SlideShare a Scribd company logo
1 of 172
A Quantum Engineer's Guide to
Superconducting Qubits
Ⅳ QUBIT CONTROL
2023-08-19
I.QONAQAI
1
Ⅳ qubit control (4章の目次)
1. In this section (第4章の概要)
2. A. Boolean logic gates used in classical computers
3. B. Quantum logic gates used in quantum computers
4. C. Comparing classical and quantum gates
5. D. Single-qubit gates
6. E. The iSWAP two-qubit gate in tunable qubits
7. F. The CPHASE two-qubit gate in tunable qubits
8. G. Two-qubit gates using only microwaves (CR, bSWAP, MAP, RIP)
9. H. Gate implementations with tunable coupling
In this time
2
資料の目次
Ⅳ qubit control
1. In this section (第4章の概要)
2. A. Boolean logic gates used in classical computers
3. B. Quantum logic gates used in quantum computers
4. C. Comparing classical and quantum gates
5. D. Single-qubit gates
6. Quantum Computer and Controller (QuEL-1)
7. Appendix (the table of classical Boolean logic gates)
8. Appendix (Krauss-Cirac Decomposition)
9. Appendix (Solovay-Kitaev theorem)
10. Appendix (ref 163: Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits)
11. Appendix (ref 194: Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits)
3
In this section
第4章の概要
4
In this section
 量子アルゴリズムを実現するために、超伝導量子ビットがどのように操作さ
れるかを紹介。
 このセクション全体の議論はトランズモン用の現代的な技術に焦点を当てて
行われる。
 量子コンピュータだけでなく、古典コンピュータで使用されるゲートについ
ても簡単にレビューする。
 量子ビットに結合されたマイクロ波伝送線路の容量性結合を通じた1量子ビッ
トをドライブする共通の技術について議論する。
 Z gates、DRAG pulseについても紹介する。
 後半部分(4章 E to H)では、調整可能なトランズモン量子ビット、固定周波
数の量子ビットの両方における2量子ビットの共通の実現についてレビューす
る。
 1量子ビット、2量子ビットの操作はともに、今日既存の中規模超伝導量子プ
ロセッサーの基礎を築いている。
5
A. Boolean logic gates used in
classical computers
6
A. Boolean logic gates used in classical
computers
 このセクションでは、ブール論理と古典的なコンピューティングの基礎を
紹介し、それが量子コンピューティングの理解の基盤となることを説明し
ている。
 まず、ブール論理とその基本要素である論理ゲートについて紹介する。そ
して、AND、OR、NOTゲートなど、最も一般的な古典的論理ゲートの種
類について説明する。
7
A. Boolean logic gates used in classical
computers
 真理値表とともに Fig.8 において様々な共通の古典論理ゲートが示されて
いる。
 古典的なブール論理において、ビットは2つの値のうち1つの値をとる。
 0の状態: False
 1の状態: True
 Identity operation以外の、唯一の1ビットブール論理ゲートはNOTゲート
である。このゲートは可逆性がある。
注記:identity operation
対象となる全てのオペランドが同じブール値をとるとき,ブール値1を結果として出力するブール演算.
これは,否定排他的論理和,または同等一致と呼ばれるもので,EXNORと書かれることが多い.
8
A. Boolean logic gates used in classical
computers
 2ビット論理ゲートについて紹介する。
 Input : 2ビット
 output: ブール演算の結果
 ANDゲートの例: Input Output
0 0 0
0 1 0
1 0 0
1 1 1
 不可逆。一旦、演算されてしまうと、Outputではinputの情報が失われて
しまっている。次に示すように、様々な2ビット論理ゲートがある。
9
A. Boolean logic gates used in classical
computers
 2ビットの古典論理ゲート
 AND and OR
 NAND (a combination of NOT and AND) and NOR (a combination of NOT and OR)
 XOR (exclusive OR) and NXOR (NOT XOR)
 XORゲートは等価(偶奇性?)ゲートであるため、興味深い。
 2つの入力の値が同じ場合、論理0に戻る。
 2つの入力の値が異なる場合、論理1に戻る。
 XORゲートやNXORゲートは、可逆ではない。 XOR and NXOR gates are not reversible
10
A. Boolean logic gates used in classical
computers
 普遍性(universality)という概念は、小さな1ビットゲート、2ビットゲートを使う
どんなブール論理アルゴリズムを形成する能力に言及している。
 ユニバーサルゲートは、古典ビットによって表される状態空間では、どんな状態も、
どんな他の状態にも、原則として、変えられる。
 普遍的な計算を可能にするゲートの組(組み合わせ)は唯一のものではないし、小
さなゲートの組み合わせによって表現される可能性がある。
 例として、NOTゲート、ANDゲートはともに、ユニバーサルゲートの組み合わせを
形成する。同様にNANDゲートそれ自身も、普遍的であるし、NORゲートも同様で
ある。
 任意のブール論理を実行する効率性はゲートの組み合わせの選択に依存する。
