ラカンを横切る
- 1. 思想・哲学研究会 第 3,4 回会合 第 3 回会合 2010 年 2 月 13 日 第 4 回会合 2010 年 3 月 28 日 於 ルノアール新宿小滝橋通り店
- 3. 自己の起源とはどのようなものか? ■ 「鏡像段階」(ジャック・ラカン) ・生後 6 ヶ月前後の言葉を知らない子供 =「インファンス」 ‐ 身体組織が統合されず、自分の手足の区別すらつかない ・自分の鏡像を引き受ける -> 「寸断された身体」から「統合された自我」を獲得 ⇒ 「自我」とはイメージ でしかない。 ・無意識のレヴェルにおいて、個と社会、・・・公私の間に区別はない (『夜戦と永遠』 p.47 ) c.f. アンリ・ワロンなどの実証研究 自分が自分であることは元来、根拠があまりない
- 4. 日常的に認識している自己はどのように獲得されるのか? ■ 象徴界の出現 ・ 「おまえは○○だ」 「法の一撃」 「充溢の言葉」 ・ 私が私であることは産み落とされた社会に 存在する言葉によって「思わされているもの」 ⇒ イメージでしかなかった自己が「言葉」によって 象徴的に捉えられるようになる ・ 自己と他者の区別が可能となる ー自己があってはじめて他者がある イメージでしかない自己が「言葉」によって象徴化される
- 6. ボロメオの輪 イメージ(想像界)と 言葉・記号(象徴界)とが 交わると「意味」となる。 表象も意味も言葉もイメージも追いつかない、 象徴化できない「何か」。 「象徴化」が行われたときに結果として失われる「何か」。 欲望の緊張を持ち続けることをやめられないこと。 「欲望の原因」 権力の享楽 イメージの世界 言葉や記号の世界 世界を創る享楽
- 7. 「善良な社会人としての強固な基礎」獲得に向けた足がかり 自分の世界 象徴的世界に踊らされない。象徴的世界を誘って 一緒に踊る ! 「自分の世界」 ・言葉によって獲得してきた世界 ・これから創る世界 ・視点、価値観、正義 ・気持ち良い状態 象徴的世界 「象徴的世界」 ・言葉によって止揚されている世界 ・おまえは○○だ、会社は ×× だ ・既に創り上げられている世界 ・私たちの身の回りの常識的世界 ・「合わせ」ることを求められる世界 「知ったことではない」 (佐々木中) 現実逃避のベクトル 不平不満のベクトル 善良な社会人としての 強固な基礎 を獲得したベクトル 「不平不満を言う前に、自分の得意なことをやれ」 「能ある鷹は爪を隠すな」 (本田宗一郎)