諸星大二郎の1970年代の作品から、当時の日本社会をどう描き同批判していたかを読み解きます。

1. 諸星大二郎の
ＳＦ世界から見る
日本社会
名桜大学国際学群語学教育専攻
学籍番号 1413247
発表者名 待木紗希
指導教員名 小嶋洋輔

2. 1.テーマ設定の理由と目的
マンガ家諸星大二郎の作品は、ＳＦの
世界観を利用し日本社会を批評している
デビュー期70年代～80年代の作品
を取り上げる
作者が当時の日本社会を
どのように批判したのか
作者が当時の日本社会を
どのように批判しなかったのかを論じる

3. 2. 目次
1. はじめに(理由と目的)
2. 諸星大二郎作品の世界観
2-1 ＳＦとは何か(定義)
2-2 1970年代の日本におけるＳＦ(1970年代のＳＦの例)
2-3 諸星大二郎について(略歴)
3.「男たちの風景」
3-1 「男たちの風景」あらすじ
3-2 日本の女性像
4.「地獄の戦士」「夢見る機械」
4-1 「地獄の戦士」「夢見る機械」あらすじ
4-2 当時の人口減少について
4-3 当時の機械化する社会について
5.「商社の赤い花」
5-1 「商社の赤い花」あらすじ
5-2 当時の日本人サラリーマンの労働状況
6. まとめ

4. 2. 目次の説明
1～2章では、諸星大二郎が利用してい
るＳＦの世界観を、同時代の日本におけ
るＳＦを調査した上で解明する。
3～5章では、取り上げる諸星大二郎作
品を熟読し、どの部分が日本社会を批評
しているのか、又はしていないのかを探
り仮説を立てる。

5. 2. 目次の説明
3章「男たちの風景」
「男たちの風景」は、現実に存在しない星を地球人男性が訪
れるという物語である。この男性は旅に出る前に彼女を妊娠さ
せるが、『堕ろせ』と告げる。訪れた星では浮気性の美しい女
性と彼女の醜く老いた夫がいる。主人公の地球人男性はある美
女に誘惑され関係を持ち、後に出会った老人男性が彼女の夫で
あることを知る。彼は地球へ帰るべきだと忠告を受けるが無視
し、その後行ったバーでこの星では男が妊娠することを知る。
彼は初めておなかに宿る自分の子供に愛しさを覚えるという話
だ。
現実ではありえない設定にも関わらず、男女逆転した日本社
会を感じさせ、尚且つ読者を主人公の男性に惹きつけ感情移入
させたところで、女性特有の母性を説明したものだと考えた。

6. 4.現時点でのまとめと
これからの課題
Ciniiにて閲覧できない先行研究の論文はILLサービスを
使いたい。取り上げる予定の論文は以下の通りである。
横田正夫「諸星大二郎のマンガ世界の臨床心理学的検討」
『研究紀要』日本大学文理学部人文科学研究所編（1993年）
現在、目次を組み立て作品を精読し仮説を立てている。
また、2章の定義や略歴についての資料を収集している。
今回は背景に描かれていると考えられる日本社会への批判
を中心に調べていくが、作品の登場人物の感情や描かれる
対象への価値観なども調べる予定である。

7. 5.参考文献
 諸星大二郎『アダムの助骨』奇想天外社 1978年
 諸星大二郎『地獄の戦士』集英社 1981年
 諸星大二郎『夢みる機械』集英社 1981年
 ユリイカ