11
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
12
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 量子論理(Quantum Logic)は、小さな1量子ビット、2量子ビットによって(古典
論理ゲートと)同じように実行される。
 量子ビットは、ブロッホ球上での北極、南極、つまり、古典的状態|0>や |1>状態を
想定している。
 しかし、量子ビットはまた、ブロッホ球上のどんな他の位置にも対応して、任意の
重ね合わせの原理(の場所) α|0> + β|1>、も想定している。
13
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 1量子ビット操作(演算)は、特定の軸の一定の角度でブロッホベクトル(スピ
ン)を回転ささせることによって、ブロッホ球上のある点から、別の点へ任意の量
子状態を映している。
 図9に示されているように、様々な1量子ビット操作がある。
 それぞれ、σz 演算子の固有ベクトルによって表される計算上の基礎における量子
演算を説明しているマトリックスによって説明されている。
 すなわち、
 |0 > ≡ 1 0 𝑇
 |1 > ≡ 0 1 𝑇
14
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 identity gateの例:
 Identity gateは量子ビットの状態における回転を実行しない。
 これは 2 x 2 のマトリックスによって表される。
 X gate の例:x軸に対してπだけ回転を実行
 Y gate の例:y軸に対してπだけ回転を実行
 Z gate の例:z軸に対してπだけ回転を実行
 S gate の例:z軸に対してπ/2だけ回転を実行
 T gate の例:z軸に対してπ/4だけ回転を実行
 H gate の例(Hadamard gate):x-z面に対し対角線の軸についてπ回転を実
行する1量子ビット
15
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 様々な1量子ビットゲート
16
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 様々な1量子ビットゲート
17
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 様々な1量子ビットゲート
18
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 2量子ビット論理ゲートは一般的に conditional gatesであり、入力として2
つの量子ビットを必要とする。
 典型的に、最初は制御量子ビット、2つめはターゲット量子ビットである。
 ユニタリー演算はターゲット量子ビットに適用され、制御量子ビットの状
態に依存する。
 図10に示されている2つの共通の例は、制御されたNOTゲート(CNOT
ゲート)と、制御された位相ゲート(CZゲート or CPHASEゲート)であ
る。
19
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
20
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 CNOTゲートは、|1>状態である制御量子ビット上で調整されたターゲット
量子ビットの状態を反転させる。
 CPHASEゲートは、Zゲートをターゲット量子ビットに適応させ、それは、
|1>状態である制御量子ビットによって調整される。
 iSWAP ゲート(もう一つの2量子ビット)はCNOTゲートと1量子ビット
ゲートで成り立っている。
21
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 CNOTゲートのユニタリー演算
 制御量子ビットの状態に依存するXを適応する
 CPHASEゲートのユニタリー演算
 最後の等式を比較すると、2つのゲートが密接な関係であるのは明らかで
ある。
22
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 CNOTゲート
 2つのアダマールゲートを適用することによって、CPHASEゲートから生み
出される場合
 前頁の式
23
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 CPHASEゲートは、CZ ゲートとも呼ばれる。 それはCNOT (制御されたX演
算の適用)と同様に、制御された Z 演算を適用するためである。
 図10のCPHASEゲートの定義を調べても、どちらの量子ビットがターゲッ
トとして機能しているか、どちらの量子ビットがコントロールとして機能
しているかの区別はない。
 したがって、回路図は、時に、対照的なファンクションで描かれる。
24
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 CPHASEゲートの観点では、CNOTゲートは、下記のように実現される。
 前頁の式
25
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 CNOTゲートやCPHASEゲートのようないくつかの2量子ビットはエンタン
グルゲートと呼ばれる。それらは、積状態を入力や出力のエンタングルさ
れた状態としてみなされるからである。
 これらのゲートは量子論理のユニバーサルゲートの不可欠なコンポーネン
トである。
 例えば、次の状態にある2量子ビット, A, Bについて考える。
26
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 量子ビットAが制御量子ビット、量子ビットBがターゲット量子ビットと
して、CNOTゲートの演算をする場合、結果は次のようになる。
 真理値表 Fig.10を参照。
これは切り離された量子ビット-Aと量子ビット-Bに分解できない状態である。これは2量
子ビットの相互作用したベル状態のうちの1つであり、明らかに量子力学的な状態である。
27
B. Quantum logic gates used in
quantum computers
 任意の量子論理を実装するには、1量子ビットと2量子ビットのゲートの普
遍的な集合で十分である。つまり、このゲートセットは原理的には多量子
ビット状態空間のどの状態にも到達できることを意味する。効率的にこれ
を行うためには、ゲートセットを構成する量子ゲートの選択に依存する。
 また、1量子ビットゲートと2量子ビットゲートのそれぞれが可逆であり、
出力状態から入力状態を一意に決定することにも留意する。
 さらに、古典的なゲートと量子ゲートの間のこの違いが生じるのは、量子
ゲートがユニタリ演算Uに基づいているためである。
 ユニタリ演算Uが量子ビットに適用される特定のゲートである場合、その
