a

1. 腹痛の症例

2. 小学生が絞扼性イレウスにより死亡。経過観察中にイレウスの症状が見ら
れたにもかかわらず、所要の検査を行わなかったことにつき、医師に過失
を認めて病院に損害賠償義務を認めた判例

3. 心房細動、腹部大動脈瘤（40mm、心外フォロー中）
の既往がある65歳男性
本日12時ごろ、自動車走行中（30Km/h）に交通事故にあった
左橈骨遠位端骨折のため入院となる
受傷時のCTや採血ではそれ以外の異常認めず
右側腹部にシートベルト痕、左腰背部に打撲痕あり
ER看護師であるあなたは、夜勤の担当看護師になりました
症例

4. 橈骨骨折はシーネ固定で保存加療となる
日勤の担当からは
右側腹部のシートベルト痕あたりを少し痛がってた
カロナール定時内服で疼痛コントロール良好
他は特に問題ないと申し送りあり
＜17時時点でのバイタルサイン＞
T：37.2℃ HR：85回/分（不整） BP：120/85mmHg
R：18回/分 JCS：0

5. 23時ごろ、ナースコールがあり訪室
うずくまった姿勢で「お腹が痛い」と訴えあり
冷汗、苦悶表情あり

6. まずはABCの評価
23時ごろ、ナースコールがあり訪室
うずくまった姿勢で「お腹が痛い」と訴えあり
冷汗、苦悶表情あり

7. ABCDEアプローチ
A：気道
B：呼吸
C：循環
D：意識
E：全身観察
発語あり
呼吸回数：22回/分
SPO2:99%
チアノーゼなし
奇異呼吸なし
HR：110回/分 NIBP：110/60mmHg
四肢冷感なし
JCS：0
KT：38.9℃ 発汗多量

8. 【実践】ケア介入 報告（SBAR） 治療および検査の準備・調
整
【臨床推論アプローチ】
Step1.情報収集
（主訴の同定）
Step3.追加の情報収集
Step2.仮説形成
Step4.仮説検証
Step5.判断•介入の決定
【ABCDEアプローチ】
A：発語あり
B：呼吸回数22回/分 SPO2:99%
チアノーゼなし 奇異呼吸なし
C：NIBP：110/60
HR110回/分
四肢冷感なし
D：JCS：0
E：KT:38.9℃
発汗多量

9. 情報収集（主訴の同定）
Ns：どうしましたか？
Pt：10分くらい前から急にお腹全体がかなり痛くなってきました

10. 患者の訴えを医学的主訴に翻訳せよ
∼Semantic Qualifier∼
10分前からお腹全体
がかなり痛い
患者の訴え 医学的主訴

11. 患者の訴えを医学的主訴に翻訳せよ
∼Semantic Qualifier∼
10分前からお腹全体
がかなり痛い
急性発症した
腹部全体の疼痛
患者の訴え 医学的主訴

12. 【実践】ケア介入 報告（SBAR） 治療および検査の準備・調
整
【ABCDEアプローチ】
A：発語あり
B：呼吸回数22回/分 SPO2:99%
チアノーゼなし 奇異呼吸なし
C：NIBP：110/60
HR110回/分
四肢冷感なし
D：JCS：0
E：KT:38.9℃
発汗多量
【臨床推論アプローチ】
Step1.情報収集
（主訴の同定）
急性発症した
腹部全体の疼痛
Step3.追加の情報収集
Step2.仮説形成
Step4.仮説検証
Step5.判断•介入の決定

13. 仮説形成
「急性増悪する腹部全体の疼痛」を生じうる病態は？

14. を必ず想起せよ
〜典型例に油断するべからず〜
Killer abdominal pain

15. 死に至る腹痛
∼Killer abdominal pain∼
詰まる
腸間膜動脈閉塞
非閉塞性腸管虚血（NOMI）
腎・脾梗塞
心筋梗塞
破れる
異所性妊娠 肝細胞癌破裂
卵巣出血 尿管破裂
消化管穿孔による汎発性腹膜炎
特発性腹腔内出血 大動脈瘤破裂
腹部大動脈瘤破裂
裂ける
大動脈解離
腸間膜動脈解離
ねじれる
卵巣捻転
精巣捻転
絞扼性イレウス

