Mathematicaでプログラムするとは、どういう意味をもつのだろうか。

1. プログラミングとMathematica
何のためにプログラムするのか

2. プログラミングとは
● コンピュータから見れば、プログラムは、単なる指示列
● でも指示列に意図が働いていたなら、それはプログラミングと
いう行為
● 意図があるプログラムであれば、その出力結果が同じであっ
ても、作られるプログラムは異なる表現を持つ

3. 結果が正しいかどうかを知りたい
1から10まで足すと答えは55である
In[1]:= Plus[1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10] == 55
Out[1]:= True

4. 大量の計算を行ないたい
1から100000まで足すといくつになるか
In[2]:= Apply[Plus, Range[10^5]]
Out[2]:= 5000050000

5. ある未知の数を求めたい 〜中学生への問題 ：1
つるとかめが合わせて 9ひきいます。足の数は合わせて 26本です。つるとかめはそれぞれ何びきいますか？
In[3]:= Solve[{つる + かめ == 9, 2*つる + 4*かめ == 26}, {つる, かめ}]
Out[3]:= {{つる -> 5, かめ -> 4}}
問題文は、「つるとかめが匹という数詞をもつ」とき「 1匹あたり2本の足を持つつると、 1匹あたり4本の足を持つか
め」について「つるとかめが合わせて 9匹」かつ「足の数が合わせて 26本ある」とき、「つるとかめ」を求めよ、と書か
れるべきである
In[4]:=Solve[{つる + かめ == 9*匹, 2*本/匹*つる + 4*本/匹*かめ == 26*本}, {つる, かめ}]
Out[4]:={{つる -> 5 匹, かめ -> 4 匹}}

6. ある未知の数を求めたい 〜中学生への問題 ：2
5人が4日働いて100000円の賃金をもらうとき、8人が9日間働くと
賃金はいくらになりますか？
In[4]:=Solve[x 円*5 人*4 日 == 100000 円, x]
Out[4]:= {{x -> 5000/(人 日)}}
In[5]:=x 円*8 人*9 日 /. %
Out[5]:= {360000 円}

7. 自分の指示通りコンピュータが動くのを見たい
In[6]:= Animate[Graphics[Line[{{0, 0}, {Cos[t]], Sin[t]]}}], PlotRange
-> 1, ImageSize -> 250], {t, 0, 2 Pi}]
グラフィックスが表示される

8. 問題を解決したい
0から100の範囲にある25個の乱数のリストから、最大値、最小値、中央値を求めよと
いう問題が与えられた
->
答えを与える関数を探しだせば、問題の答えを素早く出すことができる
In[7]:=a = RandomInteger[100, 25]
Out[7]:= {75, 68, 18, 81, 43, 23, 1, 86, 63, 74, 71, 78, 81, 8, 17, 97,
48, 47, 87, 66, 50, 44, 8, 71, 40}
In[8]:={Max[a], Min[a], Median[a]}
Out[8]:= {97, 1, 63}

9. 全ては計算問題である
● 結果が正しいかどうかを知りたい、大量の計算を行ないたい、は答えのある、与えら
れた問題であり、ある未知の数を求めたい、自分の指示通りコンピュータが動くのを
見たい、などは自らが設定した答えのないかも知れない問題である
● プログラミングとは表現すること（expression）であり、Mathematicaは表現のため
の道具である。道具としてのMathematicaは、式（expression）の組合せによっ
て、より効率的で強力な道具と変化する

10. プログラミング表現のためのMathmaticaの利点
● 四則演算の対象がシンボルに拡張されている
● 極めて多数の関数によって広い範囲の数学領域をカバーしている
● 目的に近い関数を探し出すことで、コンパクトなプログラムが書ける
● コンパクトさと関数の利用により短時間でバグの少ないプログラムが書ける
● Notebookという形式の学習・研究ノートが利用できる
● 多彩なグラフィックス表現が可能である
● GUIが統合化されている