エルミート共役(随伴行列)U†を適用することで元の状態を復元できる。
なぜなら、U†U = Iは恒等演算を解決するからである。
28
C. Comparing classical and quantum
gates
29
C. Comparing classical and quantum
gates
 量子アルゴリズムを表現するために使用されるゲートシーケンスは、古典
的なコンピューティングで使用されるものといくつかの類似点を持ってい
るが、いくつかの著しい違いもある。
 例えば、図11に示されているように、古典的なNOTゲートと関連する量子
回路を考える。
30
C. Comparing classical and quantum
gates
 古典的なビット反転ゲートは入力状態を反転させるが、一般に量子ビット反転は反転
状態(ブロッホ球上で見た場合)を生成するわけではなく、計算基底で書かれた波動
関数の係数を交換する。
 Xは量子ビットに格納された古典的なデータの場合にのみ、古典的なNOTゲートに類
似した動作をする。つまり 𝑋|𝑔 = |𝑔 (ただし、g ∈ {0, 1})という条件の場合にの
みである。
31
C. Comparing classical and quantum
gates
 すべての量子ゲートは可逆である。これは、論理演算を実装する演算子が
基礎的にユニタリ性を持つためである。
 しかし、量子情報処理で使用される他の一部のプロセスは不可逆である。
具体的には、測定(詳細な議論についてはV章を参照)と環境へのエネル
ギー損失(環境の結果状態が分かっていない場合)である。
 ここでは、これらのプロセスがどのようにモデル化されるかについては考
慮しないが、関心のある読者には、例えば参考文献178を参照いただく。
 また、このセクションの残りの部分では、ユニタリ制御操作のみを考慮し
ます。
32
C. Comparing classical and quantum
gates
 量子回路は(適用の順序に従って)左から右に書かれる。ゲートシーケン
スの結果の計算は、たとえば回路中の
 これは、右から左に演算される。すなわち、
33
C. Comparing classical and quantum
gates
 NORゲートとNANDゲートはそれぞれ古典的なコンピューティングにおいて個別に
普遍的なゲートである。
 これらのゲートは直接的な量子的対応がない(可逆性を持たないため)ため、普遍
的な量子コンピュータを構築するためにどのようなゲートが必要かという問いが自
然に生じる。
 実際には、ブロッホ球上で任意の軸周りに回転する能力(つまり、完全な単一量子
ビットのゲートセット)に加えて、任意のエンタングルした2量子ビット操作を補完
することで、普遍性が実現できる。
 これは、Krauss-Cirac decomposition として知られる手法を使用することによって、
任意の2量子ビットゲートを一連のCNOT操作に分解することができます。178, 180
34
C. Comparing classical and quantum
gates
 共通のユニバーサル量子ゲートセットは下記である。
1. Gate sets and gate synthesis
 ここで、𝑃ℎ = 𝑒𝑖θ 1 は単一の量子ビットに全体的な位相𝜃を適用するも
のである。
35
C. Comparing classical and quantum
gates
 理論的な観点から特に興味深いもう1つのユニバーサルゲートセットを挙げる
1. Gate sets and gate synthesis
 技術的な補足として、離散的なゲートセットへの制限は依然としてユニバーサル性を
持つ。この事実は、ソロヴァイ・キタエフの定理(Solovay-Kitaev theorem)181,182を
使用することに基づいている。
 この定理は、𝒢1から𝒪 𝑙𝑜𝑔𝑐 1 𝜖 (𝑤ℎ𝑒𝑟𝑒 𝑐 > 0)の1量子ビットを使用することで、誤
差 𝜖 に近似させることができる。
 ゲートセット𝒢1は通常 ‘Clifford +T’セットと呼ばれ、H,S,CNOTは‘Clifford +T’ゲートで
ある。
36
C. Comparing classical and quantum
gates
 それぞれの量子コンピュータアーキテクチャは、他のゲート(時に’native’ゲートと呼ば
れる)より、ハードウェアレベルで実装するのによりシンプルなゲートを持っている。
 それらのゲートは、ゲート実装を制御するハミルトニアンがゲート自身に一致したユニ
タリー伝搬関数を引き起こす、典型的なゲートである。
 いくつかの例を4章のE,F,Gで示す。
 どのゲートが元々利用可能であるかに関係なく、完全なゲートセットがあれば、ソロ
ヴァイ・キタエフの定理を使って効率的に他のセットを合成することができる。
 一般的に、回路に適用されるゲートの時間ステップの総数(回路の深さと表される)を
可能な限り低く保ちたいものである。また、合成にかかる時間を減らすために、できる
だけ多くのネイティブゲートを使用したいものである。
1. Gate sets and gate synthesis
37
C. Comparing classical and quantum
gates
 さらに、量子アルゴリズムを実行することはデバイスの量子ビットへの接続性に依存す
る。
 ある特定のアルゴリズムを効率的に実装する量子ゲートシーケンスを設計するプロセス
はそれぞれ、 gate synthesis, gate compilation,として知られている。
 この広範な研究の詳細な議論は、このレビューの範囲外だが、興味のある読者は、例え
ば参考文献183-185やそれに含まれる参考文献を参照することで、出発点として活用で
きる。
1. Gate sets and gate synthesis
38
C. Comparing classical and quantum
gates
 ゲートの恒等式(同一性)がどのように使用されるかの具体的な例として、式(74)で
は、 𝒢1からのアダマールゲートが、 𝒢0からの2つの1量子ビットゲートと、全体のPhase
ゲートによって生成されることを示している。
1. Gate sets and gate synthesis
39
C. Comparing classical and quantum
gates
 4章 D1で示すように、ゲート X𝜃、 Y𝜃 、 Z𝜃 は、超伝導量子プロセッサにおいてネイ
ティブに利用できる。
 次に、1量子ビットの回転と2量子ビット操作がトランズモンを基にした超伝導量子プロ
セッサでどのように実装されるかについて説明する。
1. Gate sets and gate synthesis
40
C. Comparing classical and quantum
gates
 トランズモンのような超伝導量子ビットをアドレスするモードは、大まかに2つの主要な
カテゴリに分けられる。
I. 共振器(またはフィードライン)と超伝導量子ビットの双極子場の間の、容量結合に