16. 腹痛
Killer abdominal pain
その他の疾患を検討
腹痛に対する思考過程
詰まる
腸間膜動脈閉塞
非閉塞性腸管虚血（NOMI）
腎・脾梗塞
心筋梗塞
破れる
異所性妊娠 肝細胞癌破裂
卵巣出血 尿管破裂
消化管穿孔による汎発性腹膜炎
特発性腹腔内出血 大動脈瘤破裂
裂ける
大動脈解離
腸間膜動脈解離
ねじれる
卵巣捻転
精巣捻転
絞扼性イレウス
死に至る腹痛
∼Killer abdominal pain∼

17. 腹痛の程度に関わらず
ないこと を確認することが大事
詰まる
腸間膜動脈閉塞
非閉塞性腸管虚血（NOMI）
腎・脾梗塞
心筋梗塞
破れる
異所性妊娠 肝細胞癌破裂
卵巣出血 尿管破裂
消化管穿孔による汎発性腹膜炎
特発性腹腔内出血 大動脈瘤破裂
裂ける
大動脈解離
腸間膜動脈解離
ねじれる
卵巣捻転
精巣捻転
絞扼性イレウス
死に至る腹痛
∼Killer abdominal pain∼
腹痛
Killer abdominal pain
その他の疾患を検討
腹痛に対する思考過程

18. 仮説形成
「急性増悪する腹部全体の疼痛」を生じうる病態は？
＃汎発性腹膜炎
＃大血管損傷or閉塞
＃心筋梗塞

19. 仮説形成
外傷 ＋ 腹痛 ＝ ＃汎発性腹膜炎
⇨シートベルトで強く圧迫されたことによる腸管穿孔？
大動脈瘤＋腹痛 or 心房細動＋腹痛 ＝ ＃大血管損傷or閉塞
⇨大動脈瘤の破裂？心房細動による血栓で上腸間膜動脈閉塞症？
65歳以上の男性＋心房細動＋腹痛 ＝ ＃心筋梗塞
⇨心房細動による血栓が冠動脈に詰まった？65歳男性の時点で血管系リスクあり

20. 【実践】ケア介入 報告（SBAR） 治療および検査の準備・調
整
【臨床推論アプローチ】
Step1.情報収集
（主訴の同定）
急性発症した
腹部全体の疼痛
Step3.追加の情報収集
Step2.仮説形成
＃汎発性腹膜炎
＃大血管損傷or閉塞
＃心筋梗塞
Step4.仮説検証
Step5.判断•介入の決定
【ABCDEアプローチ】
A：発語あり
B：呼吸回数22回/分 SPO2:99%
チアノーゼなし 奇異呼吸なし
C：NIBP：110/60
HR110回/分
四肢冷感なし
D：JCS：0
E：KT:38.9℃
発汗多量

21. 追加の情報収集
Ns：どの辺が痛みますか？（L）
Pt：お腹全体が痛いです。
Ns：10段階だとどの程度の痛みですか？痛みはどのように痛みますか？（Q）
Pt：10ですね。刺すようにずっと痛いって感じです
Ns：ずっとというのは、常に一定の痛みということですか？波はありますか？（Q）
Pt：常に一定で波はないです
Ns：何をしていたときに痛くなりましたか？痛みは酷くなっていますか？（T）
Pt：特に何もせず、寝てた時です。入院してすぐは右の下っ腹が軽く痛むくらいだったんですけど
10分くらい前から急にかなり痛くなってきました
Ns：症状が出たきっかけは何かありましたか？（S）
Pt：思い当たらないです。寝てただけなので
Ns：どんな時に痛みは強くなったり弱くなったりしますか？（F）
Pt：動くと痛いです。前に屈むとほんの少しは楽になります。
Ns：ほかに痛いところや症状はありますか？（A）
Pt：痛いのはお腹だけで、段々と気持ち悪くなってきました

