国土地理院提供データを活用した 地図のクロスメディア展開

Editor's Notes

1. みなさん、こんにちは。 私は、北海道地図株式会社で 開発企画やデザインを担当しています、川越と申します。 どうぞよろしくお願いいたします。 本題に入る前に、弊社のことを少し紹介させてください。
2. 社名にもなっておりますとおり、 弊社は北海道の旭川に本社を置く、地図制作会社です。 旭川は、旭山動物園などで有名な、北海道の中央部に位置する街です。
3. その旭川のほかにも、東京・札幌・仙台に拠点を持っております。 私たちは、北海道のみに限らず日本全国の、 地図制作や、それに関わるさまざまな制作を コンサルティングも含めてお手伝いしています。
4. こちらは、当社の事業内容を表した図です。 地図調製を軸とした事業展開の中に、 これからお話しするクロスメディアでの制作があり、 私たちの事業の柱のひとつとなっています。
5. ということで本題に入りますが、 「国土地理院提供データを活用した地図のクロスメディア展開」と題しまして、 近年、私たちが推し進めている、地図データの多媒体展開について 今日はお話をさせていただきます。
6. 当社では「GISMAP」という製品名で、 さまざまな用途に向けた地図データベースを自社で開発・整備をしています。 国土地理院発行の１/25,000地形図をベースに、 自社での調査情報を加味して、データベースの整備を行っています。 従来、これを使って、地図の制作を行ってまいりましたが、 最近では、それをさらに進めて、 地理院さんで公開されているデータ、 国土基本情報、基盤地図情報、5m標高データや火山標高などの、
7. 複数のデータを組み合わせて、 地図の基本となる地図データベースをつくり、 目的に応じた地図づくりを行っています。
8. また、高いクオリティで公開されている地理院データを使うことで、 地形の起伏や建物形状まで精度の高い表現で 成果を制作することができます。
9. 展開している主な媒体としましては、 Webや、スマートフォン・タブレットなどのアプリ、 さらに施設での展示物として、 タッチパネルのデジタルサイネージや、地図データを使った映像制作、 床に敷いてその上に立つことができる大判の床地図など、 体験型の地図メディアとして展開を行っています。
10. 自社整備の地図データと、 国土地理院提供の地図データを組み合わせることで、 単純な足し算ではなく、 （記号回転） 掛け算のように、地図の新たな可能性が広がっていくと考えています。 いくつか実例を挙げてご紹介していきます。
11. こちらは、北海道の美瑛町にある「丘のまち郷土学館 美宙」という施設です。 地域の人々が土地の歴史を学ぶ資料館として利用のほか、 観光客へ向けてインフォメーションを発信する施設でもあります。 この施設の展示制作のお手伝いをさせていただきました。
12. こちらが、私たちが制作した展示物です。 美瑛全域を鳥の目線で眺めるように空中から見下ろすような 映像を組み込んだデジタルサイネージと、 その足元の床面には、大判の床地図を施工しました。
13. この施設内の動線として、 来場者はまずこの2つを目にする流れになっていることから、 この施設全体の展示のイントロダクションとしての役割も果たしています。
14. デジタルサイネージにはタッチパネルを採用し、 7分間の映像の中から、 来場者自身が観たい場面を選んで再生できる仕組みをとっています。 実際の映像をご覧ください。
15. （少し間を置いて） この映像は、少しずつ視点の位置を変えながら、 多数の地図画像を機械的に生成し、 パラパラマンガのようにつなぎ合わせて アニメーションにしています。 内容としては、美瑛上空をゆっくりと旋回して、 観光スポットを解説を交えながら巡っていきます。 現実には撮影が難しい超低空からの映像や、 美瑛を取り囲むようにそびえ立つ、 十勝岳連峰の美しい山並みを、4Kの高解像度で体験することができます。
16. もうひとつの展示である床地図は、 さきほどの映像内で紹介した観光スポットに共通の通し番号を振っており、 2つを見比べることで、映像で観ている場所が、 いったい美瑛のどのあたりに位置しているのか、 直感的な位置関係の把握を手助けする機能を持ちます。
17. また、土足のままで地図の上に立つことができますので、 まるで自分が大きな巨人になったかのような目線で、 美瑛の街並みを見下ろすことができます。 さらに、同じ美瑛町内の別の施設にも床地図を制作しています。
18. こちらは、美瑛町内の十勝岳の中腹にある 「十勝岳望岳台防災シェルター」という施設ですが、 その名の通り、緊急時の避難施設として役割のほか、 登山客の拠点施設として活用されています。
19. こちらには、さきほどの美宙よりもさらに大きな 8m×5mの巨大な床地図を設置し、
20. 地図には、付近の山の登山ルートを表示するなど、 登山客に向けての情報発信の機能を与えています。
21. こちらは、山梨の「富士山世界遺産センター」です。 ドーム型の建物の床一面に敷き詰めた、 富士山を中心とした直径21mの円形の床地図です。 実際の方角に合わせて地図を設置しています。
22. 富士山の世界遺産としての情報を巨大な1枚の地図にまとめ、 その位置関係をひと目で把握することができるものです。 と、ここまでにご紹介した地図の制作にあたっては、 5mDEMや火山標高などの地理院データを使用しています。
23. かけ足で事例をご覧いただきましたが、 このようにさまざまな施設において、 私たちの地図を、観光スポットなどを紹介する情報発信ツールとして、
24. また、地理・地形学の教育コンテンツとしても活用していただいています。
25. これらの事例において私たちが意識しているのは、 「地図」という媒体を、単に見るだけだけのものから、 タッチパネルを触ったり、地図の上に乗って見下ろしたりすることによって、
26. 視覚以外の五感もフルに使って体験できるものとして、 お客さまに触れていただくというコンセプトです。 そして、このように体験型の地図をつくることで、
27. 地図を、ひとりで見るものから、
28. 複数の人たちで見るものへと変え、
29. 感想や感動を、 観た人たち同士で、共有できるものにしたいという思いを持っています。
30. つたない説明でしたが、以上で発表を終わります。 外の展示ブースでは、 いまご紹介したデジタルサイネージや 床地図の実物をご覧いただけますので、 よろしければぜひご覧ください。
31. ご清聴、どうもありがとうございました。