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最近のAI動向
阿部真也
(AIPE知的財産アナリスト・
AI活用アドバイザー)2023年
5月20日作成 5月30日改訂、
6月8日再改訂
※本発表資料は「NBIL-5」における勉強用
に作成されたものであり、私的団体内で
の勉強用資料であることを十分に理解さ
れたい。
※※本稿は執筆者の私見によるものであ
り、所属団体その他の見解を代表するも
のではない。また、執筆者の過去学会発
表・論文・書籍・ブログなどですでに発
表済みの内容を活用している。
※※※学術的に不十分な点及びPPT発表資
料のため、資料上は説明不足な点がある。
最近見掛けた例
展示会もChatGPTの解説をパネルで展示するところも
※出展者の許可を得
て撮影
※※2023NEW環境
展/2023地球温暖
化防止展(2023年5
月24日(水)~5月
26日(金)にて発見
https://www.n-
expo.jp/outline.html
なんでもCHAT GPTに聞いてくださ
いとなるか?
・Chat GPTはある種ビッグデータより生成しているため最大多数の意見とい
えるだろう。したがってある種の客観性があるといえる。
・ もっともプロンプトの問題など、企業に都合のよい説明になるように調
整している可能性は生ずる。しかし、それ以上に考えなくてはならないのは、
ネット等からAIが学習できる情報が歪むと、あるいはそれを考えて企業など
に歪むように(操作)されると可能性は無いだろうか。「ほらChatGPTでも
こう言うでしょ」となるように情報をいろいろ流しておくという工作があり
得なくは無いだろうか。
検索エンジンでいうSEO対策と同じことがありうるかもしれない。また、
Chat GPTより不利なことが記載されないための工作等が活発化する可能性
もある。一昔話題になった官公庁や新聞社によるウィキの修正ではないが、
Chat GPT監視室的なものもあり得るかもしれない。
CHAT GPT対策よりも懸念されること(?)
・極端なAI依存(?)
・逆張りで「AIが教えない世界の真実」みたいな陰謀論的
なものも流行る?
・多様な意見がなくなってゆく(?)
・社会は大きく変わってゆく中で、考えるべきことは多い
・ただし、過剰な考えも要注意
・結局的確に状況を追うほかない
一例と考察
ツイッター引用について
https://satoublog.info/copyright/
一応埋め込み引用はOKという解説が多い
基本はこちらになる
https://sirabee.com/2017/01/19/20161058132/
引用要件を満たすことが必要
https://kinorr-tokyo.com/news/twitter_sshot/
一端地裁でスクショ引用がNGとされたが
https://monolith-law.jp/corporate/twitter-screenshot
令和5年の知財高裁判決で適法との判断に(詳細は上記弁護士サイトをご覧
ください)スクショ引用もOKというのが現在の判断になります
AIコスプレーヤーがツイッタート
レンド入り
どういうものか
Akatsuki Ichika/アカツキ イチカ🇯🇵(@Akatsuki_Ichika)さん
/ Twitter
AIグラビア研究所(@aigravure1234)さん / Twitter
主要レイヤー
転載不可により作
品は掲示不可
コメント
無断転載禁止等々の効力についても前ページの解説通り
少なくとも出典明示&ツイッター埋め込み云々であれば問題は少ないと思われる。
とはいえ、完全に切り取って、無断転用したらどうか?恐らく侵害だろう。
しかし同じようにAIで作成したといわれたら…プロンプトを同じようにすれば理
論上は他の人でも同じようなAIコスプレ作品は作ることができる。自分で作ったと
いわれた場合どうするか。
いろいろ議論はつきないところ。
被写体はついに(予測されていたことではあるが)、個人で作る時代へ…
おそらく、個人の嗜好に沿って完全にパーソナル化されたサービスがこれからま
すます多くなるだろう。
議論で参考になる書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BG57QYLM?tag=hatena-
22&linkCode=osi&th=1&psc=1
AI作画からだが、徐々にAR、そして
現実へと完全にパーソナル化された
ものが登場するのは迫りつつある。
その中で、どう考えてゆくか?
権利関係も当然(AI生成のモデル
となるデータはどう考えるかという
問題などもある)、何者かに極端に
似せた場合(そもそものコスプレの
時もあった問題、ファンの行動派一
応侵害では無いということで解決し
ているが)の様々な問題、そしてそ
もそも論でそうなってきたときにど
うするか…
反応
AIコスプレーヤーに関しては、これで人間いらないのではという反応多数。
確かに下手なコスプレーヤーより素晴らしい
ごく一部の人以外は趣味でしていることなので、これでコスプレーヤーが
困るということは無いと思われるが…
とはいえ
困るのはごく一部のコスプレで稼いでいる方…大半は趣味と思われるので限
定的効果と思われる。(で、結局AI時代になってもごく一部のやはり人間
がいい!という層がいて、人間がコスプレ頑張るからいい!!とかいう人向
けに一部のプロは成立すると思う)。その他反応様々
考察
ある種、性的搾取フリーというか完全カスタマイズで、被写体となる人間はいな
いという、ある種素晴らしい(皮肉込み)可能性もある。
しかし本当にいないのだろうかという問題はある。
モデルデータあるし、意図的に誰かもモデルにできる。
例えば次のようなもの(これはすごいと手放しで褒めて良いだろう。対象もセ
クシー女優なので、本人的にもある種うれしいところでは無いかと思う。ただ、
いろいろなversionが売れたら本人にお金が入るなどの仕組みは必要だと思う)。
例
解説通りAIなので特定の人物の年齢を変えて恐らくこうという画像も作れる。
モデル人物を指定して、着せ替えなども十
分できる(AIコスプレーヤなのかという問題
もあるが…)そしてモデルデータが豊富な
方が良いものが作れるので結局著名人の
ディープフェイク的にならないだろうか
https://twitter.com/Noime_Niajoy/status/1643971232881315840?ref_src=twsrc%
5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1643971232881315840%7Ctw
gr%5Eb6de50294266f0bdb394ace09c1fe9bcb2c9dbcb%7Ctwcon%5Es1_&ref_ur
l=https%3A%2F%2Fpenginsengen.hatenablog.com%2Fentry%2F2023%2F05%2F2
3%2F015945
https://twitter.com/Noime_Niajoy/status/1641276107151519744?
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penginsengen.hatenablog.com%2Fentry%2F2023%2F05%2F23%2F
015945
さらに
moso AIグラビアさんはTwitterを使っています: 「また歌わ
せてる、、、 東独の国家人民軍てきな感じ #AIグラビア
#aiコスプレーヤー https://t.co/84xeEnJ3Oc」 / Twitter
もうただのディープフェイクですが、歌わせ
ることも(理論的には会話も)できます
AI生成アイドル等々も
AIグラビア写真集販売終了、さらなる議論を呼び起こす可能性【AIニュース
試験運用中】 (msn.com)
“AIグラビア“写真集を集英社が発売 実在しない“美少女”は今後雑誌の
「顔」になる?(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース
等々・・・
以上のような状況は
倫理的な部分も勿論、知財的にも考えるべきところは多い。
知的財産推進計画2023にAIと著作権に
関する内容が盛り込まれる方向へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230608/k10014094171000.html
「生成AI、著作権侵害のおそれ」知的財産保護へ方策を検討…政府原案に
明記 (msn.com)
等報道 多数
検討過程資料
第2回構想委員会(本会合)令和5年3月3日(金)
13:00~15:00(Web開催)に
siryou1.pdf (kantei.go.jp)
資料1 AI生成物と著作権について あり
過去の論点や30条の4整備について、今後の論点などがまとまっている
AI生成物と著作権に
ついて(PDF/
721KB)
最新情報 内閣府及び文化庁
shiryo.pdf (cao.go.jp)
・AI開発・学習段階
と、生成・利用段階
で分ける。
・学習利用は原則的
に著作権侵害とはな
らない。
・生成・利用はでは、
通常と変わらず、類
似性と依拠性で判断。
最新情報 についてコメント
・類似性は外形的判断だろうが、依拠性はどう判断するのか?
・恐らく、当該著作物を直接みながらAIで生成したという場合だろうか。
・データセットの中に含まれていて、たまたま類似したは非侵害だろうか
(既存の法理論からは、依拠しなければOKだが、AIの中に入っていたはど
うなるのだろうか)
・かねがね懸念されているトロール的に訴える人対策はできるのだろうか。
過去の振り返り
AI生成物議論 はじまり
歴史部分などは本勉強会コラムも参照のこと
https://ipscope.nbil5.jp/ai6/
https://ipscope.nbil5.jp/ai7/
知的財産基本法第23条により毎年作成・公表される「知的財産推進計画」
では2016年版から2018年版まで、「AI生成物」といわれる新しい生成物の
問題が取り上げられている(各知的財産推進計画は
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/
首相官邸知的財産戦略本部HPより)。これが議論のベースになるものと思わ
れる。
※補足:例えば著作権審議会第2小委員会が「コンピュータ創作物」の著作物性等についての検討も行い、昭和48年6月に報告書を公表している。さらに、
「著作権審議会第9小委員会(コンピュータ創作物関係)報告書」が平成5年11月に公表されており、同様の問題が従来から議論されていたともいえる
(http://www.cric.or.jp/db/report/h5_11_2/h5_11_2_main.html)。決して突然浮上した議論では無いが、少なくとも今日的な意味での日本における議
論は2010年代中盤頃より盛り上がりはじめたといえる。2010年代前半の技術革新に対応した議論といえる。
AI生成物議論
詳細及び発表者の意見は下記参照(今回は概要のみ提示)
(ペーパー)
・いわゆる「AI生成物」のオーサーシップ(2019)『文献1』↓
https://researchmap.jp/shinya1987/published_papers/26198081/attachment_file.pdf
・「いわゆる「AI生成物」のオーサーシップに関する一考察」(2020) 『文献2』
→吉備国際大学大学院知的財産学研究科編集局編『知的財産法学の世界 吉備国際大学知的財産学研
究科10周年記念土井輝生先生追悼記念、久々湊伸一先生米寿記念論文集pp.197-219
・AI生成物の権利帰属に関する考察—行動の動機付けに着眼して—(2020)『文献3』
→情報ネットワーク・ローレビュー第19巻pp.196-210
https://www.jstage.jst.go.jp/article/inlaw/19/0/19_190005/_article/-char/ja/
(口頭発表)
・“Problems in Authorship and Copyright Attribution for AI-Generated Materials” ソウル 2018年8月24日
→International Conference on AI (Robotics), Ethics, and Governance (セカンド、ファーストは大谷 卓史
吉備国際大学大学院知的財産学研究科准教授)
・「AI生成物の権利帰属ルールについての分析」2022年3月19日
→国際公共経済学会 第10回春季大会
論点1 権利帰属
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensh
o_hyoka_kikaku/2017/johozai/dai6/siryou4.pdf
内閣府知的財産戦略推進事務局「AIに関して残され
た論点(討議用)」平成29年2月28日 p.2
オーサーシップ
をどうするか
AI創作物でも関与する人
①AIのプログラミング
②学習データの選択とモデルの選択
③AIの管理
④AIの出力結果の選択
AI生成物としてもどのように創作的意図の
関与を判定して、どのものとするか
2019年当時の発表者の論立て
(文献1の超概要)
目次
イシュー ルール
アプリケー
ション&アー
ギュメント
コンクルー
ジョン
最終章
まとめ-残
る課題につ
いて
全体の見通
しなど
問題設定と
その背景・
方法
AI生成物の
オーサー
シップに関
する先行研
究および判
例・学説の
検討
私見とそ
の根拠
私見検証
まとめと今後
の課題
イシュー:何が問題か
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/ke
nsho_hyoka_kikaku/2017/johozai/dai6/siryou4.pdf
内閣府知的財産戦略推進事務局「AIに関して残され
た論点(討議用)」平成29年2月28日 p.2
オーサーシップ
をどうするか
AI生成物でも関与する人
①AIのプログラミング
②学習データの選択とモデルの選択
③AIの管理
④AIの出力結果の選択
AI生成物のオーサーシップ帰属に関する先行研究
 Pamela Samuelson著「Allocating Ownership Rights in Computer-Generated Works」47 U. Pitt. L. Rev.