22. L 腹部全体
Q
刺すような疼痛
波はなく一定
Q NRS：10
T
臥床時に発症
入院時はシートベルト痕部の疼痛
10分前から腹部全体の疼痛が急性発症
S きっかけなし
F
体動により増強
前屈位で僅かに軽減
A 気分不快感のみ

23. やっぱり緊急性が高そう
L 腹部全体
Q
刺すような疼痛
波はなく一定
Q NRS：10
T
臥床時に発症
入院時はシートベルト痕部の疼痛
10分前から腹部全体の疼痛が急性発症
S きっかけなし
F
体動により増強
前屈位で僅かに軽減
A 気分不快感のみ

24. 追加の情報収集
Ns：どの辺が痛みますか？（L）
Pt：お腹全体が痛いです。
Ns：10段階だとどの程度の痛みですか？痛みはどのように痛みますか？（Q）
Pt：10ですね。刺すようにずっと痛いって感じです
Ns：ずっとというのは、常に一定の痛みということですか？波はありますか？（Q）
Pt：常に一定で波はないです
Ns：何をしていたときに痛くなりましたか？痛みは酷くなっていますか？（T）
Pt：特に何もせず、寝てた時です。入院してすぐは右の下っ腹が軽く痛むくらいだったんですけど
10分くらい前から急にかなり痛くなってきました
Ns：症状が出たきっかけは何かありましたか？（S）
Pt：思い当たらないです。寝てただけなので
Ns：どんな時に痛みは強くなったり弱くなったりしますか？（F）
Pt：動くと痛いです。前に屈むとほんの少しは楽になります。
Ns：ほかに痛いところや症状はありますか？（A）
Pt：痛いのはお腹だけで、段々と気持ち悪くなってきました

25. 常に痛い
1分間隔で痛くなる
痛みの性質は正確に聴取せよ
あなたが患者だったらどう表現する？

26. 痛みの性質は正確に聴取せよ
あなたが患者だったらどう表現する？
「ずっと痛い」
常に痛い
1分間隔で痛くなる

27. 「ずっと痛い」
余裕があれば図示するのもよい
痛みの性質は正確に聴取せよ
常に痛い
1分間隔で痛くなる
腹膜炎 腸閉塞
あなたが患者だったらどう表現する？

28. 【実践】ケア介入 報告（SBAR） 治療および検査の準備・調
整
【臨床推論アプローチ】
Step1.情報収集
（主訴の同定）
急性発症した
腹部全体の疼痛
Step3.追加の情報収集
Step2.仮説形成
＃汎発性腹膜炎
＃大血管損傷or閉塞
＃心筋梗塞
Step4.仮説検証
Step5.判断•介入の決定
L ：腹部全体
Q：刺すような疼痛、波なし一定
Q：NRS 10
T ：臥床時発症、入院時はシートベルト
痕部⇨10分前から腹部全体
S ：きっかけなし
F ：体動で増強、前屈位で軽減
A：気分不快感のみ
【ABCDEアプローチ】
A：発語あり
B：呼吸回数22回/分 SPO2:99%
チアノーゼなし 奇異呼吸なし
C：NIBP：110/60
HR110回/分
四肢冷感なし
D：JCS：0
E：KT:38.9℃
発汗多量

29. 身体所見＋簡単な検査
＃汎発性腹膜炎
＃大血管損傷or閉塞
＃心筋梗塞
仮説
仮説に対する
それらしさ or らしくなさ
を見つける

30. 汎発性腹膜炎
腹膜炎らしさ ＝ 腹膜刺激症状

31. 汎発性腹膜炎
腹膜炎らしさ ＝ 腹膜刺激症状
反跳痛 筋性防御
筋強直 打診痛

32. 所見ごとの価値を知るべし
打診痛が陽性であれば
必ずしも反跳痛を誘発させる必要はない
（ 急性腹症診療ガイドライン より引用）
反跳痛は疾患の可能性にそこまで影響しない
しかし患者の苦痛も強い

