目録の標準化とは何か
•
2 likes•2,536 views
What is the standardization of description of archival records?
Recommended
More Related Content
Featured
Featured (20)
目録の標準化とは何か
- 2. もくじ 1. 資料整理のキーワードたち 2. コンテクスト、コンテクスト、コンテクスト･･･ 3. 標準化へのとりくみ 4. 標準化「すること」と「しないこと」 5. 標準化の取り入れ方 6. おわりに ～できることから、こつこつと～
- 3. 1. 資料整理のキーワードたち 出所原則 principle of provenance 出所が同一の記録・資料を他の出所のそれらと混在させて はならない、という基本原則のこと （『文書館用語集』より、一部修正） 原秩序尊重の原則 respect for original order 資料相互の関連性や意味あるいは出所においてつくられた 検索手段の有効性などを保つために、単一の出所を持つ記 録資料の、出所によってつくられた秩序（整理番号を含 む）は、保存しなければならないという原則 （『文書館用語集』より、一部修正）
- 6. 2. コンテクスト、コンテクスト、コンテクスト・・ 社長よりご下問： “我が社がAEDを導入したのはいつだったかしら？” ↓ 1 現用文書を探すアプローチ 2 アーカイブズ的アプローチ 保存期間内の文書。 ⇔ 非現用文書
- 10. 2. コンテクスト、コンテクスト、コンテクスト・・ 1 現用文書を探すアプローチ どれを見れば いいのか、わ からないんだ けど？ 文書主管課 お探しの情報 は、このファ イルに書かれ ています 文書作成課
- 11. 2. コンテクスト、コンテクスト、コンテクスト・・ 1 現用文書を探すアプローチ 文書管理システム（＝ファイル単位） ＋ 文書作成者（＝業務を熟知している人） ＋ 文書主管課（＝組織の文書管理を熟知している人） つまり、 検索システム ＋ 人のサポート
- 13. 2. コンテクスト、コンテクスト、コンテクスト・・ 2 アーカイブズ的アプローチ 組織・業務をふまえて、論理的に探す対象を絞り込む つまり･･･ – 文書が作成・利用されていた時の秩序をふまえた管理 ＝ 出所原則、原秩序保存 – 文書が作成・利用されていた時の職員の頭の中の知識 （＝コンテクスト）を可視化して提示
- 14. 2. コンテクスト、コンテクスト、コンテクスト・・ 【アーカイブズ的アプローチのメリット】 – ファイル名に依存せずに、必要な情報が確実に探し出せる – 業務の自然なつながりで、関連情報が引き出せる – 文書作成時に関わった人がいなくても、文書作成から100 年経っても、情報が死蔵されずに引き出せる アーカイブズ管理の原則的考え方は、19世紀末にほぼ確立
- 15. 3. 標準化へのとりくみ 3.1 フォンド概念に基づく理論整理 前史： 北米における、図書目録規則の援用の試み ------------- 1985 A Manual of Archival Description (MAD) （イギリス） ･･･「マルチレベル記述」の定義 1990 Rules for Archival Description (RAD) （カナダ） ・・・「フォンド」概念の採用 1994 General International Standard Archival Description (ISAD(G)) ・・・アーカイブズ界で受け入れられつつあった考え方の集約 1997 Encoded Archival Description (EAD) （アメリカ） ・・・SGML（のちにXML）を用いた記述システム
- 17. 3. 標準化へのとりくみ 3.1 フォンド概念に基づく理論整理 東京大学 環境安全衛生部 安全衛生活動 管理企画 安全衛生設備 導入 AED設置関連 (H22) 組織替えがあったらどうする？？
- 18. 3. 標準化へのとりくみ 3.2 シリーズに基づく理論整理 オーストラリア・シリーズ・システム Series System 開発の経緯 ・ オーストラリア国立公文書館スタッフ（ピーター・スコット） が考案 ・ 頻繁な組織改編に対応しつつアーカイブズ原則を実現す るには、どうすればよいか？という問題意識 考え方 ・ 記述単位どうしを分離させ、その関係性をゆるやかな リンクにとどめる ・ 最も安定した単位＝文書シリーズを中心に据える ・ 各記述単位の記述要素を規定
- 19. 3. 標準化へのとりくみ 3.2 シリーズに基づく理論整理 大日本帝国 太政官 日本国 内閣 総理庁 総理府 総務庁 総務省 庶務係 庶務課 恩給局 （旧） 会計局 恩給局 （新） 人事・ 恩給局 恩給掛 恩給課 恩給裁定原書 簿冊1 簿冊2 簿冊3 ･･･ organisation agency series item
- 20. 4. 標準化「すること」と「しないこと」 標準化すること (1) 出所原則という考え方 フォンドベースであれ、シリーズベースであれ、文書は すべてその作成元と不可分であるという考え方 (2) 記述要素（=目録項目）の共通化 標準化の対象としていないこと (1) 用語・表記の統一 (2) 記述のしかた
- 21. 4. 標準化「すること」と「しないこと」 1 個別情報のエリア 1 レファレンス・コード 2 タイトル 3 資料作成年月日 4 記述レベル 5 数量・媒体 2 コンテクストのエリア 1 作成者名称 2 組織歴または履歴 3 伝来 4 入手先 3 内容および構造のエリア 1 対象範囲・資料内容 2 評価選別・廃棄処分・保存年 限 3 追加受入 4 編成方法 4 公開および利用条件のエリア 1 アクセス条件 2 複製条件 3 使用言語 4 物理的特徴 5 検索手段 5 関連資料のエリア 1 オリジナル資料の有無 2 複製の有無 3 関連記述単位 4 出版情報 6 注記のエリア 1 注記 7 記述管理のエリア 1 アーキビストの注記 2 準拠規則類 3 記述作成年月日 ＜ISAD(G)の記述要素＞ 記述項目 1 ID 2 名称 3 シリーズ開始日 4 シリーズ終了日 5 内容開始日 6 内容終了日 7 機能 8 数量 9 物理的特徴・利用上の技術的養成 10 記述 11 評価選別 12 累積 13 管理歴 14 編成方法 15 管理番号 16 公開の可否 17 著作権及び複写 18 言語 19 検索手段 20 所在地 21 複製 リンク先 1 シリーズ 2 エージェンシー 3 機能 ＜シリーズ・システム(シリーズレベル）の記述要素＞
- 22. 5. 標準の取り入れ方 ポイント： ゆるやかに受け止める 基本的考え方と最低限の記述（目録）項目の共有 資料を活かす標準の採用 例） Australia War Memorial できる範囲で対応 例） 東京大学文書館 アーカイブズ資料は、資料の数だけ個性がある。 個性を活かすことと、国際的な情報流通で必要になる共通ルールとの、 ちょうどよいバランスを見極めることが重要。
- 23. 6. おわりに アーカイブズ記述の標準化には明らかなメリットがある がんじがらめになる必要はないが、標準に合わせていく意 識も必要 標準は「考え方」であって、「システムの仕様」ではない。原 則を表現する方法はアナログでも可能 ～ できることから、こつこつと ～