SlideShare a Scribd company logo
技術力低下の原因
開発現場そのものが技術力を低下させる原因となっている
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
製造業の競争力低下は中長期的な傾向
3
この 20 年間、日本の製造業は成長していない。競争力低下は顕著である。
電機産業「全日本」チームは、
1990 年から現在までの約 20
年間、 営業利益、時価総額をほ
とんど増加していない。
成長しておらず、期待もされてい
ないことがわかる。
日本の電機メーカー主力8社(NEC,
パナソニック,ソニー,富士通,三菱
電機,東芝,シャープ,日立)を合計
した「オール日本」と、IBM、アップ
ル、サムスン、シーメンスの各社とを
比較したグラフ。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
競争力低下の原因は現場の技術力低下
4
開発を見ているシニアマネジャーは、開発現場の技術力低下が本質的な課題だと指摘している。競争力低下の原因は
技術力低下にあり、その原因分析と対策が喫緊の課題である。
どうして自分たちででき
ないのか? ウチの技術者
は能力がないのか?
携帯電話開発の役員
日本の技術者である必要
はない。海外で開発すれ
ばいいのではないか?
車載製品開発の役員
マネジャーも技術者たちも
口を開けて指示を待ってい
るだけ。自ら変わろうとし
ない。 通信機器開発の事業部長
技術力も意識もアジアの
技術者の方が高い
計測器開発の役員
コンサルティングで関係したシニアマネジャーの声
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
成長実感を持てない技術者
5
納期や品質などのプレッシャーの中で、開発現場の技術者はやりたいことや試したいことなどに挑戦する機会をもつ
ことができず、成長している実感を持てていない。
とにかく納期遵守で仕事
を通じて成長できない
携帯端末開発のエレキ技術者
製品全体のことを知る
機会がなくいつまでも
半人前
通信機器開発の技術者
失敗できないので
満足な経験を積む
ことができない
製造装置開発のメカ技術者
割り込みや雑務が多く
集中して設計に取り組
めない
民生品開発のソフト技術者
コンサルティングで関係した技術者の声
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
成長を実感できない現実
6
「ワーキングパーソン調査 2012」( リクルートワークス研究所)
「部長や課長になれない人は若手
を育てることもなく、ずっと同じ
ことしかしていない」
「ワークライフバランスと言いな
がら、仕事への情熱をなくして趣
味に走っている中堅が多い」
「やる気がない人たちがいるのは
わかっているが、どうしたらいい
のかわからない」
成長を実感できない人は常に 20% 前後存在し、さらに、年齢とともに成長している実感を持てなくなっている。個
人がいくつになっても成長していると実感できることが、組織の強さにつながるはず。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
組織の仕組みが技術者の「力」を奪った
これまでに構築してきた開発の仕組みが、技術者のスキル不足や技術力低下を引き起こしている。今、必要とされて
いるのは自律性、創造性、変化対応力であり、技術者一人ひとりの意識を変える必要がある。
競争が激化する事業環境に対応する
ために、組織のマネジメント(組織
環境や仕組み)を強化してきた。
開発プロセスや
プロジェクト管理の強化
目的意識・創意工夫の欠如
成果主義や役割定義の推進 個人主義や事なかれ主義の増加
専門性や効率性への対応重視
タコツボ化,
失敗を許容しない組織文化
技術者個人は従順で保守的、個人主義的
な傾向となり、競争力を低下させる原因
となった。
7
開発の仕組み 技術者への影響
変身した技術者
製品開発のたびに、技術者ひとり一人が成長することを実感できるようになった
ある製造装置メーカーでの事例
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
個人のやる気
レクリエーション
昇格プログラム
集合教育・研修
開発の仕組み
個別育成プラン
仕組みを充実させても効果はなかった
9
開発現場の雰囲気を変え、個人のやる気を引き出そうと、人事面、福利厚生面、教育面といろいろな仕組みを充実さ
せたが、技術者個人の意識は変わらずほとんど効果はなかった。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
個人のやる気
レクリエーション
昇格プログラム
集合教育・研修
開発の仕組み
個別育成プラン
仕組みを充実させても効果はなかった
10
ビジョンが
なく場当たり的
上司との
人間関係に悩ん
でいる
自分の
将来に確信が持
てない
非効率な
作業を強いられて
るだけ
作業が
増えて時間がな
くなる
昇格の必要性
を感じない
昇格後の自分
に自信がない
仕事に関係す
ると思えない
自分の職場
に活かせない
リーダーと
なって引っ張るのは
ちょっと
開発現場の雰囲気を変え、個人のやる気を引き出そうと、人事面、福利厚生面、教育面といろいろな仕組みを充実さ
せたが、技術者個人の意識は変わらずほとんど効果はなかった。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
プロジェクト経験で生まれるのはネガティブ感情
11
開発プロジェクトを経験しても、実力を発揮することができないばかりか、上司や仲間に対するネガティブな感情が
残ることも少なくなかった。
言うことはスケジュール厳守だけ
困って相談しても何も解決してくれない
問題を指摘したら解決を任されるだけ
言っていることがコロコロ変わる
リーダー
他人の尻ぬぐいはもう懲り懲り
忠告したのに無視されてしまう
長時間のレビューでぐったり
他のメンバー
メンバー
増員、予算追加、延期、どれもダメ
何度も説明させられるが指示は精神論
マネジャー
スケジュール(計画)があてにならない
単純ミスによる手戻りばかり
指示しないとやらない(待っているだけ)
もう一緒に仕事したくない。
実力を発揮できない。
仕事に専念できない。
ある製造装置メーカーでのヒアリング結果
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
2年前の小森さん
12
累積残業時間[h]
50h x 12month = 600h
40h x 12month = 480h
強い責任感で、誰よりも残業して仕事をこなしていた、入社5年目のリーダー候補の小森さん。
会社を辞める人や倒れる人もいることもあり、もう限界だと感じていた。
人に頼むよりは自分でやった方がずっと早い。
開発を進めるには自分が頑張るしかない。
会社も上司も同僚も、誰も助けてくれない。
仕組みが増えてやることが増えるばかり。
誰よりも仕事しているのに評価してくれない。
この2年間改良や設計変更ばかりで面白くない。
育ててくれる人も仕組みもない。
先輩2人は会社を辞めて、同僚の1人は倒れた。
小森
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
技術者育成につながる3つの取り組み
13
成長
自律性
創造性
疲弊した開発現場を変えるためには、技術者が開発を通じて「創造性」や「自律性」 を発揮し、一人ひとりが「成
長」を実感できることが大切。そのために次の3つの考え方による取り組みを実施した。
技術者を育てるための
基本概念
チーム指向
Team
エンゲージメント
Engagement
経験学習
Experimental Learning
取り組みのカギ
各社のアセスメントを通じて、成長を実感できる
最大の要素は経験であること、必要なのは経験を
確実に成長につなげる方法論であることを確信。
技術者に対するコーチングを通じて、価値観は
一人ひとり違うことを実感し、個別の動機づけ・
意識づけが自律性を高めることを実感。
新興メーカーや「ザ・チーム」の齋籐氏との交
流を通じて、プロジェクトの体制や人間関係が
創造性に大きく影響していることを確信。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
マネジャー
候補
リーダーへの変身過程
14
開発業務を通じて経験できること、実感できることが大きく変わり、リーダーに相応しい存在になった。
言われたことをやるだけ(優秀なのだが)
リーダーやマネジャーへの不満ばかり
2年前
エンゲージメント(アセスメント):
成果は出していたが自信がなかった
やる気の素(自分軸)は人から信頼されること
リーダー候補 小森さんの変身
人が育つことへの喜びがあること知った
よくしてもらった感謝を忘れていた
経験学習(ラウンドテーブル):
先輩や同期から人が育つことはうれしいと聞いた
自分は人に対する感謝がないと気づいた
もっといろんな人から話を聞こう
プロセス改善を人を育てる道具にしよう
リーダーやマネジャーを目指してみよう
エンゲージメント(コーチング):
信頼とは自分のために人を助けること
自分が楽しいと思えることで周りを喜ばせたい
メンバーの好きなもの嫌いなものを探る
「楽しいレビュー」の仕組み作り開始
チーム:
メンバーの特徴からやり方を考えた
信頼構築にはメンバーを知ること
経験学習(ラウンドテーブル):
レビュイーはつらくて苦しい
肩書きに関係なくできることはある
メンバーが育つのが本当にうれしい
肩書きに関係なく仲間になった実感
経験学習(行動モデル):
人となりを知るための世間話
共通の価値観を知るための会話
チーム:
お互いに助け合う信頼関係
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
技術者が変わったことを実感
15
開発を見ているマネジャーたちは、製品開発を通じて、現場の技術者たちの発言や行動が変わっていくことを実感す
る。実際、プロジェクトを任せることができるリーダーが増えた。
プロジェクトを任せる
ことができるリーダー
が2倍に増えた。
あんなに自分勝手だった
のに、メンバーの世話を
するようになるとは。
おかしなことを要求するこ
ともあるけど、自分から行
動を起こすようになった。
職場の雰囲気が明るく
なってうれしい。
ある製造装置メーカーの
マネジャーたち
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
変化した開発プロジェクトの経験
16
開発プロジェクトが上司や仲間に対するポジティブな感情が生まれる場となった。
自分の成長目標を働きかけ
リーダーの思いを聞く
ゴール達成をあきらめない
考えや目標を共有する
問いかけて気づかせる
足りないところは手伝う
ビジョンを共有する働きかけ
やれる可能性を追求する
やりたいことを共有する働きかけ
ゴールを共有して手段は任せる
工程(過程)を大切にする
あのリーダーと、
あのメンバーと、
また仕事したい。
リーダー
他のメンバー
メンバー
マネジャー
変化した開発プロジェクト
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
仕事に対する満足度の向上
17
Before
9
2%
8
5%
7
7%
6
11%
5
16%
4
23%
3
20%
2
13%
1
3%
After
10
14%9
1%8
10%
7
25% 6
10%
5
20%
4
7%
3
7%
2
3%
1
3%
仕事に対する満足度(最低点:1,最高点:10)
技術者の仕事に対する満足度は1年で大きく改善した。ヒアリングによって、満足度の向上には成長実感が強く関係
していることが確認できている。
(仕組み運用1年後)
「この1年で成長した気がしない」
「この先の自分を想像できない」
「お節介や自慢することが大切だと気づいた」
「失敗を通じて成長することができた」
技術者 61 人
取り組みの実際
技術者が成長しリーダーとなる開発プロジェクトの事例
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
リーダーづくり指向 プロジェクト・マネジメント
ゴールが明確な、少人数の異なる
役割をもつメンバーからなる「チー
ム」を基本とした体制にする。革
新を生むために、具体的な目標を
共有し、主体性をもったメンバー
が相互に助け合い、失敗を許容し、
議論する場となる。
組織(チーム)の成功に貢献しようと
するモチベーションを高め、維持する
ためのスキルを育成する。目標達成の
ために自ら努力しようとする自律性や、
積極的なメンバーへの働きかけを実践
するマインドを強化する。
常に業務を通じて成長するために、
「経験」から学び成長する環境や作
業手順を構築する。技術者個人が自
発的に学び、成長を繰り返すための
開発プロセスとなる。
「チーム指向」「エンゲージメント」「経験学習」を基本概念とし、開発業務を通じて、技術者の成長、自律性、創
造性を生むプロジェクトの取り組みを「リーダーづくり指向開発プロジェクト・マネジメント」とよびたい。
リーダーづくり指向プロジェクト・マネジメント
技術者が自律的に創造性などの能力を発揮し、開発を通じ
て成長を実感できる「ひとづくり」を指向した開発プロジェ
クト・マネジメント。従来の組織レベルの開発(マクロ)
プロセスとは違い、個人の行動に注目したミクロプロセス
である。「チーム指向」「エンゲージメント」「経験学習」
の3つの基本概念を組み込んだものである。
チーム指向
Team
エンゲージ
メント
Engagement
経験学習
Experimental
Learning
19
リーダーづくり
指向
プロジェクト
マネジメント
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
20
言われたことをやるだけ(優秀なのだが)
リーダーやマネジャーへの不満ばかり
2年前
エンゲージメント(アセスメント):
成果は出していたが自信がなかった
やる気の素(自分軸)は人から信頼されること
リーダー候補 小森さんの変身
人が育つことへの喜びがあること知った
よくしてもらった感謝を忘れていた
