20090913レジュメ
- 2. 1.【図書紹介】 「どん底の共和国 -北朝鮮不作の耕造-」 ・ 1984 年 4 月~ 1985 年 8 月( 1 年 4 ヶ月)元山(ウォンサン)農業大学で 客員講師を務めていた著者の北朝鮮ルポ。 ・著者の職業分野柄、農業面からの本格的に切り込んだ書籍は おそらく、本著が初。 ・北朝鮮で著者が体験した農業の実態や信じられない 珍妙なエピソード盛り沢山。 今回はその中の「主体農法」について ご紹介。 ・本書は 「凍土の共和国(生活面ルポ)」 「暗愚の共和国(工業面ルポ)」 と共に北朝鮮基本書籍3部作を成す一冊。
- 4. 3.【主体農法の実例①】 全国段々畑化計画 ・ 1970 年代初頭から開始。 ・平地の少ない、山がちな国土での食糧増産を目的。 「山を畑に!」のスローガンの下、全国の山を切り拓いて 段々畑(トウモロコシ)を開拓。 ※ 単純な切り拓きによる耕地拡大 ->全国の山々がはげ山に ->土壌流出対策(石垣・雨水路・畦道 etc )無し ※ 作付け作物の無計画 ->トウモロコシは肥料の大食いと言われているのに 作付けて 地力の大消耗。
- 5. 不作サイクル確立! はげ山からの土壌流出 ↓ 麓の河川への土壌堆積 ↓ 川底がかさ上げされて氾濫頻発 ↓ 国土全体の荒廃 ↓ 不作恒常化 ↓ 不作分を取り返そうと、更に無茶な作付け ・オプション 河川・河口に堆積した土壌が海に押し出され、湾の深度が 浅くなり、大型船の入港困難->経済停滞
- 6. 4.【主体農法の実例②】 稲作 主体農法のおかげで、 10 アール/ 1,500 kg~ 2,000 kgの収穫!! 日本では 10 アール/ 750 kg~ 800 kgが理想値 主体農法による稲作の秘訣 ① 密植(稲を隣同士隙間無く植え、ムダカット) ② 党の科学的指導による全国一斉、計画的田植え
- 8. ① イデオロギー重視の実務無視農法 ->土地が荒廃 ② 党・国家政策の為の農業。個人への成果還元を否定。 ->人々のモチベーション暴落 ③ 「完璧なる思想と指導に基づく農業」故に反論不能。 ->反論・提案は即ち、反逆。 ④ 上記①~③をやり過ごす為、個人から組織まで 「構造的なごまかし」で生き抜くスタイルが確立。 例)生産量報告=最初に作付けした量 収穫量報告=未精製状態(茎やモミが付いたまま) 5.【敗因】
- 9. 農業を行うに当たって重要なのは、 土と知恵 > イデオロギー ->自然は資本主義でも共産主義でもない! そして、イデオロギーに毒された土がその地力を再生させることは難儀。 (自然現象による傷に対する回復力は抜群だが) 今に続く飢餓の共和国土が如実に証明している。 ※ 著者からの解決策 ->とりあえずは地力消耗が少なく、すぐ実り、手の掛からない 作物、「粟・稗」にシフトすべき。 6.【結論】