( 2011-12-19  第 1 回 法務系 LT 資料) 「通信の秘密」の秘密 ほそのひでとも Twitter:@h12o Facebook:h12o.blessedgeeks Google+:http://goo.gl/KUjBb
「通信の秘密」に関する 最近の話題:コネクトフリー 2011 年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密 総務省の『 電気通信事業参入マニュアル[追補版] ―  届出等の要否に関する考え方及び事例  ― 』によると コネクトフリーは「電気通信役務の提供により利益を上げている」ので電気通信事業を営んでいると思われる。 「 事前の利用者の承諾なく 、 Twitter ID 、 FACEBOOK アカウント ID を取得したこと」 をお詫びしている。
いくつかある。 日本国憲法上の「通信の秘密」(第 21 条「検閲の禁止」) 有線電気通信法の「通信の秘密」(第 9 条、第 14 条) 電波法の「通信の秘密」(第 59 条、第 109 条) 電気通信事業法の「通信の秘密」(第 4 条「秘密の保護」) 総務省の「 電気通信サービス FAQ 」の 5-2 が詳しい。 今夜扱うのは 電気通信事業法 の「通信の秘密」 。 (秘密の保護)電気通信事業法第四条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。 電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。 「通信の秘密」って ? 2011 年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密
機械的な処理 ウイルスチェック スパムフィルタ OP25B その他特定通信の遮断 不正アクセス疑い例 営業活動 解約阻止策としての課金計算・料金プラン提案 その前から電気通信事業者は いろいろと大変な思いをしている 2011 年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密
お客様の同意か総務省の見解がなければ 電気通信事業者は「通信の秘密」の壁を越えられない ウイルスチェックやスパムフィルタ オプトインで(=お客様の同意を得て) OP25B とか特定通信の遮断 基本的には緊急避難等で違法性の阻却が必要。総務省判断で OK の場合も 不正アクセスの疑いがあっても 令状がなければ NG 。令状が出ないようなケースは NG その他営業活動(営業活動が「通信の秘密」を犯すケースは意外と多い) お客様の同意を得て 電気通信事業者だったり電気通信事業者に勤務していたりするなら 「通信の秘密」について知っておくべき まとめ 2011 年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密
電気通信事業者にも 「通信の秘密」というものが 案外知られていない (んじゃないかなあとしか思えない)。 これが「通信の秘密」の秘密…。 だがしかし 2011 年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密

「通信の秘密」の秘密

  • 1.
    ( 2011-12-19 第 1 回 法務系 LT 資料) 「通信の秘密」の秘密 ほそのひでとも Twitter:@h12o Facebook:h12o.blessedgeeks Google+:http://goo.gl/KUjBb
  • 2.
    「通信の秘密」に関する 最近の話題:コネクトフリー 2011年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密 総務省の『 電気通信事業参入マニュアル[追補版] ― 届出等の要否に関する考え方及び事例 ― 』によると コネクトフリーは「電気通信役務の提供により利益を上げている」ので電気通信事業を営んでいると思われる。 「 事前の利用者の承諾なく 、 Twitter ID 、 FACEBOOK アカウント ID を取得したこと」 をお詫びしている。
  • 3.
    いくつかある。 日本国憲法上の「通信の秘密」(第 21条「検閲の禁止」) 有線電気通信法の「通信の秘密」(第 9 条、第 14 条) 電波法の「通信の秘密」(第 59 条、第 109 条) 電気通信事業法の「通信の秘密」(第 4 条「秘密の保護」) 総務省の「 電気通信サービス FAQ 」の 5-2 が詳しい。 今夜扱うのは 電気通信事業法 の「通信の秘密」 。 (秘密の保護)電気通信事業法第四条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。 電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。 「通信の秘密」って ? 2011 年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密
  • 4.
    機械的な処理 ウイルスチェック スパムフィルタOP25B その他特定通信の遮断 不正アクセス疑い例 営業活動 解約阻止策としての課金計算・料金プラン提案 その前から電気通信事業者は いろいろと大変な思いをしている 2011 年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密
  • 5.
    お客様の同意か総務省の見解がなければ 電気通信事業者は「通信の秘密」の壁を越えられない ウイルスチェックやスパムフィルタオプトインで(=お客様の同意を得て) OP25B とか特定通信の遮断 基本的には緊急避難等で違法性の阻却が必要。総務省判断で OK の場合も 不正アクセスの疑いがあっても 令状がなければ NG 。令状が出ないようなケースは NG その他営業活動(営業活動が「通信の秘密」を犯すケースは意外と多い) お客様の同意を得て 電気通信事業者だったり電気通信事業者に勤務していたりするなら 「通信の秘密」について知っておくべき まとめ 2011 年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密
  • 6.
    電気通信事業者にも 「通信の秘密」というものが 案外知られていない(んじゃないかなあとしか思えない)。 これが「通信の秘密」の秘密…。 だがしかし 2011 年 12 月 19 日 「通信の秘密」の秘密