1185 (1985)
→ 原則的には、創作インセンティブを得られるよう使用者に帰属させるべきとする※その他立証
の困難性等をあげてAI使用者に帰属させるべきとする。
 Kalin Hristov著「Artificial Intelligence and the Copyright Dilemma」IDEA 57, 3(2017) .431-454
→AIを作成したプログラマーとその企業に帰属させるべき。AIの発展インセンティブを重視する。
 Mark Perry・Thomas Margoni著「From Music Tracks to Google Maps: Who Owns Computer-generated
Works?」((2010). Law Publications. Paper 27.)
→帰属無。パブリックドメインにすべき。スイッチを押しただけの使用者に帰属することはおか
しく、AIに帰属、プログラマーに帰属するのもそれぞれおかしいので、パブリックドメインとすべき
だ。
 大本康志著「サルの自撮り写真をめぐる著作権法を中心とした法的諸問題‐サルとAIの比較-」
(土肥一史先生古稀記念論文集「知的財産法のモルゲンロート」中央経済社2017年
pp.387‐398)
→枢要な行為を行った者に帰属させるべきだ。
 その他、AIに帰属させるべき、関係者全員へ共同で帰属させるべき
ルールの探索:基本的な考え方
判例学説を検討し、やはりもっとも重
要な点は「創作性」であること、著作
権法は「創作性のある生成物を数多く
生成することを促進する」創作促進法
であることを発見した
私見
外形的に今までと同じように創作性を判断して、創作性があるとされた
場合、その創作性を付与した者にオーサーシップを帰属させるべき
AIが関与したか外
形的に判別不能。
よって「AI」関与
を問うことはせ
ず、外形的に創
作性のある場合
は何者かが創作
性を与えたとし
て、その創作者
を探す。なお、
外形的に創作性
の無いものは今
まで通り、権利
なし。とした方
が良いのではと
いう結論
私見における判断の仕方
フローチャートはあくまでもわかりやすく図式化したもの
補足 場合分け(文献2にも詳しい)
創作性 AIのプログラ
ミ
ング
学習データ
と
モデルの選択
AIの管理 AIの出力結果の選択
A:
創作性がない場合 なし ○/× ○/× ○/× ○/×
B:
創作性はあるが、
AI
のプログラ
ミ
ングを行っ
た者以外の人間の関
与がない場合。
あり ○(
◎) × × ×
C
:
創作性が、
学習デー
タ
の選択と
モデルの選
択に由来する場合
あり ○/× ◎ ○/× ○/×
D
:
創作性が、
AIの出力
結果の選択に由来する
場合
あり ○/× ○/× ○/× ◎
E
-1
:
創作性があるも
のの、
学習データ
と
モデ
ル及びAIの出力結果の
選択がない場合。
あり ○/× × 〇 ×
E
-2
:
利用者の管理
性がない場合(
家庭用
AI)
。
あり ○/× × × ×
F:
創作性があるもの
の、
その創作性の由来
が不明な場合
あり ○/×(
◎) ○/×(
◎) ○/×(
◎) ○/×(
◎)
※ここで、
〇は人間の関与を示し
、
×は人間の関与がないこと
を示す。
○/×は、
関与があっ
てもなく
てもよいこと
を示す。
一方、
◎は創作性が由
来する行為である。
他学説との比較検討(アーギュメント)
 評価手法はソフトウェアの導入用手法を流使して、法学で先行研究レビューより
必要とされる下記の観点で各学説を比較検討した。
 ①「法的安定性:裁判の予測可能性」
 ②「具体的妥当性:事案に応じた柔軟性」
 ③「条文との整合性:条文から導き出せるか」
 ④「既存判例との整合性:判例と整合的結果になるか」補足的に「既存学説との整
合性:判例を解説している学説と整合うるか(補足的)」
 ⑤「社会的妥当性:結論は社会的に妥当になるか」→法目的を前提とした、社会的
妥当性である。
 ⑥「判断のしやすさ:判断はしやすいか」
 ⑦「論理的明確性:論理的に明確であるか」
 ⑧「主張立証のしやすさ:裁判で主張立証しやすいか」
 ⑨「明瞭性:学説は明瞭な内容になっているか」
 ⑩「反証可能性:反証可能であるか」
 以上が評価項目である。これを各項目3段階評価で0点、5点、10点に割り振って、
合計100点満点で評価した。
各項目10点、合計100点で評価
学説比較表
評価指針 ×=0点 全く評価できない △=5点 最適とは言えないが妥当性はある ○=10点、評価できる
コメント
プログラマー説
コメント
AIオーサー説
学説名
ナンバー
内容
人間の創作的寄与が無いAI生成物に関してAIを作成したプログラ
マーとその所属企業にオーサーシップを帰属することがより良い
AIの発展にも資するという主張。AI作成者は、学習データ等の選
択者ではなく、AIそのもののプログラミングをしたものが想定さ
れている
AIを作成したプログラ
マーに帰属するという
説
AIをほぼ人間と変わらない権利主体として考えるものから、疑似
的著作者と構成するもの、オーサーシップの帰属のみ等と、論者
により幅があるが、人間の創作的寄与の無いAI生成物に関して、
AIにオーサーシップを帰属させるというもの。大規模な立法論と
なることもある
AIそのものに帰属するとい
う説
学説概要
0
プログラマーに帰属するため予測性は高い
○
AIに帰属するため予測性は高い
○
法的安定性:裁判の予測可能性
1
常にいわゆるAI生成物がプログラマーオーサーになるため柔軟性
は薄く場合によっては妥当性を欠く
△
常時いわゆるAI生成物がAIオーサーになるため柔軟性は薄く場合
によっては妥当性を欠く
△
具体的妥当性:事案に応じた柔軟性
2
職務著作規定などアナロジーとして用いることのできる規定はあ
る
△
そのような条文は存在しない
×
条文との整合性:条文から導き出せ
るか
3
アナロジーとして用いることのできるものはある。
△
そのような判例が存在しない
×
既存判例との整合性:判例と整合的
結果になるか
4
既存学説との整合性:判例を解説し
ている学説と整合うるか(補足的)
ソフトウェアの発展になる等メリットもあるが、使用者にとって
不満が残る
△
AIに帰属することに社会的コンセンサスはいまだ存在していると
は言い難い。またAIに帰属させたところそれに伴う利益と責任を
いかにするかが不明。
×
社会的妥当性:結論は社会的に妥当
になるか
5
一見しやすそうに見えるが、使用者の創作的寄与があった否かを
判断することとなるため実際は難しい
×
一見しやすそうに見えるが、実際はAI生成と人間の創作的寄与が
あるか否か非常に判断が難しい
×
判断のしやすさ:判断はしやすいか
6
AIが自動生成したものなのでそのAIを作成した者へオーサーシッ
プを帰属させるという非常に明確
○
AIが自動生成を行った以上AIに帰属するという非常に明確
○
論理的明確性:論理的に明確である
か
7
人間による創作的寄与がないことの立証は困難である。しかし、
挙証責任は転換され、相手方による人間の創作的寄与があったこ
とを主張立証することとなるので比較的容易となる。だが、結局
創作的寄与の判断が難しいため立証も困難
△
AIによる自動生成を主張立証することとなるので、比較的容易だ
が、だれが主張立証するのか。AIが主張するのか等問題が多い
△
主張立証のしやすさ:裁判で主張立
証しやすいか
8
きわめて明確である
○
きわめて明瞭である
○
明瞭性:学説は明瞭な内容になって
いるか
9
プログラマーにオーサーシップを帰属させることに不具合がある
ことがわかれば反証されるため、反証可能性は高い
○
AIにオーサーを帰属させることに不具合があることがわかれば反
証されるため、反証可能性は高い
○
反証可能性:反証可能であるか
10
合格点ではあるが、判断性に問題があり、ユーザーが創作的寄与
があったと主張した場合に判断は困難。敢てAIを使用しないとい
うことを増幅させる可能性もあり、適切ではない
65
著作権法にとどまらない大規模な法律改正が必要であり、AIに関
しての社会的コンセンサスがあるとは言い難い現状では取り入れ
ることは難しい
50
総合評価
コメント
パブリック説
コメント
ユーザー説
学説名
ナンバー
内容
人間の創作的寄与がないAI生成物に関してはパブックドメインとす
るというもの。結果的AI生成物は公共のものとなり、なんら帰属主
体はないこととなる
パブリックドメインに
なるという説(帰属主
体なし)
国際的に著名な学者も提唱している説。人間の創作的寄与がないAI
生成物に関してそのAI使用者にオーサーシップを帰属させるという
もの
AIを使用したユーザーに帰
属するという説
学説概要
0
全てパブリックドメインになるため予測性は高い
○
ユーザーに帰属するため予測性は高い
○
法的安定性:裁判の予測可能性
1
常にいわゆるAI生成物がパブリックになるため柔軟性は薄く場合に
よっては妥当性を欠く
△
常時いわゆるAI生成物がユーザーオーサーになるため柔軟性は薄く
場合によっては妥当性を欠く
△
具体的妥当性:事案に応じた柔軟性
2
人間の創作的寄与がない=著作物性なしという解釈は極めて常識的
な解釈である
○
そのような条文は存在しないが、一般的に使用者へオーサーシップ
が帰属することに関して可能性はある。しかし創作的寄与がない者
にオーサーシップが帰属することは、職務著作があるとはいえ、著
作者の条文からは離れる
△
条文との整合性:条文から導き出せる
か
3
一律に著作物性をなしとすると、これまでは著作物性があったよう
なものまでAIを活用したことで著作物性がなくなるため疑問有
△
道具的使用に関しては○、創作的寄与がなくとも、道具使用の延長
ととらえることは可能。ただし創作的寄与がない者にオーサーシッ
プが帰属することに整合性がない
△
既存判例との整合性:判例と整合的結
果になるか
4
既存学説との整合性:判例を解説して
いる学説と整合うるか(補足的)
一見利用者フレンドリーであるが、権利保護が受けられないことに
よる創作の停滞が発生しかねず、また権利を取得できなくなるため
敢てAIを使用しないということも発生しかねない。他にも、権利の
あるものとないものが外形上見分けがつかない等課題も多い
×
一般的感覚に最も近いが、創作的寄与がない者へオーサーシップが