33. 手技は通常の打診と一緒
打診により痛みがあれば陽性

34. 筋性防御と筋強直の見分け方

35. 筋性防御と筋強直の見分け方
どっちの所見がより腹膜炎 らしい か
筋性防御＜筋強直

36. 筋性防御と筋強直の見分け方
筋強直があればさらに緊急度が高いと考える！
どっちの所見がより腹膜炎 らしい か
筋性防御＜筋強直

37. 筋性防御と筋強直の見分け方
筋性防御：腹壁筋の随意的な収縮
筋強直 ： 〃 の不随意な収縮
筋性防御は硬さに変動あるが筋強直は変動なし

38. 筋性防御と筋強直の見分け方
患者に触診を意識させない
• 触診中に会話をする
• 聴診中に聴診器で優しく触診する
時間をおいて繰り返し診察する
筋性防御であれば変動もしくは消失する
筋強直であれば変化しない

39. 大血管損傷or閉塞
この患者で可能性が高そうな疾患は
＃腹部大動脈瘤破裂
＃上腸間膜動脈閉塞症

40. どちらの疾患も特異的な身体所見はない

41. どちらの疾患も特異的な身体所見はない
所見がない ということが重要な所見

42. Acute mesenteric ischemia is classically said to present with rapid onset of severe periumbilical abdominal pain,
often out of proportion to findings on physical examination.
急性腸間膜虚血は身体所見と不釣り合いな強い腹痛を生じる
(”Up to date :Evaluation of the adult with abdominal pain in the emergency department より引用)
どちらの疾患も特異的な身体所見はない
所見がない ということが重要な所見
かなり痛がっているけど圧痛や腹膜刺激症状がない
⇨大動脈や腸間膜動脈に何か起きているのかもしれない！

43. 心筋梗塞
心筋梗塞で腹痛？？

44. 心筋梗塞
心筋梗塞で腹痛？？
下壁梗塞では腹痛を訴えることがある

45. 心筋梗塞らしい身体所見

46. 心筋梗塞らしい身体所見
頸静脈怒張
Ⅲ音（過剰心音）
冷汗
肩への放散痛

48. 心筋梗塞らしい身体所見
可能性を上げる身体所見はあまりない
Ⅲ音はやや特異的な所見ではあるが、、、
頸静脈怒張
Ⅲ音（過剰心音）
冷汗
肩への放散痛

49. 心筋梗塞を考えたらまず心電図をとるべし

50. 心筋梗塞を考えたらまず心電図をとるべし
そんな単純な考えで検査していいの？

51. 心筋梗塞を考えたらまず心電図をとるべし
そんな単純な考えで検査していいの？
疾患可能性
＋
疾患重症度
検査侵襲度
利益 不利益

52. 心筋梗塞を考えたらまず心電図をとるべし
心電図
低コスト
短時間
侵襲なし
感度・特異度 高い（AMIに対して）
疾患可能性
＋
疾患重症度
検査侵襲度
利益 不利益

53. 身体所見＋簡単な検査
一般的+仮説に対するフィジカルイグザミネーション・簡単な検査
迅速に所見がとれるものに絞る

54. 身体所見＋簡単な検査
眼瞼結膜：正常
呼吸音 ：全肺野で良好に聴取可 左右差・副雑音なし
頸静脈 ：怒張なし
腹部 ：表面平坦 シートベルト痕付近（右下腹部）に軽度の皮下血腫
腸蠕動音減弱 ［筋強直あり 打診痛あり］⇨全て全区域
心窩部に拍動性の腫瘤を触知する
四肢 ：末梢冷感なし 橈骨動脈・足背動脈触知可、左右差なし
皮膚 ：皮膚色良好
心電図 ：心房細動様の頻脈 ST-T変化なし

