2. Japan Safety Society Research Center
運転者は運転中にどれほど怒っているか?
• 全世界の交通事故死者数は年間約135万人
– 日本の安全性は比較的に優秀(10万人中3.7)
– 東名事故に代表されるあおり運転による交通危険が浮上
– 国内外の調査データでは、詳細が省かれているため理解が漠然
• 直接アンケート調査を行って運転者に訊いてみた
– 運転中のストレスを感じた状況と自らの行動
– 主に中国人を中心に86名
–8割強は普段の運転中にイライラ、特に女性は不満だらけ
–1割の人は喧嘩上等
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3. Japan Safety Society Research Center
あおり運転行為(警察庁)
1. 前方自動車に激しく接近
2. 危険防止以外に不必要な急ブレーキ
3. 後方車両を妨害するような進路変更
4. 左側からの追い越し
5. 夜間他車両を妨害する目的のハイビーム
6. 執拗なクラクション
7. 極めて接近させる幅寄せ
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4. Japan Safety Society Research Center
あおり運転@アメリカ
• 年間発生回数:18億/年
• 調査に参加した運転手中25%,あおり運転またはロードレイジを認めた
• ロードレイジが原因の死亡者数
– 1990-1996, 約28000人死亡(年間4000人)
←日本2018年 交通事故死者数3532人
データ出典:Donald E. Miles, Gregory L. Johnson, "Aggressive driving behaviors: are there
psychological and attitudinal predictors?", Transportation Research Part F: Traffic Psychology
and Behaviour, Volume 6, Issue 2, pp. 147-161, June 2003.
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10000
20000
30000
40000
50000
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996
Death in Traffic Collision
Death
Road Rage
Death
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5. Japan Safety Society Research Center
ロードレイジ@中国
• 公安部交通管理局に到達した事件数
– 2015年、全国「路怒症」事件1733万件
– 平均47400件/日
– 非常に深刻
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7. Japan Safety Society Research Center
JAF回答者の5割以上は煽られたことがある
• 警察のデータには「あおり運転」項目がない
– 【事故】【暴行】カテゴリに入れられる
• JAF調査
– 2016年6月インターネット調査(N=64376人)
– 項目:普段運転中に、後方から煽られたことはありますか?
– ある→54.5%
• 労働災害における経験則【ハインリッヒの法則」
データ出典:JAF “交通マナーに関するアンケート調査(2016年6月)”
http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/environment/enq/2016_06.htm
事故・暴行事件
車間距離不保持摘発数
実際のあおり運転
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8. Japan Safety Society Research Center
暴力行為なくても怒りを帯びた運転は危険
9
• オペレーション数
– アクセル(37.9%増)、車線変更(37%増)、ブレーキ数(43.9%増)
– 運転安定性が損なわれる
• オペレーションの強さ
– 40-50%強くなる
– アクセルが(54.55%)顕著
– 急発進率が上昇
– 事故につなげる率が上昇
中国2011(N≒450)
9. Japan Safety Society Research Center
アンケート調査
• Driving Anger Expression Inventory
– 米国南ミシシッピ大学「Anger & Traffic Psychology Lab」
– 計4カテゴリ、49項目
• 言葉:脳内で罵るから大声を出すまで12通り
• 肢体:車内で指を立てるから下車バトルまで11通り
• 車両:あおり運転から相手にぶつけるまで11通り
• 抑制:マイナス感情を鎮めるための努力15通り
• 4段階調査(1:ほぼなし、2:時々、3:ある、4:よくある)
– Webアンケート調査
• 調査期間3日間、SNSツールで拡散
• 日本と中国に在住の中国人運転者86名(男41、女45)
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10. Japan Safety Society Research Center
言葉での不満表現
• 平均値2.28 脳内で「お前はどこで免許とったよ?」
– 男性78%、女性84%
• 平均値2.26 脳内で相手を貶す
– 男性93%、女性87%
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静かに怒るところがポイント
相手に気づかれないことが肝要
11. Japan Safety Society Research Center
肢体での不満表現
• 平均値1.56 ハンドルを握ったまま激怒
– 窓下げないから「気づかれない程度で怒る」ことが最も多い
• 平均値1.37 窓を下げて相手に怒りをぶつける
– 相手との間の壁を取り除くことに多くの人は抵抗感がある
– 男性は窓を下げることに抵抗感が少ない
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2割強の女性が窓を下げる!?
12. Japan Safety Society Research Center
車両を使った不満表現
• 平均値1.80 いつもよりスピードを上げる
– 8割の男性はスピードを上げることに躊躇しない
• 平均値1.66 相手車の前に割り込もうとする
– 男女とも半数以上
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肢体で不満を表明よりも心理的ハードルが低い
「車体に守られている」心理があおり行為を触発
13. Japan Safety Society Research Center
怒り抑制の努力
• 平均値3.40 安全運転に努める
– 9割の男女はストレス感じたら注意力を集中
• 平均値3.11 「相手にするまでもない」と自分に言う
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挑発を受けても自分の安全を最優先人は9割
残り1割は、喧嘩上等グループか?→案外いる
14. Japan Safety Society Research Center
まとめ
• 本研究で行ったこと
– あおり運転とロードレイジについて日米中の背景調査
– アンケートを通してディテールなストレスと行動を調査分析
• 次のステップ
– より詳細な分析を行う
– 日本人に対して調査を行う
– アンケートを工夫(49項目はかなり疲れる)
• 社会実装活動
– あいおいニッセイ同和損害保険と共同研究
– 滋賀県警察本部と共同研究
– 警察庁に研究成果のアピール
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