経験学習(ラウンドテーブル):
先輩や同期から人が育つことはうれしいと聞いた
自分は人に対する感謝がないと気づいた
もっといろんな人から話を聞こう
プロセス改善を人を育てる道具にしよう
リーダーやマネジャーを目指してみよう
エンゲージメント(コーチング):
信頼とは自分のために人を助けること
自分が楽しいと思えることで周りを喜ばせたい
メンバーの好きなもの嫌いなものを探る
「楽しいレビュー」の仕組み作り開始
チーム:
メンバーの特徴からやり方を考えた
信頼構築にはメンバーを知ること
経験学習(ラウンドテーブル):
レビュイーはつらくて苦しい
肩書きに関係なくできることはある
メンバーが育つのが本当にうれしい
肩書きに関係なく仲間になった実感
経験学習(行動モデル):
人となりを知るための世間話
共通の価値観を知るための会話
チーム:
お互いに助け合う信頼関係
リーダーへの変身過程
マネジャー
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
経験学習
21
Lombardo and Eichinger
開発の実業務の中での様々な経験ことが成長するためにもっとも効果的な要素である。そのため、経験をより高い学
習効果にするための「経験学習サイクル」を開発業務の中に組み込む。
具体的経験 内省的観察
抽象的概念化積極的実践
Concrete Experience Reflective Observation
Abstract ConceptualizationActive Experimentation
経験学習サイクルを開発業務(プロセス)
の中に組み込む
経験学習
サイクル
組織行動学者デービッド・コルブ
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
ラウンド・テーブル
22
個別の個別セッションと共有ミーティングを繰り返すことにより、リーダーとしての理想像とその実現に向けた具
体的な行動を明らかにするとともに、メンバー全員での共有と相互刺激による定着を行う。
個別セッション
#1
共有
ミーティング
#1
Week #1 Week #2 Week #3 Week #4 Week #5 Week #6
個別セッション
#2
個別セッション
#3
共有
ミーティング
#2
共有
ミーティング
#3
ワーク(宿題) ワーク(宿題) ワーク(宿題)
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
ラウンド・テーブルの実施内容
23
具体的な場面やイベントを思い出してもら
い、その時の自分の感情・思考を振り返る
自分自身が大切にしていることを確認し、
自分なりの言葉(キーワード)で表現する。
個別セッション #1
個人の価値観の把握
共有ミーティング #1
価値観とパフォーマンスの考察
個人セッションやその後に気づいたこと、
共有ミーティングへの期待を共有する。
自分の価値観とパフォーマンスの関係に
ついて、ホワイトボードを使って整理し
お互いの理解を深める。
整理した内容を見て思うこと/感じるこ
とを順に発表し、自分が最初に取り組む
テーマを決める。
最初に取り組むテーマと具体的なアクショ
ンプランを発表する。
共有ミーティングでの考察をもとに、パ
フォーマンス向上とその障害となるものに
ついて深堀りする。
自分の内面、本音に気づく。
個別セッション #2
パフォーマンスの深堀り
これまでの取り組みから、自分自身の理想
のリーダー像を整理する。また、さらなる
パフォーマンス向上の観点で振り返りを行
う。
個別セッション #3
リーダー像の深堀り
共有ミーティング #2
関係性の考察
前回のアクションプランの振り返りと、
個人セッションでの気づきを共有する。
見習いたいこと、変えるといいことを各々
指摘し、聞いて感じたことを伝える。
自分と部下のモチベーション向上、およ
び、自律についての考え、悩みを共有し
共感を引き出す。
自分の問題としてとらえ、質問、指摘を
繰り返し、知恵を出し合う。
チームとしての関係性構築が基本であり
最重要であることを実感する。
共有ミーティング #3
リーダー育成モデルの実行宣言
連続的な成長のための縦の関係の強化に
加えて、非連続な成長のためには横の関
係を強化することが重要である認識を共
有し、そのための継続的アクションのた
めの仕組み化をコミットする。
行動のもととなるモチベーション、およ
び、アクションのための前提条件(クリ
アすべき条件)を明確にする。
自分自身のあるべきリーダー像を定義し、
確実にそのための行動を起こすことをコ
ミットする。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
成長を実感できた経験の調査
24
技術者にヒアリングを実施し、どのような経験が成長に効果的だったのかの基礎データを収集した後、それを経験の
種類ごとに分類し、どのような時期にどのような状況で効果的なのかを分析した。
経験分類 経験の内容
未経験の新しい製品開発
それまでにかかわったことのない製品開発、もしくは、経験したことのない技術要素を必要とする製品開
発。失敗を繰り返したり、悩んだりしながら何とか開発を進めた経験。
事業部を越えた異動
事業部を越えた異動や出向など、周りが知らない人ばかりの組織への異動。居心地の悪さや孤独を感じな
がらも、何とか周囲との人間関係を構築して仕事を進めた経験。
事業部を越えた協業
他の事業部や他社のメンバーと共同して開発を行った協業。知識や経験、考え方が大きく違う人たちと、
利害を調整しながら同じゴールに向かって協力関係を構築した経験。
顧客からの厳しい要求
顧客からの無理難題とも思える仕様や納期など要求への対応や重大なトラブルの対応など、顧客から直接
的に厳しいことを要求された経験。何とか要求に応える過程で、面白みや達成感を感じた経験。
顧客との直接のやりとり
顧客と直接会話することで、肯定的/否定的なフィードバックをもらった経験。自分の仕事や開発してい
る製品が顧客にどのような価値を提供しているのかを実感できた経験。
他部の先輩や同僚とのやりとり
直接関係している先輩や同僚ではなく、違うプロジェクトや他部署の先輩や同僚からのアドバイスやフィ
ードバック。異なった視点や視野からの学びを得ることができ、その姿勢の重要性を学んだ体験。
周囲の人の支援
上司や先輩、同僚などが困ったときに助けてくれたことや、自分のことを気遣った言動など。支えられて
いることを実感でき、また、支えることの大切さを学んだ経験。
上司や先輩の放置
世話をしてくれるべき上司や先輩から放置された経験。何でも自分で考えたり、人に聞いたりして、とに
かく自分でやらざるをえない状況に追い込まれた経験。
勉強会や小集団活動への参加
社外や上司、先輩が講師を務める勉強会や、ワーキンググループやタスクフォースなどでの活動を通じ
て、未知のノウハウや考えに触れたり、議論したりした経験。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
25
言われたことをやるだけ(優秀なのだが)
リーダーやマネジャーへの不満ばかり
2年前
エンゲージメント(アセスメント):
成果は出していたが自信がなかった
やる気の素(自分軸)は人から信頼されること
リーダー候補 小森さんの変身
人が育つことへの喜びがあること知った
よくしてもらった感謝を忘れていた
経験学習(ラウンドテーブル):
先輩や同期から人が育つことはうれしいと聞いた
自分は人に対する感謝がないと気づいた
もっといろんな人から話を聞こう
プロセス改善を人を育てる道具にしよう
リーダーやマネジャーを目指してみよう
エンゲージメント(コーチング):
信頼とは自分のために人を助けること
自分が楽しいと思えることで周りを喜ばせたい
メンバーの好きなもの嫌いなものを探る
「楽しいレビュー」の仕組み作り開始
チーム:
メンバーの特徴からやり方を考えた
信頼構築にはメンバーを知ること
経験学習(ラウンドテーブル):
レビュイーはつらくて苦しい
肩書きに関係なくできることはある
メンバーが育つのが本当にうれしい
肩書きに関係なく仲間になった実感
経験学習(行動モデル):
人となりを知るための世間話
共通の価値観を知るための会話
チーム:
お互いに助け合う信頼関係
リーダーへの変身過程
マネジャー
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
チームとグループの違い
26
チームの特徴 グループの特徴
革新にフォーカス 改善にフォーカス
基盤はメンバー間の信頼関係 指示・指導の縦の関係
枠を越えて助け合い、補い合う 決められた作業を実行する
メンバーの多様な個性や特性を重視する 共通の特性・性質を重視する
一人ひとりが主体性・自主性を持つ 目標や業務は与えられるもの
失敗を許容する 規則正しいことを求める
階層的な上下関係はない 明確で階層的な上下関係
コンフリクトを恐れない 規則や常識を守る・波風を立たせない
発展させ新しい秩序を作ることを目指す 前例や秩序に準拠する
中長期の可能性に目を向ける 短期的な損得に目を向ける
破壊的イノベーション 漸進的改善
グループとは与えられたことや決められたことを間違いなくやる組織。チームとは、問題を解決し、価値を生み出す
ための組織。今、開発組織に求められているのはチームである。チームを組織するための仕組みが必要。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
チーム・ロール・アサイン
27
メンバーに対して技術者としての役割だけでなく、開発を進める上での役割をアサインする。これは、開発を通じて
どのような振る舞いをするのかであり、どのようなキャラクターを演じるかということもできる。
● ●
● ●
● ●
●
● ●
● ●
エレキ屋#1
エレキ屋#2
メカ屋#1
メカ屋#2
ソフト屋#1
ソフト屋#2
アグレッシブ・プレイヤー
アーリーアダプター・プレイヤー
ペースメーカー
バグ出し名人
ユーティリティ・プレイヤー
プロトタイプを作るのが得意。
新しいもの好きで、新技術の検証が得意。
お手本やプロトタイプを見て、どんどん開発を進める。
テストや評価で不具合(バグ)を出すのが得意。
開発の直接作業だけでなく環境構築や段取りもこなせる。
コラボレ­ター
横断的にチーム内および外の調整を行い、チームを導く。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
製品開発におけるチーム作り
28
プロジェクト・メンバーは従来 PM/PL が担当していた役割の一部分を担当する。最適なプロジェクト運営ができ、
メンバーはプロジェクトを通じて一貫した責任を持つことにより、自律性や広い視野を身につけることができる。
装置開発での例
顧客満足(営業部長)
製造性(工場長)
試作(試作屋)
組織の壁破壊(壊し屋)
対外協調(調整屋)
対内協調(潤滑油)
チーム構築(監督)
環境整備構築(土建屋)
・・・
基本
設計
試作
#1
試作
#2
製造
移管
商品
企画
量産
PM/PL が実施していた役割を分解し、個別のキャラクターとして定義する。メンバーは必ず
どれかのキャラクターを担当する(兼務もあり)。キャラクターは開発の最初から最後までを
通じてその責任を果たすため、開発へのオーナーシップを高める。メンバーの視野を広げるに
は、技術領域を広げるよりも、一貫した責任分野を持ち、広げることが有効。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
マネジャー
リーダーへの変身過程
29
言われたことをやるだけ(優秀なのだが)
リーダーやマネジャーへの不満ばかり
2年前
エンゲージメント(アセスメント):
成果は出していたが自信がなかった
やる気の素(自分軸)は人から信頼されること
リーダー候補 小森さんの変身
人が育つことへの喜びがあること知った
よくしてもらった感謝を忘れていた
経験学習(ラウンドテーブル):
先輩や同期から人が育つことはうれしいと聞いた
自分は人に対する感謝がないと気づいた
もっといろんな人から話を聞こう
プロセス改善を人を育てる道具にしよう
リーダーやマネジャーを目指してみよう
エンゲージメント(コーチング):
信頼とは自分のために人を助けること
自分が楽しいと思えることで周りを喜ばせたい
メンバーの好きなもの嫌いなものを探る
「楽しいレビュー」の仕組み作り開始
チーム:
メンバーの特徴からやり方を考えた
信頼構築にはメンバーを知ること
経験学習(ラウンドテーブル):
レビュイーはつらくて苦しい
肩書きに関係なくできることはある
メンバーが育つのが本当にうれしい
肩書きに関係なく仲間になった実感
経験学習(行動モデル):
人となりを知るための世間話
共通の価値観を知るための会話
チーム:
お互いに助け合う信頼関係
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
エンゲージメントとは
30
活力(Vigor) 熱意(Dedication) 没頭(Absorption)
エンゲージしている人は、
仕事の最中、エネルギッシュ
で、力がみなぎり、活気に
満ちていると感じる。自信
を持ち、パンチを効かせる
ことができ、やすやすとへ
こたれない。
エンゲージしている人は、
仕事との間に絆を感じ、
仕事に熱中している。職
場で起こることに対して
無関心ではなく、積極的
に自らの職務に意見を出
し、仕事に誇りを持って
いる。
エンゲージしている人は、
自分の仕事に完全に熱中
している。集中し、仕事
にやりがいを見出し、自
分がすることに喜びを感
じる。そして、働いてい
る時に、しばしば時間を
忘れてしまう。
エンゲージメントは、パフォーマンスと高い相関がある。
自分のタスクだけでなく、組織のため、他者のためとい
う意識がパフォーマンスに大きく関与するため。
エンゲージメント(ワーク・エンゲージメント)とは、感情とやる気をともなうポジティブな充実状態のことを指し、
活力(Vigor)、熱意(Dedication)、没頭(Absorption)の3つの側面からなる。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
エンゲージメント・アセスメント
31
24%
19%
	
