Moteki2016 researchstrategy モテサクの実績と計画と野望 20166. 海面水温 : (℃ カラー ) 海面気圧 :hPa( コンター )
高い海面水温と高い海面水温と MJOMJO 発達発達
7. 海面水温 : (℃ カラー ) 海面気圧 :hPa( コンター )
低い海面水温とマスカリン高気圧低い海面水温とマスカリン高気圧
8. 海面水温 : (℃ カラー ) 海面気圧 :hPa( コンター )
現場観測の実施に貢献現場観測の実施に貢献
データ同化によるデータ同化による
精度向上を検証精度向上を検証
19. 海面水温 : (℃ カラー ) 海面気圧 :hPa( コンター )
低い海面水温とマスカリン高気圧低い海面水温とマスカリン高気圧
20. 海面水温 : (℃ カラー ) 海面気圧 :hPa( コンター )
低い海面水温とマスカリン高気圧低い海面水温とマスカリン高気圧
Editor's Notes 茂木耕作は,これまでJAMSTECの研究員として,海洋・大気の現場観測の実施を出発点とした研究を積み上げてきました.
その際,JAMSTEC内のデータ同化、数値シミュレーションの技術を持った数多くの研究者とも連携を築き,JAMSTEC以外ではできない事にこだわって挑戦し続けてきました.
このプレゼンテーションでは、直近の実績のポイントを紹介し、その上で今後5年間で出すべき成果、それらを踏まえて10年後を見据えたJAMSTECならではのビジョンを提案します。
まずこれまでの実績は、大気海洋相互作用研究分野の主要な2つのキーワード、熱帯季節内変動、アジアモンスーンについて進めてきました。
特に直近で出版した三本の論文では、海洋から大気に与える影響について明らかにし、2014年には、日本気象学会から論文賞も受賞することができました。
その中で、今後の計画の土台となる2015年の論文についてポイントを示します。
この論文は、JAMSTECが2011年に主導したCINDYプロジェクトにおいて観測されたMJOの発生について論じたものです。
ここでは、今までの研究にない新しい観点を示すことができました。
このMJOマッデンジュリアン振動とは、そもそもどんな現象かと言いますと、
熱帯インド洋上で、東西数千㎞規模で雨雲が集団化し、約一ヶ月維持しながら東に動いていくというものです。
これは、エルニーニョと並んで世界中の気候にインパクトをもたらすため、世界中から常に注目され、中期計画の中でも中心となる研究対象の一つです。
このMJOに対する海洋の影響、ということを考えるときに、従来の研究では、
通常は当然のことのように熱帯インド洋上の高い海面水温が対流を活発化させる、という側面が常に注目されてきました。
この図は、カラーで海面水温、コンターで海面気圧を示していて、この暖色系の高い水温に注目してMJOの発達を論じるのが一般的です。
しかし、
私の論文では、むしろSSTが低い南インド洋がMJO発生に重要な役割を持つことを指摘しました。
すなわち、南インド洋の低いSSTで冷やされてできるマスカリン高気圧が、熱帯まで強く張り出していると対流を抑制し、マスカリン高気圧が衰退すれば対流が活発化する、という観点を提示しました。
こうした新たな観点を示すに至ったのは、私自身が、実際に現場の大気観測の実施に携わっ た上で、そのデータ同化を行ったことに起因しています。 すなわち、我々の取得した観測データが広い範囲での解析精度の向上をもたらし、データの 少ない南半球の影響も考慮できるようになったからこそ、新しい仮説を提示することができ ました。
こうした結果から、次に観測すべき領域として、南半球側を提案し、昨年のみらいMR15-04航 海において実現しました。
その昨年の観測航海では、海洋表層に対してMJO通過の影響を示す観測データを得ることがで きました。 具体的にどのような現象を捉えているかということから今後5年の計画を示します。
昨年の航海では,
このように,みらいの観測海域をMJOが通過するところでデータを得ることができました。このときに、
私が企画し運用していた観測項目は、海洋の乱流観測です。つまり,MJO通過によって海洋表層での鉛直混合がどのように起こるか,という
非常に貴重なデータを得ることに成功しました。
この図は、縦軸が水深、横軸が12月7日から17日までの日付で、カラーは乱流エネルギー散逸率、つまり、鉛直混合の強さを示します。
12月13日にMJOが通過して、鉛直混合が強まっていることがわかります。
また、破線は、等密度層、点線は等温層を示し、通常は同じ深さであるべきですが、MJO通過で塩分成層が強まると分離して、バリアレイヤーが急激に形成されています。
このバリアレイヤーは、熱を遮断するので、大気海洋相互作用の在り方を大きく変えるため、これを今年中に論文化することが目標であり、その上で求められるのは、
来年から国際観測プロジェクトYMCの戦略提案を主導する ということです。
