4年生PBLのLI 体重減少、咳、結核

1. 臨床的に有用な「体重減少」とは？
6-12ヶ月で10ポンド(4.5kg)以上
あるいは元の体重から5%以上の減少
Clinically important weight loss is defined
as the loss of 10 pounds (4.5 kg)
or >5% of one's body weight over a period of 6–12 months.
Jameson JL: Chapter 80. Involuntary Weight Loss.
Harrison's Principles of Internal Medicine 18e, McGraw-Hil, 2012

2. 体重減少へのアプローチ
体重減少は、患者が意図して減量したものか?
神経性無食欲症
運動量増加
食欲はあるか、ないか？
熱はあるか、ないか？
YES
NO
甲状腺機能亢進症
糖尿病
吸収不良症候群
食欲亢進
食欲低下
ある
・感染症
（結核、膿瘍、HIV、
感染性心内膜炎）
・炎症性疾患
・リンパ腫
ない
・悪性腫瘍・うつ病・副腎不全
・薬剤性・アルコール依存
・消化器疾患
（炎症性腸疾患、胃十二指腸潰瘍、慢性膵炎）
・基礎疾患の進行
（COPD、心不全、尿毒症、
認知症・脳梗塞後・Parkinson病・ALSなど）
金城光代: 体重減少. ジェネラリストのための内科外来マニュアル. 医学書院, 2013, p.86を参考

3. 咳の持続期間によって、鑑別が変わってくる
日本呼吸器学会編: 咳嗽に関するガイドライン第2版

4. 危険な咳を見逃さない！
警告症状
重篤・緊急性の
高い疾患
良性疾患
喀血肺がん、結核、
肺塞栓症、肺炎
気管支炎、気管支拡張症
喘鳴および息切れ喘息、心不全気管支炎、COPD増悪
胸痛気胸、肺塞栓症、
急性冠症候群
COPD増悪
呼吸困難＆下腿浮腫心不全、肺塞栓症
意図しない体重減少肺がん、肺結核、
肺膿瘍
COPD
過剰な慢性痰産生気管支拡張症、
肺がん、肺膿瘍
慢性気管支炎、慢性副鼻腔
炎
発熱および膿性痰肺炎、肺膿瘍急性副鼻腔炎
※気胸・気道異物・肺塞栓症・うっ血性心不全は緊急性高い
森志乃, 山中克郎: 咳・痰. 外来を楽しむ攻める問診. 文光堂(2012), pp.101, 102より

5. 百島祐貴: 画像診断コンパクトナビ第2版. 医学教育出版社(2009), p.123より

6. 百島祐貴: 画像診断コンパクトナビ第2版. 医学教育出版社(2009), p.123より

7. 百島祐貴: 画像診断コンパクトナビ第2版. 医学教育出版社(2009), p.123より

8. ツベルクリン反応の特徴
・活動性結核でも10-20%はツ反陰性
・BCG接種でも陽転化してしまう
・むしろ「ツ反陰転化」のほうが重要
重症結核（粟粒結核、結核性髄膜炎）
細胞性免疫低下（悪性疾患、HIV、麻疹、ステロイド）
サルコイドーシス、過敏性肺臓炎など
上田剛士: ジェネラリストのための内科診断リファレンス. 医学書院(2014), pp.467-474
藤本卓司: 感染症レジデントマニュアル第2版. 医学書院(2013). pp.253-272

9. クォンティフェロン®の弱点
・陽転するのに８～10週かかる
・「発病」を診断する検査ではない
過去のいずれかの時期に「感染が成立」したことを意味する
・治療後も半数は陽性のまま
上田剛士: ジェネラリストのための内科診断リファレンス. 医学書院(2014), pp.467-474
藤本卓司: 感染症レジデントマニュアル第2版. 医学書院(2013). pp.253-272