代数学の基本定理をトポロジーを使って証明してみよう、、という話をエッセンスだけをザクっとまとめてみました。 突っ込みどころ満載ですが、ご愛嬌ということで。。

1. トポロジーde代数方程式
2015/1/29
岩崎 喬一

2. 本日のお題
 みなさん、応用っぽいのが好きそうなので、敢えての純粋数学ネタです。

3. と言っても、
 そんなに難しいと、みんな？？？(´・ω・`)だし、
 そもそも5分しかないので、
 雰囲気だけ掴んでください

4. トポロジーってこういうやつ
 どっかの本で読んだことある方も多いかも知れません。
 「コーヒーカップとドーナツを同じに考える」てやつ。

5. トポロジーってこういうやつ
 こんな感じ
≃

6. え？
(´・ω・`)

7. トポロジーってこういうやつ
 こういうやつ
 つまりコーヒーカップは取っ手が1つ、ドーナツは穴が1つってとこに着目
 「穴ぼこが1つ」という性質は連続変形で不変！
≃

8. トポロジーってこういうやつ
 連続変形して写り合うものは同一視(identify)するぞ、ていう数学の分野

9. 本日使う道具 (1)
 平面上で原点を通らない閉曲線を連続的に動かす時、全ての閉曲線が原点
を通らないなら、閉曲線の回転数は常に一定（回転数の定理）
O

10. 本日使う道具 (2)
 複素数平面のお話
 ド・モアブルの定理
z = r(cos 𝜃 + −1 sin 𝜃)に対し、
𝑧 𝑛
= 𝑟 𝑛
(cos 𝜃 + −1 sin 𝜃) 𝑛
= 𝑟 𝑛
(cos 𝑛𝜃 + −1 sin 𝑛𝜃)
→複素数zをn回掛けると、原点からの距離(r)をn乗かつ偏角をn倍したものに等しい

11. 改めて本日のお題
 代数学の基本定理
 n次方程式(n≧1)は、複素数の範囲で必ず解を持つ
𝑓 𝑧 = 𝑧 𝑛
+ 𝑎1 𝑧 𝑛−1
+ 𝑎2 𝑧 𝑛−2
+ ⋯ + 𝑎 𝑛−1 𝑧 + 𝑎 𝑛, 𝑎𝑖 ∈ ℂ
、、、をトポロジーで証明してみること。

12. え？
(´・ω・`)

13. 1次方程式
► 1次方程式だと
𝑓 𝑧 = z + a
これに対して、
f(z)=0、つまりz+a=0って、移項すればz=-aが解だってわかりますよね

14. 2次方程式
 2次方程式
𝑓 𝑧 = 𝑧2
+ 𝑎1 𝑧 + 𝑎2
だったら、f(z)=0って、解の公式で解けますし。
（細かくは複素数でルート√ を取るところが若干ややこしいですけど、割愛）

15. 3次方程式、…
 3次方程式
 カルダノの公式
 4次方程式
 フェラーリの公式
 5次方程式
 解の公式が存在しない！（ことがガロア理論で証明できます）
、、、が、一般のn次(代数)方程式で解が存在することは証明できます！

16. 本日のお題 【再掲】
 代数学の基本定理
 n次方程式(n≧1)は、複素数の範囲で必ず解を持つ
𝑓 𝑧 = 𝑧 𝑛
+ 𝑎1 𝑧 𝑛−1
+ 𝑎2 𝑧 𝑛−2
+ ⋯ + 𝑎 𝑛−1 𝑧 + 𝑎 𝑛, 𝑎𝑖 ∈ ℂ
証明してみよう
、、と、その前に復習。

17. 本日使う道具 (1) 【再掲】
 平面上で原点を通らない閉曲線を連続的に動かす時、全ての閉曲線が原点
を通らないなら、閉曲線の回転数は常に一定（回転数の定理）
O

18. 本日使う道具 (2) 【再掲】
 複素数平面のお話
 ド・モアブルの定理
z = r(cos 𝜃 + −1 sin 𝜃)に対し、
𝑧 𝑛
= 𝑟 𝑛
(cos 𝜃 + −1 sin 𝜃) 𝑛
= 𝑟 𝑛
(cos 𝑛𝜃 + −1 sin 𝑛𝜃)
→複素数zをn回掛けると、原点からの距離(r)をn乗かつ偏角をn倍したものに等しい

19. 証明(の格子)
 𝑓 𝛼 = 0となる𝛼 ∈ ℂが存在しないとする（背理法の仮定）
 z = r(cos 𝜃 + −1 sin 𝜃)とおいた時のrを充分大きく固定し、𝜃を0から2πに動かすと、
𝑓 𝑧 の像は原点を中心にn回まわる(→回転数がn(≧1))
 𝑓 𝑧 = 𝑧 𝑛
+ 𝑎1 𝑧 𝑛−1
+ 𝑎2 𝑧 𝑛−2
+ ⋯ + 𝑎 𝑛−1 𝑧 + 𝑎 𝑛
= 𝑧 𝑛
1 + 𝑎1
1
𝑧
+ 𝑎2
1
𝑧2 + ⋯ + 𝑎 𝑛−1
1
𝑧 𝑛−1 + 𝑎 𝑛
1
𝑧 𝑛
で、一般に 𝑧 𝑛
は原点の周りをn回まわり（ド・モアブルの定理）、
r ≫ 1の場合括弧内は1の近くでコチョコチョ動くだけ。
 一方、rの値を0に(連続的に)近づけるとf(z)が動く範囲が一点f(0)の近くに集まるため、𝜃
を0から2πに動かした時のfの像の(原点に対する)回転数は0
 f(z)の連続変形の間、 𝑓 𝛼 = 0 となる𝛼 ∈ ℂが存在しないとしていたが、(回転数がn(≧1),
0と異なるため)これは「回転数の定理」に反する→矛盾■

20. 証明のイメージ
 平面上で原点を通らない閉曲線を連続的に動かす時、全ての閉曲線が原点を
通らないなら、閉曲線の回転数は常に一定（回転数の定理）
rが大きいと何回転もする
x
↑f(0)
rが小さいとf(0)の周りで
くるっと
O

21. 参考文献
 松本幸夫 「1,2,4,オイラー ～トポロジーの話し～」
 http://mathsoc.jp/publication/tushin/0504/matsumoto5-4.pdf