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ウォーキングに関する予備的考察
鳥 井 一 寿
1.は じ め に
国民の健康への関心が高まる中、公園や歩道などでウォーキングを行う人々が増加してきた。
また、介護予防や健康増進のため積極的に運動、スポーツを取り入れようとする動きも顕在化し
ている。
平成 21 年の内閣府による「体力・スポーツに関する世論調査」1)によれば、過去 1 年間にウォ
ーキングを行ったことのある人々の割合は 48.2% を占め[図 1]、また平成 6 年以降、「ウォーキ
ング」2)が過去一年間に行ったスポーツの第 1 位を占めている[表 1]。
ウォーキング人口が増加した要因としては、手軽に出来る、対象年齢層の幅が広い、運動量を
コントロールしやすいなど多くあるが、組織的に実施されているウォーキング、個人または少数
の友人や家族で行うウォーキングにおいては、自然や歴史文化に親しむことを目的としてウォー
キングを実施している事例が存在することも、ウォーキング人口の増加要因として考えられるの
である。
筆者が勤務する園田学園女子大学短期大学部生活文化学科においても、開講科目の一つ「健康
トレーニング」の中で、平成 20 年度よりウォーキングを実施している。そして、その実施場所
としては、スポーツとともに自然と歴史文化にも触れあうことが可能な世界遺産・熊野古道を選
択している。
さて、適度な運動が健康の維持増進に貢献することはいうまでもないが、今日ウォーキングが
これほどまでの隆盛をみるに至った要因の一つとして、自然や歴史文化に触れあえることが深く
かかわっていると筆者は考えている。手軽にできる運動として、居住地域や公園、またはウォー
キングコースが設置されている郊外でウォーキングを行うこともあるが、各種団体や地域福祉団
体などが実施する催しにおいては、自然や歴史文化をテーマとしてウォーキングを募集すること
も多い。家族や友人同士で出かける日帰り旅行や一泊旅行も、ハイキングや登山などは自然を目
的とするものであり、これらの余暇活動もウォーキングの一形態といえるのである。
本稿においては、今後筆者が授業において実施するウォーキング実習に活用できる基礎的資料
を得ることを目的として、ウォーキングついての予備的考察を試みた。
園田学園女子大学論文集 第 46 号(2012. 1)
― 185 ―
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2.方 法
2. 1.アンケート調査
園田学園女子大学短期大学部生活文化学科の開講科目「健康トレーニング」の受講生のうち、
ウォーキング実習参加者を対象にして実施。対象者、平成 20 年 7 名、平成 21 年 13 名、平成 22
年 15 名、計 35 名。
2. 2.関係資料、ホームページの分析
内閣府政府広報室『体力・スポーツに関する世論調査』(平成 21 年)の 5 項目ある概要の中か
ら「運動・スポーツの実施状況と今後の意向について」を取り上げ、過去 1 年間に行った運動、
スポーツの種目と理由を分析した。
総務省統計局『社会生活基本調査』3)における平成 20 年 8 月 1 日付の「統計トピックス」No.31
を分析した。
内閣府国民生活局『国民生活選好度調査』4)(平成 22 年)における個人の幸福感の現状とその
要因についての質問項目中、「幸福感を判断する際に重視した事項は何ですか」を分析した。
3.結 果
3. 1.アンケート結果
実施場所:
平成 20 年度、21 年度は、和歌山県那智勝浦町高津気区における「猪垣と水車をめぐるウォー
キング」と同町世界遺産・熊野古道における「大門坂から那智大社をめぐるウォーキング」
平成 22 年度は、世界遺産・熊野古道における「大門坂から那智大社をめぐるウォーキング」
標本数:ウォーキング実習参加者 35 名、回収率:100%、回答方法:感想文形態
アンケート結果のキーワード:「楽しい」「大自然」「運動」「新鮮な空気」
総括:
(1)一番多い感想が、「大変だったけれども、楽しかった」、「自然(緑の多い)の中で運動が
できてよかった」、「新鮮できれいな空気を吸えてよかった」など、普段の生活圏とはまったく違
う自然環境に感嘆しており、またウォーキング実施に伴う大変さや疲れがある種の満足度になっ