55. 身体所見＋簡単な検査
眼瞼結膜：正常
呼吸音 ：全肺野で良好に聴取可 左右差・副雑音なし
頸静脈 ：怒張なし
腹部 ：表面平坦 シートベルト痕付近（右下腹部）に軽度の皮下血腫
腸蠕動音減弱 ［筋強直あり 打診痛あり］⇨全て全区域
心窩部に拍動性の腫瘤を触知する
四肢 ：末梢冷感なし 橈骨動脈・足背動脈触知可、左右差なし
皮膚 ：皮膚色良好
心電図 ：心房細動様の頻脈 ST-T変化なし

56. 【実践】ケア介入 報告（SBAR） 治療および検査の準備・調
整
【臨床推論アプローチ】
Step1.情報収集
（主訴の同定）
Step3.追加の情報収集
Step2.仮説形成
Step4.仮説検証
Step5.判断•介入の決定
【身体所見】
腹膜刺激症状（＋）
心窩部に拍動性の腫瘤
【簡単な検査】
心電図：ST-T変化なし
＃汎発性腹膜炎
＃大血管損傷or閉塞
＃心筋梗塞
急性発症した
腹部全体の疼痛
L ：腹部全体
Q：刺すような疼痛、波なし一定
Q：NRS 10
T ：臥床時発症、入院時はシートベルト
痕部⇨10分前から腹部全体
S ：きっかけなし
F ：体動で増強、前屈位で軽減
A：気分不快感のみ
【ABCDEアプローチ】
A：発語あり
B：呼吸回数22回/分 SPO2:99%
チアノーゼなし 奇異呼吸なし
C：NIBP：110/60
HR110回/分
四肢冷感なし
D：JCS：0
E：KT:38.9℃
発汗多量

57. 汎発性腹膜炎 大血管損傷or閉塞 心筋梗塞
らしい所見
腹膜刺激症状（＋）
体動により疼痛が増強
交通外傷
前屈位で軽減
T:38.9℃
心房細動、腹部大動脈瘤
の既往
65歳 男性
急性増悪する腹部全体の疼痛
頻脈
心房細動の既往
65歳 男性
急性増悪する腹部全体の疼痛
頻脈
嘔気（＋）
らしくない所見
受傷から数時間経過
してからの増悪
腹膜刺激症状（＋）
発熱（＋）
体動により疼痛が増強する
突然ではなく急性発症
腹膜刺激症状（＋）
体動により疼痛が増強する
心電図：ST-T変化（ー）
発熱（＋）
急性発症
放散痛（ー）
頸静脈怒張なし

58. 【実践】ケア介入 報告（SBAR） 治療および検査の準備・調整
【ABCDEアプローチ】
A：発語あり
B：呼吸回数25回/分
チアノーゼなし 奇異呼吸なし
C：NIBP：95/50
HR120回/分
四肢冷感あり
D：JCS：0
E：KT:38.9℃
発汗多量
【臨床推論アプローチ】
Step1.情報収集
（主訴の同定）
Step3.追加の情報収集
Step2.仮説形成
Step4.仮説検証
Step5.判断•介入の決定
＃汎発性腹膜炎
＃大血管損傷or閉塞
＃心筋梗塞
急性発症した
腹部全体の疼痛
＃汎発性腹膜炎
＃大血管損傷or閉塞
＃心筋梗塞
Killer diseaseである
可能性がある
急いで医師へ診察を依頼
【ABCDEアプローチ】
A：発語あり
B：呼吸回数22回/分
チアノーゼなし 奇異呼吸なし
C：NIBP：110/60
HR110回/分
四肢冷感あり
D：JCS：0
E：KT:38.9℃
発汗多量
【身体所見】
腹膜刺激症状（＋）
心窩部に拍動性の腫瘤
【簡単な検査】
心電図：ST-T変化なし
L ：腹部全体
Q：刺すような疼痛、波なし一定
Q：NRS 10
T ：臥床時発症、入院時はシートベルト
痕部⇨10分前から腹部全体
S ：きっかけなし
F ：体動で増強、前屈位で軽減
A：気分不快感のみ
【ABCDEアプローチ】
A：発語あり
B：呼吸回数22回/分 SPO2:99%
チアノーゼなし 奇異呼吸なし
C：NIBP：110/60
HR110回/分
四肢冷感なし
D：JCS：0
E：KT:38.9℃
発汗多量