帰属することに疑問有。ユーザーによる大量の著作物が生み出され
る可能性もある。またトロール的使用にも警戒が必要
△
社会的妥当性:結論は社会的に妥当に
なるか
5
一見しやすそうに見えるが、AI不使用の主張や創作的関与があった
か否かの判断は非常に難しい
×
AIのユーザーであるので判断はしやすい
○
判断のしやすさ:判断はしやすいか
6
人による創作的寄与が無い=著作物性が無い=そのようなものはパ
ブリックドメインという極めて明快な論理である
○
何故、創作的寄与がないユーザーへオーサーシップがと帰属するの
か論理的に明確でない
×
論理的明確性:論理的に明確であるか
7
人間による創作的寄与がないことの立証は困難である。しかし、お
そらく挙証責任は転換され、相手方による人間の創作的寄与があっ
たことを主張立証することとなる。よって比較的容易。だが、結局
創作的寄与の判断が難しいため立証も困難
△
AIのユーザーであること(又は無いこと)を主張立証するのみなの
で主張立証はしやすい
○
主張立証のしやすさ:裁判で主張立証
しやすいか
8
きわめて明確である
○
きわめて明瞭である
○
明瞭性:学説は明瞭な内容になってい
るか
9
パブリックドメインにすることに不具合があることがわかれば反証
されるため、反証可能性は高い
○
ユーザーにオーサーシップを帰属させることに不具合があることが
わかれば反証されるため、反証可能性は高い
○
反証可能性:反証可能であるか
10
合格点ではあるが、AIを使用すると権利がなくなると解釈されAI活
用が進まなくなる可能性もあり、また判断性にも問題があるため、
適切とは言い難い
65
創作的寄与がない者へなぜオーサーシップが帰属するかという理論
的問題はあるが比較的取り入れやすい学説である
70
総合評価
コメント
創作性説
コメント
枢要な行為説
学説名
ナンバー
内容
外形的創作性が無い場合はパブリックドメイン。創作性は創作的寄
与の有無ではなく、外形的な判断による。創作性=個性の発露と考
え、その個性が発露されてるものを特定する。
外形的に創作性を判断
し、創作性があれば創
作性を付与した者に帰
属するという説(私
見)
ロクラクⅡ事件等侵害事件の判例及び侵害事件で用いられるカラオ
ケ法理等、侵害における規範的侵害論をオーサーシップの帰属主体
を定める(判定する)ものへ転用するというもの。日本の学説
枢要な行為を行ったものに
帰属するという説
学説概要
0
既存の判断手法と変わらないが、創作性の判断には振れ幅があり、
予測可能性は若干低い
△
枢要な行為をどう判断するかは、個別具体判断になるので予測可能
性は低い
×
法的安定性:裁判の予測可能性
1
創作性を発揮したものを個別具体に特定するため柔軟性がある
○
枢要な行為者を個別具体に特定するため柔軟な解決ができうる
○
具体的妥当性:事案に応じた柔軟性
2
条文通りの解釈。外形的にしろ、創作性(個性の発露)があるもの
へオーサーシップが帰属するとするため条文そのままである。また、
そもそも現行の創作性判断も「表現されたもの」で判断するため、
外形的判断基準も条文そのままである
○
条文にそのような根拠なし
×
条文との整合性:条文から導き出せる
か
3
まず創作性を判断し、次にその創作性を与えたものへオーサーシッ
プを帰属させるとするため既存判例・学説から逸脱しない。既存の
判例・学説も創作性有無判断→有の場合、著作者の判断。と本説と
全く同じ枠組みである。また著作者は創作性を付与した者である点
も同様
○
侵害の場合にロクラクⅡ他カラオケ法理があり、転用の是非はある
が根拠はある
○
既存判例との整合性:判例と整合的結
果になるか
4
既存学説との整合性:判例を解説して
いる学説と整合うるか(補足的)
生成物に創作性を与えたものを個別具体に特定するため社会的に妥
当な結論を期待できる。また、そのような創作性が垣間見れないも
のをパブリックにすることでバランスもとれる
○
枢要な行為者を個別具体に特定するため社会的に妥当な判断が期待
できる
○
社会的妥当性:結論は社会的に妥当に
なるか
5
既存判例(学説)でも創作性の判断は一部困難が生じているため本
説でも同様
△
枢要な行為の判断は非常に難しい
×
判断のしやすさ:判断はしやすいか
6
条文通り創作性で判断するので明確である。いわゆるAI生成物全般
への適用は異議も考えられるが、創作性が感じることができれば帰
属主体有という理論は既存理論とかわらず、AIが登場したことを過
大に考える必要性はない
○
枢要な行為者へオーサーシップが帰属するという明確性はある。し
かし、なぜ創作性ではなく枢要な行為か明確でない。メルクマーク
として用いるにしても、創作性に関与していない者へオーサーシッ
プが帰属する理由が不明瞭
△
論理的明確性:論理的に明確であるか
7
生成物にあるものの個性の発露(創作性)があることを主張立証す
るため明確ではあるが、外形的とはいえ創作性の立証とそれをある
ものが与えたとの立証は難しい。ただし、これは既存の状況と特に
変わることはない
△
「枢要な行為者」について主張立証するため、何を枢要な行為とす
るかから主張立証が必要。二段階(枢要な行為は何で、その行為者
は誰)の主張立証となるので大変
×
主張立証のしやすさ:裁判で主張立証
しやすいか
8
創作性を主体とする点は明確だが、ロジックはやや複雑で、特に創
作性を与えたものを判断するスキームは明確とは言い難い
△
きわめて明瞭である
○
明瞭性:学説は明瞭な内容になってい
るか
9
「創作性」が何であるか、本説は個性の発露としているが、結局不
明瞭なところもあり、反証が難しい。創作性を与えたものにオー
サーシップを帰属することが望ましくないとの反証をすることがや
や難しい
△
枢要な行為が何であるか、定まってらず、「枢要な行為」自体を事
例により取り替えることができるので、反証が難しい。枢要な行為
を行ったものにオーサーシップを帰属させることが望ましくない、
というのがどのような場合かきわめて不明瞭。
×
反証可能性:反証可能であるか
10
最高点であり、法的安定性や反証可能性、ロジック・判断のしやす
さに若干の問題はあるが、比較的優位ということで本説をとりたい
75
当初採用を試みた説であるが、社会的に妥当な結論を出せるという
メリット以外は良い結果とならなかった。よって不採用
45
総合評価
他学説との比較検討(アーギュメント)結果
コメント
共同説
学説名
ナンバー
内容
どこまでを生成に関与したとみなすかは個別具体的
になっていくが、基本的にAIプログラマー、データ選
択者、使用者・管理者、出力結果の選択者等関連者
全員と考えることとなる。共同著作物の考え方をAI生
成物に活用しようというものである
生成に関連した者へ
共同で帰属すること
になるという説
学説概要
0
共同(著作)性をどう判断するかが難しい。関係者
全員と解することも不可能ではないが際限なく共同
でオーサーシップが帰属するものが増える恐れもあ
る
△
法的安定性:裁判の予測可能
性
1
関係者のうちだれがどのように共同オーサシップが
帰属するか、調整はできる。しかし、元来の共同著
作の要件(共同創作性・分離利用不可能性)を考え
ると妥当な結論を導き出せるかは不明
△
具体的妥当性:事案に応じた
柔軟性
2
条文は存在しAIを介した共同著作とする余地はある。
ただし、共同創作性や分離利用不可能性要件につい
てきわめて疑問である。また例えばAIプログラマーが
一次で使用者が二次的著作物を生成という考え方も
ありうるが、やはり翻案要件などに疑問が生じ若干
の無理が生ずる
△
条文との整合性:条文から導
き出せるか
3
判例・学説から、このようなAIを介した生成活動にお
いて、共同著作物の各要件を満たすことが難しい。
×
既存判例との整合性:判例と
整合的結果になるか
4
既存学説との整合性:判例を
解説している学説と整合うる
か(補足的)
主観的結びつきの無い者同士へ共同でオーサーシッ
プが帰属するため、権利行使及び活用が非常に難し
くなる
×
社会的妥当性:結論は社会的
に妥当になるか
5
「共同」の範囲をどうするか非常に難しい
×
判断のしやすさ:判断はしや
すいか
6
どこまでが共同オーサシップの帰属になるか、既存
の要件との調整はどうするかという問題はあるが論
旨は明確である
△
論理的明確性:論理的に明確
であるか
7
共同性の立証はAIを介した場合非常に難しい
×
主張立証のしやすさ:裁判で
主張立証しやすいか
8
なにをどうやって共同性を認定するか不明瞭で既存
の枠組みでは、おそらく認定できない
△
明瞭性:学説は明瞭な内容に
なっているか
9
「共同」の範囲が決まらない為反証可能性も不確実
△
反証可能性:反証可能である
か
10
当該理論を強く主張する論者も見当たらず、検討外
にする
30
総合評価
結論:私見にも「法的安定性や反証
可能性、ロジック・判断のしやすさ
に若干の問題がある」という結果で
あり、万能ではなかった。しかし、
比較的優位であり、現在提唱されて
いる説の中では、最も日本の条文及
び原則に合致し、ベストではないが
ベターではあると結論した。
まとめと今後の課題(コンクルージョン)
 結論:いわゆるAI生成物のオーサーシップを定め
る基準として、外形的に(いわば主観論ではなく
客観論をとって)、①制作過程ではなく、まずそ
の生成物に何者かの個性があらわれているものか
について判断し、②もしあらわれているとするな
らば、誰がそれを加えた者か、それを判断すると
いう枠組みが妥当である。
 今後の課題:比較法の充実、ゲーム理論等々を用
いた高度な分析、インセンティブ論の検討、(法
と経済学的視点)、知的財産権における占有の考
え方、不正競争防止法的考え方、社会学見地など
多様な視点、その他更なる深化が必要
本章主要参考文献
・Kalin Hristov著「Artificial Intelligence and the Copyright Dilemma」(Volume 57 - Number 3 IDEA 431 (2017)
PP.431~454)
・Mark Perry&Thomas Margoni著「From Music Tracks to Google Maps: Who Owns Computer-generated Works?」
((2010). Law Publications. Paper 27.)