ていた。
(2)歴史ある古道を歩いたことや、那智大社、那智の滝などに感動していた。
(3)「また行きたい」、「できればまた来たい」、「来てよかった」などの回答が多数を占めた。
「歩きやすくしてほしい」と回答をした学生も若干数存在したが、当該学生を含めて全体的な印
象・感想等の回答欄では「楽しかった」が圧倒的に多数であった。
― 186 ―
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わからない
運動やスポーツはしなかった
その他
グライダー、ハンググライダー、
スカイダイビング、パラグライダー
弓道、アーチェリー
スケート
柔道、剣道、空手、すもう、ボクシング、レスリング
陸上競技
サッカー、フットサル
ダンス(フォークダンス、ジャズダンス、
  社交ダンス、民謡踊りを含む)
ゲートボール、グラウンドゴルフ
登山(クライミングを含む)
キャンプ、オートキャンプ
  ボート、ヨット、ボードセーリング、スキンダイビング、
スクーバダイビング、カヌー、水上バイク、サーフィン、釣り
バレーボール、バスケットボール
ハイキング、ワンダーフォーゲル、オリエンテーリング
スキー、スノーボード
サイクリング、モーター(サイクル)スポーツ
野球、ソフトボール
室内運動器具を使ってする運動
キャッチボール、ドッジボール
テニス、ソフトテニス、バドミントン、卓球
ゴルフ
水泳
ランニング(ジョギング)
ボウリング
体操(ラジオ体操、職場体操、美容体操、
    エアロビクス、縄跳びを含む)
ウォーキング(歩け歩け運動、散歩などを含む)
0 10 20 30 40 50(%)
48.2
0.1
22.2
2.9
-
0.4
0.7
1.1
1.1
3.4
3.7
3.8
4.1
4.5
5.0
5.5
5.8
6.1
7.2
7.4
8.0
10.1
10.4
10.7
11.1
12.1
15.7
26.2
総数(N=1,925 人、M.T.=237.4%)
3. 2.関係資料、ホームページの分析結果
引用した「図 1」「図 2」「図 3」「図 4」および「表 1」を参照のこと。
図 1 この 1 年間に行った運動・スポーツの種目(複数回答)
― 187 ―
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健康・体力つくりのため
楽しみ、気晴らしとして
運動不足を感じるから
友人・仲間との交流として
家族のふれあいとして
美容や肥満解消のため
自己の記録や能力を向上させるため
精神の修養や訓練のため
その他
わからない
0 10 20 30 40 50 60(%)
53.7
55.0
0.1
0.4
1.5
1.9
3.2
4.0
4.4
4.7
15.2
14.9
15.0
17.0
35.4
33.8
41.2
42.0
50.1
50.3
今回調査(N=1,496 人、M.T.=222.7%)
平成 18 年 8 月調査(N=1,377 人、M.T.=221.1%)
ウォーキング・軽い体操
ボウリング
水泳
器具を使ったトレーニング
登山・ハイキング
サイクリング
バドミントン
スキー・スノーボード
卓球
ジョギング・マラソン
0 10 20 30 40 50
(%)女
ウォーキング・軽い体操
ボウリング
ゴルフ
つり
水泳
野球
器具を使ったトレーニング
登山・ハイキング
ジョギング・マラソン
サイクリング
0 10 20 30 40 50
(%)男
31.6
19.5
16.6
15.5
12.2
11.4
11.3
10.1
9.8
9.2
40.3
14.2
10.7
10.7
9.8
7.3
5.7
4.9
4.8
4.3
図 2 運動・スポーツを行った理由
(この 1 年間に行った運動やスポーツを挙げた者に、複数回答)
図 3 男女、主なスポーツの種類別行動者率(平成 18 年度)−20 歳以上−
注)スポーツの種類は男女それぞれ上位 10 種類を表章。
資料:「平成 18 年度社会生活基本調査」
― 188 ―
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69.7
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(%)
66.4 65.4
46.7
41.7
38.5