57%
Engagement/
設計部門のエンゲージメント調査結果
組織としてのエンゲージメントが低いことが問題になりがちだが、個人ごとのエンゲージメントのバラツキが大きい
ことに注目する必要がある。
0"
10"
20"
30"
40"
50"
60"
	
Engagement(
個人別エンゲージメント
高い
低い
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
エンゲージメント・アセスメント
32
リーダーやマネジャー個人の価値観を明らかにして、各人の価値感に合わせて目標設定や行動指針などをブレークダ
ウンする。さらに、各人の価値観に合わせた育成方法を設計する。
自分視点他者視点
業務重視
マインド重視
#1
#2
#3
#4
#5
仕事を通じてメンバーが成長し、メンバー
が満足することを重視している。
業務成果を重視し、自分自身の成長や成
果が重要だと考えている。
考え方やマインドを優先し、メンバーの
成長や満足度を重視している。
考え方やマインドを優先し、自分自身の
満足度を重視している。
価値観には変えることができるものとで
きないものがある。各人をレベルアップ
する際には、変えることができない価値
観に合わせた方法を工夫する必要がある。
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
エンゲージメント・コーチング
33
自分の成長のもととなる自分らしさ(価値観)を引き出し、個人の価値観に合わせた気づきを促し、自分が変化する
ための決意を固め、行動に移すための取り組み。マンツーマンの面談スタイルを変える。
気づき
気持ち・考え方
に変化が生じる
決意
行動を起こすこ
とを決意する
行動
行動した達成感
がやる気を生む
• コーチと2人で話す
• 1回のセッションは原則 60 分
• 話す内容は秘密厳守
• セッションは原則ひとり3回実施
• 3回の実施期間は原則1∼2ヶ月
セッションの概要
エンゲージメント・コーチング 通常の個人向けの仕組み
利害関係のない第三者 利害関係がある上司
横の関係 上司と部下
気づき コミットメント
価値観・あるべき姿 方針展開・目標指向
アドバイス 指示・強制
リーダーづくり指向
プロジェクト・マネジメント
技術者が育ちリーダーになることを重視したプロジェクト・マネジメント
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
必要なのは技術者が成長する開発
35
これまでの開発プロセスなどの仕組みは「よい製品やサービス (Good Product)」をつくるためのものだった。今後
重視すべきは、「よい技術者」「よいリーダー」を育てるプロジェクト活動である。
Good Product
Good Service
良い製品を作るための
開発の仕組み
良い製品を作る
技術者を育てるための
開発プロジェクト
成長 自律性 創造性
製品/サービス
品質向上
期間短縮
コスト削減
管理
対象
目的
手段
技術者・リーダー
価値創造
イノベーション
持続的成長
育成
対象
目的
手段
これまでは、人材育成と製品開発は
別々の仕組みだった
開発実務を通じて技術者を育てる、
すなわち「ひとづくり」指向の開発
プロジェクト
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
必要なのは総合的に取り組むこと
チーム指向
経験学習
エンゲージ
メント
「チーム指向」の体制、「エンゲージメント」のスキル育成、「経験学習」の開発プロセスは相互に関係しており、
プロジェクトの中で並行してこの3つに取り組むことで、効果的、効率的な開発の仕組みとなる。
リーダーづくり指向プロジェクト・マネジメント
Team
Engagement
Experimental
Learning
36
共有ゾーン
自律性
イノベーション
助け合い
失敗の許容
行動モデル
成長実感
Copyright© 2014 RDPi Corporation
Restricted Person Only
「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント
アラン・ケイの言葉
37
It's not about your project performance,
it's about your people development performance.
This is especially true in hard-skills business,
e.g., engineering, tech., etc.
Alan Kay, March 13, 2011
大切なのはプロジェクトのパフォーマンスではなく、
人を育てるパフォーマンスだ。
専門技術が重要視されている(ハードスキル)ビジネス
ではとくにそうだといえる。
リーダーづくり製品開発マネジメント