より、マイクロ波制御が可能となり、1量子ビットの回転(4章 Dを参照)および特定
の2量子ビットゲート(4章 Gおよび4章 G 4を参照)を実装することができる。
II. Flux-tunable 量子ビットでは、局所的な磁場を使用して個々の量子ビットの周波数を調
整することができる。これにより、Z軸の1量子ビットの回転および複数の2量子ビット
ゲートの実装が可能となる(4章 E、 F、 Hを参照)。
2. Addressing superconducting qubits
41
D. Single-qubit gates
42
D. Single-qubit gates
 このセクションでは、超伝導回路へのマイクロ波の容量結合を使用して、1量子ビット
ゲートの制御ができることを示すために必要な手順について概説する。
 このために、図12(a)に示すように、超伝導量子ビットをマイクロ波源(時には「qubit
drive」とも呼ばれる)に結合することを考える。
 Fig. 12(a)の回路の完全な回路解析は、このレビューの範囲外なので、ここでは
qubit/drive coupling の物理を明らかにするための手順に焦点を当てる。
 興味のある読者は、講義ノートや関連する論文(例:参考文献44、163、186-188)を参
照することができる。ここでは、参考文献163に従う。
43
D. Single-qubit gates
CAPACITIVE COUPLING FOR X, Y CONTROL
44
D. Single-qubit gates
 最初に、量子ビットを harmonic oscillator としてモデル化する。キルヒホッフの法則か
ら出発し、回路量子化の技術を用いて計算される(古典的な)回路ハミルトニアンがあ
る。このハミルトニアンは、次の式によって与えられている。163
1. Capacitive coupling for X, Y control
 ここで、𝐶Σ = 𝐶 + 𝐶𝑑 はGNDに対する総容量であり、 𝑄 = 𝐶ΣΦ − 𝐶𝑑𝑉𝑑(𝑡) は回路のため
に再正規化された電荷変数である。
45
D. Single-qubit gates
 今、fluxと電荷の変数を量子演算子に昇格させ、drive line への弱結合を仮定することが
できる。このため、 𝑄 ≈ 𝑄 となり、次の結果となる。
1. Capacitive coupling for X, Y control
 ここで、𝐻𝐿𝐶 = 𝑄2/(2𝐶) + Φ2/(2𝐿)であり、動的変数に結合する項のみを残している。
46
D. Single-qubit gates
 𝑥, 𝑝 − 空間での harmonic oscillator の運動量演算子のように、電荷変数を上昇演算子
と下降演算子で表現することができる。これは2章で行われたように行う。
1. Capacitive coupling for X, Y control
 ここで、𝑄𝑧𝑝𝑓 = ℏ/2𝑍 はゼロ点の電荷ゆらぎを表し、 𝑍 = 𝐿/𝐶 は回路のGNDへのイ
ンピーダンスを表す。
47
D. Single-qubit gates
 したがって、drive line に容量結合されたLC oscillator は、次の通りに表すことができる。
1. Capacitive coupling for X, Y control
 最後に、harmonic oscillator の最低エネルギー準位の端数処理をすることにより、𝑎 →
𝜎−
と 𝑎†
→ 𝜎+
の置換をすることができ、次の結果となる。
 ここで
 Ω = 𝐶𝑑 𝐶Σ 𝑄𝑧𝑝𝑓
 𝜔𝑞 = (𝐸1 − 𝐸0)/ℏ
48
D. Single-qubit gates
 ドライブの役割を明らかにするために、量子ビットと同じ周波数 𝜔𝑞 で回転するフレー
ム(「回転フレーム」または「相互作用フレーム」とも呼ばれる)に移行する。
 この回転フレームの有用性を確認するために、状態 |𝜓0 >= 1 1 𝑇 2 について考えて
みる。時間依存シュレディンガー方程式により、この状態は次の方程式に従って発展す
る。
1. Capacitive coupling for X, Y control
 ここで、UH0 は H0 に対応する伝播子(プロパゲーター)である。
49
D. Single-qubit gates
 例えば 𝜓0 𝜎𝑥 𝜓0 = cos(𝜔𝑞𝑡)、 𝜎𝑧 項により、位相が周波数 𝜔𝑞 で巻き
戻っていることが明らかである。
 量子ビットの周波数 𝜔𝑞 で回転するフレームに移行することにより、ドラ
イブの作用をより明確に理解することができる。
 このために、 U𝑟𝑓 = 𝑒𝑖𝐻0𝑡 = 𝑈𝐻0
†
と定義し、回転フレームでの新しい状態
を |𝜓𝑟𝑓(𝑡) = U𝑟𝑓|𝜓0 とする。
 この新しいフレームでの時間発展は、再びシュレディンガー方程式から求
められる。(略記 𝜕𝑡 = 𝜕 ∕ 𝜕𝑡 を使う。)
1. Capacitive coupling for X, Y control
50
D. Single-qubit gates
 式(83)の括弧内の項 𝐻0 を、回転フレーム内の 𝐻0 の形式と考えること
ができる。
 単純な挿入により、期待通りに 𝐻0 = 0となる。(回転フレームは時間依
存性を取り扱うべきである。)
 しかしながら、式(83)の括弧内の項を、 U𝑟𝑓 によって与えられる回転フ
レーム内の任意のハミルトニアンの形式を計算するための指示として考え
ることもできる。この場合、 𝐻0 を他の 𝐻 で置き換える。
 一般的には、 𝐻 = 0 ではない場合もある。
1. Capacitive coupling for X, Y control
51
D. Single-qubit gates
 式(79)に戻ると、回転フレームでの 𝐻𝑑 の形式は次の通りであることが
わかる。
1. Capacitive coupling for X, Y control
52
D. Single-qubit gates
 一般的には、電圧の時間依存部分 𝑉𝑑(𝑡) = 𝑉𝑑𝜐(𝑡) は以下のような一般的な
形式を持つと仮定できる。
1. Capacitive coupling for X, Y control
 一般的には、電圧の時間依存部分 𝑉𝑑(𝑡) = 𝑉𝑑𝜐(𝑡) は以下のような一般的な
形式を持つと仮定できる。
 ここで、 s(𝑡) は無次元の包絡関数であり、ドライブの振幅は 𝑉0𝑠(𝑡) に
よって設定される。定義を採用すると、
53
D. Single-qubit gates
 回転フレームでの駆動ハミルトニアンは、以下のような形を取る。
1. Capacitive coupling for X, Y control
 乗算を行い、平均値がゼロになる高速回転項(すなわち、 𝜔𝑞 + 𝜔𝑑 の
項)を省略することで、回転波近似(RWA)として知られる手法を用いる
と、
54
D. Single-qubit gates
 ここで、δ𝜔 = 𝜔𝑞 − 𝜔𝑑
 最後に、式(86)からの定義を再利用することにより、RWAを用いた回
転フレームでの駆動ハミルトニアンは、次のように書くことができる。
