2019 jmda Recent advances in big data analysis of the diagnosis of tourism destination 観光診断に資するビッグデータ研究の内外動向
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観光診断に資するビッグデータ研究の内外動向
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2019 jmda Recent advances in big data analysis of the diagnosis of tourism destination 観光診断に資するビッグデータ研究の内外動向
- 2. 2 ０．背景 ・オーバーツーリズムのような新しい問題に対応するための方法が必要だろう。 UNWTO 2018 ‘Overtourism’? Understanding and Managing Urban Tourism Growth beyond Perceptions １．観光による混雑は訪問客の数だけではなく、キャパシティに関係している。 （容量の大きい街（寛容な街）小さい街が存在する） ２．混雑は、市全域の問題でなく、ローカルで発生している。 ３．混雑は観光に限った問題ではない。（不動産市場や都市計画に関係する） ４．スマートソリューションは有望だが、それだけでは解消しない。 （利害関係者間の連携長期取り組み） オーバーツーリズムに対応するためには、これまでの観光地調査や分析方法では、必ずしも充分ではないように 思われる。
- 3. 3 注１ オーバーツーリズムとキャパシティの関係 TI 旅行者による影響 TC 観光地のキャパシティ Peeters, P.M.et al. 2018. Research for TRAN Committee -Overtourism: impact and possible policy responses. p25 fig.2 Conceptual model of overtourism の一部 旅行者による影響 観光地のキャパシティ
- 4. 4 注２ スマートソリューション スマートシティ スマートツーリズム （上）UNWTO Smart Tourism System (STS), SEGITTUR, Spain （下）京都市 嵐山快適観光ナビ
- 5. 5 注3 日経2019.09.05 イル・ド・フランス議会議長 バレリー・ペクレス氏 ・最近、ルーブル入館制限開始 ・他都市と比べて、ゾーニング（居住者・観光客分離）出来てる。 ・歴史的に観光客迎える素地があるから大丈夫。 ・美術館の混雑はデジタル技術で平準化。他都市に追いつきたい。 ・ホテル増やして賃料上昇抑えてる。 ・bnb影響受けてるのは、一部の低価格ホテル。 ・郊外の知られざる名所へ誘導、分散化取り組んでる。 鎌倉市長 松尾崇氏 ・観光客のマナー向上（食べ歩き、線路沿いの撮影）求める条例作った。 ・来て欲しいのは富裕層。歴史文化の体験型メニューを開発中。 ・宿泊客は1.5％、市にお金が落ちない。観光地整備に税金使うことについて市 民の理解得られない。そこでクラウドファンディングで観光案内板作った。 ・新技術で時間帯、季節、観光スポットの分散化目指してる。昭文社とビッグ データの蓄積始めた。 ・ロードプライシング導入目指してるが、反対意見もああり苦労している。 ・AIを用いた信号機や自動運転も取り入れたい。 観光公害 どう向き合う 生活を乱さぬ工夫必要 人の流れ分散へ新技術
- 6. 6 ０．背景（再掲） ・オーバーツーリズムのような新しい問題に対応するための方法が必要だろう。 UNWTO 2018 ‘Overtourism’? Understanding and Managing Urban Tourism Growth beyond Perceptions １．観光による混雑は訪問客の数だけではなく、キャパシティに関係している。 → 物理的キャパシティ以外は既存調査で測定困難 ２．混雑は、市全域の問題でなく、ローカルで発生している。 → 局所的・小地域データが不可欠 ３．混雑は観光に限った問題ではない。（不動産市場や都市計画に関係する） → 総合的地域診断の観点 ４．スマートソリューションは有望だが、それだけでは解消しない。 → 単年度効果でなく中長期的影響の評価 オーバーツーリズムに対応するためには、これまでの観光地調査や分析方法では、必ずしも充分ではないように 思われる。
