ISOM2017 / ISOM2017-1 解説 | 日本オリエンテーリング協会地図委員会

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ISOM 2017 / ISOM 2017-2
国際オリエンテーリング地図図式
International Specification for Orienteering Maps 2017
公益社団法人日本オリエンテーリング協会
地図委員会
JOA地図委員会地図図式解説
2019/11/30

2JOA地図委員会地図図式解説
IOFの図式・位置説明の改定状況
2019/11/30
2017/3 ISOM 2017 承認
ISOM2000以来の改定
2017/10 ISCD 2018 承認
2018/1より有効
2018/11 ISOM 2017-2 承認
ISOM2017に対する細かい修正、明確化、改善、ISSprOM2019との整合
2019/4 ISSprOM 2019 承認
2020/1より有効 (すべてのIOFイベントに適用)
ISOM2017との整合
2019/6 ISOM 2017 Appendix 1 - CMYK Printing and Color
Definitions 発行
Print Test Sheet 2種類が各加盟国に配布される
ISOM : International Specification for Orienteering Maps
ISSprOM : International Specification for Sprint Orienteering Maps
ISCD : International Specification for Control Descriptions ※最近はIOF Control Descriptionsと表現されている模様

日本への適用
2019/11/30
地図委員会【案】
• 日本国内ローカルルールであったJSOM, JSSOM, JSCDを
策定せず、ISOM, ISSprOM, ISCDをそのまま使う。
• ISOM, ISSprOM, ISCDの日本語版を公開する。
(ISCD2018の日本語版は2019/11時点で未対応)
• ISOM2017を「日本オリエンテーリング地図図式」、
ISSorM2019を「日本スプリントオリエンテーリング地図
図式」とみなして運用する。
• 地図資産の有効活用のため、当面の間は旧図式である
JSOM2007, JSSOM2007の使用を可とする。要項への使
用バージョン表記を推奨。
JOAのWebサイトでのご案内
http://www.orienteering.or.jp/mapping/news/2017/0803_isom2017.php
http://www.orienteering.or.jp/mapping/news/2019/0905_isom2017-2issprom2019.php

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 競技者視点では大きな変更はない
• 一部新記号があるが、何も知らなくても、実質的な影響は小さ
いと考えられる
 「総描」が非常に強調されている
• 2000年以降の技術の進化に伴う情報過密な地図への反動？
• 正確性・情報量＜判読性
• 最小寸法の規定が細かくなった
ISOM2017概要 (ISOM2000→ISOM2017)
ISOM2017は、ISOM2000からの改定
2019/11/30

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ISOM2017「Introduction」より－要点抜粋
国際オリエンテーリング地図図式規定（ISOM）の目的は、オリエンテーリングに適した世界各国
の多種多様なテレインに適応可能な地図図式規定を提供することである。
デジタル製図が用いられるようになってからは、描画の精度が高まり、地図の修正も容易になっ
た。その一方で、マッパーが過度に詳細で過密な地図を作ることを助長している面もある。
写真測量に加え、近年では航空レーザー測量（LiDAR）によって、より良い原図が提供されてい
る。また、全地球航法衛星システム（GNSS）によりフィールドワーク中に高精度な位置情報が
利用可能になった。印刷技術も進化してきており、4色印刷はオリエンテーリング地図印刷に新た
な可能性をもたらしている。
以前のISOMは2000年に発行された。それ以来、様々な技術の発展があっただけでなく、イベン
トプログラムにも変更があった。
ISOMの改定ではこれらの点が考慮されている。
しかし、基本的な要件の変更は行われていない。
オリエンテーリング地図においては、判読性が最も重要な要素であることに変わりはない。読み
取りやすい地図を制作する上では「総描」がキーワードとなる。すなわち、マッパーは常に取捨
選択、単純化、転位、誇張を行わなければならないことを意味する。
読みやすく、オリエンテーリングに適した地図を作るには、高度な総描の技術が必要である。競
技者はテレイン内を高速で走りながら読図するが、その人間の目や脳の知覚能力には限界がある
ということをマッパーは常に考慮する必要がある。
ISOM2017概要 (ISOM2000→ISOM2017)
2019/11/30

