EPUBの読み上げについて諸々

1. EPUB読み上げの
世界
ePubPub Vol.33

2. 自己紹介
伊藤俊輔 @shunito( twitter )
フロントエンドエンジニア/ WEBディレクター
▸某金融系SIerのチーフ・デザイン・オフィサー
（に最近なりました）本業ではEPUB関係なし
。
▸BiB/iとかReadium、Javascriptを利用したEPUB
に興味があり、実験作をいろいろ作っては試し
ている。
▸音声同期などの技術調査からDAISYにも興味を
もちアクセシビリティ関連も興味対象に。

3. EPUB読み上げの世界
EPUB3の仕様の成り立ちとアクセシビリティ
EPUB2.0
2007
EPUB3.0
2011
OEBPS 1.0
1999
DAISY3
EPUB3.1
2015
DAISY4 AI
2011
DAISYは制作・交換フォーマ
ットとしてワンソース・マル
チユースの起点となる。
マルチメディア対応
Media Overlays（音声同期）
TTS （PLS、SSML、CSS3 Speech）
→実際には？？
HTML、CSS等W3C規格
NCX目次
テキスト音声同期（SMIL）ほか
アクセシビリティに
関する仕様を取り込み
Digital Accessible
Information SYstem
アクセシブルな情報シ
ステム、主に録音図書
の国際標準規格

4. EPUB読み上げの世界
Media Overlays
▸EPUBのテキストと音声データを同期する仕組み。
▸SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)で定義する。
▸要はXMLでテキスト位置と音声の位置を記述してEPUBに同梱す
る。
▸高品質だが読み上げデータおよびSMILの作成が必要で、ファイル
容量が大きくなる。
▸対応リーダ：iBooks、Readium、ADEほか

5. EPUB読み上げの世界
TTS - Text To Speech -
▸音声データ無しでテキストを機械的に読み上げる仕組み。
▸読み上げの正確性はシステム依存だが、まだ発展途上（精度は上がっ
てる）。
▸読み上げ情報を補足、補正する仕組み（PLS、SSML）がある（が、
対応プレイヤーがほとんどない模様）
▸EPUBによる向き不向きやがあるが、読み上げデータの作成が不要。
▸対応リーダ： ひまわりリーダー（Android）VoiceDreamReaderほか

6. EPUB読み上げの世界
Media OverlaysとTTSの比較
Media Overlays
TTS
録音 合成音声
読み上げ品質 ◎ ◯ △
制作の手間 × △ ◎
対応リーダ
Readium、iBooks(FIXのみ)
ADEほか
OSのスクリーンリーダー
Web Audio API
VoiceDreamReader
（DAISYプレヤー）
作成ソフト
サービス等
TOBI / ボイスソムリエ / CeVIO Creative Studio /
ChattyInfty / Audible(Amazon) /Overdrive
なし、あるいは不要
TOBI+CeVIOの組み合わせに可能性がありそうだけど。。

7. EPUB読み上げの世界
Text To Speechの仕組み別にもう少し分類
OS
(Windows/Mac/iOS/
Android)
OS
(Windows/Mac/iOS/
Android)
Screen
Reader
(JAWS/NVDA)
OS
(Windows/Mac/iOS/
Android)
Application
(Chrome/ Safari/
VDRほか)
Application
(Chrome/ Safari/
VDRほか)
Application
(Chrome/ Safari/
VDRほか)
テキスト
スピーチ
テキスト
スピーチ
テキスト
スピーチ
OSのネイティブ機能が読み上げ
MacにおけるiBooks+VoiceOver
OSにインストールした
ScreenReaderが読み上げ
ブラウザなど単独のソフトウ
ェアが読み上げ。BiB/i+TTS
最近出てきたブラウ
ザベースの読み上げ

