生命機能設計学 第三回の講義レポートです。 PCR法、ショットガンクローニング、dideoxy法によるシークエンス、発現スクリーニングとその意義 についてざっくりまとめています。

1. 細胞機能設計学 レポート③
（2017/10/19 の講義分）
2017/10/26
ゆきひろ
【PCR 法】
PCR 法は、人工的に合成した一組のプラ
イマーオリゴヌクレオチドを使ってそれら
の間に挟まれた DNA 断片を短時間のうちに
大量増幅する方法（図 1）で、K.Mullis ら
により発明された。
図 1
【ショットガンクローニング】
ショットガンクローニングは塩基対が数
十～数百 kbs 等の長い DNA の塩基配列の決
定に対してしばしば適用される配列決定手
法（図 2）である。
図 2
【dideoxy 法によるシークエンス】
DNA シークエンシングとは、DNA を構成す
るヌクレオチドの結合順序（塩基配列）を
決定することである。塩基依存的に DNA 断
片を作製し、その長さを比べることで塩基
の順序を知る方法である。
サンガーらが Sanger-dideoxy 法の原理
を発表した。DNA ポリメラーゼによる修復
合成を利用することから「酵素法」とも呼
ばれ、現在ではもっぱらこの方法が用いら
れている。
得られた鋳型の DNA、酵素を用いて 5’＞
3’ポリメラーゼ反応を行いて相補鎖を合成
させる。dideoxy 法は次のような性質を利
用して行われる。デオキシヌクレオチド
（dNTP）とジデオキシヌクレオチド（ddNTP）
の両方を取り込む。ddNTP は 3’末端に-OH
基を持たないので、dNTP の代わりに ddNTP
が取り込まれるとそこで鎖の伸長が停止す
る(図 3)。

2. 図 3
【発現スクリーニングとその意義】
目的遺伝子のクローニングにおいて、そ
の作業効率は非常に重要である。このこと
は一重に生物学的知識の拡充だけではなく、
インターネットの普及を含め多岐にわたる
分野における技術発展の賜物である。
ヒトゲノムプロジェクトの完了以前と以
後とのクローニングに要する時間（期間）
が著しく異なる。ゲノムプロジェクト完了
以前のクローニングは
1. 目的タンパク質の精製（数か月）
2. ウサギやラットに免疫してポリクロー
ナル抗体の取得（数か月）
3. 発現ライブラリーの構築（1 か月）
4. 発現スクリーニング（1 か月）
という行程で行われており、全行程が順調
に進んだと仮定しても最低 1 年間は要して
しまっていた。
技術が進歩し、ヒトゲノムプロジェクト
の完了をはじめ、目的遺伝子の検索データ
ベースの充実、PCR 法の確立等の技術革新
により、現在のクローニングは、
1. 目的タンパク質の配列をデータベース
で検索（10 分）
2. N 末端と C 末端の PCR 用オリゴ（プラ
イマー）を合成依頼（30 分）
3. 遺伝子発現している細胞から cDNA を
調製（数時間）
4. PCR（数時間）
という行程で完結しており、順調に進めば
約 1 週間程度の時間でクローニングが完了
できる。これは学生実験で用いられても良
い段階にまで効率化されているといってよ
い。
【参考文献・画像元 URL】
 KHAN ACADEMY：
https://www.khanacademy.org/scienc
e/biology/biotech-dna-technology/d
na-sequencing-pcr-electrophoresis/
a/dna-sequencing
 DNA Sequence デオキシヌクレオタチド
の塩基配列決定（DNA シーケンス）：
http://mcbworld.jp/methods/dnaseq/
dna.htm