Effective dissemination of rice seed in Southern Senegal
- 4. 種子の流通ルートと品質
• ガンビア、セネガル南部から伝来した種子を、知人から購入・譲り受けて開始
• NGOの住民代表を通じた配布・販売で普及開始
• 定期市・村の商店・農家から購入し開始
• 種子品質の低下、使い回しが行われている
農業研究所
NGO
住民代表
[NGOや農業局に委託さ
れ] “Pre-base”を元に、
“Base”種子を生産
種子生産農家
農業局
農家農家農家
配布
店舗・定期市販売・譲渡
配布・貸与
“Pre-base” 種子を
補助金付き
販売
販売
Pre
Base
種子
Base
種子
R1種子
R2以降
販売
ガンビア
セネガル南部
農家農家農家
伝来・知人から
の購入・譲渡
- 6. 稲作普及パターン
種子導入
流通
宣伝品種品質栽培型
価格
(Fcfa/kg)
栽培歴長所
先駆型購入・譲渡
南部の知人
信頼できる
知人
南部由来
品種
継続利用
R2以降
主に水稲300~
500
7年~
15年
土地に合った
品種
栽培実績
追随型
購入・譲渡
知人
定期市
知人からの
情報
不明瞭
(南部品
種・登録
品種混
在)
不明瞭
水稲
陸稲
300~
500
7年以下モチベーション
NGO型配布・貸与・販売
群長
住民代表の
集会等
登録品種
保証種子
Base
(品質難有)
水稲
陸稲
無償・貸与5年以下
陸稲新品種
優良品質種子
情報網
経済的後押し
先駆型・追随型は稲作を成功させている知人の存在とその情報が鍵
先駆型は南部由来品種によって稲作を定着。種子品質は選抜技術でカバー
追随型・NGO型は水稲と一部陸稲に一定の定着が見られるが、試行錯誤の段階。
栽培歴が浅く、その年の天候による成否の差が大。
- 7. 先駆型の事例から稲作導入・定着の要因を探る
稲作の成功事例を知り、かつ適正品種を見極める能力を持つ
稲作開始の決定要因
稲作に成功している知人からの情報
Promotion
知人からの種子入手
Place/Channel s
知人の品種
Product
知人(Place)の成功事例(Promotion)が適正品種(Product)の入手を可能にし、
成功するであろうことを担保した。ゆえに種子購入が起きた
導入のためには⇒ 知人の成功事例と、種子入手の手段
定着の要因
では、適正品種だったのは何故? ⇒ 自身が適正品種だと思った
知人が適正品種だと奨めた
定着するには⇒ 適正品種(product)であることを担保する、
品種特性と農地条件の知識を持つこと
- 8. 追従型の事例から種子導入・定着のヒントを探る
稲作を定着させている農家と繋がりがあった
種子購入の決定要因
稲作に成功している知人からの情報
Promotion
近隣の知人・遠方の知人・定期市
Place/Channel s
不明品種
Product
知人の成功事例(promotion)が購入を後押し、購入可能な手段(Place)で、
そこにある品種(Product)を購入した
導入のためには⇒ 知人の成功事例と、種子入手の手段
定着の要因
近隣の稲作成功農家から>違う地域の知人から>定期市で
高適正品種獲得率低
距離が離れ情報が弱まるほど自然条件の差が適正品種獲得率を低下させた
- 9. 結論
知人の成功事例と、種子入手の手段
適正品種を見極める
自身と同じ環境の先駆農家と繋がること
・稲作の導入
・定着
• 先駆型が定着させた品種を、未普及の地域に普及させる。
• 追随型の中で栽培歴が長く、定着している品種を探す
• 有望であればさらに普及し、そうでなければ新しい品種の導入を検討す
る。
任地で望まれる今後の普及方針
- 10. 提案1 種苗店による種子の集約販売―新品種導入のために―
種苗店が情報の仲介をし、農家、住民代表の「繋がり」を強化する
稲作導入・普及の要因
恒常的に農家同士の情報を繋ぎ、成功事例を紹介
Place/Channels
農家同士の繋がりには限度が・・
購入事例のある定期市でも販売
住民代表が始めた群長での販売
信頼・実績のある農家の栽培事例を付加
住民代表の情報網を活用
定着済みだが未普及の地域がある在来品種
NGOの普及する登録品種(NERICA等)
NGOによる優良品質種子の供給
Promotion
Product
成功事例のある適正品種を見極める
任地の普及パターンの長所
- 11. 新しい種子流通ルート
農業研究所
NGO
住民代表
種子生産農家
配布・貸与
種苗店
農業局
Pre
Base
種子
Base
種子
R
1
種
子
R
2
以
降
販売委託
在来品種
の販売
種苗店による種子の仕入れ・販売
在来農家の持つ品種と、NGOの品種を販売することで適正品種の選択を促す。品種情報を付加
外部から
新品種導入
ガンビア
セネガル南部
適正品種
の販売
農家農家農家
- 12. ビジネス
指導?
