☆20170326 USA調査報告要旨
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3)2005〜15 年の原子力比率は 20%で横ばい維持、
2015 年の原子力稼働率は過去最高 92%
米国の原子力発電は、クリーンかつベースロード電源。電
源構成の原子力比率は、ここ 10 年間で 20%を維持。
(出所:2016.5.13 EIA“Carbon dioxide emissions from electricity generation in 2015 were lowest since 1993”)
規制強化によるコスト上昇を高効率化への取組みで克服し、
2015 年では、稼働率は過去最高 92%、発電量は世界一。
(出所:NEI“US Nuclear Capacity Factor”)
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8)米国では TMI 事故後、事故炉以外は正常稼働
1979 年のスリーマイル島(TMI)事故の後、当時のイン
フレ状況もあり、建設途上にあった多くの原子力発電所の新
設が停滞。
しかし、現存する原子力発電所の殆どは、TMI 事故後に許
可されたもの。
TMI 事故後、NRC は規制を強化。連邦政府は 2005 年に
原子力発電所向け債務保証枠を確保。(この保証措置はトラン
プ政権による来年度予算案で打切り。)
直近の新設は、昨年 10 月に竣工したワッツバー2 号機(テ
ネシー州;115 万 kW)。1973 年に建設開始、1985 年に
一時中断、2007 年に建設再開して今回竣工。現在 10 基の
新設プラントが許可申請中。
TMI 事故後に米国内の全ての原子力発電所を停止したとい
うことはない。米国では、事故を起こしていない原子炉を強
制的に停止させたり、再稼働を認めない、というような運用
はしていない。
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【日本のエネルギー政策への示唆】
<1> 電力自由化の下での原子力政策の方向性
既設原子力発電所の採算性悪化を防ぎながら、運転期間を
可能な限り長期化する必要あり。
そのためにも、原子力発電所と電力小売事業者の長期購入
契約制度を導入すべし。
<2> 「最終処分」の方向性
米国と違い、日本では既設原子力発電所に代わる安価安定
電源を確保できていない。既設原子力発電所をフル活用でき
る状況を早急に整えていく必要あり。
日本は、高レベル放射性廃棄物の「最終処分」のための候
補地の選定に向けた努力を続けていくべし。
「中間貯蔵」については、燃料プールでの湿式貯蔵から、
ドライキャスクでの乾式貯蔵への転換を進め、それを「最終
処分」までの超長期的な繋ぎとするのが最善かつ現実的。
<3> 「日米原子力協定」改定への方向性
今のところ、2018 年の「日米原子力協定」改定は、米国政
界では全く話題になっていない。トランプ大統領やその周辺