1. INGENUITY No.
１
病棟
６階東
科
内科
Room
603
Bed
02
患者ID
00111590
患者名
08月
01 05 07 09 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29
03
100
90
病棟
613 612
80
「地域医療」
と
:MRSA 615
２
６階東
内科 603 03 00111690 611 累 70
病棟 :CD
計
616
60
６階東
617
百
３ 内科 603 04 40026581 50
「医療安全対策」
における感染制御
分
618
病棟
610
620
率 2003-06年
６階東
621
︵ 40
４ 内科 605 01 00068866
％
622
病棟
608
2006-09年
625
623
︶
30
６階東 2009-10年
５
病棟
内科 605 02 30105368 607 20
６階東 10
６ 内科 605 03 00254074
公立 置賜総合病院 感染対策室 医師
606
病棟 0
検索結果 ：MRSA
601 602 603 605
0.0 0.0 0.1 0.2 0.5 1 2 4 8 1 3 6
MIC ｇ/ml）
（μ
稲毛 稔 先生
同一表示欄に複数の菌が存在した場合は、背景色をグレーで表示し、マークと色は対象菌の上位条件のものを表示しています。
図１ ICONS21によるMRSA発生の病棟別時系列表示と病棟マップ 図 2 クラビットの肺炎球菌に対する感受性累積度数曲線
2DCMと共に、ICONS21 を利用すること な医療を実現するためには感染制御は避け
山形県南部、
ドラマでは、
置賜地方の公立置賜総合病院は、
戦乱の世を「愛」を掲げて戦い、
NHK の大河ドラマ
「天地人」
で有名な直江兼続が仕えた米沢上杉藩の中央に位置する。
主君への「義」を貫き通した兼続の精神が描かれていたが、今回取材する稲毛先生には、
3 ICONS21 による感染経路探索と
薬剤費削減効果
で、感染管理チャート（菌検出、投与抗菌薬、 られない問題ということを自覚して欲しいで
体温等のグラフ表示）により患者の病態が す。感染制御とは医療安全対策の一環であり、
感染制御に取り組む姿勢など、人間性に関する部分も大いに語っていただいた。
― 感染制御システムである ICONS21
― 時系列で分かり、病棟患者別耐性菌時系列 感染対策に取り組むことが医療の質を保つ
1
る病院を目指し、地域医療発展に取り組ん 査技師の方々のチームワークが不可欠です。 の導入のメリ トは何ですか
ッ ？ 表示や、耐性菌病棟マップ表示 で、集
図１ ことに繋がります。
地域医療を守る置賜総合病院
でいます。 これらの活動成果として、消毒薬の消費量と
「当院では 2008 年から ICONS21を導入 団発生を捉えることも可能となっています。 ICONS21 のような感染制御システムは
― まず、公立置賜総合病院の紹介と地
― 今後も地域医療を発展させるには、地域 薬剤耐性菌の出現頻度は反比例する等の論 しましたが、まず、感染制御システムの長所 MIC 累積百分率も ICONS21 のデータに 病院のリスクマネジメントに貢献し、経営で
域医療についてお聞かせください。 の医療機関と連携が大切です。将来的にこ 文を発表しています。 として、感染対策の効果や、耐性菌の監視 より示すことができます。クラビットという抗 いうリスクヘッジです。一度大規模なアウト
「置賜総合病院は、山形県と 2 市 2 町が れらの病院との患者さんの情報共有を進め 医師は入れ替わりが激しく、感染対策教 が目に見える形で行えることです。 菌薬が、2003 年∼ 2009 年度まで多く処 ブレイクを起こしてしまうと、経営的にも、
2000 年に合同で設立され、病床数 520 床、 る予定で、将来的には山形県全体に医療網 育が難しいですが、ICT が医師に抗菌薬使 例えば、手洗いや抗菌薬の使用を徹底す 方されていた「少量を数回に分けて投与す スタッフの心理的にも大きな損害となります。
ヘリポートや高度救命センターの完備など、 を構築することを目指しています」 用のアドバイスや当院での薬剤耐性菌情報 ると、MRSA 発生件数の変化や、様々な細 る方法」より、2009 年度以降のように、
「一 私は感染制御対策を江戸時代の「火の用
置賜地区の医療拠点です。また、第二種感 を常に提供することにより、医療の質の保持 菌の薬剤耐性化を抑制できることが確認で 度に多量を投与する方法」の方が感受性傾 心」のようだと考えています。火事にあたる