具体的実施方法
関係者
を繋ぐ
・種苗店経営者への指導
任地の自然条件、栽培型、品種特性等
ゆくゆくは独自に新品種の仕入れ、販売ができるよう営業力を強化
・住民代表と種苗店を繋ぐ種子の委託販売の提案
・種苗店と在来農家を繋ぐ種子の売買の提案
在来農家→ 種子生産農家へ
← 提案済み
在来品種の販売の可能性= 種子生産ビジネス→ 自給自足から所得向上へ
種苗店販売による利益を得る(※一定の普及まで)
受注
・栽培農家から種子の注文をとる
在来農家の持つ品種、委託販売品種が普及可能と思われる農家に営業、受注を目指す
雨期後の収入がある時期に受注、集金までできれば理想的
買付
販売
・種子生産農家から種子を買付・農家へ転売、定期市での出張販売も検討
栽培ノウハウも同時に伝達
・住民代表からの種子の委託販売
種苗店で種子販売するメリットの創出品種特性、栽培適地等を明示する
※イネは農家自身による種子増殖・継続利用が可能なため、一定の品種の定着が済めばビジネスは収束。
有望品種の登録、現在のNGOの行っている登録種子の増殖・販売業務には可能性あり
- 13. 提案2 農業者交流会の開催-既存品種のさらなる普及-
農家同士を繋げ、有効な稲作成功事例を広く普及する
目的:稲作の振興、農家間の情報交換
稲作の成功事例を学ぶきっかけを作る
対象:メディナサバ郡内及び近隣の農家
知らない農家同士が知り合えるような場を設ける
地域の有力者(農村開発委員、農業技官、NGO、住民代表等)
農業関係者(種苗会社、肥料・農薬会社、農機具会社等)も招待し、
情報・技術支援、商品販売、講演等を依頼する。
・あくまで主役は農家
・農業関係者にはビジネスチャンスが生まれるような場としても活用
- 14. その他の隊員活動
• 品種比較試験栽培
在来種、NERICA等の品種特性を把握し、任地に適した品種を見極める
自宅庭で各種品種の試験栽培を行う。また、栽培歴の長い農家から収集し
た在来種、名称不明の品種を、抽出した農家に配布し、栽培を依頼した。
• 農民による種子生産計画
農民が投資可能な範囲で、稲作を開始・継続するためのイネ栽培モデル
1kg・5kgの種子を農家に配布し、種子生産を目的に栽培してもらう。
1kgからでも種子生産ができれば、2年越しで種子の調達に関しては出費が
最低限で済む。
- 15. 種子の品質
稲作には種子の品質が大きく影響。最高品質のPre-baseからはじまり、栽培の
generationによって以下の品質に分かれる
品質ステージ特徴品質データ
Pre-base
1000fcfa/kg
農業研究所が販売。栽培する農家(種子生産農家)には栽培方法を
開示・指導。
購入するには許可証が必要(高品質の種子を効率よく広めたいとい
う政府の戦略的意思による)。任地ではNGOが購入し種子生産農家
に提供
Base
800~
700fcfa/kg
種子生産農家がpres-baseから一作栽培し、この品質になる。任地で
はONGから自治体にこの品質が配布される。
R1
500fcfa/kg
Baseから一作経た品質。
農家間での流通はR1以降の品質が主。
R2
250fcfa/kg
種子の交じりが進む。
保証種子としての最後の段階
R3以降は販売には向かない。自給用栽培のみなら可。
Editor's Notes
- まず、市場調査の活動テーマと隊員活動における位置づけを説明します。
隊員活動の目標が稲作の普及であり、種子アクセスの向上とイネ品種特性の把握のための活動をしています。
そこで、市場調査が種子アクセスの向上に役立つのではと考え、市場調査のテーマを稲作開始ののきっかけを調べることとしました。
稲作導入・種子入手方法を調査し、よりよい種子アクセス方法を提案する
聞き取り調査の際の項目を追加し、稲作開始の動機、開始時期、種子入手の方法、種子品種等を調査した。
- 任地の稲作概要を説明
- 任地の農家にどのように種子が渡っているか 流通ルート
ガンビア、ジゲンショール等の南部由来の種子を、知人から購入・譲り受けて開始
NGOの住民代表を通じた配布・販売で普及開始
定期市・村の商店・農家から購入し開始
種子品質 セネガルに登録されているイネの品種は農業研究所に保存されており、そこから最高品質の種、保証種子が供給されます。
Pre-Baseと呼ばれる最高品質から始まって徐々に交じりが進んで、純度が劣化します。Pre-Baseの後がBase、R1、R2と続きます。
本来4回栽培した後のR3以降は販売・流通には不向きで、再度の高品質種子入手が望ましいが、実際には栽培に耐えなくなるまでの継続利用がされている。
