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私の素粒子研究 ~理論と実験の架け橋を目指して~
- 1. じゃあ、ゼロ電気の(つまり電気を持たない)電子もいる?
いる!!
と呼ばれている
東京大学
理学系研究科
物理学専攻
高江洲
義太郎
私の素粒子研究
∼理論と実験の架け橋を目指して∼
実は、電気も素粒子(電子)でできている。
フツ∼の電子はマイナスの電気を持っている。
でも、プラス電気を持ってる電子も本当はいる!
ニュートリノの重さの にせまる!
素粒子は世界を作っている一番小さいおおもと!
しかし、ニュートリノは電気がないせいで捕まえづらい
その性質についてはあまりよくわかっていない
重さもよくわからない。。。
原子炉ー検出器間の距離
[km]
実験の成功しやすさ
私は何者か?素粒子とは?
研究テーマ
具体的には...
「3種類あるニュートリノを軽い順に並べろ」
という問題を解く方法を考える。
(理論的には右の2パターンが考えられる)
これが分かると、なぜ宇宙には星の数ほど
星があるのか、なぜ我々が存在しているのか
という の解明に一歩前進する!!
原子炉ニュートリノ実験というのがあるので、これを利用する
原子炉 検出器
ニュートリノ
*
原子炉からは常にニュートリノが放出されている
方法
私は、ニュートリノの理論計算に基づいて原子炉実験を
シミュレートするプログラムを、
Fortran
+
shell
script
でスクラッチから組み上げた。
ニュートリノ理論や実験の仕様を自分の好きなように
変更しながらシミュレートできる。全ての工程を把握できる。
成果
我々はニュートリノの重さの順序を決めるのに必要な
実験条件を明らかにした。
50km
くらいが、重さの順序を決める
のに一番期待が持てる。
でも、これはニュートリノを放出する
原子炉が一つの場合の結果。
実際には原子炉はいくつもある。一つの原発の中にもいくつもある。
この結果だけでは非現実的。実験屋さんも不満。。。
そこで、私はもっと詳しく調べてみた。
韓国にある全ての原子炉を考慮して
シミュレートしてみた。結果が右図!
(茶色っぽいところが検出器を置くのに適した場所)
現実的で、視覚的にも分かりやすく、
韓国の実験屋さんに好評!!
この図をもとに私は検出器の位置を提案
数百億円規模の実験計画に採用された!!!
研究から得たこと
理論物理屋さん
世界の法則を綺麗にまとめる
のに忙しい。
実験なんてよく分からない。。
でも、理論は実験で検証
されないと意味がない。
実験物理屋さん
実験するのに忙しい。
小難しい理論なんか勉強して
る暇がない。。
でも、面白い理論を検証
できたらかっこいい。
私(現象論屋さん(理論屋さんの一派))
• シミュレーションを駆使して、理論を
実験で検証するにはどうしたらいいか
実験屋さんに分かってもらう。
• どういうタイプの理論が実験で検証可能か
理論屋さんに示す。
架け橋
実験モデルの作成には、複雑な理論の近似式の考案、
シミュレーションプログラムの開発などが必要。
• 実験論文の精読や実験屋さんへの質問を通しての実験の理解
• Fortran,
C++,
Python,
shell
script
でのプログラミング
• 統計解析ツール(ROOT
等)での統計処理
(最適化、関数
fitting)
• 研究所の
Linux
クラスターを用いた並列計算
などの技能を習得。
実験モデルの解析から導いた実験デザインを実験屋さんに
提示し、理解を得、実行してもらうことの難しさや面白さを経験
できた。
抽象的・数学的な理論を具体的に検証可能な実験モデルに
落とし込む方法を学んだ。
実験屋さんとの議論を重ねることで、今彼らが欲しい情報が
どのようなものかを把握することの重要性
• 実際に使える知識・知見とはどのようなものか?
• 彼らの実験デザインで検証できそうな新理論が知りたいのか?
• ある理論を検証するのにふさわしい実験デザインが知りたいのか?
etc..
このような技能、経験をデータマイニングや
IT
システム開発
などの分野に生かしていきたいと考えている。
例)原子炉と検出器との距離
ニュートリノ
利点
それを通して、実験屋さんにとって分かりやすい図や説明の
仕方も見えてくるように感じた