- 7. 7 １．研究目的 ・観光診断研究に関連すると思われる範囲内にて、ビッグデータ分析を利用し た内外の先端研究における近年のチャレンジを分類し、整理する。 （注意：本報は、観光（観光地）診断を観光地の地域診断という一般的な意味 で用いるものとする。） （それぞれが抱える課題） ・観光： 整備された統計（データ）に基づいた実証研究 ・ビッグデータ： 現実社会のニーズに対応 ・診断： 今日的な地域課題との関わり 観光 診断ビッグデータX X
- 8. 8 （以下の話の流れ） ２節 観光診断の定義、範囲について、参考文献を紹介 ３節 「観光✕ビッグデータ」のレビュー論文をレビュー ４節 「観光✕ビッグデータ」の研究論文群を「観光診断」の調査項目に沿っ て分類する。
- 12. Wong et al. (2017) Reviewing Geotagging Research in Tourism 12 ３．ツーリズムビッグデータ研究の先行レビュー データ収集・前準備 データ分析 回遊・行動分析 推奨システム アプリケーション その他 居住者・旅行者の分離 観光スポットの自動抽出 時空間情報からの旅行者 流動の推定・予測 言語情報分析 自動タグ付け 代表写真抽出 位置情報を利用した観光研究（30本）の利用手法に沿った分類
- 13. Li et al. (2018) Big data in tourism research: A literature review 13 ３．ツーリズムビッグデータ研究の先行レビュー 観光ビッグデータ研究（165本）をデータ種別（3種類）に分類し、技術を解説 UGCユーザー生成コンテンツ デバイスデータ トランザクションデータ UGC（テキストデータ）の観光調査利用法 UGC（写真データ）の観光調査利用法 デバイスデータ（GPS）の観光調査利用法
- 14. Yan & Subramanian (2018) A Review on Exploiting Social Media Analytics for the Growth of Tourism 14 ３．ツーリズムビッグデータ研究の先行レビュー 観光研究で使用されるSNSテキストデータ分析ツール・ライブラリーを整理
- 15. Mariani et al.(2018) "Business intelligence and big data in hospitality and tourism: a systematic literature review" 15 ４．ツーリズムビッグデータ研究の分類と傾向 実証的な観光研究の中で「ビッグデータ」および「ビジネスインテリジェン ス」をキーワードに含むもの59本を分類解説 旅行・宿泊業界の実務や地域政 策にかかる論文が多い。 論文内頻出語のワードクラウド（左）キーワードに「ビジネスインテリジェン ス」を含む論文（右）キーワードに「ビッグデータ」を含む論文
- 16. 16 ４．ツーリズムビッグデータ研究の分類と傾向 A 30% B 62% C 1% その 他 7% n A．受け入れ環境の見える化 1 ・インフラ１ 飛行機、道路、鉄道 1 2 ・インフラ２ 港湾、空港、駅、施設等 2 3 ・サービス１ 宿、飲食、交通、観光施設 14 4 ・サービス２ 顧客対応（従事者、住民） 0 5 ・観光資源 自然資源、文化資源 2 6 ・事業促進環境１ ビジネス環境 0 7 ・事業促進環境２ 安心、安全／健康、衛生 0 8 ・事業促進環境３ 人的資源と労働市場 0 9 ・観光政策とその促進要件１ 価格競争力、国際的な開放度 0 10 ・観光政策とその促進要件２ 観光産業への行政の態度 1 11 ・観光政策とその促進要件３ 受け入れ環境の持続可能性 1 B．来訪者の見える化 12 ・来訪者数／宿泊者数（月間、月別、曜日別） 9 13 ・主要マーケット／来訪者の属性 6 14 ・観光消費額（季節、曜日、来訪者カテゴリー） 2 15 ・満足度／リピーター比率（来訪者カテゴリー別） 5 16 ・詳細な来訪者の実像（周遊パターンや来訪要因他） 21 C．観光による地域へのインパクトの見える化 17 ・観光による経済効果（総消費額、域内調達率、雇用者数、税収） 0 18 ・観光に対する住民感情 0 19 ・観光によるシビックプライド醸成への寄与 0 20 ・交通渋滞やインフラへの負荷 0 21 ・地価や物価 0 22 ・環境への負荷 1 23 ・その他の要因 0 項 目 Mariani et al.(2018)の論文リストを大社の項目に対応させて分類した。 ・現状、A,B分野に偏り、Cは乏しい。 ・3番（ホテル満足度）と9番（客数の時系列予 測）に集中。いずれも古典的な研究フレームあり。 ・13番（属性調査）、16番（回遊パターン）は、 ビッグデータならではの新しい知見をもたらす。 現在の中心的テーマ。 ・新しい分野（Cの住民感情、シビックプライド、 渋滞など）は未開拓分野。