「海外で日本ブームが起きている」原因を2008年頃にまとめたもの。 このあとの追加調査で、需要と供給が一番大きいのでは、という結論に至る

1. 第二のルネサンス
日本ブームは必然だった？

2. 訪日観光客にみる日本ブーム
経済不況でも関係なくやってくるフランス、イタリア、スペ
イン


3. 需要と供給
フランスを中心とする欧州で日本ブームが起きた理由
1.ティーンは決定権を持つ消費者とみなされていない
2.この層を対象とするコンテンツが（日本と比べてとても）
少ない
3.日本のコンテンツはこの層を対象にしている
4.日本とアメリカは早い時期に多チャンネル化していた
5.欧州の規制緩和で放送局が増えた
6.アメリカからはドラマ、日本からはアニメが輸出された
7.ティーン層「自分たちのための娯楽が日本にあった」
8.成長して働き出す
9.人格形成期に夢中になったものはその後も強い影響を与え
る
10.日本に行くしかない（シャーロキアンにとってのベーカー

4. 物語の入れ物
物語の入れ物
●歌舞伎
●映画
●小説
●ドラマ、演劇
●マンガ、アニメ
邦画の衰退で人材がマンガ、アニメに集まる
物語の供給源として機能
⇒映画興行成績上位をアニメ、マンガ原作が占める
⇒テレビドラマもアニメ、マンガ原作が好評
⇒ハリウッドも目を付けるが....

5. ハリウッド映画のジレンマ
アメリカ人からの視点で
描く
映画の規制
日本の原作のリメイク
教育水準が上下に広いため、込み
入った人物や物語は描き難い
敵への感情移入の規制
⇒シャア・アズナブル的人物はダ
メ
原作の魅力をスポイルしなければ
制作できない
⇒駄作の誕生

6. 記号による越境性
アニメが受け入れられて、ドラマが受け入れられない理由
言葉＝越境への障害
記号という伝達手段
●識字率の低い庶民に教義を伝えるための宗教画
⇒白百合＝聖マリア
●記号化による属地性の排除
ドラマでは登場人物に違和感
●感情表現などの記号化
額の怒りマーク、冷や汗、などなど
●形のないものを絵で表現
⇒「神の雫」がフランスのワイン生産者組合で話題に

7. 日本文化への入り口
浸透力の高いポップカルチャー
中国でのバスケットボールリーグ誕生 －スラムダンク
欧州での囲碁 －ヒカルの碁
アメリカの弁当ブーム －マンガやアニメの学園もの
アジア、欧州での女子高生ファッション －学園もの
コスプレ －コスプレをするために日本に来るイタリア人たち

8. 最初の日本ブーム ー ジャポニスム
江戸幕府が成立し、内戦状態が終結すると庶民文化が勃興
歌舞伎をはじめとする芝居、草双紙などの絵物語、読本（よみ
ほん）などの文学、また浮世絵などの様々な庶民文化が勃興し
た
浮世絵などが欧州に渡ってジャポニスムを引き起こし、30年続
く
そして第二のジャポニスム
第二次世界大戦終結後、憲法により戦争を放棄し高度経済成長
と共に発展したマンガ、アニメが欧州でブームとなる
●共に争いをやめた後の庶民文化が生み出したもの

9. ソフトパワー ＝ 安全保障
ハーバード大 ジョセフ・ナイ教授（元国防次官補）
ハードパワー（軍事力、経済力）に対するソフトパワー（文化
力など）
安全保障的見地から、遺恨の残るハードパワーよりも理解、共
感を醸成するソフトパワーを提唱
海外観光客年間8000万人のフランス
⇒文化の都という人を引き寄せる強力な磁力
憧れは金で換算できるものではない
⇒経済不況も関係なく来日するフランス人やイタリア人
中国でアニメが国策になっている理由
日本のアニメで民主主義に染まるのを防ぐため

10. ブームの鍵となる16％
ブームの鍵となるアーリーアドプター（イノベーター理論）
⇒アーリーマジョリティーへの啓蒙を担う16％
訪日観光客はアーリーアドプター
⇒日本文化の啓蒙者となって帰ってもらう
ブームとなるための障壁（キャズム）を超えてもらう工夫
⇒啓蒙のために何が必要か？

11. まとめ
●安全、治安のよさを背景にしたポップカルチャー
●日本文化への入り口としてのポップカルチャー
●日本のソフトパワーは世界中の中間層が対象
●日本に生まれるべくして生まれた現代文化
⇒中間層は日本文化のお客様
●訪日客はアーリーアドプター
⇒ブームの鍵となる16％の啓蒙者の存在
●文化が生まれた背景を啓蒙する
⇒争いを止めるとこんなにいいことあるよ！
●クールと言うのはクールではない（日本的ではない）