More Related Content

Featured

Everything You Need To Know About ChatGPT
Everything You Need To Know About ChatGPTEverything You Need To Know About ChatGPT
Everything You Need To Know About ChatGPT
Expeed Software
 
Product Design Trends in 2024 | Teenage Engineerings
Product Design Trends in 2024 | Teenage EngineeringsProduct Design Trends in 2024 | Teenage Engineerings
Product Design Trends in 2024 | Teenage Engineerings
Pixeldarts
 
How Race, Age and Gender Shape Attitudes Towards Mental Health
How Race, Age and Gender Shape Attitudes Towards Mental HealthHow Race, Age and Gender Shape Attitudes Towards Mental Health
How Race, Age and Gender Shape Attitudes Towards Mental Health
ThinkNow
 
AI Trends in Creative Operations 2024 by Artwork Flow.pdf
AI Trends in Creative Operations 2024 by Artwork Flow.pdfAI Trends in Creative Operations 2024 by Artwork Flow.pdf
AI Trends in Creative Operations 2024 by Artwork Flow.pdf
marketingartwork
 
Skeleton Culture Code
Skeleton Culture CodeSkeleton Culture Code
Skeleton Culture Code
Skeleton Technologies
 
PEPSICO Presentation to CAGNY Conference Feb 2024
PEPSICO Presentation to CAGNY Conference Feb 2024PEPSICO Presentation to CAGNY Conference Feb 2024
PEPSICO Presentation to CAGNY Conference Feb 2024
Neil Kimberley
 
Content Methodology: A Best Practices Report (Webinar)
Content Methodology: A Best Practices Report (Webinar)Content Methodology: A Best Practices Report (Webinar)
Content Methodology: A Best Practices Report (Webinar)
contently
 
How to Prepare For a Successful Job Search for 2024
How to Prepare For a Successful Job Search for 2024How to Prepare For a Successful Job Search for 2024
How to Prepare For a Successful Job Search for 2024
Albert Qian
 
Social Media Marketing Trends 2024 // The Global Indie Insights
Social Media Marketing Trends 2024 // The Global Indie InsightsSocial Media Marketing Trends 2024 // The Global Indie Insights
Social Media Marketing Trends 2024 // The Global Indie Insights
Kurio // The Social Media Age(ncy)
 
Trends In Paid Search: Navigating The Digital Landscape In 2024
Trends In Paid Search: Navigating The Digital Landscape In 2024Trends In Paid Search: Navigating The Digital Landscape In 2024
Trends In Paid Search: Navigating The Digital Landscape In 2024
Search Engine Journal
 
5 Public speaking tips from TED - Visualized summary
5 Public speaking tips from TED - Visualized summary5 Public speaking tips from TED - Visualized summary
5 Public speaking tips from TED - Visualized summary
SpeakerHub
 
ChatGPT and the Future of Work - Clark Boyd
ChatGPT and the Future of Work - Clark Boyd ChatGPT and the Future of Work - Clark Boyd
ChatGPT and the Future of Work - Clark Boyd
Clark Boyd
 
Getting into the tech field. what next
Getting into the tech field. what next Getting into the tech field. what next
Getting into the tech field. what next
Tessa Mero
 
Google's Just Not That Into You: Understanding Core Updates & Search Intent
Google's Just Not That Into You: Understanding Core Updates & Search IntentGoogle's Just Not That Into You: Understanding Core Updates & Search Intent
Google's Just Not That Into You: Understanding Core Updates & Search Intent
Lily Ray
 
How to have difficult conversations
How to have difficult conversations How to have difficult conversations
How to have difficult conversations
Rajiv Jayarajah, MAppComm, ACC
 
Introduction to Data Science
Introduction to Data ScienceIntroduction to Data Science
Introduction to Data Science
Christy Abraham Joy
 
Time Management & Productivity - Best Practices
Time Management & Productivity -  Best PracticesTime Management & Productivity -  Best Practices
Time Management & Productivity - Best Practices
Vit Horky
 
The six step guide to practical project management
The six step guide to practical project managementThe six step guide to practical project management
The six step guide to practical project management
MindGenius
 
Beginners Guide to TikTok for Search - Rachel Pearson - We are Tilt __ Bright...
Beginners Guide to TikTok for Search - Rachel Pearson - We are Tilt __ Bright...Beginners Guide to TikTok for Search - Rachel Pearson - We are Tilt __ Bright...
Beginners Guide to TikTok for Search - Rachel Pearson - We are Tilt __ Bright...
RachelPearson36
 
