(有人)月探査のこれから 
寺薗淳也 
てらぞのじゅんや 
会津大学 
http://moonstation.jp 
© JAXA
今日お話しすること 
• 月探査の歴史 
– 競争の時代 
– 科学の時代 
– 国際化の時代、そして…? 
• わかってきたこと 
• 私たちはどこへ行けばいいのか? 
• 月の縦穴の可能性 
• 人間は究極のロボット 
• やがて、人類は月に戻る 
Photo by NASA
私はだれ? 
• いま、福島県の会津大学 
で、教員をしています。 
• 専門は惑星探査と情報科 
学。 
• 学生時代は宇宙科学研究 
所にいました。 
• そのあと、宇宙開発事業 
団へ。 
• JAXAでは広報部に3年い 
ました。 
• 「はやぶさ」「かぐや」に関 
わってきました。
月探査の歴史 
• 第1期…競争の時代 
1960年代、アメリカと旧ソ連が月の先陣争いを繰り広げ、結 
局はアメリカが勝利することとなった。 
• 第2期…科学の時代 
1990年代から、科学を目的にした探査が、アメリカにより展 
開。小型の探査機を使った科学探査が実施された。 
• 第3期…国際化の時代 
2000年代は、ヨーロッパ、日本、中国、インドが月探査に参 
入。国際的な月探査が広く実施されるようになった。 
• 第4期…? 
民間による月探査(グーグル・ルナーXプライズ)、着陸探査 
での世界的な協力?
アポロ11号 
Photo by 
NASA
クレメンタイン 
Photo: 
DOD/BRL 
/NASA
かぐや 
© JAXA/SELENE
わかってきたこと 
• 月の初期の歴史が少しずつ明らかになってきている 
月には、できたときに巨大な衝突が何回も起きたあとが残っ 
ていることがわかってきた。おそらく、できたときにはきっと大 
きな衝突を繰り返してきたのだろう。 
• 月のでき方がわかってきた 
月の表面はまずできたときにはどろどろに溶けていた。それ 
が固まっていまのような形になったのだが、なんで海(黒い部 
分)と高地(白い部分)に分かれたのかが、これも少しずつ明 
らかになってきている。 
• 月の内部構造が突き止められてきた 
これがわかると、月のでき方としてよくいわれる「巨大衝突 
説」にかなり迫れることになる。
私たちはどこへ行けばいい 
のか 
• 究極の目標は、火星。 
アメリカが2030年代に火星に人を運ぶことを念頭に置いて 
いるが、時期はともあれ、どのような国でもこの「有人火星探 
査」は究極の目標といってよい。また、最近では国際協力の 
動きもある。 
• 「どう行くか」が問題。 
では、火星にどう行くのか、というと、月でまず訓練を行って 
いくのか、宇宙ステーションで十分なのか、さらには小惑星な 
のか、といろいろな考え方がある。 
• いまのアメリカの計画では小惑星 
でも以前は月だった。またそれが変わってくるかも知れない。 
また中国も月には熱心。
月の縦穴 
© JAXA/SELENE
月面基地の可能性 
• 月面基地は地下に作った方がよい 
いん石も降ってくるし、有害な宇宙線、太陽風も表面には容 
赦なく降り注いでくる。また、表面は温度差も激しい。地下な 
らいん石や宇宙線を避けられるし、1年中温度差も少ない。 
• 縦穴は月面基地に大きな可能性をもたらす 
縦穴は、月の地下にある大きな穴「溶岩チューブ」に空いた 
穴である。溶岩チューブは地下の大きな穴なので、そこに基 
地を作ればよい。出入り口は縦穴を使える。 
• 位置の点でもよい 
縦穴があるのは月の表側。地球からも見えるので、アクセス 
や通信も心配ない。
人間は究極のロボット 
• 人間は、その場で判断ができる 
ロボット(コンピューター)は、あらかじめプログラムされたとおり 
にしか判断ができない。人間であれば、その場の状況に応じ 
て判断を下し、あらかじめ考えていなかった行動をとることも 
できる。 
• 人間は、移動にすぐれている 
二足歩行という点では、いまのロボットより人間の方がすぐれ 
ている。また、月面のようなでこぼこした場所で動くのは人間 
の方が得意。 
• 人間の感覚は優れている 
ロボットよりも互換の感覚は人間の方が感じ取る能力は強い。 
においや触覚など、いろいろな感覚を使って判断することがで 
きる。
オオラリイオオン宇宙船 
ン 
Photo by NASA
やがて、人類は月に戻る 
• 月は、地球に最も近い(それなりに大きな)天体 
小惑星ももちろんいいのだが、基地を設けて動くとなると、や 
はり月の方が動きやすい。そして火星よりははるかにアクセ 
スしやすい。 
• 月は、いろいろなことを知ることができる天体 
月についてはまだわかっていないことがたくさんある。人間 
の手でそれを調べるには、月という天体の広さはちょうどよ 
いといえる。 
• 月は、その先に進みやすい天体 
適度な重力があり、安全な基地が地下に構築できるのは地 
球近くでは月だけ。火星に行くのであれば、一度は「立ち寄 
る」必要があるだろう。
おまけ 
12月10日、朝日新聞出版より、 
「惑星探査入門」という本を出版 
いたしました。 
とかく専門用語や横文字ばかりで 
とっつきにくい月・惑星探査という 
分野をわかりやすく解説したとい 
う点ではじめての本ではないかと 
思います。 
今日のお話を聞いて興味を持っ 
た方、ぜひ手に取ってみて下さい。 
1,728円(税込) 朝日選書

(有人)月探査のこれから

  • 1.