このYears of the Maritime Continent YMCは、米国を始めとした数多くの国が参加し、WCRPからも推薦された非常に大きな枠組みです。
JAMSTECの中期計画では日本の気候変動にMJOが直接影響することをYMCで明らかにする位置づけとなっており、この中で私が果たすべき役割は、みらいの海洋観測を企画し実現することです。
さらに、10年後を展望する際には、これらの現場観測で得たデータの価値を最大化していく、ということを考え、
現在アプリケーションラボで開発されている大気海洋結合同化システム・クレラを用いた研究 を展望しています。 クレラはまだ開発途上ですが、5年後には、確実に我々の現場観測データを実際に同化できる ようになります。
さらに、
10年後までの計算機能力の向上を考えると、現在のスパコンの性能に相当する計算機がみら いのような観測現場で使えるようになるはずです。 従って、現場で自立的に大気海洋のデータ同化をリアルタイムに行える、そのようなシステム 構築を担っていくことが長期展望です。
この構想は、
直近に積み上げてきた成果を土台として、5年先までの具体的な計画を実行した上で、必ず実現できます。 あくまでJAMSTECにしか絶対にできない、そう確実に言える成果を出していく上で、私が担 える役割は、こうした現場観測からデータ同化、シミュレーションを結びつける取り組みだ と考えています。
この論文では、むしろ海面水温が低い南インド洋がMJO発生に重要な役割を持つことを指摘しました。
すなわち、南インド洋の低いSSTで冷やされてできるマスカリン高気圧が、熱帯まで強く張り出していると対流を抑制し、マスカリン高気圧が衰退すれば対流が活発化する、という新たな観点を提示しました。
この論文では、むしろ海面水温が低い南インド洋がMJO発生に重要な役割を持つことを指摘しました。
すなわち、南インド洋の低いSSTで冷やされてできるマスカリン高気圧が、熱帯まで強く張り出していると対流を抑制し、マスカリン高気圧が衰退すれば対流が活発化する、という新たな観点を提示しました。
地表風速が10m/sを越えたことによる力学強制に伴うもので、この定量的な説明を論文にまとめることがまず最初にやっていきたいことです。
その上で、
大気から海洋への感度を調べるために,MJOの誤差に海洋場の誤差が応答するかどうかを調べています.
この図は、2008年8月1日を計算初期条件として,海洋場だけアンサンブルのばらつきを0,大気場は現実的なアンサンブルのばらつきを与えて,時間変化を見てみます.
まずこの計算開始の8月1日は、MJOがインド洋西部に発生していて、東西風のアンサンブルのばらつきが非常に大きいことが分かりますが、これがどのように海流の流速のばらつきに伝わるのか、
8月下旬に東に進んだMJOに伴って何が起こるか見てみますと,東インド洋の海洋表層におけるアンサンブルのばらつきが増大していることが分かります.
実は、この2008年8月末というのは、インド洋ダイポールモード現象が発生したタイミングでもあって、この簡単なテスト実験から,クレラというシステムが、MJOとインド洋ダイポールの関係を調べる強力なアプリケーションであることがわかります。
こうしたこと5年後に向けてやりながら、10年後を想定すると、
つまり、中央インド洋における気圧場の緯度時間断面で、マスカリン高気圧の変動とMJO発生の関係を見てみると、非常に明確な対応があります。
この図は、暖色系の色が高気圧偏差、つまり、9月から10月中旬まで、マスカリン高気圧が強く張り出していることを示し、MJOの対流は低気圧偏差を伴うので、寒色系の色になります。
つまり、冷たいSSTの上で維持されるマスカリン高気圧が衰退することが、MJO発生の条件の一つとして明確に対応していることが分かりました。
通常、当然のことのように熱帯インド洋上の高い海面水温が雨雲を発達させる、という側面が注目されます。
この図は、MJOが発生した一週間平均の海面水温をカラーで示しており、通常はこの暖色系の高い水温に注目します。
しかし、
この論文では、むしろ海面水温が低い南インド洋がMJO発生に重要な役割を持つことを指摘しました。
すなわち、南インド洋の低いSSTで冷やされてできるマスカリン高気圧が、熱帯まで強く張り出していると対流を抑制し、マスカリン高気圧が衰退すれば対流が活発化する、という新たな観点を提示しました。
こうした新たな観点を示すに至ったのは、私自身が、実際に現場の大気観測の実施に携わった上で、そのデータ同化を行ったことに起因しています。
すなわち、我々の取得した観測データが広い範囲での解析精度の向上をもたらし、データの少ない南半球の影響も考慮できるようになったからこそ、新しい仮説を提示することができました。
こうした結果から、次に観測すべき領域として、南半球側を提案し、昨年のみらいMR15-04航海において実現しました。
みらいの観測点周辺は、30度以上の極めて高い海面水温が広がっておりMJOの通過が観測され、非常に貴重なデータをとることに成功しました。