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利用者とともに考える資料の活用方法の検討
   来園者参画型図鑑づくりを事例として

     第53回日本動物園水族館教育研究会犬山大会




  NPO ZOO CAN DREAM PROJECT
         福永恭啓
NPO ZOO CAN とは
   図鑑作りを通して、いきものに興味を持つ入り口
    となる情報の提供をしています。




     カード式図鑑     WEB 図鑑
動物園における資料の活用
   学術的体系にのっとって、園館側から来園者側
    に提案されることが多い。
    → 利用者が知りたい情報と、動物園が伝えたい情報の
      齟齬が生じがち

   ふとした疑問?
    来園者が知りたい情報を自分で探せば解決するのでは?

    来園者に要望を出してもらうだけではなく、当
    事者として巻き込めたら面白くなりそう。
来園者参画型図鑑作り
   来園者が図鑑を作る過程に直接参画する

        図鑑作りのプロセス
    1、動物を見て不思議なことを探し
    2、なぜなのか考え
    3、資料にアクセスし
    4、一つの図鑑をつくりあげる
タイムスケジュール・実施体制
    午前中
        飼育担当者について動物の観察、エサ作り


    午後
        図鑑などで情報を調べ、オリジナル図鑑を作
         成
  所要時間:4時間 参加者6〜8人で一つの図鑑を作成
スタッフ数:飼育担当者2班に1人、および学芸員1名
 実施場所:わんぱーくこうちアニマルランド
        みさき公園
図鑑の作成にはワークシートを利用
左側:動物の寿命、食べているエサ、大きさなどを訴求
 右側:家族構成、子育て、住んでいる場所を訴求
実体験をもとにアクセスする
   実際の動物の観察(一次情報の収集)
       動物を見て、写真を写し、飼育担当者にイン
        タビューをし、五感をフル活用して情報収集
        。




        動物のお宅訪問     台所を直撃
二次情報を活用する
   興味のあることを深める(二次情報の活
    用)
 図鑑などの情報の活用の仕方を学び、仲間と相談
   大人は、動物を知る少し先輩として、子どもたちに寄り添う
  をし、情報をつなげて図鑑をつくる。




      図鑑等で調べる      デザインをして印
得られた成果(子どもたち)
   断片的な情報がつながる
    → 現場で集めたり、以前から持っていた断片的な情報が、
     つながり、動物全体が 見えてくる。
   観察からまとめまでのプロセスを理解した
    → 観察からまとめまでのプロセスを学ぶ事によって、
     自分オリジナルの情報の整理の仕方を学べた。

   自信
    自分で情報をまとめたことで自信がついた
得られた効果(動物園)
   子どもたちの興味のポイント、感じ方などから
    刺激を受けた。
     例、夜行性の動物が寝ている
       子どもたち:寝てる!!仕事しろ!!
    なぜ寝ているのか?という問いかけで、生態や行動への理解が深まった。

   ファンの拡大

      図鑑を作った子どもたちが担当動物の魅力を発信
      友達に図鑑を使って説明する、家では家族に動物のことを話す
まとめ
   動物園の可能性
同じいきものとして、動物と自分とを比べることが出来る
動物園水族館は子どもたちの思考の現場に最適
→ 幼児・低学年が中心であるが、もっと年齢が高い
子どもたちも積極的に利用出来る。
   能動的な経験の場として
     様々な刺激を受けて、考え、図鑑を作ることで、
     豊かな感受性を育む場を子どもたちに提供するこ
     とが出来た。また、動物の見方が分かったことで
     、動物園の満足度アップにも貢献出来た。
主体的に学べる場作りを
    様々な方々が、主体的に動物園に参画出
     来、自由に議論出来る仕組みづくりが必
     要
     2013,2 月みんなでつくる動物図鑑がスタート

今後は、 WEB と実際のプログラムを一体的に活用して、
様々な人々が当事者として関わる、プラットフォームの整備を
進めていきたい。

     Fukunaga@zoocan.jp
     http//www.zoocan.jp
謝辞

 本事業は南海電気鉄道株式会社、みさき
 公園、わんぱーくこうちアニマルランド
 と協働で、独立行政法人国立青少年教育
 振興機構の助成を得て行われました。ご
 協力いただきました動物園の皆様をはじ
 め、関係者の皆様に感謝いたします。

