在宅緩和ケアと家族のケア4. WHO 緩和ケアの定義 緩和ケアとは 生命を脅かす病 に関連する問題に直面している 患者と家族 の痛みその他の 身体的心理社会的スピリチュアルな問題 を早期に同定し適切に評価し対応することを通して苦痛を予防し、緩和することにより患者と家族の Quality of Life を改善する取り組みである 9. 患者・家族からみた望ましい緩和ケア 多くの人が共通して大切にしてること Miyashita M, et al: Ann Oncol. 18: 1090-1097, 2007 「痛くないようにしたい」 苦痛がない 「うちにいるのが一番」 望んだ場所で過ごす 「明日は少しよくなるって思いたい」 希望や楽しみがある 「先生とよく話し合って決めたい」 医師や看護師を信頼できる 「家族も元気でいてほしい」 負担にならない 「子供と一緒にいたい」 家族や友人とよい関係でいる 「自分のことは自分でしたい」 自立している 「人に気兼ねしないで過したい」 落ち着いた環境で過ごす 「ものや子ども扱いしないでほしい」 人として大切にされる 「 家族が悔いを残さない 」 人生を全うしたと感じる 10. 患者・家族からみた望ましい緩和ケア 人により重要さは異なるが大切にしていること Miyashita M, et al: Ann Oncol. 18: 1090-1097, 2007 「やるだけの治療は十分してもらえたと思っています」 できるだけの治療を受ける 「自然なかたちで最期を迎えたい」 自然なかたちで過ごす 「みんなに感謝の気持ちを伝えたい」 伝えたいことを伝えておける 「残された時間を知っておきたい」 先々のことを自分で決められる 「普段と同じように、毎日毎日を過ごしていきたい」 病気や死を意識しない 「弱った姿を人に見せたくない」 他人に弱った姿を見せない 「誰かの役に立っていると感じられる」 価値を感じられる 信仰に支えられている 13. 希望する療養場所は変化する 9% ⇒ いつでも、どこでも、切れ目のない緩和ケアが提供できる体制を整備する必要がある 緩和ケア病棟 自宅 今まで通った病院 がん治療病院 <希望する療養場所> <希望する看取りの場> 緩和ケア病棟 自宅 今まで通った病院 がん治療病院 18% 63% 3% 47% 11% 32% 23% 29% 「痛みを伴う末期状態(余命が半年以下)」の場合 一般集団 2,527 人( 2008 年) 17. がん・非がん患者の苦痛症状 疾患群別の 症状出現頻度(%) Solano, Bomes, Higginson. JPSM 2006, 31:58-69 癌 AIDS 心疾患 COPD 腎疾患 疼痛 35-96 63-80 41-77 34-77 47-50 易疲労 32-90 54-85 69-82 68-80 73-87 混迷 6-93 30-65 18-32 18-33 ? 食思不振 30-92 51 21-41 35-67 25-64 うつ 3-77 10-82 9-36 37-71 5-60 不安 13-79 8-34 49 51-75 39-70 呼吸苦 10-70 11-62 60-88 90-95 11-62 不眠 9-69 74 36-48 55-65 31-71 悪心 6-68 43-49 17-48 ? 30-43 便秘 23-65 34-35 38-42 27-44 29-70 25. 在宅における終末期ケア 在宅ケア 終末期ケア 多職種によるチームアプローチ 訪問診療医 訪問看護師 住み慣れた地域 自分の家 家族 ケアマネージャー 訪問介護士 訪問薬剤師 福祉用具の貸与 訪問入浴 病院 緩和ケア病棟 緩和ケア専門医 ボランティア 訪問歯科医 Editor's Notes PEACE M1: 緩和ケア概論 包括的がん医療モデルについて説明 抗がん治療と緩和ケアが別々に提供されるものではなく 有機的な連携を持って継続的に提供される 最後まで抗がん治療が続くということを意味しているわけではなく、最後は全員がんで亡くなるということを示しているわけではありません。 従来のがん医療モデルとの対比として作成され、あくまでがん治療と並行して抗がん治療と並行して行われることをイメージしてのスライドです。 WHO のがんの痛みからの解放とパリアティブケアからの引用です PEACE M1: 緩和ケア概論 「がん緩和ケアガイドブック」 P11 を参照 日本人が終末期に大切にしたいと考えていることの調査結果 もととなる調査とその解析は、下記の通り。 * 平成 20 年「終末期医療に関する調査」の結果(厚生労働省) 問.あなたご自身が治る見込みがなく死期が迫っている(6ヶ月程度あるいはそれより短い期間を想定)と告げられた場合、療養生活は最期までどこで送りたいですか。(○は1つ)<一般国民を対象としたアンケート> なるべく早く今まで通った(又は現在入院中の)医療機関に入院したい 8.8 % なるべく早く緩和ケア病棟(終末期における症状を和らげることを目的とした病棟)に入院したい 18.4 % 自宅で療養して、必要になればそれまでの医療機関に入院したい 23.0 % 自宅で療養して、必要になれば緩和ケア病棟に入院したい 29.4 % 自宅で最後まで療養したい 10.9 % 専門的医療機関(がんセンターなど)で積極的に治療を受けたい 2.5 % 老人ホームに入所したい 1.0 % その他 0.6 % わからない 4.4 % 無回答 0.9 % * 「終末期医療に関する調査」結果の解析(終末期医療のあり方に関する懇談会 平成 21 年 2 月 24 日) <上記アンケートについて> 死期が迫った場合の自分の療養場所として、 63% の国民は自宅で療養することを望んでいるが、最期まで自宅で療養したいと思っている者は 11% であり、必要になれば緩和ケア病棟 (29%) やそれまでかかっていた医療機関 (23%) への入院を望んでいる。