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総描
そうびょう総描 generalization
地図の編集・製図において、縮尺上の制限や利用目的からみた必要度に応じ
て、細かいもの、密集したものなどを取捨選択し簡略化して表現する方法。
たとえば、地形図の表現において、複雑に入組んだ地形、屈曲の多い山路、
密集した市街地の建物など、そのまま縮尺に合わせて縮小すると混み入りす
ぎてわかりにくくなるような場合、その特徴や形態を損なわないように配慮
しながら、全体を大づかみに捉えてわかりやすく表現する方法である。
（増補版での追加）
本文の定義は狭義のものであり、広義には、空間的な実体を地図表現する場
合に、縮尺と作成目的に合わせて対象の形態および性質について、①取捨選
択、②簡略化または誇張、③総括ないし概念の置換（たとえば家屋や樹木の
集団を「村落」や「森林」におきかえること）を行なうことをいう。
（「地図学用語辞典」より）
JOA地図委員会地図図式解説 2019/11/30

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記号は想像以上にデカイ
岩: φ0.4mm = φ6m
こぶ: φ0.5mm = φ7.5m
小凹地: 0.8×0.4mm = 12×6m
（Erik Peckett 氏(IOF MC)のICOM2007資料より
http://lazarus.elte.hu/mc/12icom/12icom.htm

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隣接してたら？
取捨選択する，まとめて別の記号（岩石群，岩石地）で置き換えるな
ど．
（Erik Peckett 氏(IOF MC)のICOM2007資料より
http://lazarus.elte.hu/mc/12icom/12icom.htm

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判読性＞精度、情報量
選択による総描とは、細部や特徴の中からどれを地図に記すかを決め
ることである。この選択にあたっては考慮すべき重要な要素が２つあ
る：競技者視点でみた特徴の重要性、および地図の判読性への影響度
である。これら2つの考慮事項はときに相反する場合もあるが、細部や
特徴物の過剰な表記を行うために、判読性への要求水準を下げること
は絶対にしてはならない。
・4min/km以上で走る選手が判読可能？
・過度に詳細な地図はかえって競技速度を低下させ、競技者の利益に
ならない。手間の割に誰も得しない。
・調査者の自己満足にならないように

耕作地の表記法 - ISOM2017
不適切な表記適切な表記例
立入可能
立入可能
立入禁止
立入禁止
耕作地＋パープルの面積が大きく、
あまりにウルサイ場合は
• 黄色75%を使用
（オープンの規定の転用）
• パープルの濃度を下げる
等の手も考えられる
ひと目で立入禁止と分かればOK
2019/11/30

11JOA地図委員会地図図式解説 2019/11/30

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JSOMオリジナル記号の代替表記案
• ビニールハウス
– 建物、廃墟で表記
– 耕作地内の場合は省略も可能？
• キノコ栽培地
– 立禁ハッチで表記が基本
– 面積が小さい場合は省略もあり
→小さな面積の立入禁止を地図に表記されてもあまり役に立
たない。
– トラブル回避は現地表記（ストリーマ）で保障
→紫ハッチの外周を実線or破線で囲う
– 記号520（緑50%＋黄100%）表記は、藪と紛らわしく見にく
い。
（記号520は黒線で囲われたエリアで使うべき）

