BMIと筋力の相関性から、アスリートと一般人のBMI測定方法を差別化するべきではないか

1. １K13C168-3
郷田 光希

2. <目的>
一日の総エネルギー消費量を100％とすると、基礎代謝は、一日に消費する
総エネルギー量の内60～70％を占める。そして、基礎代謝の内の40％が筋
肉で消費されている。計算すると一日のエネルギー消費量の約25％が筋肉で
消費されていることになる。このことから「筋肉量が多い=エネルギー消費量が
多い」ということになり、エネルギー消費量が多ければ太りにくく、BMIが理想
値（日本では22）に近いのではないかと推測した。
以上より、筋肉量とBMIの相関関係を明らかにすることを本レポートの目的
とする。
<方法>
男性11名の身長、体重、下肢のデータを集計し、BMIと大腿筋量を算出した。
筋肉量として大腿筋量を用いたのは、大腿部が身体セグメントの質量比のう
ち全身の20％を占めており、胴体の次に大きいためこれを用いた。

3. BMIとはBody Mass Indexの略称で
「体重（kg）÷身長（m）×身長（m）」で求められる。
WHOが定めた肥満判定の国際基準であり、体脂肪率
との関連性も高く、BMIが標準値を上回るほど有病率
が高くなる傾向がある。
肥満度の判定基準（日本肥満学会2000）
ＢＭＩ
低体重(やせ) 18.5未満
普通体重 18.5以上 25未満
肥満（1度） 25以上 30未満
肥満（2度） 30以上 35未満
肥満（3度） 35以上 40未満
肥満（4度） 40以上

4. 身長 体重 BMI 周径囲 筋厚前 筋厚後 大腿長 大腿前筋体
積
大腿前筋量
大腿後筋体
積
大腿後筋量 右大腿筋量
A 160 65 25 53.2 7.83 7.66 34.4 1866.43 30.44 1607.87 26.22 57
B 170 60 21 51.2 4.32 4.48 38.5 1448.94 25.60 1159.27 20.48 46
C 172 62 21 47.9 5.15 4.61 38.8 1539.52 26.32 1203.63 20.58 47
D 174 66 22 53 4.61 5.66 40.5 1653.09 26.55 1450.04 23.29 50
E 169 65 23 49.1 5.84 4.74 36.4 1604.15 26.16 1183.93 19.31 45
G 168 56 20 48.3 5.1 4.28 40 1449.83 27.44 1100.51 20.83 48
H 180 68 21 52 5 5.12 40.8 1820.41 28.38 1421.29 22.16 51
I 174 56 18 45.6 5.19 5.24 41.2 1532.30 29.00 1326.30 25.10 54
K 178 68 21 53.4 5.81 6.15 41 1958.42 30.53 1607.30 25.05 56
M 183 74 22 54.3 5.51 6.55 41 2049.30 29.35 1772.51 25.39 55
N 163 58 22 51.4 3.44 4.2 39 1203.27 21.99 1043.67 19.07 41

5. 右大腿筋量 右大腿質量 1kgあたりの筋量
A 57 6.5 8.717
B 46 6 7.680
C 47 6.2 7.564
D 50 6.6 7.551
E 45 6.5 6.995
G 48 5.6 8.620
H 51 6.8 7.431
I 54 5.6 9.662
K 56 6.8 8.174
M 55 7.4 7.398
N 41 5.8 7.080

6. 6.000
7.000
8.000
9.000
10.000
18 19 20 21 22 23 24 25 26
1
k
g
あ
た
り
の
筋
量
BMI
BMIと1kgあたりの筋量

7. <結果>
BMIが理想値より遠い人の方が筋量が多い傾向にあった。
<考察>
①アスリートはBMI計算だけでは肥満度を判断できない
②全身ではなく右大腿の筋量のみを参考にしたから
③被験者が少なく、なおかつほぼ全員のBMIが理想とまではいかなくとも基準値内
に収まっていたから
アスリートのような激しい運動をしていない人の全身の筋量と
BMIを比較すれば相関性がみられるのではないか

8. 参考・引用文献
厚生労働省 「肥満って、どんな状態？」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/himan/about.html
肥満度の判定基準（日本肥満学会2000）