Editor's Notes
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気分が高まったり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気 です。
性格や心の問題ではありません。脳の中でも感情のコントロールに関わる部分(前部帯状回と呼ばれています)が小さくなっていると報告されています。さらなる研究により、双極性障害がどのような脳の病気であるか、明らかにされていくことでしょう。
- 有名人 ナイティーンナインの岡村さん、リトグリのせりなさんなど(公表)
男女差はありません。躁病エピソードがある女性のほうが摂食障害やアルコールの問題など、併存しやすい。
20代から30代前後に発症することが多いとされていますが、若い人からお年寄 りまで、幅広い年齢でかかる病気です。
双極性障害を引き起こす特定の遺伝子はみつかっていません。でも、病気になりやすい体質(ストレスに対する敏感さ・弱さなど)には遺伝的な側面もあると考えられています。家族や親戚に双極性障害の方がいても、病気にならない方のほうが多いのですが、もし血縁者に双極性障害の方がいる場合には、慎重な診断・治療が進められるよう、医師に話してみましょう。家族歴の聴取も重要。親族に双極性障害を持つ成人がいる場合、発症の危険性は平均10倍上昇する。
- スライド6
ストレスへの感受性全体があがったりさがったり
出来事に由来しない気分の変動
割合としては、年間でⅠ型:そう①、うつ③、なし⑤ Ⅱ型:そう①、うつ④、なし④ 2003年
激しい躁状態とうつ状態のある双極Ⅰ型と、軽い躁状態(軽躁状態)とうつ状態のある双極Ⅱ型があります。躁状態では、気分が高ぶって誰かれかまわず話しかけたり、まったく眠らずに動き回ったりと、活動的になります。ギャンブルに全財産をつぎ込んだり、高額のローンを組んで買い物をしたり、上司と大ゲンカして辞表を叩きつけたりするような社会的信用や財産、職を失ったりする激しい状態になることもあります。
一方、軽躁状態はいつもよりも妙に活動的で周りの人から「何だかあの人らしくない」「元気すぎる」と思われるような軽い状態。うつ状態では、一日中ゆううつな気分で、眠れなくなったり、または逆に眠りすぎたりします。大好きだった趣味やテレビ番組にも関心がなくなったり、食欲が低下し、おっくうで身体を動かすことができないといった症状もみられます。
II型の軽躁状態はI型の躁状態に比べて、症状が軽く、社会的な問題も少ないので、双極II型障害は双極I型障害よりも軽い病気だと思われがちですが、そうではありません。II型はI型に比べてコントロールしにくく、うつ状態を再発しやすいといわれています。どちらもなるべく早く治療を開始することが大切です。
- 「世界の頂上にいる感じ」と述べることが多い。
- スライド10
過去の躁状態についても医師に伝えましょう 的確な診断のために、過去に躁状態になったことがなかったか、家族や周り の方の意見も聞いて、医師に正しく伝えましょう。
一般的に、患者さん本人は躁状態を病気だと認識できません。いつもよりも調子がよいと感じて、「これが本来の自分なのだ」と思う方もいます。そのため、診察を受けようと思うのは、気分が落ち込んで苦しくなったうつ状態のときがほとんどです。とくに双極Ⅱ型の軽躁状態はⅠ型のように激しくないので、うつ病と診断されてしまいがちです。海外では、うつ病の症状で受診した患者さんの16%が双極性障害だったという報告1) もあります。また、混合状態といって、うつ状態と躁状態が混じって出現することもあります。双極性障害のうつ状態であることに気付かれないまま抗うつ薬で治療を続けていると、うつ状態が治らないばかりか、急激に躁状態が出現(躁転)したりする恐れがあります。とくに、三環系抗うつ薬と呼ばれる古いタイプの抗うつ薬では、躁転のほかに、1年のうちに4回以上も躁状態とうつ状態をしてしまうことがあるので、注意が必要です。
- 躁病エピソード中、自分が病気であること、治療が必要であることを認めず、治療を受けることを強く拒否する
- 自殺の生涯発症危険率:15倍
- 双極性障害は、早期に正しい治療を開始すれば、症状をコントロールしながら普通の生活を送ることができる病気です。ここではその治療法についてみてみましょう。
- 気分をより強める行動をとりがち →テンションの変化にブレーキをかける(気分不一致コーピング)
- 当事者のyoutubeも