1. Capacitive coupling for X, Y control
55
D. Single-qubit gates
 これにより、位相が同相(𝜙 = 0 、つまり、I 成分)のパルスはx軸周りの
回転に対応し、位相が逆相(𝜙 = 𝜋 ∕ 2 、つまり、Q成分)のパルスはy軸
周りの回転に対応することが示される。
 同相パルスの具体的な例として、ユニタリ演算子を展開すると、次のよう
になる。
1. Capacitive coupling for X, Y control
56
D. Single-qubit gates
 これは、回路のマクロな設計パラメータとベースバンドパルスの包絡線で
ある s 𝑡 と振幅 𝑉0 にのみ依存し、どちらも任意波形発生器(AWG)を使
用して制御できる。
 式(93)は rabi drive として知られ、効率的なゲート操作(利用可能な出
力電圧 𝑉0 に応じて)に必要な回路パラメータを設計するための有用な
ツールとして利用することができる。
 これを確認するために、次の略記を定義する。
1. Capacitive coupling for X, Y control
57
D. Single-qubit gates
 これは、キュビットの状態が回転する角度を表すものであり、容量結合、
回路のインピーダンス、振幅𝑉0 および波形の包絡線 s 𝑡 によって与えら
れる。
 これは、x軸上で 𝜋パルスを実装するためには、方程式Θ(𝑡) = 𝜋 を解き、
量子ビットドライブと位相が一致するように信号を出力する必要があるこ
とを意味する。
1. Capacitive coupling for X, Y control
58
D. Single-qubit gates
 この表現では、パルスのシーケンス(図13(a)を参照)Θ𝑘, Θ𝑘−1, … , Θ0 は、
次の方程式として、量子ビット上でゲート操作のシーケンスに変換される。
1. Capacitive coupling for X, Y control
 ここで、𝒯は演算子であり、パルスが U𝑘・・・U1U0 に対応する時間順序で生
成されることを保証する。
59
D. Single-qubit gates
1. Capacitive coupling for X, Y control
ここで 図13 について説明する。
 (a)典型的な量子ビットドライブの回路図。
マイクロ波源は高周波信号(𝜔𝐿𝑂)を供給
し、任意波形発生器( AWG )はパルスの
包絡線( s 𝑡 )を供給する。
 AWGによって生成される低周波成分
( 𝜔𝐴𝑊𝐺 )も含まれる場合がある。
 IQミキサーは、2つの信号を組み合わせて周
波数が 𝜔𝑑 = 𝜔𝐿𝑂 ± 𝜔𝐴𝑊𝐺 である形状の波形
𝑉𝑑(𝑡) を生成する。通常、この波形はキュ
ビットと共鳴するように調整される。
60
D. Single-qubit gates
1. Capacitive coupling for X, Y control
図 13
 (b)ゲートシーケンスがAWGによって生成さ
れる波形に変換される例。
 色は I成分と , Q成分を表している。
 (c) 𝑥𝜋∕2 パルスが|0 状態に対して作用するこ
とで、|−𝑖 =
1
2
(|0 − 𝑖|1 ) 状態が生成され
る。
61
D. Single-qubit gates
1. Capacitive coupling for X, Y control
 図13では、式(95)で使用されるパルスを
生成するために使用される典型的な IQ変調
セットアップの概要を示している。
 図13(a)では、低位相ノイズのマイクロ波発
生器(通常は「ローカルオシレータ
(LO)」と呼ばれる)を使用して周波数 𝜔𝑑
のパルスが生成される様子を示している。
 また、パルスは LO信号 を IQミキサー で組
み合わせて、AWG で生成されたパルスと形
状を整える。
62
D. Single-qubit gates
1. Capacitive coupling for X, Y control
 周波数多重化を可能にするために、AWG信
号は通常、低周波成分である 𝜔𝐴𝑊𝐺 を持ち、
LO信号はオフセットされる。
 つまり、𝜔𝐿𝑂 + 𝜔𝐴𝑊𝐺 = 𝜔𝑑となる。
 複数の周波数( 𝜔𝐴𝑊𝐺1 、 𝜔𝐴𝑊𝐺2 、...)を混
合することで、個々の駆動信号の重ね合わ
せを通じ、複数の量子ビット(または読み
出し共振器)に同時にアクセスすることが
可能となる。
63
D. Single-qubit gates
1. Capacitive coupling for X, Y control
 IQミキサーのI(Q)入力は、ベースバンド
信号をローカルオシレータ(LO)の同相
(反相)成分に乗算する。
 図13(b)では、量子回路のXYゲートとAWGで
生成される対応する波形との比較を示して
いる(明瞭さのために周波数ωAWG成分は省
略している)。
64
D. Single-qubit gates
1. Capacitive coupling for X, Y control
 図13(b)のインセットには、(I, Q)軸を示した
ブロッホ球上のゲートの例が示されている。
 より洗練され、かつコンパクトなアプロー
チが存在し、図13に示されているセット
アップと比較してXY量子ビット制御に必要
なハードウェアを削減することができる。
 詳細については、例として、Ref. 189-191を
参照。
65
D. Single-qubit gates
VIRTUAL Z GATE
66
D. Single-qubit gates
2. Virtual Z gate
 第4章D で見たように、x-回転とy-回転の区別は単にマイクロ波信号の位相の選択であり、
回転する角度は Θ(𝑡) によって与えられる。これらはいずれもAWGを使用して生成される。
 𝜙 の選択は任意の起点を持っているため、𝜙 → 𝜙 + π/2 と考えることができる。
 これにより、I → Q および Q → -I となる。
 したがって、位相を変更することは、実質的に、x軸を中心とした回転をy軸を中心とした回
転に変える(逆も同様で、符号が変わる)。
 これは、x軸とy軸の回転に対して 𝑍𝜋 回転を適用した結果と似ており、ここで、 𝑍𝜋𝑋𝜋 = 𝑖𝑌𝜋 、
𝑍𝜋𝑌𝜋 = −𝑖𝑋𝜋 である。
 AWGで生成された信号の位相をシフトすることと、Z回転を適用することの間の類似性を利
用すると、Virtual Zゲートを実装することができる(参考文献192)。
67
D. Single-qubit gates
2. Virtual Z gate
 McKayらによって示されたように、この直感は以下の例を通じて形式化することができる。
Iチャネルに角度θのパルス(すなわち、 𝑋𝜃 )を適用した後に、Iチャネル上でさらにθのパ
ルスを適用しするが、最初のパルスに対して位相 𝜙0 でずれている。
 ( X𝜃
(𝜙0)
と表記される。ここで X は I チャネルを使用していることを示しているが、回転軸
は x軸から角度 𝜙0 だけずれている)。