ISOM2017の改定 (2018/11)
2019/11/30
ISOM2017の改定が承認されました (2018/11/11)
https://orienteering.org/updates-to-isom-2017-approved/
ISOM2017の発行後に寄せられたフィードバックをIOF地図委員会にて検討、いくつかの小さな
修正、明確化、改善を提案し、the IOF Council Event Supervisory Board (ESB)により承認され
ました。図式規定の文書は現在修正編集中で、完成次第公開されます。(現在は公開済み)
主な変更点：
• 藪（通行不能）(411)の削除
– ISOM2017で追加された記号
• 階段(532)の追加
• 線幅の変更
– 岩がけ(202) (短線なしの場合：0.2→0.25mm ※主線端は丸く)
※最小長さも0.6mmに戻る
– 明確な植生界(416) (0.12→0.14mm)
• 最小寸法の明確化など

ISOM2017の改定 (2018/11)
2019/11/30
以下の資料では、
ISOM2000からISOM2017への主な変更点を示すとともに、
ISOM2017からISOM2017-2への主な変更点を、
として示す。
2018/11
変更

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ISOM2017 記号変更点（全体）
• 記号の追加・削除・統合によって記号番号が変更にな
っているもの多数
• 「特殊な点状特徴物」（◯、×）が変更
→色覚障害対応
0.18
0.9 ( )OM
0.9 ( )OM0.9 ( )OM 0.16
0. ( )9 OM
0. ( )9 OM
0.18
0.9 ( )OM
0.5 ( )OM
0.18
0.9 ( )OM
0.9 ( )OM
0.8 ( )OM 0.16
0.16
0.8 ( )OM
0.8 ( )OM
0.18
0.9 ( )OM
0.9 ( )OM
2018/11変更
井戸、噴水、水槽(311)は
「北に向けて正置」では
なくなった
2018/11変更
目立つ木または藪(418)は中心に
小さな白色ドットを置く

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ISOM2017 記号変更点：地形
• 補助曲線の寸法の変更
→視覚的インパクトを減らすため
• 凹凸地の走行可能度の定量化
• 穴の最小直径：2m→1m
JSOM2007で直径2m以下とあるが2m以上の誤訳
0.1
2.00.2
min.
0.1
0.4 ( )OM
1.1 ( )OM
1.1 ( )OM
ø 0.2
min.
max. 0.6 ( )CC
(9–13%)
ø 0.2
min.
max. 0.38 ( )CC
(22–28%)
Normal running speed
Slow running

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ISOM2017 記号変更点：岩と石
• （新記号）巨大な岩
– おそらく面状特徴物（実寸）
– 内部の白は建物との区別のため？
• （新記号）トレンチ
• れき地、岩石地→密度の定量化 ø 0.2
min. 0.3
0.8
0.6
0.5
min. 0.75 ( )CC
max. 1.2 ( )CC
max. 0.6 ( )CC
0.8
0.6
0.5
min.
(31–47%)
ø 0.2
min.
max. 0.6 ( )CC
(9–13%) ø 0.2
min.
(19–25%)
ø 0.2
min.
(31–38%)
A通常速度 B速度低下 C走行困難 D通行困難
0.10
0.10
0.10
min.
2018/11変更
岩がけ(202)で短線を省略
する場合、主線の両端は
丸くすることが必須に。

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トレンチのイメージ
• “戦時中の塹壕(溝・堀)を表現するのに有用である(フィンランドからの要求と、
WOC2014イタリアのミドルディスタンスのテレインからの経験による)”
（Changes from ISOM2000 to ISOM2017より）
• 私のイメージ
• 両側が岩・コンクリートなどでできた堀
• 横断可能であること
• 人工じゃなくても良いが、自然界に存在する？

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ISOM2017 記号変更点：水系
• 記号が整理された
• 浅い水域（ISSOMと同じような記号）
• 水路の記号(304～306)が若干太くなった
• 井戸が◯→□に
0.18
Minimum width 0.3 ( )IM
min. 0. ( )7 OM
100%
0.10
Minimum width 0.3 ( )IM
min. 0.7 ( )OM 1.25
0.25
50%
0.30
min.
通行不能
通行可能
2018/11
変更
井戸(311)の「北に向けて
正置」が削除
2019/11/30

