1. 伊達地方衛生処理組合『仮設焼却炉整
備事業に係る生活環境影響調査書』
に対する論点整理
放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会アダバイザー
千葉県放射性廃棄物を考える住民連絡会事務局長
藤 原 寿 和

2. 伊達地方衛生処理組合
『仮設焼却炉整備事業に係る
生活環境影響調査書』の概要

3. 「生活環境影響調査」とは①
平成９年６月、廃棄物処理法改正により、以下の手続
きが導入
①生活環境影響調査の実施、②申請書及び生活環境
影響調査の縦覧、③住民、市町村長の意見聴取、④専
門家の意見聴取等、⑤許可要件：「地域の生活環境へ
の適正な配慮」
生活環境影響調査は、許可を要するすべての廃棄物
処理施設について実施の義務づけ
施設の設置者は、①計画段階で、②その施設が周辺
地域の生活環境に及ぼす影響をあらかじめ調査し、
③その結果に基づき、地域ごとの生活環境に配慮し
たきめ細かな対策を検討、④施設の計画を策定

4. 「生活環境影響調査」とは②
許可要件
環境省令に定める技術上の基準に適合すること
（全国一律基準）
設置に関する計画及び維持管理に関する計画が
当該廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境
の保全に適正な配慮がなされたものであること
（地域ごとの基準）
設置者の生活環境への配慮が妥当なものか否か
について審査

5. 廃棄物処理法に基づく廃棄物処理施設の設置手続

6. 生活環境影響調査の流れ

7. 伊達地方衛生処理組合『仮設焼却炉整備事業
に係る生活環境影響調査書』（平成26年２月）

9. 計画地
飯舘村
霊山町

10. 施設の処理能力・処理方式
処理能力：１３０t/日（１炉）
処理方式：ロータリーキルン方式（24時間稼働）

11. 施設の構造及び設備の概要

12. 焼却残渣保管ヤード
焼却残渣保管ヤード
焼却残渣保管ヤード
仮設焼却炉ヤード

13. 投入ホッパ
投入ｺﾝﾍﾞﾔ
キルン炉

21. 煙源条件
項 目 目 標 値
稼働時間 24時間／日
排出口高さ ３０ｍ
排出ガス温度 １７０℃
排出ガス量
６３，２８３㎥N/h（ｗｅｔ）
４１，１０７㎥N/h（ｄｒｙ）
排出濃度
硫黄酸化物 １００ｐｐｍ以下
窒素酸化物 ２００ｐｐｍ以下
ばいじん ０．０１g/㎥N
塩化水素 １５０ｐｐｍ以下
ダイオキシン類 ０．１ng-TEQ/㎥N

25. こ
の
部
分
を
拡
大

33. 伊達地方衛生処理組合
『仮設焼却炉整備事業に係る
生活環境影響調査書』の問題点

34. 条例アセスと生活環境調査の比較
環境影響評価条例に基づく環境要素 生活環境調査に基づく環境要素
 大気環境
１ 大気質
２ 騒音
３ 振動
４ 悪臭
 水環境
５ 水質（選定しない＊）
＊選定しない理由：処理水は
施設内で循環再利用し、公共
用水域に放流しないため
 大気環境
１ 大 気 質
２ 悪 臭
３ 騒音・振動（低周
波音を含む。）
 水環境
４ 水 質（地下水汚染、
底質を含む。）
５ 水生生物
６ 水 循 環（水象、
地下水、水辺環境）
 地盤環境
７ 土壌環境
８ 地盤沈下
９ 地形・地質
 生物環境
10 植 物
11 動 物
12 生 態 系
 人と自然との触れ合
い
13 景 観
14 人と自然との触れ合
いの場
15 文 化 財
 環境への負荷
16 廃棄物等
17 温室効果ガス
18 オゾン層破壊物質等
 その他（その他の生
活環境）

35. 大気汚染予測の問題点①
調査対象地域を計画地から２kmに限定したのは
範囲が狭すぎる。
現地気象調査の期間が短すぎる（平成25年11月
12日15時～11月19日15時）。
冬季の接地逆転層の発生しやすい時期の気象調
査（逆転層調査）が行われていない。
採用している拡散シミュレーションモデル（プルー
ム・パフ）は平坦地を前提とした解析モデルであり、
複雑な地形を有する山間地の予測モデルではない。
トレーサー物質の放出による大気拡散実験が行わ
れていない（予測値と実測値の検証なし）。

36. 大気汚染予測の問題点②
希釈拡散倍率（排ガス濃度÷最大着地濃度）を計算
（長期平均濃度）すると、ダイオキシン類で約20万倍と
なるが、これは拡散効果の過大評価。実際にはこの
10分の1以下ではないか？
排ガス濃度：0.1ng-TEQ/㎥N＝100pg-TEQ/ ㎥N
最大着地濃度：0.00048pg-TEQ/ ㎥N
100÷0.00048＝208,333≒約20万倍
建屋からの漏れや降雨時に雨滴に随伴してフォール
アウトする大気汚染物質による地表汚染に対する評
価がない。
例：都内23区清掃工場敷地内雨水中のダイオキシン類汚染（区部工
場でダイオキシン濃度が最も高かった練馬工場での雨水中の値
は環境基準の6.8倍の6.8pg/l）

37. 事業計画地における空間放射線量率
及び土壌中放射能濃度
測定地点名
土壌中の放射能濃度(Bｑ/kg）
Cs134 Cs137
敷地境界東側 5,100 12,000
敷地境界西側 12,000 28,000
敷地境界南側 26,000 60,000
敷地境界北側 6,400 15,000

38. 接地逆転層の発生状況①
写真は2002年10月28日午前6時半前に神奈川県横浜市都筑区にて撮影したも
の。左側にある煙突から煙が出ているが、ある高さから右の方にのびている。
この日の朝は風が弱く、よく晴れたので夜間の放射冷却により地面が冷やされ、
接地逆転層ができていたと思われる。煙突から出た煙は、始め上昇しているが
空気が安定状態にある接地逆転層の中で上昇しきれず、その中で吹いていた
風により、写真では右の方に流されていることがわかる。煙のある高さが接地
逆転層の上限。これより上では高さが増すとともに温度が低くなる。この逆転層
の位置で、眼には見えないが蓋がされているような状態になる。

39. 接地逆転層の発生状況②
2013年3月6日午前6時半
頃。淡路島・南あわじ市賀
集から南辺寺山（273メート
ル）を眺める。農家の人が
朝早くに畑を掃除して不要
な草木を野焼。放射冷却
が強く発生した朝は、煙が
昇っていかず、ある高さの
ところでたなびいてその下
に煙がこもってしまう。写
真の平地は海抜20～30m、
山頂の高さは273m。煙は
地表からせいぜい20～
30mか、30～40mあたりの
ところで頭を押さえられて
いるような状況になる。