 式(95)を用いると、これは以下のようなパルスシーケンスに対応する。
この式から、オフセットの位相 𝜙0 の効果は 𝑍𝜙0
を適用することになる。
68
D. Single-qubit gates
2. Virtual Z gate
 上記の等式は、三角関数を使って検証することができる。
 最後の 𝑍−𝜙0
は、回転が量子ビットの基準フレームであるため。
 しかし、読み出しはz軸に沿って行われるため(第5章を参照)、z軸周りの最終位相回転は
測定結果を変えない。
69
D. Single-qubit gates
2. Virtual Z gate
 したがって、もし以下のゲートシーケンスを実装したい場合、
 ここで、𝑈𝑖 が任意のゲート の場合、これは、ゲートシーケンスを変更し、後続のパルスの位相
を変更することで実現することができます。
 このようにすることで、全体のゲート数を減らすことができる。
 さらに、Virtual Zゲートは「完全」であり、追加のパルスは必要なく、ゲートは「ゼロ時
間」で行われるため、ゲートの信頼性は名目上 unity になる。
70
D. Single-qubit gates
2. Virtual Z gate
 第4章 E, Fで示すように、2量子ビットゲートの操作では追加の1量子ビットの位相が生じる
ことがある。
 Virtual Z strategyを使用することで、これらの位相を相殺し、純粋な2量子ビット相互作用を
残すことができる。
 最後に、Virtual Zゲートのもう一つの特徴を述べる。Ref.63で示されているように、任意の1
量子ビット操作(グローバル位相を除く)は、次のように書くことができる。
71
D. Single-qubit gates
2. Virtual Z gate
 適切な 角度θ、𝜙、λ の選択により、単一物理的な 𝑋𝜋/2と Virtual Zを組み合わせることで、
完全な1量子ビットゲートセットにアクセスできることを意味する。
 式(100)を具体的な例として挙げると、Hadamardゲートがある。これはH = Z𝜋
2
𝑋𝜋
2
𝑌𝜋
2
と書く
ことができるが、Zは仮想的なものであるため、超伝導量子ビットでは効果的な単一パルス
操作としてHadamardゲートを実装することが可能となる。
72
D. Single-qubit gates
THE DRAG SCHEME
73
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
 式 (78)から式 (79)への遷移では、量子ビットの高次準位を
無視できると仮定した。
 しかし、トランズモンなどの弱い非調和性を持つ量子ビット
の場合、これは正当な仮定ではないかもしれない。なぜなら、
𝜔𝑞
1→2 は 𝜔𝑞(≡ 𝜔𝑞
0→1) と非調和性 𝛼 = 𝜔𝑞
1→2 − 𝜔𝑞 の差だけで
あり、これは負の値、かつ通常は200から300 MHz程度であ
るため。
 この状況は、Fig. 14(a-c)に示されており、標準偏差が σ = {1,
2, 5} ns のガウスパルスは、𝜔𝑞 = 𝜔𝑞
1→2 − 𝛼 周波数と非ゼロ
の重なりを持つスペクトル内容を持っていることを示してい
る
74
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme (Fig. 14)
a. 遷移周波数 𝜔𝑑 = 𝜔𝑞 で駆動される弱非調和性ト
ランズモン量子ビットの概略のレベルダイアグ
ラム。
b. 標準偏差 σ を持つガウス波形。
c. (b)のフーリエ変換。短いパルス長により、 𝜔𝑞
から非調和性α によって分離された 𝜔𝑞
1→2
遷移と
の間に重なりが生じることがわかる。
75
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme (Fig. 14)
d. DRAGモジュレーションのない 𝑋𝜋 パルスの波形。
e. (d)の波形がα = -200 MHz と 𝜔𝑞 = 4 GHzで初期
化された |0 状態の量子ビットに与える影響。
パルス後の |1 からのずれとして、位相誤差が
見える。
f. DRAGモジュレーションのを含んだ 𝑋𝜋 パルスの
波形。α = -200 MHz と DRAGパラメータ λ = 0.5
を持つ量子ビットにおいて、位相誤差をキャン
セルするために使用される。(詳細は本文)
g. (e)と同じ量子ビットに対する(f)の波形の影響。
QuTiP というソフトウェアのmesolveを使用して
計算されている。
76
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
 この状況は、Fig. 14(ac)に示されており、標準偏差が σ = {1, 2, 5} ns のガウスパルスは、
𝜔𝑞 = 𝜔𝑞
1→2 − 𝛼 周波数と非ゼロの重なりを持つスペクトル内容を持っていることを
示している。
(Fig. 14の説明に入る前)
 これにより、2つの有害な影響が生じる:
1. 量子ビットを計算部分空間から外れさせるLeakage Error
2. Phase Error
77
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
1. πパルスが適用される際に、状態 |1 にある量子ビットが |2 に励起されることや、直
接的に|0 から励起されることがあるため、 Leakage Errorの影響が、起こる。πパルス
の間、量子ビットはある程度の時間を状態 |1 で過ごすからである。
2. Phase Errorは、ドライブの存在によって、|1 と|2 のレベル間に反発が生じるために
起こる。これにより、パルスが適用されると 𝜔𝑞
0→1 が変化する。これにより、|0 と|1
の間に相対位相の蓄積が生じる。194
 DRAG procedure195-197(Derivative Reduction by Adiabatic Gate、断熱ゲートによる微分
還元)は、これらの2つの影響に対抗するために、位相差の成分に追加の信号を適用す
ることを目指している。
78
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
 その仕組みは、波形のエンベロープ s(t) を以下のように修正することである。
 ここで、λ は無次元のスケーリングパラメータであり、λ = 0 はDRAG pulse がない状態
を表し、𝑠(𝑡) は s(t) の時間微分である。
 理論的には、dephasing error (位相ズレ誤差)を低減するための最適な選択肢は
λ = 0.5であり、Leakage error を低減するための最適な選択肢は λ = 1 である。196-198
 式(101)においてIとQを入れ替えることは、Q成分に対するDRAG pulse の適用を意味す
る。
79
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