35.0
17.6
10.4
1.8
そ
の
他
地
域
コ
ミ
ュ
ニ
テ
ィ
ー
と
の
関
係
職
場
の
人
間
関
係
仕
事
や
趣
味
、
社
会
貢
献
な
ど
の
生
き
が
い 
 
 
友
人
関
係
就
業
状
況 
 
 
 
︵
仕
事
の
有
無
・
安
定
︶
自
由
な
時
間
・
充
実
し
た
余
暇
家
計
の
状
況
︵
所
得
・
消
費
︶
家
族
関
係
健
康
状
況
図 4 幸福感を判断する際に、重視した事項は何ですか。次の中からあ
てはまるものすべてに○を付けてください。
表 1 この 1 年間に行った運動・スポーツの種類の推移(上位 5 種目) N=1,925
1 位 2 位 3 位 4 位 5 位
平成 21 年
ウォーキング(注1)
体操 ボウリング
48.2 26.2 15.7
平成 18 年
ウォーキング(注1)
体操 軽い球技 ボウリング 軽い水泳
44.2 22.6 15.0 14.6 11.7
平成 16 年
ウォーキング(注1)
体操 ボウリング 軽い球技 ゴルフ
37.2 15.9 13.2 11.9 8.3
平成 12 年
ウォーキング(注1)
体操 ボウリング 軽い球技 軽い水泳
33.8 14.5 13.4 12.2 11.1
平成 9 年
ウォーキング(注1)
体操 ボウリング 軽い球技 釣り
31.8 19.4 18.5 17.1 11.9
平成 6 年
ウォーキング(注1)
体操 ボウリング 軽い球技 海水浴
24.3 21.1 18.5 18.3 13.3
平成 3 年
体操 ウォーキング(注1)
軽い球技 ボウリング 軽い水泳
21.9 21.4 20.6 16.5 12.7
昭和 63 年
体操 軽い球技 歩け歩け運動(注2)
ボウリング 海水浴
22.3 17.1 14.2 13.5 11.5
昭和 60 年
体操 軽い球技 海水浴 軽い水泳 ボウリング
23.3 17.9 13.0 11.8 11.3
昭和 57 年
体操 軽い球技 ボウリング ソフトボール 水泳
25.5 18.6 14.0 13.6 11.7
注 1:平成 3 年の調査より、「ウォーキング(歩け歩け運動散歩などを含む)」
注 2:昭和 63 年の調査までは、「歩け歩け運動(運動でする軽い散歩を含む)」
― 189 ―
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4.考 察
(1)ウォーキング人口のうち、年齢層での分布で見ると、アンケート調査を実施した園田学園女
子大学短期大学部生活文化学科の学生は実施率が一番低い年齢層でありまだ若く、エアロビック
運動が日常の生活の中でさほど必要とされていない。しかしながら、筆者の個人的経験から判断
すれば、学生も年齢が上がるに従って、内閣府の世論調査の結果どおりに推移すると考えられ
る。
筆者が授業においてウォーキングを実施する熊野古道(紀伊半島の霊場と参詣道)は、平成 16
年 7 月にわが国で 12 番目の世界遺産に登録された。道(街道)としては世界で 2 番目に世界遺
産となった事例である。熊野古道の主要路が存在する和歌山県では、産学官からなる熊野古道ウ
ォーキング調査プロジェクトチームを結成し、世界遺産を活用した「こころの空間・癒しの交流
つくり」に関する調査報告書を出版している。それによると、①熊野古道がこころとからだに優
しい癒しの道であり、効果的なウォーキングコースであることが立証された。②1 回の熊野古道
ウォーキングで得られる効果としては、免疫力の増加、ストレスの改善、気分の改善、適度な脚
筋力への刺激などがある。③2 か月間の熊野古道を利用したトレーニング効果は、最大酸素摂取
量の増加、大腿部筋断面積の増加、内臓脂肪の減少など、平地でのトレーニング以上の効果が見
られた、である。
(2)『体力・スポーツに関する世論調査』の結果では、昭和 63 年前後からウォーキングが上位 5
種目内に入り、それから 7 年余の平成 6 年の調査では、「ウォーキング(歩け歩け運動、散歩な
ども含む)」が 24.3%、「体操」が 21.1% と、僅差ではあるが平成 3 年まで 1 位であった「体操」
と入れ替わった。平成 9 年の調査では「体操」が 19.4% と減少しているが、「ウォーキング(歩
け歩け運動、散歩なども含む)」は 31.8% と大きく増加し、平成 21 年には「ウォーキング(歩