Unlocking the Power of ChatGPT and AI in Testing - A Real-World Look, present...
Unlocking the Power of ChatGPT and AI in Testing - A Real-World Look, present...Unlocking the Power of ChatGPT and AI in Testing - A Real-World Look, present...
Unlocking the Power of ChatGPT and AI in Testing - A Real-World Look, present...
Applitools
 

Featured (20)

Everything You Need To Know About ChatGPT
Everything You Need To Know About ChatGPTEverything You Need To Know About ChatGPT
Everything You Need To Know About ChatGPT
 
Product Design Trends in 2024 | Teenage Engineerings
Product Design Trends in 2024 | Teenage EngineeringsProduct Design Trends in 2024 | Teenage Engineerings
Product Design Trends in 2024 | Teenage Engineerings
 
How Race, Age and Gender Shape Attitudes Towards Mental Health
How Race, Age and Gender Shape Attitudes Towards Mental HealthHow Race, Age and Gender Shape Attitudes Towards Mental Health
How Race, Age and Gender Shape Attitudes Towards Mental Health
 
AI Trends in Creative Operations 2024 by Artwork Flow.pdf
AI Trends in Creative Operations 2024 by Artwork Flow.pdfAI Trends in Creative Operations 2024 by Artwork Flow.pdf
AI Trends in Creative Operations 2024 by Artwork Flow.pdf
 
Skeleton Culture Code
Skeleton Culture CodeSkeleton Culture Code
Skeleton Culture Code
 
PEPSICO Presentation to CAGNY Conference Feb 2024
PEPSICO Presentation to CAGNY Conference Feb 2024PEPSICO Presentation to CAGNY Conference Feb 2024
PEPSICO Presentation to CAGNY Conference Feb 2024
 
Content Methodology: A Best Practices Report (Webinar)
Content Methodology: A Best Practices Report (Webinar)Content Methodology: A Best Practices Report (Webinar)
Content Methodology: A Best Practices Report (Webinar)
 
How to Prepare For a Successful Job Search for 2024
How to Prepare For a Successful Job Search for 2024How to Prepare For a Successful Job Search for 2024
How to Prepare For a Successful Job Search for 2024
 
Social Media Marketing Trends 2024 // The Global Indie Insights
Social Media Marketing Trends 2024 // The Global Indie InsightsSocial Media Marketing Trends 2024 // The Global Indie Insights
Social Media Marketing Trends 2024 // The Global Indie Insights
 
Trends In Paid Search: Navigating The Digital Landscape In 2024
Trends In Paid Search: Navigating The Digital Landscape In 2024Trends In Paid Search: Navigating The Digital Landscape In 2024
Trends In Paid Search: Navigating The Digital Landscape In 2024
 
5 Public speaking tips from TED - Visualized summary
5 Public speaking tips from TED - Visualized summary5 Public speaking tips from TED - Visualized summary
5 Public speaking tips from TED - Visualized summary
 
ChatGPT and the Future of Work - Clark Boyd
ChatGPT and the Future of Work - Clark Boyd ChatGPT and the Future of Work - Clark Boyd
ChatGPT and the Future of Work - Clark Boyd
 
Getting into the tech field. what next
Getting into the tech field. what next Getting into the tech field. what next
Getting into the tech field. what next
 
Google's Just Not That Into You: Understanding Core Updates & Search Intent
Google's Just Not That Into You: Understanding Core Updates & Search IntentGoogle's Just Not That Into You: Understanding Core Updates & Search Intent
Google's Just Not That Into You: Understanding Core Updates & Search Intent
 
How to have difficult conversations
How to have difficult conversations How to have difficult conversations
How to have difficult conversations
 
Introduction to Data Science
Introduction to Data ScienceIntroduction to Data Science
Introduction to Data Science
 
Time Management & Productivity - Best Practices
Time Management & Productivity -  Best PracticesTime Management & Productivity -  Best Practices
Time Management & Productivity - Best Practices
 
The six step guide to practical project management
The six step guide to practical project managementThe six step guide to practical project management
The six step guide to practical project management
 
Beginners Guide to TikTok for Search - Rachel Pearson - We are Tilt __ Bright...
Beginners Guide to TikTok for Search - Rachel Pearson - We are Tilt __ Bright...Beginners Guide to TikTok for Search - Rachel Pearson - We are Tilt __ Bright...
Beginners Guide to TikTok for Search - Rachel Pearson - We are Tilt __ Bright...
 
Unlocking the Power of ChatGPT and AI in Testing - A Real-World Look, present...
Unlocking the Power of ChatGPT and AI in Testing - A Real-World Look, present...Unlocking the Power of ChatGPT and AI in Testing - A Real-World Look, present...
Unlocking the Power of ChatGPT and AI in Testing - A Real-World Look, present...
 

