Ruby開発が教えてくれたこと

Ruby開発が教えてくれたこと

(財)Rubyアソシエーション
(株)ネットワーク応用通信研究所
(株)楽天技術研究所
Heroku [New]

まつもとゆきひろ
@yukihiro_matz

Powered by Rabbit 0.9.2

プログラミングとの出会い

ポケットコンピュータPC-1210

1/71

コンピュータでなにするか

ゲーム
計算
プログラミング言語

2/71

手段と目的

手段としての言語
目的としての言語
手段のためには目的を選ばない

3/71

Sapir-Whorf仮説

言語は思考に影響を与える
制限を与える
発想を与える

4/71

言語の選択は重要

生産性に直結
ストレス
コスト
記法

5/71

プログラミング言語

Ruby
開発効率に注目
より簡単に
より効率よく
より気分よく

6/71

気分

重要な要素
プログラマの気分を重視

7/71

プログラマの気分

気分が良い時
思った通りに行く時
万能感
我慢しない時
悩まない時

8/71

思った通りに行く時

常識が通用する
予測が当たる
期待が応えられる

9/71

万能感

やりたいことができる
やればできる
簡単にできる

10/71

我慢しない時

苦痛が少ない
不合理を感じない

11/71

悩まない時

海に向かって叫ばない
クリアな世界観

12/71

気分の良いプログラミング

簡潔
万能感

13/71

ブルックスの法則

プログラマが一定時間
に開発できるソフトウェ
ア量は言語によらず一
定である
[「人月の神話」より引用]

14/71

簡潔さは力なり

Paul Graham
プログラミング言語の進化

15/71

例題: 階乗

factorial, or n!
n以下の自然数すべての積
n! = 1×2×3×...×n

16/71

階乗(Java)

class Sample {
private static int fact(int n) {
if (n == 1) return 1;
return n * fact(n - 1);
}
public static void main(String[] argv) {
System.out.println("6!="+fact(6));
}
}

17/71

階乗(C)
#include <stdio.h>
int
fact(int n)
{
if (n == 1) return 1;
return n * fact(n - 1);
}

int
main()
{
printf("6!=%dn", fact(6));
}
18/71

階乗(Ruby)

def fact(n)
if n == 1
1
else
n * fact(n - 1)
end
end
print "6!=", fact(6), "n"
19/71

階乗(Ruby)

def fact(n)
(1..n).inject(:*)
end
print "6!=", fact(6), "n"

20/71

簡潔な表現

get '/foo', :agent => /Chrome/ do
"You're using Google Chrome"
end

get '/foo' do
"You're using non Chrome browsers"
end

21/71

抽象化

for (i=0; i<100; i++) {
...
}

100.times do
...
end

22/71

人間の都合、機械の都合

だれが主人か
人間？
コンピュータ？

23/71

200!

=> 12!=479001600
13!=1932053504
14!=1278945280
200!=0

24/71

200!

print "200!=", fact(200), "n"
=> 78865786736479050355236321393218506
22951359776871732632947425332443594
49963403342920304284011984623904177
21213891963883025764279024263710506
19266249528299311134628572707633172
37396988943922445621451664240254033
29186413122742829485327752424240757
39032403212574055795686602260319041
70324062351700858796178922222789623
70389737472000000000000000000000000
0000000000000000000000000
25/71

プログラミング言語Ruby

開発効率に注目
より簡単に
より効率よく
より気分よく

26/71

時代の要請にマッチ

性能よりも生産性
開発者の気分重視
開発者に心地よい言語

27/71

設計者＝ユーザー

使う人の気持ちが分かる
共感できる人のために
共感できない？それもOK！

28/71

プログラミングは楽しい

創造する楽しみ
対話の楽しみ
知的刺激

29/71

でも楽しくない

直らないバグ
迫る〆切
炎上するプロジェクト

30/71

解決策

コンピュータに仕事を押し付ける
ムーアの法則

31/71

オープンソース

どうしてRuby売らない
んですか？

日本のビル・ゲーツ(笑)

32/71

Rubyの認知度

Ruby開発開始(1993)
一般公開(1995)

33/71

Rubyの認知度

最初の書籍(1999)
最初の英語書籍(2000)

34/71

Rubyの認知度

Rubyで就職（1997）
未踏ソフトウェア（2000）
Ruby on Rails（2004）
OSS貢献者賞（2005）

35/71

Rubyの認知度

2007
楽天技術研究所フェロー
Rubyアソシエーション
Ruby技術者認定試験

36/71

Rubyの認知度

2007
日経BP技術賞大賞
経済産業大臣表彰

37/71

Rubyの認知度

2009
松江市名誉市民
島根大学客員教授
ものづくり日本大賞
日本イノベーター大賞

38/71

Rubyの認知度
2010
日経BP チェンジメーカー2010

39/71

Rubyの認知度

40/71

キャズム論

イノベーター
アーリーアダプター
アーリーマジョリティ
レートマジョリティ
ラガード

41/71

キャズムを越えた日

イノベーター
技術者個人の興味・関心(1995-)
アーリーアダプター
ベンチャー・零細企業(1997-)

42/71

キャズムを越えた日

アーリーマジョリティ
中小企業・IT系企業(2007-)
レートマジョリティ
大企業(2010-)

43/71

キャズムの向こう側

財団法人
標準規格

44/71

財団法人

Rubyアソシエーション

45/71

標準規格

JIS
ISO

46/71

ローリングストーン

転石苔生さず

47/71

OSSコミュニティ

生存戦略
変化を続ける
課題を提供し続ける

48/71

Rubyの未来

未来はどうなる？

49/71

ムーアの法則

LSIの集積度は2年で2倍になる

50/71

CPU性能向上

CPU性能向上 51/71

CPU性能向上

近年頭打ち
物理的限界
要求の飽和

52/71

未来への対応

Web
分散
並列
マルチコア

53/71

未来への技術

クラウド
MapReduce
関数型
分散アーキテクチャ

54/71

未来のRuby

新しい環境への適応
より広汎
より高速
より分散
より堅固

55/71

広汎

幅広い実行環境
スマートフォン
PC
スーパーコンピュータ

56/71

HPC Ruby

Ruby for High Performance
Computing
型推論
コンパイル
Cに匹敵する速度

57/71

軽量Ruby

Lightweight Ruby
組み込み
ソフトリアルタイム

58/71

広汎

幅広い適用分野
組み込み
Web
HPC

59/71

高速

YARV
JIT
最適化
GC

60/71

分散

並列・分散はより重要になる
dRuby / Rinda
MessagePack
MapReduce

61/71

堅固

より書きやすく
キーワード引数
Classbox
Enumerableプログラミング

62/71

軽量Ruby

RiteVM

63/71

RiteVM

文法：JIS/ISO準拠
ライブラリ：ほぼJIS/ISO拠準

64/71

RiteVM

LuaっぽいRuby VM

65/71

RiteVM

組み込みAPI
レジスタベース
インクリメンタルGC

66/71

RiteVM

ポータブル
コアはC99のみ依存

67/71

RiteVM

コンポーネント構成
コンパイラ分離可能
minimal, standard, full

68/71

RiteVM

計画中
ファイバー(コルーチン)
非同期I/O

69/71

RiteVM

今後の予定
2011/10
クローズドベータ
2012/03
オープンベータ(MITライセンス？）

70/71

ご清聴ありがとう
ございました
71/71

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