け歩け運動、散歩なども含む)」がさらに 48.2% と増加したのに対し、2 位の「体操」は 22.6%
に留まっている。
(3)国民の社会生活の実態を明らかにすることを目的とし、調査結果を行政施策などの基礎資料
として利用するための調査『社会生活基本調査』においても、最も高い行動者率は男女とも「ウ
ォーキング・軽い体操」であり、男子が 31.6%、女子が 40.3% となった。また、過去 1 年間5)に
運動やスポーツを行ったとする者(1,496 人)について、その運動やスポーツを行った理由とし
て「健康・体力づくりのため」を挙げた者の割合が 53.7%、「楽しみ、気晴らしとして」を挙げ
た者の割合が 50.3% と高く、以下「運動不足を感じるから」(42.0%)、「友人・仲間との交流と
して」(33.8%)などの順となっている。
(4)『国民生活選好度調査』(平成 22 年度)の「幸福感を判断する際、重視した事項は何ですか」
という質問に対しても、「健康状態」と答えた割合が 65.4% と 1 位で、以下「家族関係」(65.2
%)、「家計の状況(所得・消費)」(62.1%)、「精神的ゆとり」(51.0%)などの順となっている。
― 190 ―
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5.ま と め
本予備的考察においては、以下のような知見が得られた。
(1)園田学園女子大学短期大学部学生 35 名(平成 20 年 7 名、平成 21 年 13 名、平成 22 年 15
名)に対してウォーキング実習を実施した結果、年齢層別のウォーキング人口調査においてはウ
ォーキング実践者が最も少ない年齢層にも関わらず、すべての学生から「楽しかった」、「来て良
かった」などの回答を得られた。ウォーキング実施場所が自然と歴史文化に触れられる熊野古道
であったことが、満足度の高い要因になっていると考えられる。
(2)ウォーキングを行う目的が健康や体力づくりであり、それを得ることが幸福感を抱く大きな
要因であると考えられる。
(3)ウォーキング人口が昭和 63 年から増え続けている要因としては、社会情勢、高齢化、予防
医学などが考えられるが、自然と歴史文化への触れあいを最大の要因とするエビデンスは得られ
なかった。
(4)平成 6 年の調査で 1 位が入れ替わった体操との最大の違いは、体操を自然および歴史文化と
を関連づけて実施することが困難であるからと考えられる。
注
1)内閣府が 3 年に 1 回実施している調査で、国民の健康・体力についての意識及び運動・スポーツの実
施状況や意向などを調査して、今後の施策の参考とするものである。
2)調査用紙では、平成 3 年から「ウォーキング(歩け歩け運動,散歩を含む)」となっている。昭和 63
年の調査までは「歩け歩け運動,(運動のための散歩なども含む)」となっている。
3)国民の生活時間の配分および自由時間等における主な活動について調査し、社会生活の実態を明らか
にすることを目的として、総務省統計局が昭和 51 年以来 5 年ごとに実施している統計調査で、調査
結果は行政施策などの基礎資料として利用している。
4)国民生活政策の立案のための参考資料とするために 1978 年(昭和 53 年度)以降 3 年ごとに実施して
いる。国民生活の様々な分野のニーズ、満足度等、人々の主観的意識について行う調査である。
5)ここでいう過去 1 年とは、平成 20 年 9 月から平成 21 年 8 月までの 1 年間である。
参考文献
熊野古道ウォーキング調査プロジェクトチーム『熊野古道の健康効果の調査報告書』2005 年。
総務省統計局『社会生活基本調査』「統計トッピクス」No.31, 2008 年 8 月。
内閣府国民生活局『国民生活選好度調査』2008 年。
内閣府大臣官房政府広報室『体力・スポーツに関する世論調査報告書』2009 年 9 月。
───────────────────────────────────────────────
〔とりい かずひさ 体育社会学〕
― 191 ―