リーダーづくり製品開発マネジメント

  • 1.
  • 3. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 製造業の競争力低下は中長期的な傾向 3 この 20 年間、日本の製造業は成長していない。競争力低下は顕著である。 電機産業「全日本」チームは、 1990 年から現在までの約 20 年間、 営業利益、時価総額をほ とんど増加していない。 成長しておらず、期待もされてい ないことがわかる。 日本の電機メーカー主力8社(NEC, パナソニック,ソニー,富士通,三菱 電機,東芝,シャープ,日立)を合計 した「オール日本」と、IBM、アップ ル、サムスン、シーメンスの各社とを 比較したグラフ。
  • 4. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 競争力低下の原因は現場の技術力低下 4 開発を見ているシニアマネジャーは、開発現場の技術力低下が本質的な課題だと指摘している。競争力低下の原因は 技術力低下にあり、その原因分析と対策が喫緊の課題である。 どうして自分たちででき ないのか? ウチの技術者 は能力がないのか? 携帯電話開発の役員 日本の技術者である必要 はない。海外で開発すれ ばいいのではないか? 車載製品開発の役員 マネジャーも技術者たちも 口を開けて指示を待ってい るだけ。自ら変わろうとし ない。 通信機器開発の事業部長 技術力も意識もアジアの 技術者の方が高い 計測器開発の役員 コンサルティングで関係したシニアマネジャーの声
  • 5. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 成長実感を持てない技術者 5 納期や品質などのプレッシャーの中で、開発現場の技術者はやりたいことや試したいことなどに挑戦する機会をもつ ことができず、成長している実感を持てていない。 とにかく納期遵守で仕事 を通じて成長できない 携帯端末開発のエレキ技術者 製品全体のことを知る 機会がなくいつまでも 半人前 通信機器開発の技術者 失敗できないので 満足な経験を積む ことができない 製造装置開発のメカ技術者 割り込みや雑務が多く 集中して設計に取り組 めない 民生品開発のソフト技術者 コンサルティングで関係した技術者の声
  • 6. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 成長を実感できない現実 6 「ワーキングパーソン調査 2012」( リクルートワークス研究所) 「部長や課長になれない人は若手 を育てることもなく、ずっと同じ ことしかしていない」 「ワークライフバランスと言いな がら、仕事への情熱をなくして趣 味に走っている中堅が多い」 「やる気がない人たちがいるのは わかっているが、どうしたらいい のかわからない」 成長を実感できない人は常に 20% 前後存在し、さらに、年齢とともに成長している実感を持てなくなっている。個 人がいくつになっても成長していると実感できることが、組織の強さにつながるはず。
  • 7. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 組織の仕組みが技術者の「力」を奪った これまでに構築してきた開発の仕組みが、技術者のスキル不足や技術力低下を引き起こしている。今、必要とされて いるのは自律性、創造性、変化対応力であり、技術者一人ひとりの意識を変える必要がある。 競争が激化する事業環境に対応する ために、組織のマネジメント(組織 環境や仕組み)を強化してきた。 開発プロセスや プロジェクト管理の強化 目的意識・創意工夫の欠如 成果主義や役割定義の推進 個人主義や事なかれ主義の増加 専門性や効率性への対応重視 タコツボ化, 失敗を許容しない組織文化 技術者個人は従順で保守的、個人主義的 な傾向となり、競争力を低下させる原因 となった。 7 開発の仕組み 技術者への影響
  • 9. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 個人のやる気 レクリエーション 昇格プログラム 集合教育・研修 開発の仕組み 個別育成プラン 仕組みを充実させても効果はなかった 9 開発現場の雰囲気を変え、個人のやる気を引き出そうと、人事面、福利厚生面、教育面といろいろな仕組みを充実さ せたが、技術者個人の意識は変わらずほとんど効果はなかった。
  • 10. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 個人のやる気 レクリエーション 昇格プログラム 集合教育・研修 開発の仕組み 個別育成プラン 仕組みを充実させても効果はなかった 10 ビジョンが なく場当たり的 上司との 人間関係に悩ん でいる 自分の 将来に確信が持 てない 非効率な 作業を強いられて るだけ 作業が 増えて時間がな くなる 昇格の必要性 を感じない 昇格後の自分 に自信がない 仕事に関係す ると思えない 自分の職場 に活かせない リーダーと なって引っ張るのは ちょっと 開発現場の雰囲気を変え、個人のやる気を引き出そうと、人事面、福利厚生面、教育面といろいろな仕組みを充実さ せたが、技術者個人の意識は変わらずほとんど効果はなかった。
  • 11. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント プロジェクト経験で生まれるのはネガティブ感情 11 開発プロジェクトを経験しても、実力を発揮することができないばかりか、上司や仲間に対するネガティブな感情が 残ることも少なくなかった。 言うことはスケジュール厳守だけ 困って相談しても何も解決してくれない 問題を指摘したら解決を任されるだけ 言っていることがコロコロ変わる リーダー 他人の尻ぬぐいはもう懲り懲り 忠告したのに無視されてしまう 長時間のレビューでぐったり 他のメンバー メンバー 増員、予算追加、延期、どれもダメ 何度も説明させられるが指示は精神論 マネジャー スケジュール(計画)があてにならない 単純ミスによる手戻りばかり 指示しないとやらない(待っているだけ) もう一緒に仕事したくない。 実力を発揮できない。 仕事に専念できない。 ある製造装置メーカーでのヒアリング結果
  • 12. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 2年前の小森さん 12 累積残業時間[h] 50h x 12month = 600h 40h x 12month = 480h 強い責任感で、誰よりも残業して仕事をこなしていた、入社5年目のリーダー候補の小森さん。 会社を辞める人や倒れる人もいることもあり、もう限界だと感じていた。 人に頼むよりは自分でやった方がずっと早い。 開発を進めるには自分が頑張るしかない。 会社も上司も同僚も、誰も助けてくれない。 仕組みが増えてやることが増えるばかり。 誰よりも仕事しているのに評価してくれない。 この2年間改良や設計変更ばかりで面白くない。 育ててくれる人も仕組みもない。 先輩2人は会社を辞めて、同僚の1人は倒れた。 小森
  • 13. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 技術者育成につながる3つの取り組み 13 成長 自律性 創造性 疲弊した開発現場を変えるためには、技術者が開発を通じて「創造性」や「自律性」 を発揮し、一人ひとりが「成 長」を実感できることが大切。そのために次の3つの考え方による取り組みを実施した。 技術者を育てるための 基本概念 チーム指向 Team エンゲージメント Engagement 経験学習 Experimental Learning 取り組みのカギ 各社のアセスメントを通じて、成長を実感できる 最大の要素は経験であること、必要なのは経験を 確実に成長につなげる方法論であることを確信。 技術者に対するコーチングを通じて、価値観は 一人ひとり違うことを実感し、個別の動機づけ・ 意識づけが自律性を高めることを実感。 新興メーカーや「ザ・チーム」の齋籐氏との交 流を通じて、プロジェクトの体制や人間関係が 創造性に大きく影響していることを確信。
  • 14. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント マネジャー 候補 リーダーへの変身過程 14 開発業務を通じて経験できること、実感できることが大きく変わり、リーダーに相応しい存在になった。 言われたことをやるだけ(優秀なのだが) リーダーやマネジャーへの不満ばかり 2年前 エンゲージメント(アセスメント): 成果は出していたが自信がなかった やる気の素(自分軸)は人から信頼されること リーダー候補 小森さんの変身 人が育つことへの喜びがあること知った よくしてもらった感謝を忘れていた 経験学習(ラウンドテーブル): 先輩や同期から人が育つことはうれしいと聞いた 自分は人に対する感謝がないと気づいた もっといろんな人から話を聞こう プロセス改善を人を育てる道具にしよう リーダーやマネジャーを目指してみよう エンゲージメント(コーチング): 信頼とは自分のために人を助けること 自分が楽しいと思えることで周りを喜ばせたい メンバーの好きなもの嫌いなものを探る 「楽しいレビュー」の仕組み作り開始 チーム: メンバーの特徴からやり方を考えた 信頼構築にはメンバーを知ること 経験学習(ラウンドテーブル): レビュイーはつらくて苦しい 肩書きに関係なくできることはある メンバーが育つのが本当にうれしい 肩書きに関係なく仲間になった実感 経験学習(行動モデル): 人となりを知るための世間話 共通の価値観を知るための会話 チーム: お互いに助け合う信頼関係
  • 15. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 技術者が変わったことを実感 15 開発を見ているマネジャーたちは、製品開発を通じて、現場の技術者たちの発言や行動が変わっていくことを実感す る。実際、プロジェクトを任せることができるリーダーが増えた。 プロジェクトを任せる ことができるリーダー が2倍に増えた。 あんなに自分勝手だった のに、メンバーの世話を するようになるとは。 おかしなことを要求するこ ともあるけど、自分から行 動を起こすようになった。 職場の雰囲気が明るく なってうれしい。 ある製造装置メーカーの マネジャーたち
  • 16. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 変化した開発プロジェクトの経験 16 開発プロジェクトが上司や仲間に対するポジティブな感情が生まれる場となった。 自分の成長目標を働きかけ リーダーの思いを聞く ゴール達成をあきらめない 考えや目標を共有する 問いかけて気づかせる 足りないところは手伝う ビジョンを共有する働きかけ やれる可能性を追求する やりたいことを共有する働きかけ ゴールを共有して手段は任せる 工程(過程)を大切にする あのリーダーと、 あのメンバーと、 また仕事したい。 リーダー 他のメンバー メンバー マネジャー 変化した開発プロジェクト