8. EPUB読み上げの世界
TTS 実際に聞いてみる
▸iBooks + VoiceOver （設定はアクセシビリティの「スピーチ」！）
▸OS標準機能を使って読み上げの例。
▸BiB/i +TTS（iOS + Safari）
▸ブラウザの機能（Web Speech API）で実現されている。
▸iOSのmsg.rateがおかしい（異常に早く読み上げされる）バグも直ってた。
▸Voice Dream Reader
▸DAISYプレイヤーで読み上げの老舗。さすがの機能とUIの洗練。
▸EPUBリーダー開発陣はパク研究すべし。

9. EPUB読み上げの世界
TTSはお手軽だけど。。
▸ルビ問題：「 超電磁砲 どう読むのが正しい？」
1. 「ちょうでんじほう」
2. 「れーるがん」
3. 「ちょうでんじほうかっこれーるがんかっこ」
‣ 数式・ソースコードが苦手（アルファベット延々読み上げ問題）
‣ 画像や図版のAltが不十分、というのはありがち。
‣ テキストとしてあるものしか読み上げられない

10. EPUB読み上げの世界
リーダ開発者、EPUB作成者の皆様、Inline SSML対応しませ
んか？
▸TTSは実用に近づいているが、読み上げの誤りは避けられない。が、EPUBにはインラインで読みを
補足する仕様が組み込まれている。
▸こんなやつです。読みを指定、補足したいとこだけ対応。これでリーダが対応してくれれば。。
▸詳細な仕様
▸http://www.idpf.org/accessibility/guidelines/content/tts/ssml.php
▸http://blog.imagedrive.jp/epub/spec/epub301/epub301-contentdocs.xhtml#sec-xhtml-ssml-attrib
<p>
<span ssml:ph="さざんか">山茶花</span>
あるいは<span ssml:ph="さんさか">山茶花</span>.
</p>
これなら
鴎来堂さんも
にっこり？

11. EPUB読み上げの世界
いま、どんなリーダーで実際に使えるの？
http://epubtest.org/
EPUBリーダーの各機能に
ついて、どこまで対応し
ているのかを調査してい
るサイト。
・・・実はAccessibilityに
ついては調査中、未テス
トが多い。
BISG EPUB 3 Support Grid

12. ここから
電書ラボ
セミナーの
宣伝です。

13. 電書ラボセミナー
電書ラボ公開セミナー 2016
電子書店で販売するためのEPUB制作実践
電書ラボでは、「既存電子書店で販売するためのEPUBを制作するため」の、実
践的なセミナーを開催します。
現在電子書店は、それぞれビュアを提供されているので、それら多くのビュア
で再現されるように考慮する必要があるからです。
セミナーでは、①実践的な制作方法をツールごとに紹介、②電書ラボで開発し
た仕様・チェッカーなどの紹介、③EPUB3.1などの電子書籍をめぐる状況の報
告、を4回にわたって紹介します。

14. 電書ラボセミナー
セミナー日程とテーマ（予定）
●第一回 5月31日（火）18時30分〜20時30分
・EPUBの作り方01 でんでんコンバータ 講師＝高瀬拓史（電書ちゃんねる）
・電書ラボ見出しテンプレート 講師＝田嶋淳（電書ラボ・三陽社）
●第二回 7月28日（木） 18時30分〜20時30分
●第三回 10月6日（木） 18時30分〜20時30分
●第四回 11月24日（木） 18時30分〜20時30分
●会場 国立情報学研究所1208会議室（12階）
参加費等、詳細は近日発表です。

15. おまけ
予告

16. アクセシビリティをめぐるトピック
障害者差別解消法 2016年4月に施行
障害者の権利の保障と実質的平等を確保することを目的とした「障害
を理由とする差別の解消の推進に関する法律（障害者差別解消法）」
が施行されました。
主な柱となるのは以下の項目。
▸障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止（第七条第一項、第八
条第一項）
▸環境の整備（事前的改善措置）（第五条）
▸合理的配慮の提供（第七条第二項、第八条第二項）

17. アクセシビリティをめぐるトピック
合理的配慮の範囲ってどこまで？
▸EPUBの作成においてもアクセシビリティを意識しなければ
ならない日が、いよいよ。
みたいな話を、
11月の第4回でします！