1. 地図と演出
共感させる「工夫」を分析してみる

2. 今日こんなバズっぽいツイートに出会い。

3. https://twitter.com/enterphoto/status/470382988895600642/photo/1

4. そのメッセージ本体とは別に
作り手たちが図版に盛り込んだ
いくつかの「工夫」も窺えたので
少しだけ詳しく見た

5. 【0】
元ネタはドコ？

6. たぶん
米国ペンシルヴァニア州の
プランニング会社が
「投資と人口」の視点で作成した
記事の図版
これが初出ならば 2013/5/21

7. 【1】
どんな工夫の跡がある？

8. 1. 円の寸法が
一回りも小さい
2. 色調の反転処理を
行なっていない
3. 「陸半球」（フランス・
ナントを中心とした半
球） を中心に
切り抜いた
ツイートされてる図版
元ネタ「ディヌッツォ版」

9. ツイートされてる図版
元ネタ「ディヌッツォ版」
• ディヌッツォ版では
「中国・インドネシア、バングラデシュ、日本、フィリピン、ベトナム、タイ、
ビルマ、韓国、ネパール、マレーシア、北朝鮮、台湾、スリランカ、カンボジ
ア、ラオス、モンゴル、ブータン」
19か国を挙げた上で
「世界人口の半分」
と述べている
• ツイート画像では
インドネシア（世界4位）が半分以上「はみ出す」程度に
円が「小さい」

10. ツイートされてる図版
元ネタ「ディヌッツォ版」
• 色調反転の回避
– 海洋部分が白くならないので
「この円の中の陸地、少ない
ですよね」
という指摘が際立つ
• 陸半球クロップ
– 図版全体に陸地が広がるので、
その中の「この円の中だけ
で」
という指摘が際立つ

11. 【2】
そもそも
地図の選び方にもコツがあった

12. 原版（ディヌッツォ社版）の工夫
米国のコンサル会社が、アジアの投資と人口についての説明で、
なぜわざわざ「ヨーロッパを中心とした」地図を使った？
http://www.mapresources.com/world-maps.html
より「アメリカを中心としたヴィンケル投影図」

13. ターゲット国を
コンパクトにカバーできた真円
http://www.abysse.co.jp/world/index.html よりヴィンケル図法、ヨーロッパ中心
ヨーロッパを中心に置くと

14. http://www.abysse.co.jp/world/index.html よりヴィンケル図法、アジア中心
19か国を収めようとすると
真円にならず東西に長く見えるので
「高密な」印象を伝えにくくなる
アジアを中心に置くと

15. http://www.abysse.co.jp/world/index.html よりヴィンケル図法、アメリカ中心
19か国を収めようとすると
図像内で一か所に収まらず
東西に分かれて広く広がるので
「高密な」印象が伝わらない
アメリカ大陸を中心に置くと

16. 投影法が同じでも、印象は違う
• 真円に収まると、コンパクトに見える
• 中心から離れるほどにターゲットの形状が歪む
• 分散していると「狭さ」が伝わらない
– 参考：採用されているヴィンケル投影法は
モルワイデ投影法ほど「面積が等しい」」くはないが
形状の歪みがマイルドな「バランス型」の図法

17. 以上
「プレゼンテーションの図版は、選び方が肝心」
という例の考察でした

18. redditの地図マニアスレに、これまた1年も前に
「コレって錯視を利用してるよなぁ～」
というスレッドが存在する事を、このスライド
を作り終えてから調べなおして知りました。
http://www.reddit.com/r/MapPorn/comments/1d
sssf/there_are_more_people_living_inside_this_cir
cle/
さすが。
付録