・NGO配布の種子は正規のルートを通じた保証種子、農民にはBaseが渡る。
種子生産農家の技術が未熟で、純度の維持が未熟。栽培に耐えない交じりがある事例もある。
・ガンビア、セネガル南部由来の種子を栽培する農家は、長い者で10数年同じ種子を使い続けている可能性がある。
各農家の種子選抜により、種子利用を継続、または独自に新しい種子を再度入手している。
現在の種子の販売、譲渡は全てR1品質以降と思われる。
- 次に稲作の普及ルートと栽培型、栽培歴、種子品質について説明します。
・ガンビア川に注ぐバオボロン川が水条件の要 バオボロン周辺の低地に雨期に雨水が集まり湿田になる
・大バオボロンと小バオボロンの近くには栽培歴の長い農家が存在
・赤輪 10年位前から稲作開始、南部由来の品種で主に水稲を栽培 先駆型農家
・黄輪 隣接する農家間でのやり取り、違う地域の農家間でのやり取り、2ヶ所の定期市での入手、またはさらに遠方のガンビアでの入手があります。 品種は雑多で水稲、陸稲が混在します。品種名、品種についての情報が無いことが多い 追随型農家
・NGOの種子配布が2012年まで村内約30村、180戸に行われる。今後は種子配布から販売に代わる NGO型農家
・青輪 先駆型農家の村の近隣には、同じ品種を栽培する追随型農家が存在し、これらの追随型農家は多くが先駆型農家または先駆型農家の居る村から種子を入手しています。
- 現在の稲作普及の状況をパターンに分けて特徴を見てみます。
- 先駆型が稲作を導入・定着できたのはどうしてか?
先駆型は、知人の成功事例が適正品種の入手を可能にし、成功するであろうことを担保したので、種子購入が起きた。
つまり、稲作の成功事例と、種子入手の手段があった。
では定着について、
入手した種子が適正品種だったのはなぜか? それは
自身が適正品種だと思って、入手した
知人が適正品種だと奨めたので、入手した
試した結果、適正品種だった
つまり、何らかの形で適正品種だと判断していた
と考えます。
- 追従型が稲作を導入できたのはなぜか?また、先駆型に比べ、定着が今一つなのはなぜか?
追従型は
知人の成功事例が購入を後押しし、購入可能な手段で、そこにある品種を購入した。
つまり、導入できたのは、先駆型と同じく知人の成功事例があり、種子の入手手段があった。
定着について先駆型に比べ定着が今一つなのは、
種子の購入手段が、稲作の成功事例から近接村、違う地域の知人から、定期市と、距離的・情報的に遠ざかるほど、環境の違いが大きくなり適正品種であること少なくなった。のではないかと考えます。
- まとめます
稲作の導入には
知人の成功事例と種子入手の手段が必要で
定着させるためには、まずは先駆型がしたように、自身が適正品種を見極めるのが望ましい。
そして、見極める代わりに、自身と同じ環境の先駆型農家と繋がることで、適正品種でありやすくなる。
任地で望まれる今後の普及方針 として
まずは、先駆型が定着させた品種を、他未普及の地域に普及させる
そして、追随型の中で、栽培歴が長く、定着している品種を探す。
つまり、新たな品種・環境での先駆型がいないか探す ということです。
そこで、新たな先駆型が居れば、それをさらに普及させ、可能であれば、新たな先駆型をつくるために新しい品種を導入することも検討する。ことです。
- では具体的にはどうするのか。
現在の普及パターンの長所である
定期市での種子販売
住民代表の情報網
NGOの普及する品種
を取り入れるための、一つ目の提案が
種苗店による種子の集約販売 です。
種苗店が農家、住民代表を繋ぎ、成功事例の仲介をし、任地の流通、宣伝、イネ種子の情報を強化します。
- 住民代表に代わってNGOの普及する品種を販売
定着している有望な先駆農家の品種を仕入れ、価値を持たせ販売します。栽培情報を付加し、適正品種として農家に提案
住民代表による販売情報の発信
ゆくゆくは新品種の導入窓口、他の農業資材の販売のチャンネルとしても有効
- 先駆農家の事例の波及のために
- ・NERICA等の登録品種、先駆農家の持つ在来品種を、自宅と未普及の篤農家で栽培し、可能性を検証する
・条件の異なる10戸の農家で5kgの種子を栽培し、来年の稲作用の種子栽培をする。少量の種子から稲作を開始できるようにする。
- ・NGO配布の種子は正規のルートを通じた保証種子、農民にはBaseが渡る。
種子生産農家の技術が未熟で、純度の維持が未熟。栽培に耐えない交じりがある事例もある。
・ガンビア、セネガル南部由来の種子を栽培する農家は、長い者で10数年同じ種子を使い続けている可能性がある。
個々の選抜技術で、種子利用を継続、または独自に新しい種子を再度入手している。