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2011年度卒業論文 橋の空間用途の拡大に向けた考察/金子修平
- 2. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
研究の背景
■江戸時代の橋の様子
(広重) 東都名所「両国橋夕涼全図」
橋の周辺環境すべてが活気に
満ちている。
“交流の場”としての橋といえ
る。
- 4. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
研究の背景
建物に“建築空間”という言葉があるように、
橋にも“橋空間”という言葉を与えることができ
るかもしれない。
そして、その橋空間を用いることで新たな橋の
用途拡大ができるのではないだろうか。
- 6. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
橋空間 – 構造保護を目的としたも
の
■Aarebrücke – Aareberug, Bern, Switzerland
- 7. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
橋空間 – 商空間を目的としてつくられたもの
Ponte Vecchio - Florence Pont Notre-Dame - Paris (16c)
Rialto Bridge - Venice 釜石橋上市場 – 岩手県釜石市 (現存せず)
- 8. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
橋空間 – 意図された空間
■Rialto Bridge (コンペ案との比較)
現在のRialto Bridge (Antonio da Ponteによる設計) Palladioによる設計案
Palladioは橋上の床面をフラットにすることで、商業や交易活動を行い
やすくしようとしていた。
- 11. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
橋とは…
道路の構造物 道路に附属し、一体となる
(土木工学ハンドブック(第四版)より) (道路法第二条第1項より)
“橋は道路の一部である“
さらに、
建設には河川管理者の許可
(河川法第二十六条第1項より)
- 13. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
法律上で求められること
“橋を道以外の用途に利用するには” <占用許可>
道路管理者(区や都、国など)に
よる許可が必要
―”道路法”で規定
道路の利用のための許可 <使用許可>
(占用許可・使用許可) 使用区域を管轄する警察署長の
許可が必要
―”道路交通法”で規定
ただし、橋上という特異な場所で
は
安全面などの関係から、許可が下
りることは難しい。
- 14. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
法律上で求められること
“橋を道以外の用途に利用するには”
<流水・河川区域に関して>
河川の流水を妨げてはならない。
区域内での掘削・工作物の工事で
道路の利用のための許可 は許可が必要。
―”河川法”で規定
(占用許可・使用許可)
河川の環境を守るため、河川区域
内での作業内容は管理者によって
審査される。
河川環境の保護
- 15. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
法律上で求められること
<河川の占用施設・主体>
公共性・公益性のある施設で、地方公共団体な
ど
公的主体でなければならない。
―”河川敷地占用許可準則”で規定
河川の利用は「非営利」が前提
日本においては海外のような橋空間の利用ができない!
- 16. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
法律上で求められること
―暗きょの利用
渋谷川 暗きょ部 ウィーン川暗きょ部
(Naschmarkt市場)
河川法は暗きょとなっている川にも適用される。非営利が前提のため、渋谷川の暗
きょ部分は公園として整備されているが人の姿はあまり見ることはできない。
一方スイスのウィーン川では、暗きょの上部が市場となっており、多くの人で賑
わっている様子がわかる。
- 18. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
今後に向けた動き
現在では、河川空間の利用には緩和の動きが見ら
れるが、河川上部までは及んでいない。
出典:国土交通省平成23年3月8日報道発表資料「河川空間のオープン化について」
- 21. 橋の空間用途の拡大に向けた考察
結論
・海外における橋空間の利用は、街との一体性をもっている
―“橋”の集結性を活かした商空間
・だが、日本において検討すべき課題が多い
―構造的安全性
―河川環境保護
―非営利が求められる現状
・社会的な認識も必要
―“建築物”と“土木構造物”という考え方
―橋空間の可能性