Editor's Notes

  • #2 こんばんは、ほそのひでともと申します。 いま、とある電気通信事業者でテクニカルサポートを担当しています。 会社名は探さないでください。 さて、第 1 回 法務系 LT 。 Web 巡回していてたまたま知ったのですが、エンジニアといえど法務重要なのと LT だけの勉強会というのが新鮮だったのとで登録してみました。最初は「法務」って自分が話せることは何もないよなあと思ってたのですが、よく考えると電気通信事業者でテクニカルサポートを担当していて、法務と相談して対応した面倒な話がいろいろあったなあ、と気付きました。 電気通信事業者といえば「通信の秘密」です。面倒な話も結局この「通信の秘密」に由来しています。というわけで今日は、『「通信の秘密」の秘密』という題で話をしてみますが、あんまり秘密じゃないような気がしています。それはさておき。
  • #3 通信の秘密に関する最近の話題は「コネクトフリー」や「 7 スポット」です。ここに出したのはコネクトフリーが 2011 年 12 月 06 日に出した「お客様情報の取得に関するお詫びとご説明」という文書です。問題点は「事前の利用者の承諾なく、 Twitter ID 、 FACEBOOK アカウント ID を取得したこと」がわかったことなんですね。ちなみにこのあとひろみちゅ先生らに突っこまれたのはセブンスポットですが、ここはそもそも利用規約がもにょもにょとしていたらこっそり直したくさかったりしていて、 5 分で話すには難しいかなと思ったので今回はコネクトフリーを例に挙げてみました。他意はありませんし、私自身はコネクトフリーとのいかなる利害関係もありません。 ところでコネクトフリーは「電気通信事業者」なのかどうかですが、「電気通信事業を営む」場合は例外を除いて電気通信事業の登録または届出をしなければいけません。で、「電気通信事業を営む」場合というのはごくおおざっぱに言えば他人に使わせる電気通信で収益事業を行う場合です。コネクトフリーは見た目無料ですが、収益を上げていることは明白ですから電気通信事業であり、電気通信事業者だと考えるのが妥当だと私は思います。
  • #4 さて、では「通信の秘密」ってそもそもなんだろう、という話ですが、いくつかあります。 まず日本国憲法の「通信の秘密」で、第 21 条「検閲の禁止」でうたわれています。それから有線電気通信法の「通信の秘密」や電波法の「通信の秘密」もありますが、今夜お話したいのは電気通信事業法第 4 条「通信の保護」でうたわれている電気通信事業法の「通信の秘密」です。 電気通信事業法の「通信の秘密」。 (秘密の保護)電気通信事業法第四条。 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。 電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。 これ、世界的に見てけっこう重い義務です。というのも、他の国でここまで、憲法と産業法の二本建てで)定めているところって、ないらしいんです。 ちなみに、戦前の日本で検閲が横行していたことはご存じだと重います。で、戦後はその反省から憲法で通信の秘密を定めたというわけです。当然日本の法律はすべて憲法の影響を受けますから、電気通信事業法でも通信の秘密に関する重い義務を定めています。ではどうしてここまで重い義務を定めたかといいますと、これは私見ですが、「秘密の保護」の成立は「検閲の禁止」と憲法の精神の反映です。そうしなければ「表現の自由」の保証がされないからです。
  • #5 さて、こうして重い義務を定めたことで、電気通信事業者である ISP はいろいろと大変な思いをしたりしていますが、その例をいくつか挙げたいと思います。 まず、機械的なウイルスチェックやスパムフィルタ。人が法律を守るのはあたりまえなのですが、電気通信事業者たる ISP が人だけですべてをやっているわけではありません。コンピュータを使いますよね。ところが、コンピュータによる機械的な処理であっても通信の秘密の侵害は通信の秘密の侵害なのです。そういうときはどうするか。次に OP25B のように、スパムを送信元から断つという名目で特定ポートの通信を遮断する、これも通信の秘密を侵害しないかどうかドキドキしたものです。その他特定通信の遮断をしなければいけない場合があります。 DoS 喰らった場合に特定アドレスからの通信を遮断するとか、そういうのも通信の秘密を侵害しないかどうかを確認したりネゴったりしておく必要があります。 それから、不正アクセス疑い例。不正アクセスっぽいログがあるのだけれど、このログの相手方を開示しろ。これも通信の秘密の侵害になってしまいます。 あと、営業活動も重要な例です。よくあるのが解約阻止策としての課金計算・料金プラン提案。これは、モバイルインターネットのように従量課金だったりそれに近い課金形態だったりすることがある場合によく見られます。
  • #6 まとめます。 まず、お客様の同意か総務省の見解がなければ、電気通信事業者は「通信の秘密」の壁を越えられません。ウイルスチェックやスパムフィルタはオプトインで、 OP25B や特定通信の遮断のように事業者の存続にかかわるような話は基本的に違法性が阻却されていたり、総務省にうんと言わせたりすることが必要です。不正アクセスの疑いがある、といっても令状がない以上は通信の秘密は死守しなければなりません。つまり刑事として扱われたり裁判所が入る事態になったりしない限りはどちらが正しいかとか関係なく通信の秘密は守られるものです。また、営業的なことを考えていると「通信の秘密」にバイオレーションすることは多い、というのを覚えておくと損はないでしょう。 それから、電気通信事業者であったり電気通信事業者に勤務していたりする人間は、自覚をもって、「通信の秘密」について知っておくべきだと声を大にして言いたいと思います。特に弊社の営業の一部。もちろんわかっている人もいます。でもわかってない営業。あなたたちの仕事は通信の秘密を理解していないお客様と一緒になって騒ぐことではありません。本来はお客様をなだめるのが営業の仕事です。ええ、言いたかったことはこれです。
  • #7 これが当事者の間でも案外知られていない、というのが「通信の秘密」の秘密でしたので、こうして今回 LT で発言させていただきました。 ありがとうございました。