 実際には、量子ビットへの導線のパルス歪みなどにより、これらの最適値からの偏差
が生じることがある。
 通常、 |2 状態の single shot measurement(第5章を参照)を組み合わせた、ランダム
化されたベンチマーキング実験が、最適な λ の値を決定するために、行われる。
 λ = {0.5, 1} のトレードオフは、明示的には192、199の論文で示されている。
 しかし、元の DRAG pulse の実装を拡張することによって200, 201、両方の Error を同時
に減らすことができる。
 波形196(δf = 0は量子ビットの周波数に対応するように定義される)に周波数の離調
子パラメーター(detuning parameter) δf を導入することにより 、つまり以下のように
定義される。
80
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
 波形196(δf = 0は量子ビットの周波数に対応するように定義される)に周波数の離調
子パラメーター(detuning parameter) δf を導入することにより 、つまり以下のように
定義される。
 Leakage Errorを最小限にするために、λ を選定し、そうすると同時に、Phase Error も
低減される。199
 同様に、適切な Virtual-Z gate の使用により、Leakage Error を減少させるためのDRAG
pulse と組み合わせて Phase Error を減少させることも可能である。192
81
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
 現代の DRAG pulse を使用した 1量子ビットゲートは、通常、
F1qb(ゲートの信頼性)≳ 0.99 に達している。65,67,199,202-205
 スペクトル的に混雑したデバイスでの 1量子ビットゲート操作には、他の技術も存在
する。
82
Quantum Computer and
Controller (QuEL-1)
83
量子コンピューター
出典:https://www.riken.jp/pr/news/2023/20230324_1/index.html
84
量子コンピューター
出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC234XF0T20C23A3000000/
冷凍機
量子チップ
制御装置(AD/DA)
サーバー
85
量子コンピューター
出典:https://www.riken.jp/pr/news/2023/20230324_1/index.html
86
量子コンピューター
出典:https://image.itmedia.co.jp/l/im/ee/articles/2303/31/l_sh230328_ryoushiri02.jpg
87
Thank you for listening.
END
88
appendix
A. BOOLEAN LOGIC GATES USED IN CLASSICAL COMPUTERS
89
Fig. 8
 古典的なシングルビットおよび2ビット
のブール論理ゲートについて、各ゲー
トの名前、簡単な説明、回路表現、入
力/出力の真理値表を示す。真理値表の
数値は、古典的なビット値0と1に対応
している。Ref. 177を参考にして適応し
ている。
90
appendix
C. COMPARING CLASSICAL AND QUANTUM GATES
(KRAUSS-CIRAC DECOMPOSITION)
91
Krauss-Cirac Decomposition
 これは、Krauss-Cirac decomposition として知られる手法を使用することによって、
任意の2量子ビットゲートを一連のCNOT操作に分解することができます。178, 180
 文献178
 M. A. Nielsen and I. L. Chuang, Quantum Computation and Quantum Information: 10th Anniversary Edition, 10th ed. (Cambridge
University Press, New York, NY, USA, 2011). https://www.amazon.co.jp/-/en/Michael-Nielsen/dp/1107002176
 文献180
 C. P. Williams, Explorations in Quantum Computing, 2nd ed. (Springer Publishing Company, Incorporated, 2008).
https://www.amazon.co.jp/Explorations-Quantum-Computing-Computer-Science-ebook/dp/B008BBQWHK
 Web検索
 The University of Maryland “Quantum Gates” https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf
92
The University of Maryland “Quantum
Gates”
PDF p.57 -
2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition
2つの量子ビット間の相互作用が非自明な量子計算を行うために不可欠であることから、任意の2
量子ビットゲートがCNOTゲートや1量子ビットゲートなどのより基本的なゲートにどのように分解
されるかを理解することは重要である。最初から、必要なCNOTゲートの数が全く明らかではない。
我々が見るように、その答えは対象となる2量子ビットゲートの構造に依存しますが、どの場合でも
3つ以上のCNOTゲートを使用する必要はない [90, 452, 512, 517]。
 https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf
93
The University of Maryland “Quantum
Gates”
PDF p.57 -
2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition
任意の2量子ビットゲートを実装できる一般的な回路を見つける鍵は、magic basis transformation
を使用することと、KraussとCiracによって発見された任意の2量子ビットゲートの因数分解を組み合
わせることである。KraussとCiracは、任意の4 × 4のユニタリーマトリックスを次の形に分解できる
ことを発見した:
 https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf
ここで、X、Y、Zは3つのPauli行列であり、𝑒𝑀 = 1 + 𝑀 +
1
2
! (M・M) +
1
3
!(M・M・M)+...
