Inner sustainability lab 2020 ver0.1_public
- 1. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
Inner Sustainability Lab.
内面を整えるとは、人の内側にある多様性に目を向け、
外に表現できること。
一人一人がその人らしく生活するために
インナーサステナビリティを切り口に、
アフターコロナの組織の存在意義や人々の暮らしを探究します。
- 2. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
コロナウイルスという小さな生命によって
世界の様相が大きく変わっていきそうです。
これまでの常識や当たり前が覆され、
人々の価値観は法律や宗教も超えて変化しています。
- 3. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
動物を取り巻く環境の変化
約10年間後尾しなかったパンダが、監視されない環境になった途端初めて後尾をしたこと、
人のいない都市部に動物が生活し始めていること。
source:https://www.facebook.com/egemen.tmr/videos/2946179888771717/
UzpfSTEwMDAwMjk1NDI3NjQ3OToyNjQ0MjU5MDY1NjgyNTQz/?__tn__=%2CdlC-R-R-R-R-
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auzPW0z0GJjDB2VZyKjARl7&hc_ref=ARQDRt6f4iv9rR0rDBXCDFJEPeCkRbR0PsyvVkWEZNH6XQQH-U1qn7fL5v-aHFVcu5U
source:GIGAZINE, 2020
- 4. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
人を取り巻く環境の変化
澄んだ青空と綺麗な空気を知った市民が空気の権利を主張するのではないか、暮らしと
働くを分けることは果たして幸せなのか、といった問いが生まれている。
BBCニュースで家族が乱入し話題になったキャスター
AFP通信が世界で最も大気汚染がひどい都市、イン
ドの首都の昨年11月との比較映像を発表
source:AFP通信, 2020 source:BBC news, 2020
- 5. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
ビフォアーコロナの世界
経済活動
環境への
取り組み
生態系の変化
自然災害
人間を取り巻く
環境の変化
都市
生態系
DPSIRモデルを参考に筆者改変
地球の複雑な生態系のなかの一生命である人間は、環境の変化に対して公共事業や法整備
に取り組み、生活インフラを整えてきた。パンデミックの出現によって起きているのは、
行政や法律の枠を超えた、経済活動の抜本的な見直し。
法律
公共事業
公害
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経済活動
環境への
取り組み
気候変動
生態系の変化
感染症
人間を取り巻く
環境の変化
都市
DPSIRモデルを参考に筆者改変
農業
漁業
工業
地球の変化
アフターコロナの世界
資本家が大量生産による在庫リスクの打撃を受け、中小企業も倒産の危機に陥る。資本主
義経済モデルが破綻し、生態系の循環の中に身をおく考え方が必要。環境変化に素早く対
応できる力:組織のレジリエンスが評価される相互扶助の経済モデルへ。
生態系
- 7. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
人間圏の中で作られてきた慣習は、宗教という絶対的な文化も資本主義経済も大きく変え
ている。パンデミックは新たな価値観と、投資判断を提示する。
アフターコロナの世界
最も打撃を受けた産業が回復するまでに時間が
かかり、2021年まで稼動できない。もしくは事
業売却、倒産リスクが高い(航空宇宙、旅行、
保険、石油ガス、自動車、アパレル/ラグジュア
リー)アフターコロナに人々の消費先はどこに戻
るのか?
source:NHK, 2020
source:McKinsey & Company, 2020
- 8. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
国家資本主義は以前から綻びが見えていた。
自殺と精神疾患の温床は問題視されていた。
非効率なハンコ文化は一瞬で笑い事になった。
コロナはきっかけに過ぎない、ということに気づき
以前から抱いていた違和感に目を向け、
アフターコロナの世界を考えていきませんか。
- 9. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
アフターコロナは
Regenerativeな世界観に近づく。
source:Regenerative Leadership, 2019
- 10. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
経営者と従業員の分断と統合
資本家と労働者の格差
資本家が用意した工場で労働者が
働き、飛躍的に生産性を高めた。
誰が働いても同じ品質を保てるよ
う厳しいルールを徹底。
経営者と従業員の分断
工場法を受け継ぎ、従業員(労働
組合)と経営者は対立関係を規定
する。資産を増やすことが目的。
ギルド型へ統合
プロジェクトに賛同する人々が集
まり、目標が達成されたら解散す
る。終わりをデザインされた組織。
産業革命 国家資本主義 相互扶助期
人は、工場の機械のレーンの一部。
「替えのきく人間」として信用さ
れない。
本質的には、産業革命時代に同じ。
経理部門、労務部門など作り、従
業員同士で行動を管理し合う。
共感したビジョンや環境で自己実
現のために働く。各自が自律的に
動き、共創できるような組織シス
テムも自分たちが作る。
• 各国と比較して日本の労働時間は
最長、やりがいは最低、自殺率は
最高という評価。
• GDPは低迷しイノベーションが生
まれない一因に、トップダウンの
司令系統に最適化した教育の形。
• 和の文化、睦み合いの文化が生ま
れ「住み合い、分け合い、助け合
い」*の関係性が広がる。
• 人の個性を引き出し、世の中を探
究する力と、相互に学び合う教育
の形が求められる。
分断をつなげていく旅路
組織の形
従業員の
状態
社会への