・Pamela Samuelson著「Allocating Ownership Rights in Computer-Generated Works」47 U. Pitt. L. Rev. 1185 (1985)
・外川英明・高松孝行・加藤暁子・藤田昌子編 土肥一史先生古稀記念論文集「知的財産法のモルゲンロート」中
央経済社2017年pp.387-378 大本康志著「サルの自撮り写真をめぐる著作権法を中心とした法的諸問題-サルとAIの
比較-」
・小野昌延先生喜寿記念刊行事務局編 小野昌延先生喜寿記念
・「知的財産法最高裁判例評釈大系Ⅲ」 青林書院 2009年
・小泉直樹・田村善之・駒田泰士・上野達弘編「著作権判例百選 第5版」有斐閣2017年
・作花文雄著「詳解著作権法第5版」ぎょうせい2018年
・島並良・上野達弘・横山久芳著「著作権法入門第2版」有斐閣2016年
・中山信弘著「著作権法第2版」有斐閣2014年
・土肥一史著「知的財産法入門第15版」中央経済社2015年
・半田正夫・松田政行編「著作権法コンメンタール1第二版」勁草書房2015年
・村林隆一先生古稀記念論文集刊行会編「判例著作権法」東京布井出版2001年
・大谷卓史著「情報倫理」みすず書房 2017年
・大日方信春著「著作権と憲法理論」信山社2011年
・加賀山茂著「ビジュアル民法講義シリーズ1 民法入門・担保法革命」信山社 2013年
・井甫著「AI生成物の著作物性の判断基準とその判断手法に関する一考察」(パテント2018 Vol. 71 No. 5 pp.59-
66)
・ロバート・P・マージェス著、山根崇邦・前田健・泉卓也訳「知財の正義」勁草書房2017年
・名和小太郎著「著作権法2.0」NTT出版 2010年
・平井宜雄著「法律学基礎の研究-平井宜雄著作集Ⅰ」有斐閣2010年
・宮武久佳著「知的財産と創造性」みすず書房2007年
・森村進著「財産権の理論」弘文堂 1995年
・竹内郁雄編 AI人工知能の軌跡と未来 日経サイエンス2016年
・三宅陽一郎、森川幸人著「絵でわかる人工知能」SBクリエイティブ 2016年
2021年頃のトピックス
AIに関する制度の主要な動き
 EUよりAIに関する議論において非常に大きなもインパクトをもたらした
Regulation laying down harmonised rules on artificial intelligence (Artificial
Intelligence Act).「人工知能に関する調和のとれた規則(人工知能法)」が公表
https://www.europarl.europa.eu/RegData/docs_autres_institutions/commission_
europeenne/com/2021/0206/COM_COM(2021)0206_EN.pdf
AIの定義が明確化
(1)「人工知能システム」(AIシステム)とは、付属書Iに記載されている1つ以
上の技術およびアプローチを用いて開発され、人間が定義した所定の目的のため
に、コンテンツ、予測、推奨、または相互作用する環境に影響を与える決定など
の出力を生成することができるソフトウェアを意味する。
その他 AI法規関係は大きく前進。しかし、分析の結果、オーサ-シップの問題
は未だ前進が乏しい(それだけ難題と思われる)ものであった。
現時点ではオーサーシップ問題について結論は出ていないが、EUの人工知能法は国際的に大きな影響を及ぼすものと
考えられており非常に重要である。
論点整理:通常の著作権問題とAI著作物の
大きな違い
 著作権問題は人格権に重きを置くかと財産権に重きを置くかで論点が異なる
 人格権的アプローチ(主にフランスなど):著作物はその人の人格の表れであ
り、人格的意味がある、よって保護されるべき
 財産権的アプローチ(主に英米):人の財産であるので保護する。
 人格権を重くみるアプローチの場合、単純に財産と同じように考えることへの
反対が生じやすい。一方、財産権アプローチの場合は、知的財産を金のなる木
として捉え、効率的かつ社会的に優良に使用するための制度としてとられるこ
とができる→社会を良くするためのインセンティブ
※かなり簡略化・議論しやすいように図式化しています。
財産権と人格権はきちんと区別して議論が必要
文献3について
 AI生成物の権利帰属に関する考察—行動の動機付けに着眼して— 情報ネット
ワーク・ローレビュー19巻 pp. 196-210(研究ノート掲載)
 趣旨:これまでに提案されているAI生成物のオーサーシップ論に関して、純粋
にインセンティブ論で検討した場合にどうなるかを検討(投稿趣旨にはAI生成
物に関しての学説を分類わけする意図もあり)
 今回は数式モデルは完成できなかったので、法学的な分析を実施し、各学説に
沿って制度導入をした場合にどのようにAIを主に活用する人の創作インセン
ティブが変化するかを検討。
先行研究例 (城所 岩生の研究)
 日本の著作権法(フェアユース規定が無い)ことによりイノベーションが妨げられて
いるという研究
 フェアユース規定がある国との比較を通じて、日本にフェアユース規定が無いことに
よる不利益を示している(経済比較や新しいサービス合法化までの期間に関して日本
が非常に遅かった事などを示している) フェアユース関連産業のアメリカ経済への貢献 分析結果
アメリカのフェアユース産業は
■ アメリカ経済の 16%を占める。
■ 2014 年の売上は 5.6 兆ドル(633 兆円)で 2010 年の 4.6
兆ドル(520 兆 円)に比べて 22%増えた。
■ 4 年間に 100 万人の雇用を増やし、雇用者の 8 人に 1 人
にあたる 1800 万人を 雇用している。
■ 4 年間に生産性を年率 3.2%向上させた。
■ 4 年間に輸出を 21%伸ばし、2014 年には 3680 億円(42
兆円)に達した。
出所:米国コンピュータ通信産業連盟『米国経済における
フェアユース―フェアユース関 連産業の経済的貢献』
(http://www.ccianet.org/wp-
content/uploads/2017/06/Fair-Use-in-the-U.S.- Economy-
2017.pdf)
日米の GDP 伸び率比較
2010 年 2014 年 伸び率
アメリカ(ドル) 14 兆 9644 億ドル 17 兆 4276 億ドル 16.5%
日本(ドル) 5 兆 7001 億ドル 4 兆 8487 億ドル ▲14.9%
日本(円) 500.4 兆円 513.7 兆円 2.7%
先行研究例のように「ある制度設計ではイノベーションを妨げる可能性がある」事をある程度の妥当性を持っ
て示すことができれば、検討される案の中からそれを除外するという方法で検討案を絞る事を考えたい。
日本での合法化(施行)=サービス
開始可能化
米国でのフェアユー
ス判決
米国でのサー
ビス開始
サービス名
2019年
1992年
1970年代
リバース・エンジニアリング
2019年
2009年
1998年
論文剽窃検証サービス
2019年
2015年
2004年
書籍検索サービス
2010年
2003年
1990年代
画像検索サービス
2010年
2006年
1990年
文書検索サービス
?
2021年
2005年
スマホ用OS
城所 岩生の複数の研究を統合
(例えば:https://www.glocom.ac.jp/wp-content/uploads/2018/08/GLOCOM_DISCUSSIONPAPER_No.11_2018-003.pdf
GLOCOM Discussion Paper Series 18-003 2018. 08. 改正著作権法は AI・IoT 時代に対応できるのか?
―米国の新技術関連フェアユース判決を題材として― 2021年 6月26日 情報通信学会学会発表
イノベーションと著作権―米最高裁グーグル vs オラクル事件判決を題材として―)
文献3 概要説明
 知的財産推進計画の分析(説明済みにつき省略)
 AI 生成物の権利帰属は重要であるか?