  • 17. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 仕事に対する満足度の向上 17 Before 9 2% 8 5% 7 7% 6 11% 5 16% 4 23% 3 20% 2 13% 1 3% After 10 14%9 1%8 10% 7 25% 6 10% 5 20% 4 7% 3 7% 2 3% 1 3% 仕事に対する満足度(最低点:1,最高点:10) 技術者の仕事に対する満足度は1年で大きく改善した。ヒアリングによって、満足度の向上には成長実感が強く関係 していることが確認できている。 (仕組み運用1年後) 「この1年で成長した気がしない」 「この先の自分を想像できない」 「お節介や自慢することが大切だと気づいた」 「失敗を通じて成長することができた」 技術者 61 人
  • 19. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント リーダーづくり指向 プロジェクト・マネジメント ゴールが明確な、少人数の異なる 役割をもつメンバーからなる「チー ム」を基本とした体制にする。革 新を生むために、具体的な目標を 共有し、主体性をもったメンバー が相互に助け合い、失敗を許容し、 議論する場となる。 組織(チーム)の成功に貢献しようと するモチベーションを高め、維持する ためのスキルを育成する。目標達成の ために自ら努力しようとする自律性や、 積極的なメンバーへの働きかけを実践 するマインドを強化する。 常に業務を通じて成長するために、 「経験」から学び成長する環境や作 業手順を構築する。技術者個人が自 発的に学び、成長を繰り返すための 開発プロセスとなる。 「チーム指向」「エンゲージメント」「経験学習」を基本概念とし、開発業務を通じて、技術者の成長、自律性、創 造性を生むプロジェクトの取り組みを「リーダーづくり指向開発プロジェクト・マネジメント」とよびたい。 リーダーづくり指向プロジェクト・マネジメント 技術者が自律的に創造性などの能力を発揮し、開発を通じ て成長を実感できる「ひとづくり」を指向した開発プロジェ クト・マネジメント。従来の組織レベルの開発(マクロ) プロセスとは違い、個人の行動に注目したミクロプロセス である。「チーム指向」「エンゲージメント」「経験学習」 の3つの基本概念を組み込んだものである。 チーム指向 Team エンゲージ メント Engagement 経験学習 Experimental Learning 19 リーダーづくり 指向 プロジェクト マネジメント
  • 20. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 20 言われたことをやるだけ(優秀なのだが) リーダーやマネジャーへの不満ばかり 2年前 エンゲージメント(アセスメント): 成果は出していたが自信がなかった やる気の素(自分軸)は人から信頼されること リーダー候補 小森さんの変身 人が育つことへの喜びがあること知った よくしてもらった感謝を忘れていた 経験学習(ラウンドテーブル): 先輩や同期から人が育つことはうれしいと聞いた 自分は人に対する感謝がないと気づいた もっといろんな人から話を聞こう プロセス改善を人を育てる道具にしよう リーダーやマネジャーを目指してみよう エンゲージメント(コーチング): 信頼とは自分のために人を助けること 自分が楽しいと思えることで周りを喜ばせたい メンバーの好きなもの嫌いなものを探る 「楽しいレビュー」の仕組み作り開始 チーム: メンバーの特徴からやり方を考えた 信頼構築にはメンバーを知ること 経験学習(ラウンドテーブル): レビュイーはつらくて苦しい 肩書きに関係なくできることはある メンバーが育つのが本当にうれしい 肩書きに関係なく仲間になった実感 経験学習(行動モデル): 人となりを知るための世間話 共通の価値観を知るための会話 チーム: お互いに助け合う信頼関係 リーダーへの変身過程 マネジャー
  • 21. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 経験学習 21 Lombardo and Eichinger 開発の実業務の中での様々な経験ことが成長するためにもっとも効果的な要素である。そのため、経験をより高い学 習効果にするための「経験学習サイクル」を開発業務の中に組み込む。 具体的経験 内省的観察 抽象的概念化積極的実践 Concrete Experience Reflective Observation Abstract ConceptualizationActive Experimentation 経験学習サイクルを開発業務(プロセス) の中に組み込む 経験学習 サイクル 組織行動学者デービッド・コルブ
  • 22. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント ラウンド・テーブル 22 個別の個別セッションと共有ミーティングを繰り返すことにより、リーダーとしての理想像とその実現に向けた具 体的な行動を明らかにするとともに、メンバー全員での共有と相互刺激による定着を行う。 個別セッション #1 共有 ミーティング #1 Week #1 Week #2 Week #3 Week #4 Week #5 Week #6 個別セッション #2 個別セッション #3 共有 ミーティング #2 共有 ミーティング #3 ワーク(宿題) ワーク(宿題) ワーク(宿題)
  • 23. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント ラウンド・テーブルの実施内容 23 具体的な場面やイベントを思い出してもら い、その時の自分の感情・思考を振り返る 自分自身が大切にしていることを確認し、 自分なりの言葉(キーワード)で表現する。 個別セッション #1 個人の価値観の把握 共有ミーティング #1 価値観とパフォーマンスの考察 個人セッションやその後に気づいたこと、 共有ミーティングへの期待を共有する。 自分の価値観とパフォーマンスの関係に ついて、ホワイトボードを使って整理し お互いの理解を深める。 整理した内容を見て思うこと/感じるこ とを順に発表し、自分が最初に取り組む テーマを決める。 最初に取り組むテーマと具体的なアクショ ンプランを発表する。 共有ミーティングでの考察をもとに、パ フォーマンス向上とその障害となるものに ついて深堀りする。 自分の内面、本音に気づく。 個別セッション #2 パフォーマンスの深堀り これまでの取り組みから、自分自身の理想 のリーダー像を整理する。また、さらなる パフォーマンス向上の観点で振り返りを行 う。 個別セッション #3 リーダー像の深堀り 共有ミーティング #2 関係性の考察 前回のアクションプランの振り返りと、 個人セッションでの気づきを共有する。 見習いたいこと、変えるといいことを各々 指摘し、聞いて感じたことを伝える。 自分と部下のモチベーション向上、およ び、自律についての考え、悩みを共有し 共感を引き出す。 自分の問題としてとらえ、質問、指摘を 繰り返し、知恵を出し合う。 チームとしての関係性構築が基本であり 最重要であることを実感する。 共有ミーティング #3 リーダー育成モデルの実行宣言 連続的な成長のための縦の関係の強化に 加えて、非連続な成長のためには横の関 係を強化することが重要である認識を共 有し、そのための継続的アクションのた めの仕組み化をコミットする。 行動のもととなるモチベーション、およ び、アクションのための前提条件(クリ アすべき条件)を明確にする。 自分自身のあるべきリーダー像を定義し、 確実にそのための行動を起こすことをコ ミットする。
  • 24. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 成長を実感できた経験の調査 24 技術者にヒアリングを実施し、どのような経験が成長に効果的だったのかの基礎データを収集した後、それを経験の 種類ごとに分類し、どのような時期にどのような状況で効果的なのかを分析した。 経験分類 経験の内容 未経験の新しい製品開発 それまでにかかわったことのない製品開発、もしくは、経験したことのない技術要素を必要とする製品開 発。失敗を繰り返したり、悩んだりしながら何とか開発を進めた経験。 事業部を越えた異動 事業部を越えた異動や出向など、周りが知らない人ばかりの組織への異動。居心地の悪さや孤独を感じな がらも、何とか周囲との人間関係を構築して仕事を進めた経験。 事業部を越えた協業 他の事業部や他社のメンバーと共同して開発を行った協業。知識や経験、考え方が大きく違う人たちと、 利害を調整しながら同じゴールに向かって協力関係を構築した経験。 顧客からの厳しい要求 顧客からの無理難題とも思える仕様や納期など要求への対応や重大なトラブルの対応など、顧客から直接 的に厳しいことを要求された経験。何とか要求に応える過程で、面白みや達成感を感じた経験。 顧客との直接のやりとり 顧客と直接会話することで、肯定的/否定的なフィードバックをもらった経験。自分の仕事や開発してい る製品が顧客にどのような価値を提供しているのかを実感できた経験。 他部の先輩や同僚とのやりとり 直接関係している先輩や同僚ではなく、違うプロジェクトや他部署の先輩や同僚からのアドバイスやフィ ードバック。異なった視点や視野からの学びを得ることができ、その姿勢の重要性を学んだ体験。 周囲の人の支援 上司や先輩、同僚などが困ったときに助けてくれたことや、自分のことを気遣った言動など。支えられて いることを実感でき、また、支えることの大切さを学んだ経験。 上司や先輩の放置 世話をしてくれるべき上司や先輩から放置された経験。何でも自分で考えたり、人に聞いたりして、とに かく自分でやらざるをえない状況に追い込まれた経験。 勉強会や小集団活動への参加 社外や上司、先輩が講師を務める勉強会や、ワーキンググループやタスクフォースなどでの活動を通じ て、未知のノウハウや考えに触れたり、議論したりした経験。
  • 25. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 25 言われたことをやるだけ(優秀なのだが) リーダーやマネジャーへの不満ばかり 2年前 エンゲージメント(アセスメント): 成果は出していたが自信がなかった やる気の素(自分軸)は人から信頼されること リーダー候補 小森さんの変身 人が育つことへの喜びがあること知った よくしてもらった感謝を忘れていた 経験学習(ラウンドテーブル): 先輩や同期から人が育つことはうれしいと聞いた 自分は人に対する感謝がないと気づいた もっといろんな人から話を聞こう プロセス改善を人を育てる道具にしよう リーダーやマネジャーを目指してみよう エンゲージメント(コーチング): 信頼とは自分のために人を助けること 自分が楽しいと思えることで周りを喜ばせたい メンバーの好きなもの嫌いなものを探る 「楽しいレビュー」の仕組み作り開始 チーム: メンバーの特徴からやり方を考えた 信頼構築にはメンバーを知ること 経験学習(ラウンドテーブル): レビュイーはつらくて苦しい 肩書きに関係なくできることはある メンバーが育つのが本当にうれしい 肩書きに関係なく仲間になった実感 経験学習(行動モデル): 人となりを知るための世間話 共通の価値観を知るための会話 チーム: お互いに助け合う信頼関係 リーダーへの変身過程 マネジャー
  • 26. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント チームとグループの違い 26 チームの特徴 グループの特徴 革新にフォーカス 改善にフォーカス 基盤はメンバー間の信頼関係 指示・指導の縦の関係 枠を越えて助け合い、補い合う 決められた作業を実行する メンバーの多様な個性や特性を重視する 共通の特性・性質を重視する 一人ひとりが主体性・自主性を持つ 目標や業務は与えられるもの 失敗を許容する 規則正しいことを求める 階層的な上下関係はない 明確で階層的な上下関係 コンフリクトを恐れない 規則や常識を守る・波風を立たせない 発展させ新しい秩序を作ることを目指す 前例や秩序に準拠する 中長期の可能性に目を向ける 短期的な損得に目を向ける 破壊的イノベーション 漸進的改善 グループとは与えられたことや決められたことを間違いなくやる組織。チームとは、問題を解決し、価値を生み出す ための組織。今、開発組織に求められているのはチームである。チームを組織するための仕組みが必要。
  • 27. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント チーム・ロール・アサイン 27 メンバーに対して技術者としての役割だけでなく、開発を進める上での役割をアサインする。これは、開発を通じて どのような振る舞いをするのかであり、どのようなキャラクターを演じるかということもできる。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● エレキ屋#1 エレキ屋#2 メカ屋#1 メカ屋#2 ソフト屋#1 ソフト屋#2 アグレッシブ・プレイヤー アーリーアダプター・プレイヤー ペースメーカー バグ出し名人 ユーティリティ・プレイヤー プロトタイプを作るのが得意。 新しいもの好きで、新技術の検証が得意。 お手本やプロトタイプを見て、どんどん開発を進める。 テストや評価で不具合(バグ)を出すのが得意。 開発の直接作業だけでなく環境構築や段取りもこなせる。 コラボレ­ター 横断的にチーム内および外の調整を行い、チームを導く。
  • 28. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 製品開発におけるチーム作り 28 プロジェクト・メンバーは従来 PM/PL が担当していた役割の一部分を担当する。最適なプロジェクト運営ができ、 メンバーはプロジェクトを通じて一貫した責任を持つことにより、自律性や広い視野を身につけることができる。 装置開発での例 顧客満足(営業部長) 製造性(工場長) 試作(試作屋) 組織の壁破壊(壊し屋) 対外協調(調整屋) 対内協調(潤滑油) チーム構築(監督) 環境整備構築(土建屋) ・・・ 基本 設計 試作 #1 試作 #2 製造 移管 商品 企画 量産 PM/PL が実施していた役割を分解し、個別のキャラクターとして定義する。メンバーは必ず どれかのキャラクターを担当する(兼務もあり)。キャラクターは開発の最初から最後までを 通じてその責任を果たすため、開発へのオーナーシップを高める。メンバーの視野を広げるに は、技術領域を広げるよりも、一貫した責任分野を持ち、広げることが有効。
  • 29. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント マネジャー リーダーへの変身過程 29 言われたことをやるだけ(優秀なのだが) リーダーやマネジャーへの不満ばかり 2年前 エンゲージメント(アセスメント): 成果は出していたが自信がなかった やる気の素(自分軸)は人から信頼されること リーダー候補 小森さんの変身 人が育つことへの喜びがあること知った よくしてもらった感謝を忘れていた 経験学習(ラウンドテーブル): 先輩や同期から人が育つことはうれしいと聞いた 自分は人に対する感謝がないと気づいた もっといろんな人から話を聞こう プロセス改善を人を育てる道具にしよう リーダーやマネジャーを目指してみよう エンゲージメント(コーチング): 信頼とは自分のために人を助けること 自分が楽しいと思えることで周りを喜ばせたい メンバーの好きなもの嫌いなものを探る 「楽しいレビュー」の仕組み作り開始 チーム: メンバーの特徴からやり方を考えた 信頼構築にはメンバーを知ること 経験学習(ラウンドテーブル): レビュイーはつらくて苦しい 肩書きに関係なくできることはある メンバーが育つのが本当にうれしい 肩書きに関係なく仲間になった実感 経験学習(行動モデル): 人となりを知るための世間話 共通の価値観を知るための会話 チーム: お互いに助け合う信頼関係
  • 30. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント エンゲージメントとは 30 活力(Vigor) 熱意(Dedication) 没頭(Absorption) エンゲージしている人は、 仕事の最中、エネルギッシュ で、力がみなぎり、活気に 満ちていると感じる。自信 を持ち、パンチを効かせる ことができ、やすやすとへ こたれない。 エンゲージしている人は、 仕事との間に絆を感じ、 仕事に熱中している。職 場で起こることに対して 無関心ではなく、積極的 に自らの職務に意見を出 し、仕事に誇りを持って いる。 エンゲージしている人は、 自分の仕事に完全に熱中 している。集中し、仕事 にやりがいを見出し、自 分がすることに喜びを感 じる。そして、働いてい る時に、しばしば時間を 忘れてしまう。 エンゲージメントは、パフォーマンスと高い相関がある。 自分のタスクだけでなく、組織のため、他者のためとい う意識がパフォーマンスに大きく関与するため。 エンゲージメント(ワーク・エンゲージメント)とは、感情とやる気をともなうポジティブな充実状態のことを指し、 活力(Vigor)、熱意(Dedication)、没頭(Absorption)の3つの側面からなる。
  • 31. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント エンゲージメント・アセスメント 31 24% 19% 57% Engagement/ 設計部門のエンゲージメント調査結果 組織としてのエンゲージメントが低いことが問題になりがちだが、個人ごとのエンゲージメントのバラツキが大きい ことに注目する必要がある。 0" 10" 20" 30" 40" 50" 60" Engagement( 個人別エンゲージメント 高い 低い
  • 32. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント エンゲージメント・アセスメント 32 リーダーやマネジャー個人の価値観を明らかにして、各人の価値感に合わせて目標設定や行動指針などをブレークダ ウンする。さらに、各人の価値観に合わせた育成方法を設計する。 自分視点他者視点 業務重視 マインド重視 #1 #2 #3 #4 #5 仕事を通じてメンバーが成長し、メンバー が満足することを重視している。 業務成果を重視し、自分自身の成長や成 果が重要だと考えている。 考え方やマインドを優先し、メンバーの 成長や満足度を重視している。 考え方やマインドを優先し、自分自身の 満足度を重視している。 価値観には変えることができるものとで きないものがある。各人をレベルアップ する際には、変えることができない価値 観に合わせた方法を工夫する必要がある。
  • 33. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント エンゲージメント・コーチング 33 自分の成長のもととなる自分らしさ(価値観)を引き出し、個人の価値観に合わせた気づきを促し、自分が変化する ための決意を固め、行動に移すための取り組み。マンツーマンの面談スタイルを変える。 気づき 気持ち・考え方 に変化が生じる 決意 行動を起こすこ とを決意する 行動 行動した達成感 がやる気を生む • コーチと2人で話す • 1回のセッションは原則 60 分 • 話す内容は秘密厳守 • セッションは原則ひとり3回実施 • 3回の実施期間は原則1∼2ヶ月 セッションの概要 エンゲージメント・コーチング 通常の個人向けの仕組み 利害関係のない第三者 利害関係がある上司 横の関係 上司と部下 気づき コミットメント 価値観・あるべき姿 方針展開・目標指向 アドバイス 指示・強制
  • 35. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 必要なのは技術者が成長する開発 35 これまでの開発プロセスなどの仕組みは「よい製品やサービス (Good Product)」をつくるためのものだった。今後 重視すべきは、「よい技術者」「よいリーダー」を育てるプロジェクト活動である。 Good Product Good Service 良い製品を作るための 開発の仕組み 良い製品を作る 技術者を育てるための 開発プロジェクト 成長 自律性 創造性 製品/サービス 品質向上 期間短縮 コスト削減 管理 対象 目的 手段 技術者・リーダー 価値創造 イノベーション 持続的成長 育成 対象 目的 手段 これまでは、人材育成と製品開発は 別々の仕組みだった 開発実務を通じて技術者を育てる、 すなわち「ひとづくり」指向の開発 プロジェクト
  • 36. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント 必要なのは総合的に取り組むこと チーム指向 経験学習 エンゲージ メント 「チーム指向」の体制、「エンゲージメント」のスキル育成、「経験学習」の開発プロセスは相互に関係しており、 プロジェクトの中で並行してこの3つに取り組むことで、効果的、効率的な開発の仕組みとなる。 リーダーづくり指向プロジェクト・マネジメント Team Engagement Experimental Learning 36 共有ゾーン 自律性 イノベーション 助け合い 失敗の許容 行動モデル 成長実感
  • 37. Copyright© 2014 RDPi Corporation Restricted Person Only 「リーダーづくり」指向のプロジェクト・マネジメント アラン・ケイの言葉 37 It's not about your project performance, it's about your people development performance. This is especially true in hard-skills business, e.g., engineering, tech., etc. Alan Kay, March 13, 2011 大切なのはプロジェクトのパフォーマンスではなく、 人を育てるパフォーマンスだ。 専門技術が重要視されている(ハードスキル)ビジネス ではとくにそうだといえる。