2023年5月20日開催の情報知識学会年次大会企画シンポジウムの事例紹介の1つです。

1. 2023年5月20日
澤谷 晃子(大阪市立中央図書館)
情報知識学会 年次大会 企画シンポジウム
「未来にむけた地域図書館の新たな役割と展望
〜多様な担い手たちによる地域歴史文化継承を目指して〜」
地域資料の利活用と図書館の役割
〜大阪市立図書館の事例紹介〜

2. 大阪市立図書館の概要
• 中央図書館(西区)
蔵書数:約230万冊
• 地域図書館23館
(西区以外の各区にひとつずつ)
蔵書数:7〜10万冊
• 自動車文庫まちかど号
103か所
面積：225.30 k㎡
人口：2,760,091人
世帯数：1,516,586世帯
(「大阪市の推計人口」2023.4.1)

3. 知識創造型図書館をめざして
いつでも･どこでも･だれもが、課題解決に必要な情報
にアクセス可能な、創造都市の知識・情報基盤
 知識を創造する図書館
 レファレンス機能・情報サービスの高度化
 行政施策の企画立案支援サービスの強化
 開館日の拡大
 人と、心を育てる図書館
 子どもの読書活動の推進、市民ボランティアの養成拡大
 学校との連携
デジタルアーカイブの提供

4. 大阪市立図書館デジタルアーカイブ
大阪市立中央図書館所蔵の近世の大阪関係資料や明治・大正期
の絵はがき・写真・引札等の資料をデジタル画像にして公開。
公開資料は約29,000点、
うち、オープンデータは約7,900点
（画像は13万枚）

5. 写真「角座」

6. 絵葉書
「『大阪』新世界通天閣」「大阪 大阪城公園」

7. 「摂津名所図会 4上」八軒屋

8. 錦絵「浪花百景」

9. 「浪華名所独案内」

10. 間重富・間家関係文書「彗星概説」
国の指定重要文化財

11. 引札「万綿類仕入所」

12. 浄瑠璃本
「仮名手本忠臣蔵 第九 山科の雪転」

13. 大阪古地図集成 第1図「難波往古図」

14. 大阪市の情報化施策とデジタルアーカイブ
1994年度 「大阪市情報化計画」
「図書館情報ネットワークシステム」位置づけ
2006年度 「大阪市情報化基本方針」
市立図書館の利便性向上と機能充実
2016年3月 「大阪市ICT戦略」策定
図書館情報化施策の今後のあり方検討
※令和3年6月「大阪市ICT戦略」は第3版に改訂
1996年7月「大阪市立図書館イメージ情報データベース」開始
（中央図書館内の利用者用端末で公開)
2001年5月インターネット・市立図書館検索用端末で公開
2014年 1月大阪市立図書館デジタルアーカイブリニューアル
（検索性・操作性の向上）
2017年3月オープンデータ提供開始
（2019年10月にCC0に変更）
2017年6月「大阪市ICT戦略」に沿った図書館の今後のあり方を策定
2020年1月デジタルアーカイブシステムリニューアル

15. オープンデータ開始までの経緯
→ 2017年3月 デジタルアーカイブオープンデータ提供を開始
2017年6月「「大阪市ICT戦略」に沿った図書館の今後のあり方」を策定
大阪市の動き
「大阪市オープンデータの取り組みに関する指針」
「大阪市ICT戦略」の策定
※2016年3月策定、現在は、2021年6月改訂の第3版
図書館側では…
図書館事業が大阪市の方針に合致していることを示したい
「大阪市立図書館デジタルアーカイブ」リニューアルにより、
検索性・操作性の向上
→アクセス数・画像の二次利用申請の増加

16. オープンデータ化は新聞や雑誌などでも紹介
 新聞五大紙、制覇！
 工業系新聞・雑誌などにも掲載
 内閣府のアーカイブ連携・活用の優良事例として紹介

17. オープンデータ利活用の考え方（初期）
 最初が肝心
プレスの日に合わせて関連展示を実施
 広報は大々的に
インターナショナル・オープンデータ・デイに
画像を活用
 遊びゴゴロをもって
人気投票、キャラクター作り
 予算はないので、
できることからコツコツと続ける