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  • 1. ウォーキングに関する予備的考察 鳥 井 一 寿 1.は じ め に 国民の健康への関心が高まる中、公園や歩道などでウォーキングを行う人々が増加してきた。 また、介護予防や健康増進のため積極的に運動、スポーツを取り入れようとする動きも顕在化し ている。 平成 21 年の内閣府による「体力・スポーツに関する世論調査」1)によれば、過去 1 年間にウォ ーキングを行ったことのある人々の割合は 48.2% を占め[図 1]、また平成 6 年以降、「ウォーキ ング」2)が過去一年間に行ったスポーツの第 1 位を占めている[表 1]。 ウォーキング人口が増加した要因としては、手軽に出来る、対象年齢層の幅が広い、運動量を コントロールしやすいなど多くあるが、組織的に実施されているウォーキング、個人または少数 の友人や家族で行うウォーキングにおいては、自然や歴史文化に親しむことを目的としてウォー キングを実施している事例が存在することも、ウォーキング人口の増加要因として考えられるの である。 筆者が勤務する園田学園女子大学短期大学部生活文化学科においても、開講科目の一つ「健康 トレーニング」の中で、平成 20 年度よりウォーキングを実施している。そして、その実施場所 としては、スポーツとともに自然と歴史文化にも触れあうことが可能な世界遺産・熊野古道を選 択している。 さて、適度な運動が健康の維持増進に貢献することはいうまでもないが、今日ウォーキングが これほどまでの隆盛をみるに至った要因の一つとして、自然や歴史文化に触れあえることが深く かかわっていると筆者は考えている。手軽にできる運動として、居住地域や公園、またはウォー キングコースが設置されている郊外でウォーキングを行うこともあるが、各種団体や地域福祉団 体などが実施する催しにおいては、自然や歴史文化をテーマとしてウォーキングを募集すること も多い。家族や友人同士で出かける日帰り旅行や一泊旅行も、ハイキングや登山などは自然を目 的とするものであり、これらの余暇活動もウォーキングの一形態といえるのである。 本稿においては、今後筆者が授業において実施するウォーキング実習に活用できる基礎的資料 を得ることを目的として、ウォーキングついての予備的考察を試みた。 園田学園女子大学論文集 第 46 号(2012. 1) ― 185 ― Sonoda Women's University NII-Electronic Library Service
  • 2. 2.方 法 2. 1.アンケート調査 園田学園女子大学短期大学部生活文化学科の開講科目「健康トレーニング」の受講生のうち、 ウォーキング実習参加者を対象にして実施。対象者、平成 20 年 7 名、平成 21 年 13 名、平成 22 年 15 名、計 35 名。 2. 2.関係資料、ホームページの分析 内閣府政府広報室『体力・スポーツに関する世論調査』(平成 21 年)の 5 項目ある概要の中か ら「運動・スポーツの実施状況と今後の意向について」を取り上げ、過去 1 年間に行った運動、 スポーツの種目と理由を分析した。 総務省統計局『社会生活基本調査』3)における平成 20 年 8 月 1 日付の「統計トピックス」No.31 を分析した。 内閣府国民生活局『国民生活選好度調査』4)(平成 22 年)における個人の幸福感の現状とその 要因についての質問項目中、「幸福感を判断する際に重視した事項は何ですか」を分析した。 3.結 果 3. 1.アンケート結果 実施場所: 平成 20 年度、21 年度は、和歌山県那智勝浦町高津気区における「猪垣と水車をめぐるウォー キング」と同町世界遺産・熊野古道における「大門坂から那智大社をめぐるウォーキング」 平成 22 年度は、世界遺産・熊野古道における「大門坂から那智大社をめぐるウォーキング」 標本数:ウォーキング実習参加者 35 名、回収率:100%、回答方法:感想文形態 アンケート結果のキーワード:「楽しい」「大自然」「運動」「新鮮な空気」 総括: (1)一番多い感想が、「大変だったけれども、楽しかった」、「自然(緑の多い)の中で運動が できてよかった」、「新鮮できれいな空気を吸えてよかった」など、普段の生活圏とはまったく違 う自然環境に感嘆しており、またウォーキング実施に伴う大変さや疲れがある種の満足度になっ ていた。 (2)歴史ある古道を歩いたことや、那智大社、那智の滝などに感動していた。 (3)「また行きたい」、「できればまた来たい」、「来てよかった」などの回答が多数を占めた。 「歩きやすくしてほしい」と回答をした学生も若干数存在したが、当該学生を含めて全体的な印 象・感想等の回答欄では「楽しかった」が圧倒的に多数であった。 ― 186 ― Sonoda Women's University NII-Electronic Library Service