染症指定医療機関に指定されており、結核 に努めています。 きます。 向を見込めることが示されています 。 アウトブレイクが発生する前に用心して、感
2
図2
感染制御を担う人材育成
を含む様々な感染症の患者さんが集まって 感染対策に取り組んだ結果、今年度 ヶ月
４ また ICONS21 は、電子カルテと連動し このように ICONS21 では様々な有用性 染症を起こさない環境をつくることが大切で
くる病院です。 ― 置 賜 総 合 病 院 で は 感 染 制 御 チ ー ム
― 間 の 針 刺し事 故 はまだ１件 も 発 生 せ ず、 感染経路が特定できることも利点です。 のあるデータを示せます。このデータを活 す。今後も感染制御の取り組みを継続して
当院は「絶対に患者を断らない」という (ICT) 活動にどのように取り組んでいましたか？ MRSA も月に 1、2 例までに抑えられており、 従来、感染症の患者さんに接触した人を 用することにより有効な抗菌薬の選択がな いきたいです」
信念を持ち、この度の東日本大震災でも、
「私たちの感染対策の究極の目標は、感 私達の規模の病院としては少ないです。 追跡することは非常に困難でしたが、このシ され、結果として薬剤費の削減につながり
多くの被災地の患者さんが運ばれました。 染防御策が病院の文化として根付かせるこ 現在、ICT 活動の状況ですが、週 1 回以 ステムを利用すれば、同室患者移動リストで ました」
稲毛 稔 先生
当院の特徴として、設立当初からサテライト とです。 上ラウンドを行っています。耐性菌発生時や、 接触可能性が分かり、感染症予防に寄与し
平成 4 年 3 月 山形大学卒 医学博士
4
システムを導入し、置賜総合病院で高度医 しかし開院当初、病院内に感染制御の専 下痢の患者さんが多発した場合は、臨時で ます。
感染制御は「火の用心」 公立置賜総合病院 内科（呼吸器）診療部長
療を施して、患者さんの身近な診療所でリ 門家が在籍していないという問題点がありま ラウンドを行い病棟の担当者に、素早く対策 ICONS21 のシステムを利用し、2 次元カ
現在、当院の感染症対策委員長として、院
ハビリや術後の療養など慢性期の治療等を した。そこで、感染対策の専門家である東 をするようにしています。 ラーコードキャリアマップ（ 2DCM）を用い ― 最後に感染対策や感染制御に対する
―
内感染の防止だけでなく、地域全体の感染
行う地域医療連携システムです。 北大学の賀来満夫先生には基本的な感染対 今後の ICT 活動としては、まずは 次医療
１ た感染経路探索の成果を、今年の環境感染 まとめをお願いします。 制御に取り組む。
病院間のスムーズな情報共有を行うため 策の取り組み方をご指導して頂き、また、 圏の感染制御を目指していきたいと思ってお 学会で発表しました。
「多くの医師や医療関係者の方々に、安全
に、設立時より電子カルテのネットワークで 針刺し事故の防止や抗菌薬の使い方などの り、地域の病院でアウトブレイクが発生した 山形大学森兼先生と
公立置賜総合病院 ICT メンバー
患者さんの疾病データなどの情報をやり取 職員教育と術後の感染対策に、東北大の渡 際にスタッフの派遣や感染制御の指導を行っ
りしています。 辺彰先生や山形大の森兼啓太先生にご指導 ています。 前列左から
■置賜総合病院 薄場修 副院長
地域医療の問題として、医師不足が挙げ いただくなど多くの先生にご支援をいただき 今後、地域の薬剤感受性率（アンチバイ
■山形大学病院 森兼啓太 感染制御部部長
られます。特に地域の病院には、医師の数 ました。 オグラム）のデータを定期的に公表したいと ■稲毛 先生
が絶対的に足りません。その解消のため、 当院はこのような指導を受けながら、微 考えています。肺炎球菌や MRSA にどうい 後列左から
■市川 主任 細菌検査技師
総合病院の医師が診療所等を巡回し、多く 生物検査室、市川技師達と共に環境感染学 う薬が効果あるかは、地域の抗菌薬の使い
■横澤 主任 感染管理認定看護師
の患者さんを治療できるよう工夫しています。 会への参加などで勉強に励み、職員全員で 方や地域性により異なります。そこで、効果
■神尾 看護師長 呼吸器内科病棟等担当
私は、地域医療を守っていくために、地域に 成長し、感染対策を充実させてきました。 の高い薬剤の情報を発信し、多くの医師や ■小笠原 看護師長 透析室担当
根ざす人材の育成が必要だと考えています。 感染対策には医師だけでなく、感染制御 医療関係者の方々が感染制御に目を向けて 写真にはいないですが、
「倉本 感染制御専門薬剤師」
そのため、若い医療スタッフにとって魅力あ チーム（ ICT ）の薬剤師、看護師や臨床検 ほしいと感じています」