59. 報告
S
B
A
R
看護師の○○です。今日外傷で入院したAさんを急ぎで診察していただきたいです
Aさんが 急性発症の腹膜刺激徴候を伴う強い腹痛を訴えています
10分前から腹部全体の疼痛が急性増悪したそうです。NRS：10の腹痛があり
筋強直、打診痛があります
呼吸数22、脈拍数110、血圧110/60、体温38.9、意識レベルクリア 発汗多量です
腹膜刺激症状を認めている可能性があります。
すぐに診察が必要かと思います。病棟に来てください。

60. 報告
S
B
A
R
看護師の○○です。今日外傷で入院したAさんを急ぎで診察していただきたいです
Aさんが急性発症の腹膜刺激徴候を伴う強い腹痛を訴えています
10分前から腹部全体の疼痛が急性増悪したそうです。NRS：10の腹痛があり
筋強直、打診痛があります
呼吸数22、脈拍数110、血圧110/60、体温38.9、意識レベルクリア 発汗多量です
腹膜刺激症状を認めている可能性があります。
すぐに診察が必要かと思います。病棟に来てください。

61. 外傷性の小腸穿孔により汎発性腹膜炎をきたしており
緊急手術が施行されました

62. さらに攻めるために
追加のポイント

63. フィジカルアセスメントの最初は問診？

64. 入室した瞬間からフィジカルは
始まっている

65. 患者の姿勢に注目せよ
The patient when in pain; strict immobility is typical of a patient with peritonitis, while patients with biliary or renal colic writhe
in agony. Patients with peritonitis will have worsening pain when the examiner lightly bumps the stretcher.
痛みを有する患者のうち
腹膜炎の患者は「じっとした姿勢」
胆道や腎臓の仙痛では「身をよじる姿勢」をとる
(”Up to date :Evaluation of the adult with abdominal pain より引用)
腹部の血管系イベントでも同様に「身をよじる姿勢」をとる

66. 急変を早期発見するために何ができた？

67. 急変を早期発見するために何ができた？
シートベルト痕付近の痛みはただの打撲？
もし腸管穿孔の初期だったとしたらそれを発見できれば
急変を予期できたのでは？

68. 痛みの深さを見抜くべし

69. 痛みの原因は腹壁か、腹腔内か
腹側
背側
（腹部の水平断）
腸管
腹壁
壁側腹膜

70. 痛みの原因は腹壁か、腹腔内か
腹側
背側
擦過創
打撲
腹壁血腫
（腹部の水平断）

71. 痛みの原因は腹壁か、腹腔内か
腹側
背側
（腹部の水平断）
微小な腸管穿孔の初期
限局性腹膜炎

72. 腹壁圧痛試験
Abdominal wall tenderness test
陽性であれば腹壁由来の疼痛である可能性が高く
腹膜炎の可能性を下げる

73. 痛みの最強点に深い触診を行い
痛みを誘発する
①
②
両手を胸の前で組み、頭部を挙上
無理あれば腹筋に力を入れてもらう
（要するに腹筋に力が入れば良い）

74. ③
その姿勢のまま
①と同等の強さで触診
この時に痛みが1回目と比べて同等もしく強ければ陽性
痛みの原因は腹壁由来であり、腹膜炎の可能性は低い