極値を求める問題は工学系に限らずあらゆる面で利用価値のある数学の応用分野である。高校生のときには1変数の場合の極値を取り扱い視覚的にもわかりやすく理解しやすかった。しかし、大学で多変数関数の微分に入ると急に複雑に感じ始める。2変数までは視覚的に捉えられても、3変数以上になるともう感覚的に捉えることができなくなり、理解しにくくなる。極値問題を取り扱うときにも同様で、2変数まではなんとか説明されている大学の教科書も3変数以上になると省略されていることが多い。しかし、実用面から考えると3変数以上の極値を求める応用分野はとても広い。重要なテーマなのである。 ここでは主に3変数以上の極値問題をできるだけわかりやすく概観することを試みる。解析だけの知識だけでは2変数の極値問題に限られてしまうので線形代数の知識も使いながら3変数以上に汎用性を広げていく。線形代数の、行列式、固有値、固有ベクトル、直行変換、2次形式、正値(負値)などの概念を使うことになるが、逆に解析と線形代数のつながりが見えてくる重要な場面にもなっている。