コロナと学童保育

1. 第32回 埼玉県学童保育オンライン日帰り研修会
コロナと学童保育 子どもの視点から考える
with コロナのなかで学童保育の生活づくりをどう進めるか
2020年9月12日（土） 13：00－17：00
パネルディスカッション
パネラー：学童保育支援員2名 保護者1名 小学校教諭1名
コーディネーター：新井利民（立正大学）
このＰＤＦはパネルディスカッションで示した新井の資料です

2. COVID-19対策と学校休校「要請」
27日（木）夜厚生労働省は「保育所、学童保育所は一斉休園要請せず」と発表
【新井の評価】
• 「学童保育や保育所の感染リスク」を考慮しない
意思決定であった。
• これらを踏まえて準備をした自治体とそのまま政
府の要請を受け入れた自治体とに分かれた。

3. 2月28日（金）
学童保育担当課と協議
• 市の担当者は「どうしたらいいです
か」的な反応。
• 学童保育事業者として1日がかりで問題
点と課題を検討し、市と協議。
• 北本市の場合には午前8時からの開設を
したが、午後1時や2時からの開設を決
めた自治体も。
• 右の文書は事業者発信。市からも通知
やＷＥＢサイト掲載をしてほしいと念
を押したが、実現せず
（自治体・首長の発信力と責任感の違い
を痛感した出来事）

4. →赤旗2020年3月9日

5. ＣＯＶＩＤ-19対応と学童保育政策を振り返って
中央政府の対応について
• 2月27日のタイミングの学校休校要請は、首相の「独断」だっ
た様子。政治的判断・メッセージの、あのタイミングや、猶予
期間のなさについては、後に検証される必要。
• 「感染リスク」は学童保育室の方が高いことが共有されていな
かった⇒学童保育室での子どもたちの暮らしの認識が政権や社
会の中になかった。
• その後厚生労働省も慌て、学童保育室への補助金政策なども
作ったが、短期間にコロコロ（当初の補助基準の倍額になるな
ど）変わり、現場の状況を十分把握していないことが露呈した。

6. ＣＯＶＩＤ-19対応と学童保育政策を振り返って
地方政府の対応について
• 想像通り、想像以上に、自治体が持つ公共サービスの「外部
化」により、現場を知らない職員、知ろうとしない風土、事業
の意義やリスクを勘案して今後を構想する力量が、欠落してい
ると痛感。
• もちろん、すべての現場を経験した職員を、事務スタッフにす
ることはできない。しかし、「調整主体」としての役割と責任
の重みをしっかりと確認できる職員、外部化した公共サービス
の職員と一緒に（しっかり）考えられる職員を養成していかな
いと、このようなリスクが今後も出てくる中で、住民への不利
益はとても大きくなるのでは。

7. この半年の、子どもたちは・・・・
•子どもなりの解釈で、大きな不安感をもっている
•一人ぼっちになる 分断されている（孤業）
•「はみ出す子」への子どものまなざし
•「楽しいところ」「楽しみ」の喪失

8. 皆さんの報告を改めて整理
この半年の経験で
１．失敗したこと
／今後してはならないと思うこと
２．してよかったこと／すべきだったこと
／今後するべきこと

9. 失敗したこと・これでよかったのかな
• 支援員同士の情報共有が不足していた
• その場しのぎの分散生活はダメ。物理的に限界。環境整備が必要
• 子どもを閉じ込めていた。子どもを家に置いておいた。
• 子どもの気持ち、子どもの主張を、初期のころについてはしっかりできな
かった。抑え込んでしまっていた。行き過ぎていた。
• ルールを守らなければいけない、ということを強く。
• 自分の采配の中でルールを破ることも大事（暑い日にマスクなど）
• 大変な日々の中で、保護者にお弁当を作ってもらうことがよかったのか
⇒ローソンのおにぎり お昼づくり 毎週火曜日
• 子どもたちのダイナミックの要望に対応しきれなかったかもしれない。
• 感染拡大を防ぐという大義名分は仕方ない。でも、大義名分さえあれば、徹
底的に攻撃していいという子供に育っていないかどうか。それに加担してし
まってはいけない。
• 受け手の問題として考えてしまいがち。すり替えてしまう。「その子」に対
して、今必要なことは何か。その子に、チューニングを合わせる。

10. すべきだったこと／今後するべきこと
• 生活のあり方を組み替えているなかで、子どもの意思、自己決定を確保して
いく
• 環境の整備。子どもの過ごす環境、労働環境として。保護者会としてそのよ
うな取り組みをしていきたい。
• 親としては、コロナの中で、子どもと一緒に過ごすことができた。子ども、
社会的な役割、家庭での役割を理解し、成長できたのではないか。
• 子どもとどっぷり過ごせた。子どものことについて共有し合えた。
• 宿題が多い。教え合いっこしたりする時間を楽しめた。（規模が小さくなっ
たことからできたこと）
• できないからしょうがないね、ではなく、枠組みの中で、できることを考え
る。制限のある中で、できることをやること、考えることをやめない。
• 「差別はいけません」などの知識レベルではだめ。乗り越え方を知らない。
大人社会でもそのようなことがある。違いを乗り越える、掛け違えたボタン
をもとに戻すすべを学ぶ。知識ではなく。
• 「子どもの自己決定」の尊重

11. 失敗したこと／今後してはならないこと（まとめ）
• 「必要以上の」子どもに対する制限をしてしまった。
• 「一方的な」「説明不十分な」制限をしてしまった。
• 親や支援員（大人）の中に差別意識や偏見があった。助長した。
• 子どもの差別意識・偏見に向き合おうとしなかった。
• キャッチフレーズに惑わされた。大義名分を盾に子どもに押し付け。
「緊急事態宣言」「新しい生活様式」
「with コロナ」「after コロナ」「コロナ世代」

12. すべきだったこと／今後するべきこと（まとめ）
• 子どもの抱える不安・保護者の抱える不安に十分寄り添う。
• 学童の生活で何を大事にするか、支援員の間で共有する
• 学童の生活で何を大事にするか、支援員と保護者、学校との間
で共有する
• 「人との関係が分断されようとしている今こそ、人と人とのつ
ながりの糸を丁寧に紡ぐ」「子どもたちの内面の変化を伝え合
い、子ども理解を深め合う」（河野氏）
• 今だからこそ、子どもの成長や変化を支援員同士、支援員と保
護者、支援員と学校、保護者と学校、保護者同士が伝えあえる
ように。支援員や学童保護者会などはそのために役割を発揮を。

13. すべきだったこと／今後するべきこと
•生活や学習について、学校の先生と協議と連携を十分に
行う
•長期休業中の在宅児童へのケアのメニューを準備する。
•長期休業後の学童再開時の子どもや保護者へのケアの留
意点をまとめておく（生活・学習・家庭・心理）。
•支援員の不安感に対して、支援員同士がケアする体制や、
保護者からのケアの働きかけを大切にする。

14. 改めて「学童クラブ」とは
•子どもの内面、親の内面に、寄り添う、寄り添い合う
•「生活全体」を視野に入れた支援
そのためには…
・「生活環境」の大切さ 「大規模」問題の解消
・支援員と保護者との協働
・様々な人々の学童保育に対する理解と支援を引き出す