は行列指数関数です [277, 296, 562]。また、a、b、c ∈ R です。[277, 296, 562]
94
The University of Maryland “Quantum
Gates”
PDF p.57 -
2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition
我々はすでに任意の1量子ビットゲートのための量子回路を見つける方法を知っているため、Ajの
分解は何であるかに関わらず常に見つけることができる。また、1量子ビットゲートは、核となる2
量子ビットゲートN(a,b,c)のもつれの力を変えることはできないことも知っている。したがって、す
べてのアクションは実際には2量子ビットゲートN(a,b,c)に集中しており、これは次のユニタリーマト
リックスと等価である:
 https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf
95
The University of Maryland “Quantum
Gates”
PDF p.57 -
2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition
N(a, b, c)に対する量子回路は図2.39に示されている。
代数的には、次のようになる:
 https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf
96
The University of Maryland “Quantum
Gates”
PDF p.57 -
2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition
任意の2量子ビットゲートに対応する行列Uは常にユニタリーであり、その行列式の絶対値は常に1
です、つまり |det(U)| = 1 である。ただし、Uの要素が実数か複素数か、行列式が+1か、それ以外の
可能性の1つ(|det(U)| = 1と一致する)であるか(具体的には-1、+i、または-i)によって、Uを実装
する容易さが異なる。次のように可能性を分類する。:
 https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf
97
The University of Maryland “Quantum
Gates”
PDF p.57 -
2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition
 https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf
98
The University of Maryland “Quantum
Gates”
PDF p.57 -
2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition
行列Uを実装するために必要なCNOTゲートの数は、Uがどのクラスに属するかに依存する。逆向
きのCNOTを使用して、核となるもつれゲートN(a, b, c)を実装するための回路を次のように記述でき
る:
 https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf
99
appendix
C. COMPARING CLASSICAL AND QUANTUM GATES
(SOLOVAY-KITAEV THEOREM)
100
C. Comparing classical and quantum
gates
1. Gate sets and gate synthesis
 技術的な補足として、離散的なゲートセットへの制限は依然としてユニバーサル性を
持つ。この事実は、ソロヴァイ・キタエフの定理(Solovay-Kitaev theorem)181,182を
使用することに基づいている。
 文献181
 Y. A. Kitaev, “Quantum computations: algorithms and errorcorrection,” Russian Mathematical Surveys 52, 1191 (1997).
https://iopscience.iop.org/article/10.1070/RM1997v052n06ABEH002155/pdf
 文献182
 C. M. Dawson and M. A. Nielsen, “The Solovay-Kitaev Algorithm,” Quantum Info. Comput. 6, 81–95 (2006). https://arxiv.org/pdf/quant-
ph/0505030.pdf
101
“The Solovay-Kitaev Algorithm,”
概要
この教育的なレビューでは、Solovay-Kitaevの定理の証明を、任意の1量子ビッ
トゲートを固定かつ有限のセットのゲートの列に効率的にコンパイルする古典的
なアルゴリズムとして示している。このアルゴリズムは、例えばShorのアルゴリ
ズムを π ∕ 2^𝑘 の回転を使用して効率的なフォルトトレラント形式にコンパ
イルする際に使用できる。このアルゴリズムでは、Hadamardゲート、制御NOT
ゲート、 π ∕ 8ゲートのみを使用する。アルゴリズムの実行時間は
O(𝑙𝑜𝑔2.71(1 𝜖 )) であり、出力として、望ましい量子ゲートを ε > 0 の精度で近
似することが保証された O(𝑙𝑜𝑔3.97(1 𝜖 )) の量子ゲートの列が生成される。また、
アルゴリズムを多量子ビットゲートやSU(d)のゲートに一般化する方法について
も説明している。
102
“The Solovay-Kitaev Algorithm,”
結論
Solovay-Kitaevの定理とアルゴリズムは、量子コンピューティングの理論にお
ける基本的な結果であり、今後の量子コンピューターの実装において、Shorのよ
うな量子アルゴリズムをフォルトトレラントな形式にコンパイルする際に、これ
らの結果のバリエーションが使用される可能性が高い。この論文の中でこれらの
結果についての議論は、キーとなるアイデアを明らかにするために最適化された
ものであり、精度と効率を最適化することは考慮されていない。これらの構築が
どれだけ改善できるかを決定することは興味深い未解決問題であり、Solovay-
Kitaevアルゴリズムのバージョンを開発して、最適または近似的に最適な精度と
効率を達成する可能性を検討することが課題となっている。
103
appendix
D. SINGLE-QUBIT GATES
参考文献 163
FAST, ACCURATE STATE MEASUREMENT IN SUPERCONDUCTING QUBITS
104
D. Single-qubit gates
 Fig. 12(a)の回路の完全な回路解析は、このレビューの範囲外なので、ここでは
qubit/drive coupling の物理を明らかにするための手順に焦点を当てる。
 興味のある読者は、講義ノートや関連する論文(例:参考文献44、163、186-188)を参
照することができる。ここでは、参考文献163に従う。
105
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
URL: https://web.physics.ucsb.edu/~martinisgroup/theses/Sank2014.pdf
目次
1. Introduction
1. Information processing machines
2. Quantum Bits
3. Superconducting Qubits
4. Fault tolerance
2. Measuring a Qubit’s State
1. Measuring is hard
2. Examples
3. The transmon qubit – RF measurement
106
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
目次
3. Dispesive Measurement
1. Introduction
2. Dispersive Hamiltonian
3. Scattering
4. Qubit measurement
5. Fresnel lollipops – separation error
6. Measurement induced dephasing
1. Information theoretic approach
2. Physical mechanism approach
3. Amplifier
7. Resonator energy to output power ratio
1. Resonator internal energy
2. Output power
3. Ratio
107
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
目次
4. Bandpass Filter
1. Rationale
2. Analysis
3. Circuit parameters
4. Device
1. Layout
2. Filter
3. Measurement resonators
4. Mode shape coupling factor
5. Prameters
5. Fabrication
108
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
目次
5. Experimental Setup and Methods
1. Wiring
1. General view
2. Noise attenuation and filtering
3. Output line
2. Parametric amplifier
3. Signal generation
4. Signal detection
5. Parametric amplifier
109
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
目次
6. Results
1. