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協和発酵バイオ株式会社
シトルリン
L-Citrulline
シトルリンの物性
外観 白色粉末
溶解性 水に易溶(20℃、200g/L)
等電点(pI) 5.92
吸湿性 なし(相対湿度75%下、7日間吸湿率0.02%)
味 わずかな苦味
匂い わずかに特異なにおい
溶解でpH6.0付近
pH調整が容易
安定性高い
組織中のシトルリン含有量
組織
血漿
筋肉
血漿
腎臓
筋肉
血漿
濃度
3.6-9.6 mg/mL
22.8±5.3 mg/mL(細胞内液)
15.2-17.9 mg/mL
50.0-67.6 mg/g 湿重量
15.4-29.1 mg/g 湿重量
10.8-13.4 mg/g 湿重量
ヒト 健常者 1)
ヒト(男性)健常者 2)
ブタ 平均体重 7.7kg 3)
ブタ 平均体重 7.7kg 3)
ブタ 平均体重 7.7kg 3)
SDラット(雄) 体重 150-175g 4)
1) Callis A. et al., Arzneimittel-Forschung. 41(6):660-3, 1991
2) Alteheld B. et al., Metabolic & therapeutic aspects of amino acids in clinical nutrition. Chap2, 29-44
3) Edomonds MS. et al., Journal of Animal Science.65(3):706-16, 1987
4) Hartman WJ. et al., Journal of Nutrition. 124(10):1950-60, 1994
食品中のシトルリン含有量(100g中含有量)
野生スイカ
スイカ (野生スイカの葉)
(栽培種の実)
(栽培種の実)
(栽培種の皮 白い部分)
(栽培種の皮 緑の部分)
(栽培種の種)
ニガウリ
キュウリ
メロン
クコの実
420mg 1)
180mg 2)
130mg 3)
156mg 3)
271mg 3)
28mg 3)
2-16mg 3)
5-10mg 3)
50mg 3)
34mg 3)
1) Kawasaki S. et al., Plant & Cell Physiology. 41(7):864-73, 2000
2) Rimando AM. et al., Journal of Chromatography A. 1078:196-200, 2005
3) 自社データ(協和発酵バイオ㈱ヘルスケア商品開発センター)
栽培種
NMFにはセリン、グリシン、アラニン、シトルリンなどが多くアミノ酸が含まれている。
肌のアミノ酸量と水分含量には正の相関がある。
Horii I. et al., British Journal of Dermatology. 1989
NMF・・・Natural moisturing factorの略。肌の保湿成分で、
角層細胞に10~30%含まれる水分を保持する物質。
NMFとは...
水
分
蒸
散
肌とNMFの模式図
角
質
層
顆
粒
層
NMF
NMFの素
シトルリンの生理機能
◆血管への影響 : NO産生を介した作用
血管拡張・血流促進
◆栄養状態の改善 : アルギニンの前駆体としての作用
タンパク合成促進
◆アンモニア解毒 :オルニチンサイクルの構成成分としての作用
◆抗酸化効果 : 活性酸素消去作用
シトルリン
アルギニン
NO
NOS
アルギニノコハク酸
Toxic!!
アルギニン
オルニチン
シトルリン
尿素
カルバモイル
リン酸
H2O
CO2+NH3
Pi
シトルリンの体内動態
実験方法
6週齢SDラットに500mg/Kg(B.W.)
シトルリン経口投与を行った。
投与後0分、5分、10分、15分、30分、
1時間、2時間、4時間に腹下大静脈および
門脈より採血を行った。
結果
腹下大静脈および門脈ともに投与後30分で
ピークに達し、その後減少した。
協和発酵バイオ社内データ
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
0 1 2 3 4 5
門脈
腹下大静脈
投与後時間(時間)
nmol/mL
血中シトルリン濃度
0
時間[h]
0 2 4 6 8 10 12
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
血漿中アルギニン濃度(mM)
アルギニン投与
シトルリン投与
AUC:2.8
AUC:1.7
0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
アルギニン
シトルリン
AUC(mmol/L*h)
N=5
血漿アルギニン濃度のAUC0-12
血中アルギニンを上昇させるには、シトルリン摂取がより効果的 -1
協和発酵バイオ社内データ
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
アルギニン
3.2g/day
シトルリン
3.0g/day
AUC(mmol/L・h)
Schwedhelm E. et al., British Journal of Clinical Pharmacology. 65(1):51-9, 2008 改変
血漿アルギニンの濃度AUC0-24
血中アルギニンを上昇させるには、シトルリン摂取がより効果的 -2
実験方法
平均57歳の健常男女20名(168名から血中
ADMA濃度が高めのヒトを選抜)にシトルリン
1.5g(0.75g×2回/day)または3g(1.5×2回
/day)、アルギニン3.2g(1.6g×2回/day)を6日
間摂取させ、7日目に半量ずつ摂取した直後から
24時間の間に8回採血し、血漿アルギニン濃度
を測定した。
シトルリン
1.5g/day
結果
シトルリン摂取群では、濃度依存的に血漿ア
ルギニンAUCが高まった。またシトルリン1.5g
群とアルギニン群の血漿アルギニンAUCがほ
とんど同じであったことから、半量のシトルリン
摂取量でアルギニン摂取と同等の血漿アルギ
ニン上昇効果が認められた。
P<0.01
Mean±SEM
n=20
期待されるシトルリン作用概要
シトルリン摂取
アルギニンレベル上昇
NO産生促進
血管拡張
冷え
改善
むくみ
改善
動脈硬化
改善運動パフォーマンス
アップ
L-シトルリン摂取による体温上昇試験
デザイン:二重遮蔽、クロスオーバー
被験者:健康な成人男性4名、女性2名
サンプル:L-シトルリン 800mg、もしくはプラセボ
摂取方法:単回摂取
測定項目:摂取後90分までの体温測定およびサーモグラフを比較
シトルリン摂取した場合、プラセ
ボ摂取時に比べて、首&肩+右
掌で有意な体表面温度上昇の
効果が認められた。
0
0.5
1
1.5
2
30min 60min 90min
0mg
800mg
温
度
変
化
℃
協和発酵バイオ取得データ
冷え改善
冷え改善
冷え改善
◆ デザイン: 二重遮蔽・プラセボコントロール・クロスオーバー
◆ 被験者: むくみ選抜基準に合格した健常成人女性(20-38 歳)、12名
◆ サンプル: L-シトルリン 3.2g、またはプラセボ(コーンスターチ)
◆ 摂取方法: 5日間継続摂取(卵胞期に実施:※月経開始日をDay1と定義し、Day5~Day12の間)
◆ 測定日: 5日間継続摂取の1日目(単回効果)、5日目(継続効果)
◆ 測定時間: 摂取前(-20min)及び摂取120、240、360min後
◆ 検査内容: 脹脛周囲長(最大部、及び最大部の下5cm:医療用JIS規格1級ガラス繊維製
メジャーにより測定)
着座&飲水負荷むくみ誘発モデル
着座開始
120min 240min0min-60min-80min
試験食摂取
(水100mL)
360min
:測定
※ 0~30minの間に水500mLを摂取測定スケジュール
来院
昼食
-20min
むくみ発現<脹脛周囲長>の改善試験
むくみ改善
L-シトルリン摂取により、プラセボ群に比べて有意なむくみの改善がみられた
継続摂取
(h)
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0 2 4 6
シトルリン
プラセボ
P=0.15
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0 2 4 6
シトルリン
プラセボ
(h)
平均±SEM, N=12
*P<0.05 vs プラセボ
P=0.1
P=0.09
*
最大部
最大部
下5cm
プラセボ
L-シトルリン
継続摂取時むくみ誘発試験前 後
むくみ改善
むくみ発現<脹脛周囲長>の改善試験
《実験方法》
3,4ケ月齢のNew Zealand white
rabbitsに高コレステロール食(0.5%)
を12週間摂食。合わせて下記のサンプ
ルも摂取させた。
Gp1:コントロール
Gp2:L-アルギニン (2.5%飲水)
Gp3:L-シトルリン (2.0%飲水)
Gp4:L-アルギニン+L-シトルリン
Gp5:ビタミンE150mg/kg(B.W.)
+ビタミンC(0.25%飲水)
Gp6:L-アルギニン+ビタミンE、C
Gp7:Mix
Hayashi T. et al., 102(38):13681-6, 2005
シトルリン経口摂取による動脈硬化抑制
動脈硬化改善
* P<0.05, vs. Gp1
15
0
20
5
10
25
Gp7Gp3 Gp4 Gp5 Gp6Gp1 Gp2
L-Arginine - + - + - + +
L-Citrulline - ー + + - ー +
Vitamin C+E - ー ー ー + + +
血管上動脈硬化病変の占める割合
*
*
area(%)
シトルリンによるパフォーマンスアップが期待できる。
→ パフォーマンスUP → 筋肉痛抑制
Pérez-Guisado J, et al., J Strength Cond Res.
May;24(5):1215-22, 2010
運動パフォーマンスアップ
0
1
2
3
4
5
24時間後 48時間後
プラセボ
シトルリン
*
*
* P<0.05
5
7
9
11
13
set1 set2 set3 set4
プラセボ
シトルリン
*
*p<0.01
弱
*
少
多
ベ
ン
チ
プ
レ
ス
回
数
ベンチプレス反復回数 運動後の筋肉痛
強
(回)
《実験方法》
ジムに通っている29.80±7.64歳、体重81.12±17.43kgの健康男性41名に
シトルリンリンゴ酸塩8g(シトルリンとして4.5g)を単回摂取させ、ベンチプレスを4セット
行い、反復回数を測定した。また、運動後の筋肉痛をアンケート評価した。
※ 各人持ち上げられる最大重量の8割の重量で、ベンチプレスを実施した。
痛
み
シトルリン体感アンケート試験
協和発酵バイオ㈱ 社内データ
試験デザイン:2重盲検、並行群間法
被験者: 45-65歳 男女、36名(18名×2群)、
血行不良、疲労気味のヒトを事前スクリーニング(VAS)
被験物質:シトルリン 800 mg、もしくはプラセボ
摂取方法:1日1回、夕食2時間後から就寝前、3週間摂取
検査内容:血流、精力、肌に関するVASアンケート
■試験概要
■スケジュール
シトルリン or プラセボ 摂取
VASアンケート:
摂取1w 摂取2w 摂取3w開始選抜
割付
協和発酵バイオ社内データ
VASアンケート項目
体の冷え 全く感じない ⇔ 非常に冷えて辛い
体がぽかぽかする 非常に感じる ⇔ 全く感じない
手足や顔のむくみ 全く感じない ⇔ 常にむくんでいて辛い
顔の血色 非常に良い ⇔ 黒ずんでいる
性的能力の衰え 全く感じない ⇔ 非常に感じる
性欲の低下 全く感じない ⇔ 非常に感じる
早朝勃起 全くない ⇔ 毎朝勃起している
肌の荒れ 全くない ⇔ 非常に荒れている
肌のかさつき 全く感じない ⇔ かさかさである
血流
精力
肌質
算出方法
感じない
(体感指数0)
常に感じる
(体感指数10)A
感じない
(体感指数0)
常に感じる
(体感指数10)
B
摂取開始
3週間後
A-B
* 結果の値が大きいほど、
正常(気にならない、有訴症
状ない)であることを示す。
A-B = 体感指数の変化■
アンケートの解析方法
血流
■「体の冷え」が有意に改善した(P<0.05)
■「体がぽかぽかする」、「手足のむくみ」、「顔の血色」が改善傾向
シトルリン
プラセボ
平均値±SEM(N=18)
* P<0.05 vs プラセボ
体感指数の変化
体の冷え 体がぽか
ぽかする
手足の
むくみ
顔の血色
0
1
2
3
4
5
*
数値が大きいほど改善効果あり
体の冷え(経時変化)
0
1
2
3
4
5
6
1週目 2週目 3週目
体感指数の変化
*
*
*
■ 摂取1週目から有意に改善
シトルリン
プラセボ
平均値±SEM(N=18)
*P<0.05 vs プラセボ
数値が大きいほど改善効果あり
精力
体感指数の変化
性的能力
の衰え
性欲の低下
■「精力(性的能力&性欲)」改善傾向
■ 男性の体感が顕著
-1
0
1
2
3
4
5
性的能力
の衰え
性欲の低下 早朝勃起
男性のみ
-1
0
1
2
3
4
5
シトルリン
プラセボ
平均値±SEM(N=9)
数値が大きいほど改善効果あり
平均値±SEM(N=18)
男女合計
体感指数の変化
肌の荒れ 肌のかさつき
0
1
2
3
4
肌質
■「肌質」が改善傾向
シトルリン
プラセボ
平均値±SEM(N=18)
数値が大きいほど改善効果あり
注 意
本資料は学術的なデータ等に基づき作成しておりますが、
ここに紹介しましたアミノ酸等を使用した消費者向け製品への表現については、
健康増進法や薬事法等の関連法規に従うようご注意ください。
協和発酵バイオ(株)
http://www.kyowahakko-bio.co.jp/

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シトルリンについて 

Editor's Notes

  1. 次に、食品中のL - シトルリン含有量を示します。 L - シトルリンは名前の由来からもスイカに多く含まれています。 特に、カラハリ砂漠の野生スイカの葉に多く含まれており、日光と乾燥と言う過酷な条件下での耐久性を与えております。 この他、ウリ科の植物にも多いことが確認されています。
  2. 次にL - シトルリンの生体での働きについて紹介します。L - シトルリンには主に 4 つの働きが知られています。①L - シトルリンは生体内でアルギニンに転換され、NOを産生することが知られています。 NO産生により血管拡張および血流促進など血管へ作用します。②アルギニンの前駆体としての作用し、たんぱく質の合成促進に関わります。③尿素サイクルの構成成分としての作用があり、私たちの身体に有毒であるアンモニアの解毒に関わります。④抗酸化作用があります。この中でも特に血管拡張や血流促進作用に期待が集まっております。
  3. シトルリンは生体内でアルギニンに変化します。 こちらのデータはシトルリンを摂取することにより、血漿中のアルギニン濃度が上昇することを示しています。 こちらの実験ではラットにシトルリンとアルギニンを同量摂取させておりますが、アルギニンを摂取するよりシトルリンを摂取するほうが血漿中のアルギニン濃度を持続します。また、血中アルギニン濃度を 1.6 倍上昇させることが確認できました。
  4. 今度は体表面温度
  5. ビタミン C は 0.25% 飲水、ビタミン E は 150mg/kg ( B.W.)