艦これ航空戦の理論値解析～航空戦におけるSt1撃墜・St2撃墜についての研究と考察～
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艦これにおいて航空戦は非常に重要ですが、従来そのシミュレーションにはモンテカルロ法が適用されていました。提案法では確率論によるアプローチにより、厳密かつ高速に搭載数分布・制空値分布を求めることができます。
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艦これ航空戦の理論値解析～航空戦におけるSt1撃墜・St2撃墜についての研究と考察～
- 2. 基地航空隊 vs 敵艦隊 自艦隊 vs 敵艦隊 制空権争い(St1-1) 触接(St1-2) 対空砲火(St2) 航空攻撃(St3) 艦これの航空戦 計算可能
- 3. 各ステップに乱数が絡む • 複数の一様乱数(それぞれの範囲は小さい) • ただの一様乱数なので標準ライブラリで実装しやすい 乱数と言えばモンテカルロ法 • 思考停止では？⇔他の良い手法が見つかっていなかった • 試行回数を稼ぐには工夫が必要⇔少ない試行回数でも実用に足りる？ それっぽい解が簡単に出せる • 質は保証されない⇔実際に戦闘するより遥かに楽 • 解の質よりUI設計の方が重要？
- 5. 「St1撃墜後を正規分布と近似する」St1撃墜計算の近似解法が提案される 【Z法】基地航空隊の制空権取得確率を標準偏差から求めるアプローチ 上記記事の検証をしていた際、「分布を畳み込む」アイディアを思いつく 確率変数の和の分布を計算する【確率論，畳み込み】 St1撃墜、St2撃墜についてそれぞれ実装し、結果を公表 制空値の分布をシミュレートなしに取得する.md St2撃墜もモンテカルロ法を用いず計算したい！.md St2撃墜の厳密解の計算例.md 提案法開発の貢献者： @nc254cntct @galpokopii
- 7. 現象について、それぞれの「結果」になる確率をまとめた表のこと 例えば均等に目が出るサイコロの場合、次のような確率分布になる また、「3」の目が他の目より3倍出るサイコロの場合はこうなる ※平易な説明のため、厳密な言葉使い ではないことがあります 1 2 3 4 5 6 1/6 1/6 1/6 1/6 1/6 1/6 1 2 3 4 5 6 1/8 1/8 3/8 1/8 1/8 1/8
- 8. 2つの確率分布について、両方の事象が起きる確率を掛け合わせること 例えば、サイコロで言えば「2個のサイコロの出目の和の確率分布」が分かる 左図の場合、サイコロAとサイコロB の出目の和の確率分布を求めている。 サイコロAもサイコロBも1/6づつ出る 均等な奴なので、色を塗ったセルは それぞれ1/36の確率である (同じ色は出目の和が同じ) ※平易な説明のため、厳密な言葉使い ではないことがあります A 1 2 3 4 5 6 B 1/6 1/6 1/6 1/6 1/6 1/6 1 1/6 2 1/6 3 1/6 4 1/6 5 1/6 6 1/6
- 9. 前のスライドで畳み込んだ結果は次の通り 片方を普通のサイコロ、もう片方を「3の目だけ3倍出る」サイコロにして同様に 畳み込むと、当然↑とは別の結果になる ここで重要なのは、例えば 「6通り×6通りだからといって結果が必ずしも36通りにはならない」 ということ。同じ「結果」だと1つにまとめられる ※平易な説明のため、厳密な言葉使い ではないことがあります 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1/36 1/18 1/12 1/9 5/36 1/6 5/36 1/9 1/12 1/18 1/36 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1/48 1/24 5/48 1/8 7/48 1/6 7/48 1/8 1/16 1/24 1/48
- 10. 「確率変数」は、先ほどまでのスライドで言えば「サイコロの出目」自体を指す ある確率変数Xとある確率変数Yについて、片方の変数の値が分かっても、 もう一方の変数の値の分布が変化しない際、「確率変数Xと確率変数Yは 独立である」と言い表す 例えばサイコロなら、サイコロAの出目がサイコロBの出目に影響を及ぼすとは 通常考えられないので、それぞれの出目は「独立」である ※平易な説明のため、厳密な言葉使い ではないことがあります 1 2 3 4 5 6