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ISOM2017 記号変更点：植生
• 402セミオープンの記号変更
• 402,404：白丸の中を緑で塗る新表現
→木ではなく、藪（走行可能度に影響を与えない）がまばらにある場
合に使う
→日本では、果汁園（JSOMでは通行禁止）と非常に紛らわしいため
この表記は非推奨
• 濃度変更（ドラフト版ほどの大きな変更ではなくなった）
B藪（30%→20%）、C藪（60%→50%）、Cハッチ（28.6→33.3%）
• （新記号）通行不能の藪（禁止ではない）
– 面積が広く、そもそも誰も通ろうと思わない場合はD藪で良い
– プリンタ印刷では、緑100%＋黒ドットのほうがD藪との区別がつきやすい
(74%)
0.7ø 0.4 45
min.
(35%)
0.8 ( )CCø 0.5 45
min.
402 404
2018/11の
変更で削除
2018/11変更
ハッチ
は変更
なし
濃度%元に戻る
2019/11/30

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ISOM2017 記号変更点：植生
• 明確な植生界：新記号との選択制
• ○×・→定義変更
○：目立つ大きな木
・：目立つ木または藪
×：目立つ植生特徴物
もともと慣例で分けられていたのとほぼ同じ。ISSOMとも統一
2018/11
変更
明確な植生界(416) 線幅 0.12→0.14
2018/11
変更
明瞭な耕作地の境界(415) 適用する面を明確に規定
開けた土地(401)、耕作地(412)、果樹園(413)、ブドウ畑等(414)
※耕作関連でない401が対象となった意図は不明
2019/11/30

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ISOM2017 記号変更点：人工特徴物
• 舗装道、広い道路あたりの記号が整理
（番号も変更）
• 一部記号の日本語名称変更（国土地理院の地図記号名から借用）
• 切り開き（旧509）の定義が微妙に変更
– スキートラック等の色々な痕跡に使用可能
– オープンでも使える
– 走行可能度が背景色によることが明記
– 記号の定義（何の痕跡か）を地図に明記する必要
• パイプライン→目立つ線状特徴物
– 汎用の線状人工特徴物に使用可能に 0.35
0.35
0.25
3.0
min.
0.25
0.25
2.0
min.
0.18
0.25
1.0
min.
Road:道路
Vehicletrack:道→軽車道
Footpath:小道→徒歩道
Smallfootpath:小径
2018/11
変更
記号定義の明記が削除
2019/11/30

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ISOM2017 記号変更点：人工特徴物
• 建物→ISSOM的表現（黒65%）もOK
（選択制）
• キャノピーも導入（使う機会ある？）
• 射撃場、墓、トンネル→削除
（トンネルは橋と同じ記号を使う）
• 鉄道はISSOMと記号と統一
• 通行不能の特徴物が太く（0.18mm→0.25mm）
• 石塁→壁

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ISOM2017 記号変更点：技術記号
• 磁北線
縮尺によらず300m間隔

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ISOM2017 コース設定記号
• 1:15000以外の縮尺の場合、縮尺に合わせて拡大する。
• ○◎の大きさ変更（1mm小さく）
• ×、✚、給水記号→やや大きく
• 新記号：地図配布場所
– △前の誘導で地図が配布される場合に使用
– スタート地区で地図を渡す場合不要と思われる
（情報的に意味が無いので）
– 実際に使われるのはリレーが多いと思われるが、会場周辺の表
記が込み入ってる場合、わざわざ書かなくても良いと思う
• 危険区域が立ち入り禁止区域に統合され、両方クロスハッ
チに

26JOA地図委員会地図図式解説 2019/11/30
公益社団法人日本オリエンテーリング協会 (JOA)
地図委員会
地図委員会からのお知らせ
http://www.orienteering.or.jp/mapping/
JOAの規則・規程類
http://www.orienteering.or.jp/rule/

ISOM2017 / ISOM2017-1 解説 | 日本オリエンテーリング協会地図委員会

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