影響
利益率を上げるために低賃金で劣
悪な労働環境が蔓延し、工場法が
生まれる。巨大化した企業は、植
民地開拓へ動き、戦争につながる。
産業革命、国家資本主義を経て作られてきた今の社会。企業組織、国家、教育の形は、
生きるために集団を形成するようなギルド型組織で人間性を回復していく。
*公文俊平教授講演「近未来の新しい価値観:<和の時代>到来」より引用
教育
- 11. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
歴史・宗教・資本主義
国家
企業・組織
生活
国家
企業・組織
生活
歴史・宗教・資本主義
アフターコロナの世界
存在意義の再定義。領土、石油、食糧を奪い合う国家資本主義の中で生活が規定されて
きた。国家に求められる役割や事業リスクが明確になった今、個人の生きる権利(幸せ
に生きる権利)を前提に組織の形、教育の形、経済の形が再定義される。
ビフォアーコロナの世界観 アフターコロナの世界観
社会を形作るパラダイムの変化
- 12. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
これからの生活 = 暮らしと働くが溶け合い、その人らしさが発揮される
- 13. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
コミュニティ
社会
行政
市民
ユーザー
投資家
パートナー
ビジョンを伝え、共感を巻き込む
エバンジェ
リスト
R&D
なぜ
やるか
活動
賛同、支援
分断をつなげていく旅路 経営者と従業員の統合
ギルド型組織で、遠心力のある組織をデザイン。個々人が自律的に動き、勝手に拡大して
いく組織へ。なぜやるか(ビジョン)に共感した人々が賛同・支援し、いずれジョインし
て活動者になる。
参考文献『The Culting of Brands: Turn Your Customers into True
Believers』Douglas Atkin著(2005) を元に作成
企業/ブランド事例:
株式会社eumo(共感資本主義)
ECOALF(アパレル)
JetBlue(航空会社)
Ben & Jerry(アイスクリーム)
Patagonia(アパレル)
Starbucks(カフェ)
- 14. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
分断をつなげていく旅路
人が幸せになる手段としてお金を再定義し、自己実現や生きがいを感じ続けられる社会を
目指すeumo(ユーモ)。本来ならば使うことに価値がある貨幣が、大量に保有し権力者
が生まれる社会を変えようと「終わりをデザインされた貨幣」をつくる。
ローカル ジャーニー ライフ
都市で使う地方で使う
1万円2万円 1.5万円
右図:出典「eumoマーケティング」資料
換金レートはイメージです。通貨の種類別の用途の定義は正式な情報を参照ください。
資本主義格差の統合
• 三種類の貨幣(ローカル・ジャーニー・ライフ)
• ローカルに換金すると価値が増える
• 使用期限を設け、3ヶ月後に交換価値を失う
地域と格差をこえて使われるための貨幣デザイン 遠心力のある組織デザイン
経営者と従業員の統合
• お金を稼ぐための組織ではない、と宣言
• eumo世界観への理解を円の中心におく
• 情報を公開し、様々なプロジェクトに人を呼び込む
- 15. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
遠い
生産者と消費者を
直接つなぐ
個性
自家栽培
大量生産・没個性
近い
大量生産・没個性
遠い
分断をつなげていく旅路 生産者と消費者の統合
遠い地球の裏側から物資調達する生活から、身の回りで地産地消する暮らしへ。これは
生態系の循環の中に身をおくような営みであると同時に、人間同士の争いが減って平和
に近づく世界でもある。全員が生産者になり、個性を輝かせて生きるライフスタイルへ。
石油・ガス
死体を肥料に
水素・電気
風力
3Dプリンタ
自作商品を売買
スーパーに農場を
大気から飲料水を生成
ペットボトル水
パーマカルチャー
糞便を肥料に
エ
ネ
ル
ギ
ー
も
の
水
食
べ
物
太陽光発電
資本主義格差の統合
- 16. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
外の世界の変化をどう受け取るか。
そこになにか大切なものがあるように感じるときは、
違和感や感情がどこから出現しているかに
感覚を研ぎ澄まし、
自分の内側にある多様性に目を向けましょう。
- 19. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
新たな分断
デジタル社会と身体性のある現実社会
デジタルの世界は、ミラーワールドとも呼ばれ、
現実の情報がたくさん蓄積されます。
オンライン会議では、背景やメイクアップや加工機能で
身体性の伴う自己とは異なるキャラクターを楽しむ人も増えましたね。
プライバシーやデータを切り口にこれからの社会を探索するような場
Privacy by Design Labも主宰しています。
- 20. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
プライバシーやデータを切り口にこれからの時代を探索する
Privacy by Design lab.
- 21. © Momoko Imamura, Inner Sustainability Lab. 2020
今村桃子
/ Imamura Momoko
東京在住のコミュニティデザイナー、キャリアコー
チ、D2Cコミュニケーター。東京大学で感染症を研
究し、Urban Environment and Health in Asia
Programと工学修士を修了。サステナブルな社会シ
ステム実装のために外資コンサル、スタートアップ
を経てフリーコンサルへ。現在は分断の深まる社会
をつなげるコミュニケーションデザインを中心にサ
ステナブル、プライバシー、社会人教育の領域でプ
ロジェクトに携わる。Regenerative Leadership,
Climate Reality Leadership, System Thinking, NVC
をかけあわせ、人間らしさの文化を作るInner
Sustainabilit Lab.発起人。デジタル社会におけるプ
ライバシーデザイン探索サロン Privacy by Design
Lab.主宰。
Inner Sustainability Lab発起人