  • 3. わからない 運動やスポーツはしなかった その他 グライダー、ハンググライダー、 スカイダイビング、パラグライダー 弓道、アーチェリー スケート 柔道、剣道、空手、すもう、ボクシング、レスリング 陸上競技 サッカー、フットサル ダンス(フォークダンス、ジャズダンス、   社交ダンス、民謡踊りを含む) ゲートボール、グラウンドゴルフ 登山(クライミングを含む) キャンプ、オートキャンプ   ボート、ヨット、ボードセーリング、スキンダイビング、 スクーバダイビング、カヌー、水上バイク、サーフィン、釣り バレーボール、バスケットボール ハイキング、ワンダーフォーゲル、オリエンテーリング スキー、スノーボード サイクリング、モーター(サイクル)スポーツ 野球、ソフトボール 室内運動器具を使ってする運動 キャッチボール、ドッジボール テニス、ソフトテニス、バドミントン、卓球 ゴルフ 水泳 ランニング(ジョギング) ボウリング 体操(ラジオ体操、職場体操、美容体操、     エアロビクス、縄跳びを含む) ウォーキング(歩け歩け運動、散歩などを含む) 0 10 20 30 40 50(%) 48.2 0.1 22.2 2.9 - 0.4 0.7 1.1 1.1 3.4 3.7 3.8 4.1 4.5 5.0 5.5 5.8 6.1 7.2 7.4 8.0 10.1 10.4 10.7 11.1 12.1 15.7 26.2 総数(N=1,925 人、M.T.=237.4%) 3. 2.関係資料、ホームページの分析結果 引用した「図 1」「図 2」「図 3」「図 4」および「表 1」を参照のこと。 図 1 この 1 年間に行った運動・スポーツの種目(複数回答) ― 187 ― Sonoda Women's University NII-Electronic Library Service
  • 4. 健康・体力つくりのため 楽しみ、気晴らしとして 運動不足を感じるから 友人・仲間との交流として 家族のふれあいとして 美容や肥満解消のため 自己の記録や能力を向上させるため 精神の修養や訓練のため その他 わからない 0 10 20 30 40 50 60(%) 53.7 55.0 0.1 0.4 1.5 1.9 3.2 4.0 4.4 4.7 15.2 14.9 15.0 17.0 35.4 33.8 41.2 42.0 50.1 50.3 今回調査(N=1,496 人、M.T.=222.7%) 平成 18 年 8 月調査(N=1,377 人、M.T.=221.1%) ウォーキング・軽い体操 ボウリング 水泳 器具を使ったトレーニング 登山・ハイキング サイクリング バドミントン スキー・スノーボード 卓球 ジョギング・マラソン 0 10 20 30 40 50 (%)女 ウォーキング・軽い体操 ボウリング ゴルフ つり 水泳 野球 器具を使ったトレーニング 登山・ハイキング ジョギング・マラソン サイクリング 0 10 20 30 40 50 (%)男 31.6 19.5 16.6 15.5 12.2 11.4 11.3 10.1 9.8 9.2 40.3 14.2 10.7 10.7 9.8 7.3 5.7 4.9 4.8 4.3 図 2 運動・スポーツを行った理由 (この 1 年間に行った運動やスポーツを挙げた者に、複数回答) 図 3 男女、主なスポーツの種類別行動者率(平成 18 年度)−20 歳以上− 注)スポーツの種類は男女それぞれ上位 10 種類を表章。 資料:「平成 18 年度社会生活基本調査」 ― 188 ― Sonoda Women's University NII-Electronic Library Service
