2015-11-28 NSEG勉強会で発表したリーダブルパスワードについての資料です。SQLアンチパターンのリーダブルパスワードについて説明をしています。発表時に使った資料にあったタイプミスなどは修正しました。

1. リーダブルパスワード
- SQLアンチパターンより抜粋 -
SSS(G) : hiro345
http://www.sssg.org/blogs/hiro345/

2. 自己紹介
昨日の出来事：
Raspberry Pi Zero 600円
注文できなかった
Javaエンジニア、最近 Raspberry Pi 関係で Python をよく使ってます...
日経Linuxで記事連載中
小山博史

3. SQLアンチパターン
O'Reilly Japan, Inc.
Bill Karwin 著
和田 卓人、和田 省二 監訳、児島 修 訳
2013年01月 発行
本書はDB設計やSQL記述の際に避けるべき事
柄を1章で1つ、25個紹介する書籍です。
.... http://bit.ly/1RbngWVより

4. アンチパターンの概要
● 目的：パスワードのリカバリーとリセットを行う
● アンチパターン：パスワードを平文で格納する
→DB設計における重大なセキュリティ欠陥
– パスワードの格納
– パスワードの認証
– パスワードを電子メールで送信
● アンチパターンの見つけ方：
パスワードのリカバリーを行ってユーザーへ送信
できるアプリケーション

5. パスワードの格納
CREATE TABLE USER_INFO(
id SERIAL PRIMARY KEY,
email VARCHAR(100) NOT NULL,
password VARCHAR(30) NOT NULL
);
INSERT INTO USER_INFO
(id, email, password)
VALUES
(1, 'user001@example.jp', 'secret');

6. パスワードの認証
SELECT
CASE WHEN password = 'secret'
THEN 1 ELSE 0 END
AS password_matches
FROM USER_INFO
WHERE id = 1;
SELECT * FROM USER_INFO
WHERE id = 1 AND password = 'secret';

7. パスワードを電子メールで送信
SELECT id, email, password
FROM USER_INFO
WHERE id = 1;
From: system@example.jp
To: user001@example.jp
Subject: パスワードの件
user001@example.jpさまのid:1の
パスワードは「secret」です。

8. アンチパターンを用いても良い場合
● アプリケーションが外部のサービスにアクセス
するためにパスワードを扱う場合
● 暗号化は必要
● IdentificationとAuthenticationの区別が必要
– Identification：本人識別、自分が誰であるかを申告
すること
– Authentication：認証、自らが名乗った人物である
ことを証明すること

9. 解決策
● ソルトをつけてパスワードハッシュを格納
● SHA-256などの暗号学的ハッシュ関数
（cryptographic hash function）の利用
● ハッシュは不可逆
● SHA-1やMD5はパスワード保護には力不足

10. ハッシュを使ったパスワードの格納
SSLサポート有効のMySQLでSHA-256を使う例
CREATE TABLE USER_INFO(
id SERIAL PRIMARY KEY,
email VARCHAR(100) NOT NULL,
password_hash CHAR(64) NOT NULL
);
INSERT INTO USER_INFO
(id, email, password_hash)
VALUES
(1, 'user001@example.jp', SHA2('secret', 256));

11. ハッシュを使ったパスワードの認証
ユーザー入力に同じハッシュ関数を適用して
結果比較
SELECT
CASE WHEN
password_hash = SHA2('secret', 256)
THEN 1 ELSE 0 END
AS password_matches
FROM USER_INFO
WHERE id = 1;

12. アカウントロック
● password_hashの文字列にハッシュ関数が返さ
ない文字列を指定すればアカウントロックがで
きる
● 例：noaccess ... 16進数ではない値を含む

13. 辞書攻撃への対策
ソルトを付加する
SHA2(
CONCAT('secret', 'hhp70tR7096qGTA2H1kG'),
256
)
＊ソルト「hhp70tR7096qGTA2H1kG」もプログラムで生成するといいでしょう。
以下はPythonでの生成例。より安全にしたい場合は工夫が必要。
書籍「体系的に学ぶ安全なWebアプリケーションの作り方」が詳しいようです。
$ python -c '
> import string,random;
> print "".join(
> [random.choice(string.ascii_uppercase + string.ascii_lowercase + string.digits)
> for x in range(20)]
> )'
hhp70tR7096qGTA2H1kG
２０文字以上を指定

14. その他の課題
● 詳細は書籍をご覧ください
– SQLからパスワードを隠す
– パスワードをリカバリーするのではなく、リセット
する
● ユーザーごとにソルトを変更する
● ハッシュのストレッチング処理