18. オープンデータ活用に遊びゴコロを

19. OML48チームHIKIFUDA（ひきふだ）選抜総選挙

20. オープンデータ活用事例
港区役所来客用記念品
バスのラッピング広告
レトルトカレーパッケージ

21. 大阪の資源としての商品化の例
障がい者の就労支援を行うNPO法人が企画・販売
（大阪歴史博物館や題材となった寺院でも販売）

22. オープンデータ利活用事例紹介ページ
 利活用事例が収集できない
→「オープンデータなのだから自由に使ってもらえばいい」という割り切り
活用事例フォームを作って、集約できた事例を図書館が紹介
→利用の問い合わせや事例の報告は、それなりにある！

23. 嬉しい外部評価
 Library of the Year 2017 優秀賞
 しつこく続ける組織力と、（うらやましい）資金力
 自宅からもアクセスできるデジタルアーカイブの活用はこれからの図書館のあり
方のひとつ
 「大阪市ICT戦略」の方向性にあわせて実施したこと
 どういう方向性でどこに着目すれば評価されるかを戦略的に行ったこと
 スピード感、やれそうでも他は踏みとどまっていたことをやり遂げた実行力
 Vled2018年度勝手表彰貢献賞（2019年3月）
 早くから古文書や古い画像作品のオープンデータ化と活用プロモーションを行っ
てきた。図書館が地域のオープンデータ活用の基点となることを示している
 商品パッケージへの採用やグッズ制作などの2次利用が実際に進められているこ
とを高く評価する
 総務省ICT地域活性化大賞優秀賞（2019年3月）
 守りの姿勢の図書館が多い中、これからの図書館のモデルとなるように、との期
待も込めて

24. オープンデータ利活用の考え方（現在）
 大阪市立図書館全館の取組として実施
 継続することを意識する
 面白いと思ったことをやってみる
 予算はないので、できることからコツコツと
 「使われてなんぼ！」の精神
 図書館から出て行ってアピールする
★外部評価により「私たちのやってることって、
結構エエこと！」という意識の共有ができた

25. オープンデータの課題
 デジタルアーカイブ画像とメタデータの充実
 継続するための予算・人材の確保
→図書館利用者・関係機関とともに地域資源として
デジタルアーカイブ・オープンデータを発信する。
図書館は後押しするような取り組みを継続的に実施
 ウィキペディアを使ったイベント
 企業や関係機関と連携した取り組み

26. オープンデータ利活用推進に関する連携協定締結
 市では様々な連携事業進める上で、包括連携協定や事業連携協定締
結を推進
→市の事業としてきちんと推進することを位置づける

27. データの充実と利活用推進に向けた取り組み
「オープンデータ巡るよプロジェクト[Me-Glue-You]」
堀井洋（継承型学術オープンデータ製作委員会）
図書館が公開し
ているデータ

28. キテン・プロジェクトでの活用[2020年8月から]
ソーシャルディスタンスをお願いするサインをデジタル
アーカイブオープンデータを使って作成。
デジタルアーカイブの紹介文は職員が作成。

30. イベント「デジタルアーカイブであそぼう！」
[2021年1月]
巡るよプロジェクト関連イベント
IIIFで画像を公開したものを使って実施。
「あつまれ どうぶつの森」で
活用してみるイベント

31. 「オープンデータ巡るよプロジェクト[Me-Glue-You]」
264点の画像の高精細画像を公開（2021年3月）

32. （参考）思い出のこしプロジェクト
 ある地域図書館の職員が開始
 地域の人のまちの思い出を集めて、図書館資料で情報を補って公開
 全24館での取り組みへ

33. 思い出のこしホームページ公開・オープンデータ
提供開始（2021年３月）

34. 地域の図書館だからできることは？
地域資料の活用でさらなる周知を
 「使われてなんぼ！」の精神 図書館のPR（オープンデータも同様）
こんなお宝資料があることを全然知られていない
 新しい図書館利用者層の獲得
そもそも図書館の役割を理解している市民はどれだけいるの？
 「図書館人の常識は世間の非常識」
 図書館の資料は地域の人にカジュアルに使ってもらいたい！
市の方針・施策に合わせて、取り組みを位置づける
コロナ禍での調査相談経験から
 国立国会図書館個人向けデジタル化資料送信サービスの開始
図書館法第3条（図書館奉仕）
三 図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための
相談に応ずるようにすること。
⇒「図書館資料」とは？

35. 大阪市立図書館 https://www.oml.city.osaka.lg.jp
ご清聴ありがとうございました