  • 5. 69.7 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (%) 66.4 65.4 46.7 41.7 38.5 35.0 17.6 10.4 1.8 そ の 他 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ ー と の 関 係 職 場 の 人 間 関 係 仕 事 や 趣 味 、 社 会 貢 献 な ど の 生 き が い      友 人 関 係 就 業 状 況        ︵ 仕 事 の 有 無 ・ 安 定 ︶ 自 由 な 時 間 ・ 充 実 し た 余 暇 家 計 の 状 況 ︵ 所 得 ・ 消 費 ︶ 家 族 関 係 健 康 状 況 図 4 幸福感を判断する際に、重視した事項は何ですか。次の中からあ てはまるものすべてに○を付けてください。 表 1 この 1 年間に行った運動・スポーツの種類の推移(上位 5 種目) N=1,925 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 平成 21 年 ウォーキング(注1) 体操 ボウリング 48.2 26.2 15.7 平成 18 年 ウォーキング(注1) 体操 軽い球技 ボウリング 軽い水泳 44.2 22.6 15.0 14.6 11.7 平成 16 年 ウォーキング(注1) 体操 ボウリング 軽い球技 ゴルフ 37.2 15.9 13.2 11.9 8.3 平成 12 年 ウォーキング(注1) 体操 ボウリング 軽い球技 軽い水泳 33.8 14.5 13.4 12.2 11.1 平成 9 年 ウォーキング(注1) 体操 ボウリング 軽い球技 釣り 31.8 19.4 18.5 17.1 11.9 平成 6 年 ウォーキング(注1) 体操 ボウリング 軽い球技 海水浴 24.3 21.1 18.5 18.3 13.3 平成 3 年 体操 ウォーキング(注1) 軽い球技 ボウリング 軽い水泳 21.9 21.4 20.6 16.5 12.7 昭和 63 年 体操 軽い球技 歩け歩け運動(注2) ボウリング 海水浴 22.3 17.1 14.2 13.5 11.5 昭和 60 年 体操 軽い球技 海水浴 軽い水泳 ボウリング 23.3 17.9 13.0 11.8 11.3 昭和 57 年 体操 軽い球技 ボウリング ソフトボール 水泳 25.5 18.6 14.0 13.6 11.7 注 1:平成 3 年の調査より、「ウォーキング(歩け歩け運動散歩などを含む)」 注 2:昭和 63 年の調査までは、「歩け歩け運動(運動でする軽い散歩を含む)」 ― 189 ― Sonoda Women's University NII-Electronic Library Service
  • 6. 4.考 察 (1)ウォーキング人口のうち、年齢層での分布で見ると、アンケート調査を実施した園田学園女 子大学短期大学部生活文化学科の学生は実施率が一番低い年齢層でありまだ若く、エアロビック 運動が日常の生活の中でさほど必要とされていない。しかしながら、筆者の個人的経験から判断 すれば、学生も年齢が上がるに従って、内閣府の世論調査の結果どおりに推移すると考えられ る。 筆者が授業においてウォーキングを実施する熊野古道(紀伊半島の霊場と参詣道)は、平成 16 年 7 月にわが国で 12 番目の世界遺産に登録された。道(街道)としては世界で 2 番目に世界遺 産となった事例である。熊野古道の主要路が存在する和歌山県では、産学官からなる熊野古道ウ ォーキング調査プロジェクトチームを結成し、世界遺産を活用した「こころの空間・癒しの交流 つくり」に関する調査報告書を出版している。それによると、①熊野古道がこころとからだに優 しい癒しの道であり、効果的なウォーキングコースであることが立証された。②1 回の熊野古道 ウォーキングで得られる効果としては、免疫力の増加、ストレスの改善、気分の改善、適度な脚 筋力への刺激などがある。③2 か月間の熊野古道を利用したトレーニング効果は、最大酸素摂取 量の増加、大腿部筋断面積の増加、内臓脂肪の減少など、平地でのトレーニング以上の効果が見 られた、である。 (2)『体力・スポーツに関する世論調査』の結果では、昭和 63 年前後からウォーキングが上位 5 種目内に入り、それから 7 年余の平成 6 年の調査では、「ウォーキング(歩け歩け運動、散歩な ども含む)」が 24.3%、「体操」が 21.1% と、僅差ではあるが平成 3 年まで 1 位であった「体操」 と入れ替わった。