→近時AI が非常に話題となっている原因はAI が人間に代わって知的生産を行う
ためである。AI に関しては様々な社会的影響が論ぜられているが、多くの問題は
AI が生成したものの帰属がどのようになるかによって論点が異なる。例えばAI に
より社会が大きく変動するとの主張がされることがあるが、その変動の様態は論者
により全く正反対の主張がしばしば登場する。これらは一つにAI 生成物の帰属を
どのように考えるかによって、両極端のいずれかに近い方となって行くものと考え
られる。端的には、AI 生成物がパブリックドメインとなるか、また大企業や一部
のものが占有するかそれにより結論は大きく変わるであろう。制度設計によって、
結論が変わる可能性があるというものである。
文献3 概要説明
 先行研究の考察
 ①AIに帰属させる場合:現在のところ、AIに何らかの権利が帰属してもAI への
行動の動機付けとはなりがたい。AI 自身が人間のような欲望を持ち、例えば名
誉欲から良い生成物をできるだけ多く生成し、自分の名声を高めたいと考える
ようになる、ないしは表面的にはそのようにふるまう可能性が今後絶対に生じ
ないとまでは断言はできないが、現状としては、そのような行動の動機付けを
AI が持つと考えることは難しい。同様に共同権利者としても、権利行使時に人
間とどのように合意を結ぶか不明であり、現実的には共同権利者へ権利を譲り
渡したかたちと変わらないものとなると思われる。
 インセンティブ論的に適切とは言いがたいと結論
(その他 大規模な法改正が必要という点もネック)
文献3 概要説明
 ②プログラマーに帰属させる場合:この考えでは、確かにAI そのものを作成す
るプログラマーや企業はできるだけ健全で完全に自律し、人の手を介在しなく
とも良質な作品を生成するAI を制作する強い行動の動機付けを得ることができ、
このためAI の発展は進む可能性はある。
 しかし、ユーザーが、使用の回避やあえてひと手間をかけるといった行動をと
る場合、この行動の動機付けは必ずしも機能せず、むしろAI の発展阻害を惹起
しかねない。なぜなら、完全自律型に近いAI ほどユーザーにとって権利確保が
困難になるため、そのようなAI の販売は芳しくなくなり、ユーザー補助機能を
中心とした補助的AI ばかりがユーザーに好評で販売実績が上がるということと
なりかねない。
 完全自律型に近いほうがAI として進歩しているか否かは必ずしも判断できない
が、少なくともAI の発展方向を法律により著しく歪めかねない可能性があるこ
とを考えると、この考え方も適当とはいいがたいのではないかと思われる。
文献3 概要説明
 ③ユーザーに帰属させた場合:コピーライトトロール出現の可能性あり
主張立証責任の分配問題でクリエーターのインセンティブ低下がおこる可能性
がある(その他、主張立証問題がある)
 ④パブリックドメイン、公共に帰属させた場合:AI を使用しない又は不要なひ
と手間を掛ける方向へ誘因が働きかねない。結局、この枠組みはAI の発展方向
をある方向へ強制的に誘導しかねず、またユーザーもAI 使用を控える又は補助
的機能しか持たないAI を好むという方向へ誘導がなされ、優れた作品をできる
だけ多く生成されることを促進することには繋がらない。
 ⑤柔軟に決めて帰属させた場合:関係者各位が、権利を主張するために、無用
一手間をかける方向につながる
 ⑥全員の共有とした場合:権利者が多くなり、活用が難しくなる
文献3 概要説明
 知的財産推進計画への提言
 AI 創作物に著作権を付与しないという方針は修正すべきと考える。
 既存の著作権法の著作物性判断を踏襲して、創作性のある生成物は生成の過程
に関わらず、著作権を付与する。という根本的な著作権付与ルールに立ち返る
べきである。
 AI 生成物の生成・利活用を促進するという観点からは、AI の使用によって何
らかの不利益が生じないようにすること及び、権利帰属の問題を明確化するこ
とが重要であり、現状ではAI を特別視せず、AI 生成物であっても特にAI 使用
有無・道具的使用を問わず著作物性と著作者の判断を行う、という方針とした
方が良いものと思われる。そして、AI を活用することを促進する為の制度設計
を多角的観点から十分に検討することを提言する。
示唆
 イノベーションと著作権の関係は鶏卵の関係があり、制度が先か、リスクを
とって動くイノベーターが先か関係が難しい(先述城所先生への電話インタ
ビュー)
 城所説も厳密な因果関係を特定したものでは無く、制度設計も関係しているだ
ろうという推測といえる。
→イノベーションを阻害するような概念を持った制度に影響されて企業人も後ろ
向きになっているという可能性も考えられるが、厳密にそれは実証できていない
(仮説の提示)
 イノベーションのジレンマ等々も活用にながらの著作権研究、計量経済による
研究は多数ある。
分析の方向例示
 文化経済学
→創作インセンティブの研究や文化財の流通に関しての先行研究が多々ある為そ
れらを先行研究として、AI生成物に適用した場合を研究する
 ゲーム理論
→創作インセンティブに関して先行研究があるので活用する
例:①説を採った際に、関係者の行動がどう変動するかをモデル化する。
本章 主要参考文献
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20200527.pdf
 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20170516.pdf
 知的財産推進計画2017より
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20190621.pdf
 内閣官房知的財産戦略推進事務局「AIによって生み出される創作物の取扱い(討議用)」2016年
 福岡真之介他『IoT・AIの法律と戦略』(商事法務、2017)
 人工知能法務研究会『AIビジネスの法律実務』(日本加除出版、2017)
 弥永真生他『ロボット・AIと法』(有斐閣、2018)
 Christopher D.Stone「SHOULD TREES HAVE STANDING?-TOW ARD LEGAL RIGHTS FOR NATURAL
OBJECTS」南カリフォルニアローレビューVol.45(1972)450頁~501頁。
https://iseethics.files.wordpress.com/2013/02/stone-christopher-d-should-trees-have-standing.pdf
 Kalin Hristov「Artificial Intelligence and the Copyright Dilemma」IDEA 57、3(2017)431頁~454頁
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2976428
 Pamela Samuelson「Allocating Ownership Rights in Computer-Generated Works」47 U. Pitt. L. Rev.
1185 (1985). https://scholarship.law.berkeley.edu/facpubs/1067/
 Mark Perry・Thomas Margoni「From Music Tracks to Google Maps: Who Owns Computer-generated
Works?」 Law Publications. Paper 27.(2010)
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1647584
 大本康志「サルの自撮り写真をめぐる著作権法を中心とした法的諸問題-サルとAIの比較-」土肥一
史先生古稀記念論文集『知的財産法のモルゲンロート』(中央経済社、2017)387頁~398頁
2022年頃のトピックス
注目(?)論文
 Rita Matulionyteand Jyh-An Lee(2022)「Copyright in AI-generated works:
Lessons from recent developments in patent law」A Journal of Law,
Technology & Society pp.5-35 AI生成物の著作権について国際的結論は出て
いないため、特許の議論を参考にしつつ「AI所有者」に権利を帰属させるよう
主張するもの。リンゴの木を所有していればその果実もその人のものとなる。
議論の状況
 日本政府:いったん2017年で方向性を提示したものの2019年の、今後の発展性によ
り再検討と事実上先送り。現状では2017年の提示内容により、人による創作的関与
がないAIによる完全自律作品(AI創作物)に関しては著作権付与はなし。ただし、
非著作物としてもそのものの権利帰属については結論無し。
 国際的動き:2019年AIPPI国際総会(ロンドン)で「人工知能の生成に関する著作
権」が主要な議題となったものの方向性を定めることが出来ず、国際的合意をなす
ことが出来なかった。
 技術的発展速度が速いものを法規制することはなじまないという側面もあり。
 事例:スティーブン・タラ-氏が世界各地で「AIの権利取得の試み」を実施。特許
権について「オーストラリアでは、AIが考案した発明に関する特許申請においてAI
を発明者と認めることができる可能性があると裁判所が判断し、南アフリカでは実
際に特許も認められた」との報道もあるが、主要国では全て発明者が人間でないこ
とから権利は認められず。同じくAIによるアート作品についても裁判にて争ってい
るが米著作権局(USCO)は2019年、2021年と立て続けに著作物性を否定している。
https://jp.techcrunch.com/2022/02/24/us-officials-say-art-created-by-ai-cannot-be-
copyrighted/?2&guccounter=1&guce_referrer=aHR0cHM6Ly90LmNvLw&guce_referrer_sig=AQAAANqc8YYQrMRwT-7KrkEYhZS_0EzXPrQpns7NK5NXz7tzvEybYq3i-
fLy9ItLZylehxvgeSsdlH85YrQQZz8ixe5OIdsn9RKhey-grxNUpOoOWHV6VlEaPu46O8_DAnuONoJvMckOXaoF0qC93LA-cJZms_Q825f1wwJavH1knygi
等報道多数
アメリカ著作権局による最新の文章は2022年2月14日の登録拒絶再審査要求の2回目に対しての返答(登録拒絶判断を支持)
https://www.copyright.gov/rulings-filings/review-board/docs/a-recent-entrance-to-paradise.pdf
何故AI生成物の帰属が問題であるか(問題意識)
 AI生成物の帰属が決まらない=当該知的財産を誰が所有しているかが決まらない
=所有者不在(不明)=経済学的には取引費用が非常に高くなる恐れがある
 そもそもAI自律生成に著作権を認めない事は問題ではないか。人が無理矢理関与
しましたという事実を作ること自体余計な手間をかけるのみでかつ、結局創作的
関与をした者は誰かという、帰属問題は再発する。
 またインセンティブ論的にAI使用、特に自律型に近いものほど使用を避けようと
いうインセンティブが発生しかねず、自律型が一概によいとはいえないものの、
AI技術の方向性を誘導してしまうことは望ましいとは考えがたいのではないか。
 以上の問題意識より学説を調査し、次の7分類に分類し、インセンティブ評価を
以前の研究で行っている(詳細は発表スライド末「付録」参照)。
※インセンティブは自律型AIに近いAIを使用するインセンティブを評価した。
様々な学説を端的に7分類して、インセンティブを評価
補足
インセンティブ評価
方法
番号
AI全体交えた法改正
議論が必要
AI自身に(現状のところ)インセンティブ無し
=インセンティブ論的には評価できない
AIに帰属させる場合
①
GitHub Copilotへの
反応
AI作成者にはインセンティブが生ずるが、ユーザーがAI使用を
回避することが想定され、結果として評価は難しい
AIを作成したプログ
ラマーと企業に帰属
②
オリンピックのエン
ブレム騒動
適しているが、コピーライトトロール的なAIによる大量の創
作物生成とそれに少しでも類似している場合に濫訴が起こる
可能性あり。注意した制度設計が必要
ユーザーに帰属
③
著作権不要論による
議論も参考
AIを用いると著作権が得られないこととなり、インセンティ
ブ論的には評価できない。またその後の取引費用も注意
パブリックドメイン
(帰属無し)
④
ある意味判例法任せ
最適だが、判断がケースバイケースになり難しく、紛争も起
こりやすくなる。
柔軟に帰属させるA
枢要な行為者へ
⑤
著作権法には忠実
同上かつ、法的には最も忠実な考え方。帰属の方法現行通り。
しかしAI時代に必ずしも適合しているかは不明
