サイカ社内のドヤ会において、量質転化の法則について紹介しました。

1. 量から質への転化の法則
2015年5月27日
株式会社サイカ 林 淳哉

2. 目次
• 量質転化の法則とは何か
• 零点を取り続けるということ
• 三つ子の魂百までの中身
• 人は変われる

3. 量質転化の法則
「弁証法の諸法則はその要点において次の三つの法則に帰着する。
• 量から質への、またその逆の転化の法則。
• 対立物の相互浸透の法則。
• 否定の否定の法則。
このさん法則はすべて、ヘーゲルによって、彼の観念論的な仕方で、
単なる思推法則として、展開された・・
フリードリヒ・エンゲルス著『自然の弁証法』
「武道哲学講義第一巻」より引用。

4. 量質転化の実例
• 量的変化が大きな質的変化を促す
• 薬品の量と身体への影響
• 水から氷、水から水蒸気へ
• 大局的に見ると量質転化しているものの、全体としてはゆるやかに
質的変化が現象するものもある
• 組織の人数
• 髪の毛とハゲ
• 借金
三浦つとむ著「弁証法はどういう科学か」より

5. 技化ということ
• 1歳児の歩く実力と、大人の歩く実力
• 日本人の を使う実力と、初めて を使う人の実力
• 白帯と黒帯の突き・蹴り
同じように現象していても、その中身に質的な違いがある。
量を積んで質的変化を促す「技化」のプロセスが大切。

6. 応用編

7. 零点を取り続けるということ
子どもに英語を教え続けても零点、その次の日に更に教えてもまた零点、その次の日もまたまた零点だった時、その子
は永久に零点しかとれない、零点の実力しか無いのだ、と捉えて良いのかどうかという問題でもある。だが、量質転化と
いう法則性は、そう捉えてはならないし、捉えるべきでもないのである。
というのは、その子の零点の一つ一つは確かに馬鹿のように思えるが、馬鹿のように思えることの積み重ねということ
をしっかりととらえ続ける事こそが大事なのである。これは、十回零点をとった子は永久に零点しかとれないのだと考え
てしまうのは、量は量でという考えかたである。すなわち、この考えかたは、運動を否定する思考方法であって、けっし
て弁証法ではないことを銘記すべきである。
これに対して、次は二点か三点とるようになるだろうと考えるのは、量の積み重ねがやがては質的な変化を及ぼすとい
う考えかたである。ここで変化というのは零点が零点を積み重ねることが続いていても、やがては零点の内実＝実態に少
しずつ変化への過程へと進んでいく何らかの出来事が生じてきていって、それが変化という実態として捉えるべき出来事
が生じ、そして零点と見えるものの中に難点可に変化する過程の誕生が出てきて、零点が零点ではなく、二点か三点はと
れるという質への転換期がくるということであり、そして零点が零点ではなくなっていくということなのである。
端的に以上の件を結論すれば、ここに関しては学生（生徒）が少しくらいは量の積み重ねを自分の意志でやっていける
か、あるいは自分の意志でやれるように先生が教育・指導をしていけるか、である。つまりこの二つがしっかり存在した
場合に、学生（生徒）が点をとれるようになっていくのである。もしも、ずっとずっと零点だったら、永久に点はとれな
くなるのである。なぜなら、通常人間は変わる、変化できるという性質があるのだから、絶対に零点しか取れないとい
う、いわば変化しないという量質転化をしてしまっていると考えなければならない。
南郷継正「武道哲学 著作・講義全集 第十二巻」p.144 より引用

8. 零点を取らせない教育の実例
クラスに漢字が苦手な子ども（Ａさん）がいる。私は学年を持ち上がっているから、昨年度からその子
の話は知っていた。学期末の５０問テストでは、いつも０点。よくて２点である。小テストも毎回０点、
せいぜい１０点だった。今年はその子を担任することになった。
…
「Ａさん、もう１回新しいのでテストやらへんか。」
「いいよ。」
「よし、じゃあな、今度は３問ずつやろう。１０個覚えて書くのは大変やろう。だから、３個ずつ。ま
ずはドリルを見て、指で練習。次にテストだけを見て指で書く。それができたら、鉛筆で書く。そんな
ふうにしてやっていこう。」
...
本当に無理矢理１００点にしたのだが、Ａさんにとっても、お母さんにとっても、嬉しい出来事になっ
たように思う。「漢字ができない」という見方が非常に強かったと思うが、その見方にちょっとぐらい
はヒビを入れることができたのではないかと思う。
5年目教師としての1年間を実践記録で振り返る（2/13）
5年目教師としての1年間を実践記録で振り返る（3/13）

9. 三つ子の魂百まで
この「三つ子の魂百まで」という は人間の性質の変わりがたきを説いている
ものであるが、この構造は「初心のレベルで創出して習い性となるレベルまで
質的変化を遂げたものは、変わることが不可能に近いまでの深い質を把持して
しまう」ということである。しかも、この高いレベルでの質の認識の形成は、
素直に信じることが厚いほどに容易かつ速い過程を るものである。それだけ
に、白紙的状態での幼児の認識＝魂の形成はそれが白紙的である分だけ素直さ
も、信じることも素直に量質転化していくことになり、三歳ともなればその量
質転化化のレベルが魂とも言ってよいほどにまで高まっている、ということな
のである。
南郷継正「武道哲学 著作・講義全集 第十二巻」p.317 より引用

10. 「育児の認識学」
• 子どもの認識の発達過程を認識学の
観点から説いた名著
• 「三つ子の魂百まで」の中身の詳細
を説いた量質転化の法則の応用事例
としても読める。

11. まとめに代えて

12. 人は変われる
• 人は、変われる。
人は、自分で自分を創ることができる。
それが、量質転化の法則の中身。
• 自分は変われることを知ることが大切。
人は創られると知ることが大切。
変われること、創れることを知ることから、
本当に変わっていくことができる。