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第2章
マーケットモデル
P20~33
中村 蒼
1.シングル・ファクターモデル
2.マルチ・ファクターモデル
1.シングル・ファクターモデル
⑴シングル・ファクターモデルとは
第1章まで…
分散投資によってリスクを軽減できることができるとわかった!
しかし、分散投資では軽減できないリスクもある。
→強気相場(上がっていく相場)では、概ねどの株価も上昇する
弱気相場(下がっていく相場)では、概ねどの株価も下落する
すなわち、どの株価も多かれ少なかれ動きが同じなので、
分散投資をしてもリスクを軽減できない!ことがある
アンシステマティック・リスク:分散投資によって消去可能なリスク
システマティック・リスク:分散投資によって消去できないリスク
総リスク=システマティック・リスク + アンシステマティック・リスク
ところで…この2種類のリスク部分はどのようにして推計できるのか?
→リターンの変動要因を考える!
→そのために、なんらかのモデルに当てはめて考える必要がある。
ここで使われるモデルが、シングル・ファクターモデルである。
シングル・ファクターモデル:
証券のリターンを、すべての証券に共通な一つの要因(ファクター)で
説明するモデルのこと。
マーケットモデル:
シングル・ファクターモデルのうち、マーケット・インデックス(TOPIXな
ど)を唯一の共通要因として、リターンを説明したモデルのこと。
◆マーケットモデル
マーケットモデルでは証券のリターンは
個別銘柄固有の部分
=
マーケットの動きに関連した部分
=
の2つに分かれる。
《アルファ》
アルファは、マーケットの期待値に左右されない期待値。
=アルファ値を事前に確実に予測できれば、
マーケットの動きに関係なく、無リスクで期待リターンが得られる。
《ベータ》
ベータ値は、マーケット・インデックスに対する感応度である。
《残差リターン》
#仮定# 各証券の残差の共分散はゼロである
↪︎もし残差間の共分散がゼロでなければ、マーケットインデックス以外
にもリターンを説明する共通要因が存在していることになる。
⑵証券のリスクとリターン
マーケットモデルに基づく、個別証券の期待リターンと分散
◆証券 i の期待リターン
◆証券 i のリスク(分散)
[ 例題1 ]
解:上の式に代入して解くだけ★(割愛します)
⑶ポートフォリオのリスクとリターン
マーケットモデルに基づく、ポートフォリオの期待リターンとリスク
◆ポートフォリオの期待リターン
◆ポートフォリオのリスク
[ 例題2 ]
⑷ベータ値の推計
アルファ値とベータ値は、過去のデータから推計できる。
単回帰を用いる。
被説明変数:個別銘柄のリターン
説明変数:マーケット・インデックスのリターン
→切片:アルファ値
回帰係数(傾き):ベータ値
[ 演習1 ]
回帰分析のやり方は次のページから。
LINESTっていう関数を使います。
MacのExcelでやってます。
とりあえずデータを打ち込んだお。
ベータ値の算出方法 アルファ値の算出方法
←最後に残差を計算しました。
完成形。
2.マルチ・ファクターモデル
⑴マルチ・ファクターモデルとは
今まではマーケット・インデックスが唯一、リターンを説明する要因でした。
ですが、輸出比率が高い会社の株価は為替レートなども要因となりうる。
→証券のリターンを複数のファクターで説明するのが妥当!
(主な説明ファクター:業種・時価総額・財務データ・マクロ指標)
◆マルチ・ファクターモデル
⑵マルチファクターモデルによるリターンとリスク
ファクターがL個のマルチ・ファクターモデルによる個別証券及びポートフォ
リオの期待リターンとリスクは以下のように表記できる。
《個別銘柄-リターン-》
《個別銘柄-リスク-》
《ポートフォリオ-リターン-》
《ポートフォリオ-リスク-》
[ 演習2 ]
証券のリターンが2ファクターモデルに従う場合、下記のデータの特性を持
つ3証券のリターンとリスク及び3証券の等ウェイトポートフォリオの期待リ
ターンとリスクを計算しなさい。
a:ファクターに依存しない期待リターン
b1:インデックス1に対するエクスポージャー
b2:インデックス2に対するエクスポージャー
σe:証券の残差リターン
回答は次のスライドで!
[ 解答 ]
1.個別証券の期待リターンとリスク
ⅰ証券Aの期待リターンの計算
=証券Aのファクターに依存しないリターン(B2)
+ファクター1に対する証券Aの感応度(C2)
+ファクター2に対する証券Aの感応度(D2)
証券B、証券Cについても同様。
ⅱ個別証券のリスク(分散)の計算
=証券Aのファクター1に対する感応度(C2)の二乗
×ファクター1の標準偏差(B8)の二乗
+証券Aのファクター2に対する感応度(D2)の二乗
×ファクター2の標準偏差(C8)の二乗
+証券の分散(E2)の二乗
2.ポートフォリオのアルファと感応度、固有リスク
等ポートフォリオだから、3で割ったよ
3.ポートフォリオの期待リターンとリスク
インデックスを特定化する方法
①トップダウン・アプローチ
最初にファクターを決定し、ファクターから感応度を推定する。
例))マクロ経済変数をファクターとして決めておき、それが証券のリターンに
及ぼす影響を推計するマクロモデルがる。
②ボトムアップ・アプローチ
最初に感応度を決定し、感応度からファクターを推定する。
例))会計情報やセクターなど個別企業の属性からクロスセクションによる
分析でインデックスを推計するようなミクロ・ファクターモデルがある。
◎おわり◎

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第2章マーケットモデル

Editor's Notes

  1. リターン:さっきのマーケットモデルの式をぶっこむだけ☆ リスク:αはマーケットモデルには左右されない固有のリターンなので、分散は0なので、消えます。