柔軟に帰属させるB
創作者へ
⑥
共同権利の難しさ
権利関係の複雑化、必ずしも交友関係の無い権利者が増える
ことによってインセンティブ論的には評価できない。取引費
用も飛躍的に増大。
関係者が共同権利者
⑦
文献3のまとめ
※文献3でのまとめであり、まとめ方の
方法は他にもあるほか、AI生成物を二次
著作物冨立場やデータベースの考え方の
応用など学説は多種多様である。
懸念
 米著作権局(USCO)及び日本の知的財産推進計画通り、人間の創作的関与が認め
られないものは原則論として著作権は認めがたい。
 懸念:法律論としては創作性で考えることが最も妥当。しかし、それではイン
センティブ論で見たようにAIの使用を妨げないか、またはAIの発展性の方向性
を限定しないかについて懸念がある。
 しかしながらなかなか、既存の法律解釈では上手い結論が見いだしにくいよう
に思われる。
 そこで、新しい仕組みでは無いかと考えている。
分析手法の例
 このような法律問題、特に著作権についての検討も様々な手法が存在する。例えば
 例えば、林紘一郎,田中辰雄(2008)『著作権保護期間 延⾧は文化を振興する
か?』(勁草書房)収蔵 ポール・J・ヒール土著 今村哲也・宮川大介訳「保護期
間延⾧は社会厚生を高めたか:アメリカの場合」(同上pp.111-146)は、1913年か
ら1932年までに発行されたベストセラー小説を調査し、創作的作品の低利用を防ぐ
ために著作権法が現時点で必要であるとする仮設を回帰式を用いて検討している。
結論は、少なくとも、著作権法は創作的作品の低利用を防ぐ効果は乏しいとなって
いる。【回帰式を使った分析例】
 Eberhard Feess・Marc Scheufen(2016)「Academic copyright in the publishing
game: a contest perspective」European Journal of Law and Economics. (European
Journal of Law and Economics, 1 October 2016, 42(2):263-294)はオープンアクセス
体制についてゲーム理論を用いた分析をしている。【ゲーム理論を用いた分析例】
 柳川隆・高橋裕・大内伸哉編(2014)「エコノリーガル・スタディーズのすすめ」
(有斐閣)はエコノリーガル・スタディーズと称する法律学と経済学両面の思考を
用いた複眼的手法により様々な分析を行っており、pp.31-54において所有権及び知
的財産権(うち著作権含む)を取り上げている 【記述的分析例】
分析の仕方は様々ある
先行研究:簡易モデルを用いて著作権分
析を行う試み例
 例:藤田邦彦(2019)「ゲーム理論による海賊版業者の意思決定過程の分析とその
対策に関する検討」文京学院大学総合研究所経営論集第 29 巻第 1 号 pp.75– 83
(※その前の学会報告として電子情報通信学会技術研究報告 2019-EIP-84-11 pp.1-
5等がある)にて、海賊行為に関する極めて簡易な分析モデルを考案している。
経営論集 第 29 巻第 1 号p.79より
モデルの説明
業者a=海賊版業者
企業b=著作権者
s=コピー製品売上見込み
c=制作コスト
r=訴訟確率
0.1s=予測損害賠償請求額
プレーヤー:業者aと業者b
ゲームパターン:逐次手番ゲーム
業者aは、ゲームをシュミレートし、損害賠償請求額や損害賠償請求額を提起される確率を勘案
してもなおも利益を得られる場合、海賊行為を行うものと仮定
業者bが訴訟提起の場合
(s-c)-0.1s (1)
業者bが何もしない場合
s-c (2)
(1) 発生確率 r
(2) 発生確率 r-1
業者aペイオフ
r((s − c) − 0.1s) + (1 − r)(s − c)
= r(0.9s − c) + (s − c − rs + rc)
= 0.9rs − rc + s − c − rs + rc
= −0.1rs + s − c
= s(1 − 0.1r) − c (3)
式(3)が正の値(=利益が出る)とき海賊行為が発生する。それ以外では海賊行為が発生しない
期待値計算との差違は若干不明。
しかし著作権の本質機能のみをわかりやすく
示しているもの考えられる。
分析割愛
フリーライド防止の観点からすると、権利者
がすぐに判別でき明確であることが重要=使
用者に(創作的寄与の有無にかかわらず一律
的に)権利を与えることが良いという結論に
なりがち
エコノリーガル・スタデーズによる検討
【法律の原則論】
人間による創作的寄与がなく
てはならない
【フリーライド防止の観点】
使用者に(創作的寄与の有無
にかかわらず一律的に)権利
を与えることが重要
簡略化のためあらゆる要素を捨象してこれまで検討結果を示すと下記のよう
な対立となる。課題としてこの2方向をいかに調和させるべきかが求められる。
双
方
に
配
慮
し
た
結
論
解決のための先行事例調査
 検討結果双方を満たすために、様々な先行事例を調査した(各種調査概要、インプリ
ケーションは後掲参考文献を参照のこと)。
 調査の結果、著作権者とは別個に使用者がライセンスにより権利を保有する形態(テ
レビゲームのプレイ動画の事例)を発見した。また、サービス提供においてであるが関
係者が複雑に関係する形態における事例(旅行契約)も発見した。その他にも著作権の
集中管理方式や文化政策での補助金及び賞の授与に関する研究を発見し、これらを駆使
してアイディアを考案した。
 テレビゲームのプレイ動画に関して、プレーヤーには著作権は付与されないとされる
(判例より)。しかし、例えば任天堂の場合、250以上のゲームタイトルについて第三者
が作成したテレビゲームのプレイ動画など二次創作作品(実際は著作物性が極めて伺わ
し作品も含む)を公認して著作権侵害とはならないかたちをとっている。その他仕組み
等々はまちまちであるが、原権利者(著作者)はあくまでも別個に存在し、二次著作物
的なかたちで第三者が二次著作物の著作者類似の形態をとることが可能となっている事
案が存在している。
課題解決のためのアイディア
 そこで、AIの自動創作作品は二次著作物相当で原著作物を侵害しているという主張
もされていることから、この考えを応用して、AIの使用者が二次著作物の著作者に
類似する形態で権利を取得することが出来ないかを考察する。第一として、AIに学
習される原著作物の著作者が存在するためこれとの橋渡しが必要であり、次に中間
を取り持つAI開発者との関係も考えなくてはならない。またAI開発者にも様々な関
係者が存在する。
 この複雑な関係を適当に設計するためには、何らかの専門団体を形成することが適
当と思われる。すなわち当該団体による権利の集中管理方式で、
 ①AIに学習される作品を提供する作者等は一定の対価を得て作品提供を行い、
 ②AI開発者は一定額を当該団体に支払う代わりに多種多様な作品を一括してAIの学
習に使用することが出来(実際は学習済みデータセットも考えられる)
 ③AIの使用者は自身の創作的関与の有無にかかわらず、AIより作成された作品の権
利が帰属する(厳格には創作性を付与しない限り二次著作物にも当たらないのだが、
そこは契約により、二次著作物類似として使用者に帰属させる。無資力要件は課題
だが、場合により債権者代位の応用スキームも可能と考えられる)。
 このようなスキームである。
 また、そこでは多数当事者との契約のため契約ひな形(約款)のようなものが必要
であると考えられ、旅行契約を参考に標準約款を整備すると同時に、当該団体を業
法による制御を行う。
 そして、文化領域を参考に当該団体には必要に応じてAI開発者への補助金制度ある
いは賞(優れたAI開発者に報いる)を授与し、原資は行政が提供し、同時にこの団
体の監視(契約約款等が適当であるかの監視含む)を行う。
何故AI生成物の帰属が問題であるか 補足
 著作権がなくとも誰が当該知的財産を所有するかで問題が発生する場合がある。
 例えば商標権(ロゴ・マーク)には著作物である必要性はない。
※(平成6(ネ)第1470号 Asahiロゴマーク事件)ではロゴマークの著作物性を否定
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/816/013816_hanrei.pdf
著作権と商標権は別判断であり、AIで作成したマークなども商標権の登録要件(自他
識別力他)を満たしている場合は、登録が可能であると思われる。
→商標権の場合何者の商品・役務であるかが重視されることより、標章を作成したも
のが何者かを問う意義は薄い。
その為、AIを用いて商標を作成することはあり得ると思われるが、その際の帰属が問
題となり得る。なお、商標権を得るための標章作成においては一般的に多大な労力を
用いて侵害調査を実施するが、東京オリンピックのエンブレム騒動※のように類似で
はあるが商標は登録がなかった著作物であったとしても問題になることが多くなった。
これはインターネット等々の発展により容易に盗作が可能となり、著作権侵害の依拠
性要件についもインターネット上にあったということから、検索してそれを盗作した
可能性があると主張されるためである。このことより、AIによる既存調査の徹底と、そ
れらと類似しない標章作成というニーズは高まるものと思われる
※参考 https://president.jp/articles/-/16605
 帰属問題次第でAIに関する政策が大きく変わりうる。AIに関しては極端な政策も主
張されているが、これはAI生成物(含むデータ)を大企業が所有してしまって大き
な独占が生ずると考えるか、あるいはAI生成物は全てパブリックなもので誰の所有
物でもないと考えるかで大きく異なる
法学的AI生成物のオーサーシップ帰属に
関する法学的先行研究(補足)
 阿部(2020)「AI生成物の権利帰属に関する考察—行動の動機付けに着眼して—」情報ネットワー
ク・ローレビュー19号pp.196-210にてまとめているものであるが、筆者のものを除いて
 Pamela Samuelson(1985)「Allocating Ownership Rights in Computer-Generated Works」47 U. Pitt.
L. Rev. 1185 先行するコンピュータ生成物における代表論考
→ 原則的には、創作インセンティブを得られるよう使用者に帰属させるべきとする※その他立証の困難
性等をあげてAI使用者に帰属させるべきとする。コンピュータ生成物第二次AIブームのころの論考、コン
ピュータによる(用いた)生成物はコンピューターを使用している者へ帰属させるというもの。旧通説。
この頃のAIはまだ自律生成とは言いがたく、現在でいうところの創作的関与が必要だったといえる。
 Kalin Hristov(2017)「Artificial Intelligence and the Copyright Dilemma」IDEA 57, 3 pp.431-454
→AIを作成したプログラマーとその企業に帰属させるべき。AIの発展インセンティブを重視する。
AIの発展によりAIによる自動生成が可能になったことにより登場してきたもの。以下同じ
 Mark Perry・Thomas Margoni(2010)「From Music Tracks to Google Maps: Who Owns Computer-
generated Works?」( Law Publications. Paper 27.)
→帰属無。パブリックドメインにすべき。スイッチを押しただけの使用者に帰属することはおかしく、
AIに帰属、プログラマーに帰属するのもそれぞれおかしいので、パブリックドメインとすべきだ。
 大本康志(2017)「サルの自撮り写真をめぐる著作権法を中心とした法的諸問題-サルとAIの比較-」
(土肥一史先生古稀記念論文集「知的財産法のモルゲンロート」中央経済社 pp.387-398)
→枢要な行為を行った者に帰属させるべきだ。
 その他、著作権法の本旨に従って「創作性を与えた者に帰属させるべき」AIに帰属させるべき、関
係者全員へ共同で帰属させるべき等々が主張されている。
法学的AI生成物のオーサーシップ帰属に
関する法学的先行研究(補足)2
 阿部(2020)では取り上げていないが、他にも様々な見解が主張されている。
海外の主要なものとしては
 Rosa Maria Ballardini, Kan He & Teemu Roos (2018). AI-generated content: Authorship and
inventorship in the age of artificial
https://www.cs.helsinki.fi/u/ttonteri/pub/aicontent2018.pdf
 Bridy, A. (2015). The evolution of authorship: Work made by code. Column J.L. & Arts, 39,
395.
 Aleksei Gudkov(2020)「Robot on the shoulders of humans」J World Intellect Prop.