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日本動物園水族館教育研究会 Npo zoo ca nppt

  • 1. 利用者とともに考える資料の活用方法の検討 来園者参画型図鑑づくりを事例として 第53回日本動物園水族館教育研究会犬山大会 NPO ZOO CAN DREAM PROJECT        福永恭啓
  • 2. NPO ZOO CAN とは  図鑑作りを通して、いきものに興味を持つ入り口 となる情報の提供をしています。 カード式図鑑 WEB 図鑑
  • 3. 動物園における資料の活用  学術的体系にのっとって、園館側から来園者側 に提案されることが多い。 → 利用者が知りたい情報と、動物園が伝えたい情報の 齟齬が生じがち  ふとした疑問? 来園者が知りたい情報を自分で探せば解決するのでは? 来園者に要望を出してもらうだけではなく、当 事者として巻き込めたら面白くなりそう。
  • 4. 来園者参画型図鑑作り  来園者が図鑑を作る過程に直接参画する 図鑑作りのプロセス 1、動物を見て不思議なことを探し 2、なぜなのか考え 3、資料にアクセスし 4、一つの図鑑をつくりあげる
  • 5. タイムスケジュール・実施体制  午前中  飼育担当者について動物の観察、エサ作り  午後  図鑑などで情報を調べ、オリジナル図鑑を作 成 所要時間:4時間 参加者6〜8人で一つの図鑑を作成 スタッフ数:飼育担当者2班に1人、および学芸員1名 実施場所:わんぱーくこうちアニマルランド        みさき公園
  • 7. 実体験をもとにアクセスする  実際の動物の観察(一次情報の収集)  動物を見て、写真を写し、飼育担当者にイン タビューをし、五感をフル活用して情報収集 。 動物のお宅訪問 台所を直撃
  • 8. 二次情報を活用する  興味のあることを深める(二次情報の活 用) 図鑑などの情報の活用の仕方を学び、仲間と相談 大人は、動物を知る少し先輩として、子どもたちに寄り添う   をし、情報をつなげて図鑑をつくる。 図鑑等で調べる デザインをして印
  • 9.
  • 10. 得られた成果(子どもたち)  断片的な情報がつながる → 現場で集めたり、以前から持っていた断片的な情報が、  つながり、動物全体が 見えてくる。  観察からまとめまでのプロセスを理解した → 観察からまとめまでのプロセスを学ぶ事によって、  自分オリジナルの情報の整理の仕方を学べた。  自信 自分で情報をまとめたことで自信がついた
  • 11. 得られた効果(動物園)  子どもたちの興味のポイント、感じ方などから 刺激を受けた。 例、夜行性の動物が寝ている 子どもたち:寝てる!!仕事しろ!! なぜ寝ているのか?という問いかけで、生態や行動への理解が深まった。  ファンの拡大 図鑑を作った子どもたちが担当動物の魅力を発信 友達に図鑑を使って説明する、家では家族に動物のことを話す
  • 12. まとめ  動物園の可能性 同じいきものとして、動物と自分とを比べることが出来る 動物園水族館は子どもたちの思考の現場に最適 → 幼児・低学年が中心であるが、もっと年齢が高い 子どもたちも積極的に利用出来る。  能動的な経験の場として 様々な刺激を受けて、考え、図鑑を作ることで、 豊かな感受性を育む場を子どもたちに提供するこ とが出来た。また、動物の見方が分かったことで 、動物園の満足度アップにも貢献出来た。
  • 13. 主体的に学べる場作りを  様々な方々が、主体的に動物園に参画出 来、自由に議論出来る仕組みづくりが必 要 2013,2 月みんなでつくる動物図鑑がスタート 今後は、 WEB と実際のプログラムを一体的に活用して、 様々な人々が当事者として関わる、プラットフォームの整備を 進めていきたい。 Fukunaga@zoocan.jp http//www.zoocan.jp
  • 14. 謝辞  本事業は南海電気鉄道株式会社、みさき 公園、わんぱーくこうちアニマルランド と協働で、独立行政法人国立青少年教育 振興機構の助成を得て行われました。ご 協力いただきました動物園の皆様をはじ め、関係者の皆様に感謝いたします。