- 11. 確率変数が独立だと、「確率変数Xの値がX’になり、かつ確率変数Yの値が Y’になる確率」がそのまま「X’になる確率×Y’になる確率」として表現できる 例えば、「均等なサイコロAの目が1になり、かつ均等なサイコロBの目が3になる 確率」が、1/6×1/6＝1/36として計算できるのも、「独立性」があるおかげ 畳み込みの説明で「色を塗ったセルはそれぞれ1/36の確率である」と言ったのも、 サイコロAの出目がBの出目に関係しないし、その逆も関係しないから ※平易な説明のため、厳密な言葉使い ではないことがあります
- 12. 艦娘や深海棲艦の、各スロットにおける搭載数は確率分布である 例えば、32機のスロットは最初こんな状態である ところが、St1撃墜やSt2撃墜により、こんな風に裾野が広がる あるスロットの搭載数がどういった分布でも、他のスロットには (基本的に)関係しない。今後はこの性質を最大限利用する 32 1 0 3 5 10 15 20 24 29 31 1/100 2/100 5/100 7/100 27/100 40/100 12/100 5/100 1/100
- 13. 深海棲艦のあるスロットにおいて、搭載数がN・艦載機の対空値がXである際、 そのスロットにおける制空値は と表される( 数字 は床関数。つまり切り捨て) つまり、あるスロットにおける搭載数の確率分布が分かれば、 その結果を制空値の分布に変換できる 0 3 5 10 15 20 24 29 30 1/100 2/100 5/100 7/100 27/100 40/100 12/100 5/100 1/100 0 13 17 25 30 35 39 43 1/100 2/100 5/100 7/100 27/100 40/100 12/100 6/100 ※スロットに載った艦載機の対空値を8とする
- 14. 搭載数はスロット毎に独立なので、制空値も互いに独立 つまり、スロット毎の制空値分布を畳み込めば、 スロット全体の制空値分布が計算できる 0 13 17 18 1/6 1/3 1/3 1/6 × 0 1 2 1/2 2/10 3/10 ＝ 0 1 2 13 14 15 17 18 19 20 1/12 1/30 1/20 1/6 1/15 1/10 1/6 3/20 2/15 1/20
- 16. St3(航空攻撃)を考慮しない場合は、触接の影響を無視できる つまり、制空状態(の分布)と、St1撃墜数(の分布)を計算すればいい 制空状態の分布は、艦隊のスロット全体における制空値の分布が分か れば簡単に求まるが、そこからSt1撃墜をどうやって計算する？ St1撃墜は次の2つの要素を考慮しなければならない 同じ制空状態でも同じ割合だけ削れるとは限らない(乱数要素) 削れる数はそのスロットの搭載数と制空値に依存する(循環参照) 乱数要素は確率分布の考えで処理できるが、 循環参照の対処が難しい！ 航空優勢とか制空権喪失とか
- 18. 各スロットについて全く同じ制空状況を適用するのが数学的にマズいの で、「あるスロットがある搭載数である」際、「その搭載数がSt1撃墜 によりこういった搭載数分布に変化する」ことを計算するようにした 0 3 5 10 1/10 5/10 3/10 1/10 敵のスロットAの搭載数分布 航空優勢 制空均衡 4/5 1/5 スロットAが5機である際の 自分から見た制空状況分布 制空状況 航空優勢 制空均衡 残機数 3 4 2 3 割合 1/3 2/3 1/2 1/2 敵の5スロがSt1撃墜を受けた後の搭載数分布 (※説明のため数値は出鱈目にしています) 2 3 4 1/10 11/30 8/15 敵のスロットAが5機だった際、 St1撃墜後の搭載数分布 ※これをスロットAの搭載数が0～10機の場合 それぞれについて繰り返して足し合わせる
- 19. 前のスライドにおいて、次の3つの確率を考える a. スロットAの搭載数が5機である確率 b. スロットAの搭載数が5機である際、各制空状況それぞれの確率 c. 制空状況が航空優勢の際、5機のスロットが4機になる確率 ここでaとbとcの確率をかけ合わせると、「スロットAの搭載数が5機 であり、航空優勢で、4機まで減少する確率」が求まる(積事象) この計算を各搭載数・各制空状況・各撃墜数で繰り返し足し合わせれ ば、「あるスロットAにおけるSt1後の搭載数分布」が求まる つまりSt1撃墜を厳密に計算できる！
- 21. 先ほど説明した割合撃墜・固定撃墜・対空カットインは、要するに 「発生する」「発生しない」の2択なので場合分けすればいい 後はSt1の時と同様に、場合分けしたそれぞれについて、 発生確率を加味して重み付けしたものの合計を取ればいい 要素 a b c d e f g h 割合撃墜 × ○ × ○ × ○ × ○ 固定撃墜 × × ○ ○ × × ○ ○ 対空カットイン × × × × ○ ○ ○ ○