平成 9 年の調査では「体操」が 19.4% と減少しているが、「ウォーキング(歩 け歩け運動、散歩なども含む)」は 31.8% と大きく増加し、平成 21 年には「ウォーキング(歩 け歩け運動、散歩なども含む)」がさらに 48.2% と増加したのに対し、2 位の「体操」は 22.6% に留まっている。 (3)国民の社会生活の実態を明らかにすることを目的とし、調査結果を行政施策などの基礎資料 として利用するための調査『社会生活基本調査』においても、最も高い行動者率は男女とも「ウ ォーキング・軽い体操」であり、男子が 31.6%、女子が 40.3% となった。また、過去 1 年間5)に 運動やスポーツを行ったとする者(1,496 人)について、その運動やスポーツを行った理由とし て「健康・体力づくりのため」を挙げた者の割合が 53.7%、「楽しみ、気晴らしとして」を挙げ た者の割合が 50.3% と高く、以下「運動不足を感じるから」(42.0%)、「友人・仲間との交流と して」(33.8%)などの順となっている。 (4)『国民生活選好度調査』(平成 22 年度)の「幸福感を判断する際、重視した事項は何ですか」 という質問に対しても、「健康状態」と答えた割合が 65.4% と 1 位で、以下「家族関係」(65.2 %)、「家計の状況(所得・消費)」(62.1%)、「精神的ゆとり」(51.0%)などの順となっている。 ― 190 ― Sonoda Women's University NII-Electronic Library Service
  • 7. 5.ま と め 本予備的考察においては、以下のような知見が得られた。 (1)園田学園女子大学短期大学部学生 35 名(平成 20 年 7 名、平成 21 年 13 名、平成 22 年 15 名)に対してウォーキング実習を実施した結果、年齢層別のウォーキング人口調査においてはウ ォーキング実践者が最も少ない年齢層にも関わらず、すべての学生から「楽しかった」、「来て良 かった」などの回答を得られた。ウォーキング実施場所が自然と歴史文化に触れられる熊野古道 であったことが、満足度の高い要因になっていると考えられる。 (2)ウォーキングを行う目的が健康や体力づくりであり、それを得ることが幸福感を抱く大きな 要因であると考えられる。 (3)ウォーキング人口が昭和 63 年から増え続けている要因としては、社会情勢、高齢化、予防 医学などが考えられるが、自然と歴史文化への触れあいを最大の要因とするエビデンスは得られ なかった。 (4)平成 6 年の調査で 1 位が入れ替わった体操との最大の違いは、体操を自然および歴史文化と を関連づけて実施することが困難であるからと考えられる。 注 1)内閣府が 3 年に 1 回実施している調査で、国民の健康・体力についての意識及び運動・スポーツの実 施状況や意向などを調査して、今後の施策の参考とするものである。 2)調査用紙では、平成 3 年から「ウォーキング(歩け歩け運動,散歩を含む)」となっている。昭和 63 年の調査までは「歩け歩け運動,(運動のための散歩なども含む)」となっている。 3)国民の生活時間の配分および自由時間等における主な活動について調査し、社会生活の実態を明らか にすることを目的として、総務省統計局が昭和 51 年以来 5 年ごとに実施している統計調査で、調査 結果は行政施策などの基礎資料として利用している。 4)国民生活政策の立案のための参考資料とするために 1978 年(昭和 53 年度)以降 3 年ごとに実施して いる。国民生活の様々な分野のニーズ、満足度等、人々の主観的意識について行う調査である。 5)ここでいう過去 1 年とは、平成 20 年 9 月から平成 21 年 8 月までの 1 年間である。 参考文献 熊野古道ウォーキング調査プロジェクトチーム『熊野古道の健康効果の調査報告書』2005 年。 総務省統計局『社会生活基本調査』「統計トッピクス」No.31, 2008 年 8 月。 内閣府国民生活局『国民生活選好度調査』2008 年。 内閣府大臣官房政府広報室『体力・スポーツに関する世論調査報告書』2009 年 9 月。 ─────────────────────────────────────────────── 〔とりい かずひさ 体育社会学〕 ― 191 ― Sonoda Women's University NII-Electronic Library Service