  • 2.
    今日お話しすること • 月探査の歴史 – 競争の時代 – 科学の時代 – 国際化の時代、そして…? • わかってきたこと • 私たちはどこへ行けばいいのか? • 月の縦穴の可能性 • 人間は究極のロボット • やがて、人類は月に戻る Photo by NASA
  • 3.
    私はだれ? • いま、福島県の会津大学 で、教員をしています。 • 専門は惑星探査と情報科 学。 • 学生時代は宇宙科学研究 所にいました。 • そのあと、宇宙開発事業 団へ。 • JAXAでは広報部に3年い ました。 • 「はやぶさ」「かぐや」に関 わってきました。
  • 4.
    月探査の歴史 • 第1期…競争の時代 1960年代、アメリカと旧ソ連が月の先陣争いを繰り広げ、結 局はアメリカが勝利することとなった。 • 第2期…科学の時代 1990年代から、科学を目的にした探査が、アメリカにより展 開。小型の探査機を使った科学探査が実施された。 • 第3期…国際化の時代 2000年代は、ヨーロッパ、日本、中国、インドが月探査に参 入。国際的な月探査が広く実施されるようになった。 • 第4期…? 民間による月探査(グーグル・ルナーXプライズ)、着陸探査 での世界的な協力?
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    わかってきたこと • 月の初期の歴史が少しずつ明らかになってきている 月には、できたときに巨大な衝突が何回も起きたあとが残っ ていることがわかってきた。おそらく、できたときにはきっと大 きな衝突を繰り返してきたのだろう。 • 月のでき方がわかってきた 月の表面はまずできたときにはどろどろに溶けていた。それ が固まっていまのような形になったのだが、なんで海(黒い部 分)と高地(白い部分)に分かれたのかが、これも少しずつ明 らかになってきている。 • 月の内部構造が突き止められてきた これがわかると、月のでき方としてよくいわれる「巨大衝突 説」にかなり迫れることになる。
  • 9.
    私たちはどこへ行けばいい のか •究極の目標は、火星。 アメリカが2030年代に火星に人を運ぶことを念頭に置いて いるが、時期はともあれ、どのような国でもこの「有人火星探 査」は究極の目標といってよい。また、最近では国際協力の 動きもある。 • 「どう行くか」が問題。 では、火星にどう行くのか、というと、月でまず訓練を行って いくのか、宇宙ステーションで十分なのか、さらには小惑星な のか、といろいろな考え方がある。 • いまのアメリカの計画では小惑星 でも以前は月だった。またそれが変わってくるかも知れない。 また中国も月には熱心。
  • 10.
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    月面基地の可能性 • 月面基地は地下に作った方がよい いん石も降ってくるし、有害な宇宙線、太陽風も表面には容 赦なく降り注いでくる。また、表面は温度差も激しい。地下な らいん石や宇宙線を避けられるし、1年中温度差も少ない。 • 縦穴は月面基地に大きな可能性をもたらす 縦穴は、月の地下にある大きな穴「溶岩チューブ」に空いた 穴である。溶岩チューブは地下の大きな穴なので、そこに基 地を作ればよい。出入り口は縦穴を使える。 • 位置の点でもよい 縦穴があるのは月の表側。地球からも見えるので、アクセス や通信も心配ない。
  • 12.
    人間は究極のロボット • 人間は、その場で判断ができる ロボット(コンピューター)は、あらかじめプログラムされたとおり にしか判断ができない。人間であれば、その場の状況に応じ て判断を下し、あらかじめ考えていなかった行動をとることも できる。 • 人間は、移動にすぐれている 二足歩行という点では、いまのロボットより人間の方がすぐれ ている。また、月面のようなでこぼこした場所で動くのは人間 の方が得意。 • 人間の感覚は優れている ロボットよりも互換の感覚は人間の方が感じ取る能力は強い。 においや触覚など、いろいろな感覚を使って判断することがで きる。
  • 13.
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    やがて、人類は月に戻る • 月は、地球に最も近い(それなりに大きな)天体 小惑星ももちろんいいのだが、基地を設けて動くとなると、や はり月の方が動きやすい。そして火星よりははるかにアクセ スしやすい。 • 月は、いろいろなことを知ることができる天体 月についてはまだわかっていないことがたくさんある。人間 の手でそれを調べるには、月という天体の広さはちょうどよ いといえる。 • 月は、その先に進みやすい天体 適度な重力があり、安全な基地が地下に構築できるのは地 球近くでは月だけ。火星に行くのであれば、一度は「立ち寄 る」必要があるだろう。
  • 15.
    おまけ 12月10日、朝日新聞出版より、 「惑星探査入門」という本を出版 いたしました。 とかく専門用語や横文字ばかりで とっつきにくい月・惑星探査という 分野をわかりやすく解説したとい う点ではじめての本ではないかと 思います。 今日のお話を聞いて興味を持っ た方、ぜひ手に取ってみて下さい。 1,728円(税込) 朝日選書