2020;23:pp.759–776. 等がある
 邦文では2019年AIPPI国際総会-ロンドン-(3)=議題(著作権):人工知能の生成物に関する
著作権=)AIPPI65巻1号(2020)
 浅井敏雄(2020)「AIと知的財産」パテント73巻3号
 愛知靖之(2020)「AI生成物・機械学習と著作権法」パテント73巻8号
 また、創作的関与があった場合のAI生成物の帰属について出井甫著(2018)「AI生成物の著作
物性の判断基準とその判断手法に関する一考察」パテント71巻 5号なども存在する
あくまでも分析を行うために多様な学説を7分類に分けているのみであり、様々な考え方が提唱さ
れているところである。
法学的AI生成物のオーサーシップ帰属に
関する法学的先行研究(補足)3
 著作権法の法解釈において重要な逐条解析である加戸(2021)では、「著作制度におけるアル
ファでありオメガでもある著作物の定義」(p.21)について「『思想又は感情を創作的に表現
したもの』そういうものであって『文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの』が著作物
であります」(p.22)「それから思想又は感情というのは、社会通念上人間の思想又は感情を
指します。したがって、ここでは動物の思想・感情というのは念頭においていない。(中略)
思想・感情は人間固有のものであって、動物にはないという大前提というかドグマがあるから
でございます」(p.22)としており、著作権法における一種のドグマ的なものとして人間のみ
が思想感情を有しているという大前提があると解説されている。また、「第二要件として、思
想・感情を創作的に表現したものであること。「創作的に」ということでございます(中略)
いくら努力をしたからといっても、そこで人間がクリエートしていなくてはいかんという意味
で(略)」(pp.22-23)と人間による創作性が必要としている。
 そこで、知的財産推進計画2017において著作権の基本的概念に沿って、人間による創作的関与
(すなわち先の「人間がクリエート」)がなされずAIが自動生成したものを「AI創作物」として、
これには著作権の付与は認められないという方針を提示している。なお、AIを用いた場合でも、
人間の創作的関与がある場合はその創作的関与をした者に著作権が与えられるということも合
せて提示されている。
 以上のように、法的には一種のドグマとして、人間ににのみ思想や感情があるとしている。こ
れは科学的には自由意志の問題も含めて、疑義は示されているところであるが、(だからこ
そ)ドグマとして、前提条件とされている。学者によっては特に刑法の文脈で人間の自由意志
などについて法的仮設(誤字ではない)説といった、(事実と異なる可能性もあるが、法理論
を構築するうえで)仮置きされたものという説明をされることもある。いずれにせよ、科学的
にという文脈以外の観点でこの前提は置かれているといえる。
法的解釈に関して(補足)
 Aleksei Gudkov(2020)「Robot on the shoulders of humans」J World
Intellect Prop. 2020;23:pp.759–776. によると人工知能システムが生み出す作
品は、本質的にオリジナルではないことを結論している。また、AIによる生成
物は二次著作物相当が妥当と結論し、「人工作品における先行する著者名また
は特定のデータソースの引用を義務化すること」を提案している。加えて、AI
生成物に対して「人間が作成したオリジナル作品は適切な著作権保護を受けな
ければならないこと」「人工作品生成のためのデータソースとして人間の著作
物を商業的に使用する場合には、著者に補償しなければならないこと」「人工
作品は、人工的な性格を強調し、人工作品と人間のオリジナル作品とを区別す
る目的で、特別な標識または注釈によって示されなければならないこと。」
等々様々な提案を行っている。(7分類的に結局創作説と同じになる)。
 一方「人工作品は、AIの助けを借りて人間が作った作品として、著作権で保護
されるべきである。AIが少なくとも最低限のAIの創造性を発揮したり、科学の
進歩や社会にとって有用な芸術を向上させたりするのであれば、AIシステムが
単独で生成した作品も著作権で保護される可能性がある」という保留も行って
おり、知的財産推進計画と結果としてほぼ同等となっている。
 現行の創作性を重視する考え方からは、やはり現時点でのAIはラーニングした
元著作物への依存度が高く、全く別個の著作物ではなく二次著作物の作成とい
う結論とならざる追えないという現実論もあるようである。
分析手法について 補足
林他(2008)について補足
検証内容:パブリックドメインと著作権保護のあるベストセラー書籍の入手可能性と価格の比較を行って
いる。1913年から22年に発行されパブリックドメインとなった作品の集合と現時点で著作権保護がされて
いる1923年から32年に発行された作品の集合について、出版状態の状況、入手可能な版数、2006年現在の
価格比較が行われている。入手可能性は、絶対的期間と相対的期間双方で行われている。
回帰式としては下記が示されている
𝑖𝑛(𝑃𝑖𝑗(発売中)/𝑃𝑖𝑗(絶版) =𝛽^0+𝛽1∗𝑃𝐷𝑖+𝛽2∗𝑃𝑌2𝐾𝑗+𝛽3∗(𝑃𝐷𝑖∗𝑃𝑌2𝐾𝑗)+𝛽4∗(𝑌𝑅𝑗−1966)
Where i=0,1(0は著作権で保護された書籍、1はパブリックドメインの書籍)and
J=0,1,2…,40(YR0=1966,YR1=1967,…,YR40=2006.PY2K0,…,PY2K34=0 andPY2K35,…,PY2k40=1).
PD*PY2Kによる最小二乗法
著作権保護あり パブリックドメイン
 2000以前 0.47 0.47
 2000以降 0.43 0.79
→よって2000年以降はパブリックドメインの方が入手可能性が高い。
というもの
分析手法について 補足②
発表中提示したものはあくまでも代表例である。
規制制度の最適解を求める研究も多く、下記のような図を用いて、適度なコモンズを探る研究も多数されている。
著作権に限らず(生産者保護関係は)権利が強すぎても弱すぎても適当では無くほどよいバランスが必要である。
消費者の効用 G 著作権者の効用
F
D
C
E
A B
弱い ← 著作権保護の強さ → 強い
ACD線(黄色)=著作権者の利益(効用)
BEF線(青)=消費者の利益(効用)
点線(赤)=社会全体の利益(著作権者と利用者の利益の合計)
G=社会全体利益の頂点
三色旗2015年10月号 11頁図1を参考に筆者作成
ゲーム業界のゲームプレイ動画の経済効果
について (補足)
山口真一(2014)「ゲーム産業におけるインターネット上の著作権侵害と
経済効果 ―ゲームプレイ動画とゲームソフト販売本数に関する実証分析
―」総務省 情報通信政策レビュー pp.178-201による実証分析によると
「ゲームプレイ動画の再生回数は、ゲームソフト販売本数に有意に正の影
響を与えており、その大きさは、再生回数が 1%増えると販売本数が約
0.26%増加するというものだった。さらに、ジャンル別での推定では、ノ
ベルゲームとレースゲームを除く他 5 つのジャンルで有意に正の影響を与
えており、それら 2 つについても有意に負の影響は見られなかった。」と
プレイヤーによるゲーム画像のプレイ動画について、販売に寄与している
ことを実証している。
民間団体による著作権保護に関するゲー
ム理論による分析結果 (補足)
 新井泰弘(2012)「民間機関による著作権保護-日本音楽著作権協会のゲーム
理論的分析-」経済研究 VoI.63,No.1,pp.17-27は政府では無く民間団体に
よる著作権保護をゲーム理論により分析したものである。結論は
・著作権協会の社会厚生に与える影響は取締費用と作曲家のパフォーマンスの2つ
の要素に依存する。取り締まり費用の高低及び作曲家の能力の組合せにより、正
の方向にも負の方向にも影響が発生することが示されている。
・全作曲家が著作権協会に参加する場合,著作権協会に参加する作曲家に楽曲使
用料を決定させるよりも,現行のJASRACが行っているように著作権協会が統一価
格を設定する方が社会的に望ましい。としている。
なお、JASRACのHPは下記であり、当該団体が著作権の集中管理を行っている
https://www.jasrac.or.jp/bunpai/present.html
補足 芸術家への助成金制度の応用について
 Ruth Towse (2006) ‘COPYRIGHT AND ARTISTS: A VIEW FROM CULTURAL ECONOMICS’
JOURNAL OF ECONOMIC SURVEYS Vol. 20, No. 4 pp.567-585では、文化経済学を用
いた著作権分析について包括的に調査を行っている。それによると、「著作権は、
法定の保護を通じてインセンティブを与えることにより、芸術作品の供給にプラス
の影響を与えると考えられているが、一方で、新たな作品を生み出すコストを上昇
させ、その結果、供給を減少させる可能性もある。」としつつ「著作権の代わりに
芸術作品を創作するインセンティブとして、芸術家に助成金や賞を与えるという政
策」についても研究を行っているとする。そして、「ほとんどの先進国では、著作
権と芸術への補助金、そして賞などが共存しており、通常は補完関係にある。」と
しているが、助成金や賞について、取引コストが高いことや、個人を支援すること
によるモラルハザードの問題から、文化団体を通じて資金を流すことを好む傾向が
あるとも分析している。
 著作権が文学作品の過剰生産を助⾧し(通常の過小生産の議論とは対照的に)、著
作権の独占的な保護のために、そうでなければ不可能なほど質の低い作品が市場で
生き残ることを可能にするという批判がある。
 しかし、ビジュアルアーティストに最低所得を与えるというオランダの補助金制度
に関しても、公的な助成金の問題点は、公務員が助成金を管理する場合は、公的な
国家芸術の概念が発展する危険性があり、アーティスト自身にその仕事が委ねられ
る場合は、縁故主義に陥る可能性がある、賞などでも同様と論じている。
 以上より、AI生成物に報奨金を与えるという解決策も妥当ではない。しかし、「文
化団体を通じて資金を流す」という文化領域における手法は応用も可能と思われる。
テレビゲームの著作権関係に関しての補足
参考
主張
帰属のあり方
Bridy, 2015
非自然人の著作権が認められることがわかっている
AI自身帰属
EU人工知能法の基本的考え方
AIに権利を付与すべきではない
AI自身帰属
判例:最高裁 平成14年4月25日
テレビゲームのプレイ動画の著作権
(プレイヤーでは無く、ゲーム作成会社)
AI制作者帰属
Gervais, 2019
間接的インセンティブ論は問題あり。作品の意味と内容に責任を待たない
ものに権利を与えるべきではない
AI制作者帰属
ゲームのプレイ動画について:パックマン事件・東京地裁昭和59年9月28日判決によりコ
ンピューター(テレビ)ゲームは「映画の著作物」と認められた。また平成14年4月25日最高裁
判所第一小法廷https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52335よりプレイ動画は著
作権侵害となる可能性が高いと解説されることが多い。しかし例えば下記
https://game.asahi.com/article/14330263
「任天堂もガイドラインに従っていれば動画配信が原則的に許可されています。任天堂のガイ
ドラインには『お客様ご自身の創作性やコメントが含まれた動画や静止画が投稿されることを
期待しております』という一文があり、ユーザーのクリエイティビティと任天堂のゲームが融
合することでさらに素晴らしい楽しみ方、表現を生み出したいという着眼点があるのが特徴で
す。ガイドラインを作っているゲームメーカーの多くは、基本的に許可を出していますが、
ムービーシーンやエンディングシーンだけ切り抜いた投稿はダメなど許諾の範疇が異なります。
ですので、配信をする前に必ずガイドラインを読まなくてはいけません」」とされる。他に水
野佑(2017)も参考。その他インターネット上に解説サイトも多く存在している。https://it-
bengosi.com/blog/doga-chosakuken/等
学説についての若干の補足
