプローチ比較
限られた人しか
使わないガート
発展しながら整備されてきたガート
王宮
寺院
モハッラ境界
境界以外のアプローチ
- 29. アプローチ比較
ガンジス河へ
多くの巡礼者が集まる
開かれたガート
王宮
寺院
モハッラ境界
境界以外のアプローチ
- 30. 都市景観
ガンガーの氾濫 特権階級 聖域
王宮の保護 欲
堤防としての城壁 ガート
境界 死
ヴァラナシの都市景観
河岸に連なる