結論についての補足
約款について
 (発表者含む)阿部・米谷(2014)「旅行契約 募集型企画旅行契約における旅行業者の債
務」観光まちづくり学会誌第11号pp.36-50
(http://kankou-m.jp/pdf/Ggkaishi11.pdf)にて約款論及び契約関係にない第三者(旅行におい
てはしばしば契約者と直接に契約関係にない一次サービス提供者がサービスを提供することがあ
る)関係を論じている(同上論文内での参考文献などは省略する)。
約款に関しては法規では無いものの旅行業法により観光庁⾧官の認可が必要となる標準旅行業
約款が存在する(他にもそのようなスキームを持つ業態がある)。法律に比べて比較的現状に合
せて変更が行いやすいものの、単なる契約ひな形以上の効力があると考えることが出来、本件で
もこのようなAI業法のようなもの(当然こちらはAIガバナンスガイドライン
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/2021070902_report.html
等々を取込んだEUの人工知能法ほどではないにせよAI開発業者の業法というかたちの中で盛り込
むことを考案したい)
またサービス提供に極めて多くのものが介在するという点からも、旅行契約関係のスキームをAI
に活用できないかという観点が本研究での結論部分(アイデア)のベースの1つとなっている。尚、
債権者代位スキームの応用等々については同論文を参照願う。
代位のスキームについて(補足)
 AI生成物について二次著作物となれば、二次著作物の著作権は発生する。しかし、
AIの学習内で原著著作がどれであるかわからなくなることや、そもそもAI生成物が
新たな創作性を付与したとまで言い切れるもの(=二次著作物として認められうる
もの)になり得るか不明である。
 それでは結局混乱するので、AI生成されたものはライセンスで一括権利付与とした
いが第三者効は一般的に契約上の債権的権利では持ち得ない。
 しかし、無資力条件の有無について学説上争いがあるものの、債権者代位というか
たちで、作家等そもそものAI生成物の素材となったものに付随していた著作権(実
際は現在の著作権法上、著作物の享受を目的としない様態によりAIに学習させる場
合は著作権は制限されるが、消えるわけではない)を最終的な使用者が代位すると
いう方法論を契約の牽連性理論から導き出すことも可能と思われる。
 勿論、作家への補償が現在不要な状態であえて、補償をする意味が不明といえる欠
点はあり、今後要検討だが、文化の発展に資することが著作権法の本質的意義であ
ることを考えると、このスキームは意義があると考える。
 ※AIに著作物を使用する際、現行法では、様態により使用された著作物の著作権は
制限される立法処置がとられており、原著作者には補償無しでAIの学習用データと
して活用できることも多くなっている。
その他の参考事例
 AIはやはり多数当事者が関係する為、責任論では、田中(2021)等、共同責任
+AI損害基金・保険の枠組み(AI制作者とAI利用者がお互いに拠出金を拠出。
損害発生時にはどちらの責任であるかを問わずその基金より損害賠償)が提案
されている。
 →権利論においても、NHKのように、「皆様のAI」としてAI使用者(実際はPC
設置を要件)から一定額を徴収する代わりに、AI生成物は一律パブリックなも
のとして、AI開発企業にはこの徴収額を分配するというような仕組みも考えら
れる可能性がある。
 権利帰属にこだわらない考え方も当然あり得る。
本章 主要参考文献
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20200527.pdf
 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20170516.pdf
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20190621.pdf
 https://chizai-portal.inpit.go.jp/madoguchi/nagano/news/2021_1.html
 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html
 https://www.copyright.gov/rulings-filings/review-board/docs/a-recent-entrance-to-paradise.pdf
 加戸守行(2021)「著作権法逐条講義 7訂新版」(著作権情報センター)
 Aleksei Gudkov(2020)「Robot on the shoulders of humans」The Journal of World Intellectual
Property Volume23, Issue5-6 November pp. 759-776
 Christopher D.Stone(1972)「SHOULD TREES HAVE STANDING?-TOW ARD LEGAL RIGHTS FOR
NATURAL OBJECTS」南カリフォルニアローレビューVol.45 pp.450~501。
https://iseethics.files.wordpress.com/2013/02/stone-christopher-d-should-trees-have-standing.pdf
 Kalin Hristov(2017)「Artificial Intelligence and the Copyright Dilemma」IDEA 57、3 PP.431-454
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2976428
 Pamela Samuelson(1985)「Allocating Ownership Rights in Computer-Generated Works」47 U.
Pitt. L. Rev. 1185 .https://scholarship.law.berkeley.edu/facpubs/1067/
 Mark Perry・Thomas Margoni(2010)「From Music Tracks to Google Maps: Who Owns Computer-
generated Works?」 Law Publications. Paper
27.https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1647584
 大本康志(2017)「サルの自撮り写真をめぐる著作権法を中心とした法的諸問題-サルとAIの比較
-」土肥一史先生古稀記念論文集『知的財産法のモルゲンロート』(中央経済社)pp.387-398
本章 主要参考文献
 大谷卓史(2017)『情報倫理』(みすず書房)
 Rosa Maria Ballardini, Kan He & Teemu Roos (2018). AI-generated content: Authorship and inventorship in the age of
artificial https://www.cs.helsinki.fi/u/ttonteri/pub/aicontent2018.pdf
 Bridy, A. (2015). The evolution of authorship: Work made by code. Column J.L. & Arts, 39, 395.
→シンポジウム記録は:Columbia Journal of Law & the Arts, Vol. 39, 2016 pp.395-401 Annemarie Bridy(上記と同名)
 Ruth Towse (2006) ‘COPYRIGHT AND ARTISTS: A VIEW FROM CULTURAL ECONOMICS’ JOURNAL OF ECONOMIC SURVEYS Vol.
20, No. 4 pp.567-585
 Gervais, D. J. (2019). The machine as author. Iowa Law Review, 105, pp.19–35.
 Regulation laying down harmonised rules on artificial intelligence (Artificial Intelligence Act)
 藤田邦彦(2019)「ゲーム理論による海賊版業者の意思決定過程の分析とその対策に関する検討」文京学院大学総合研究
所経営論集第 29 巻第 1 号 pp.75– 83
 田中 綾(2021)「自動運転車に関する交通事故に対する製造業者の民事責任制度の在り方」
法と経済学会 2021年度(19回)全国大会 発表資料
 鈴木豊(2021)「完全理解 ゲーム理論・契約理論 第2版」(勁草書房)
 細江守紀編著(2020)「法と経済学の基礎と発展」(勁草書房)
 柳川隆・高橋裕・大内伸哉編(2014)「エコノリーガル・スタディーズのすすめ」(有斐閣)
 生貝直人(2011)「情報社会と共同規制」(勁草書房)
 水野佑(2017)「法のデザイン」(フィルムアート)
 阿部真也(2020)「AI生成物の権利帰属に関する考察—行動の動機付けに着眼して—」情報ネットワーク・ローレビュー19
号 pp.196-210
 その他文中にあるもの
・最初は著作権切れのもので学習させていたが、これではAI学習が進まない
→AIに学習素材としてのみ(著作物としての享受が無い場合)著作権の権利
制限で、著作権侵害は起こらないと整理(日本、立法処理で解決)
だが、元の著作者への還元スキーム等は必要では無いだろうか。
意図しないかたちで、データが学習されており、それに基づく出力物もあ
り得る。
分離して議論するという方向性が示されているが、完全に分離して議論で
きるだろうか?
論点2 学習用データ
認証制度及び学習データの提供者へ
の還元制度等は必要では(?)
・クリーンなデータで作成されたことがわかるような認証制度はあった方が
良いのでは無いだろうか
・データ提供者へ還元できる仕組みが必要ではないだろうか
・学習データはどこかに集約されている方が良いのではないだろうか
・中小開発者でも比較的安価に大規模で安心できるような学習データを入手
できる仕組みがあった方が良いのでは無いだろうか。
※参考文献は以前と重複するため割愛する
オリジナル考察
※ここからは筆者の完全オリジナル考察となる。参考文献は以前と重複するため割愛する
AIに関する何らかの団体を立ち上げ
て、団体による共同規制のようなも
のは考えられないだろうか
・データ集約化+認証+権
利をAI使用者帰属させるため
のスキーム。
・海賊対策等でAIの使用者に
一元的に権利帰属させる一
方、データ提供者への還元
スキームと、安心できる
データから作成されたAI生成
物の認証を組み合わせ
※ただし、最新の情報を考えるとあくまでも
学習段階と生成・利用段階を分ける二元論で
進むようであり、学習時は原則(著しい場合
除く)著作物は自由利用、生成・利用時は通
常通も判断となる様子。ある意味過去の発表
者意見とも近いところもあるといえる。
現状のスキームを考え
ると本アディアはあく
までも、一つの思考実
験であり、現行解釈か
らすると少々無理があ
るともいえる
さらに進んでディープフェイクなど、
(ディープフェイクのみならずAI対
応でも可)むしろ上手く活用するス
キームも考えられなくも無い
ディープフェイクを悪者では無く、良い使い方ができるよう活用する。上手く使えば
ディープフェイクも素晴らしい技術に
ディープフェイク活用スキーム(案)
AIに自身を
学習させる
ことを許諾
俳優などモ
デル
AIに関しての団体
許諾に対し
ての対価支
払い
ディープ
フェイク
作成者
学習用データ
の提供
対価の支払い
ディープ
フェイクの
の使用者
AIの提供 対価の支払い
ディープ
フェイク作
品
正統なディープフェイ
ク使用者と認定
国 監督
必要に応じ
て補助金も
ディ
ープ
フェ
イク
認証
現状のスキームを考え
ると本アディアはあく
までも、一つの思考実
験であり、現行解釈か
らすると少々無理があ
るともいえる
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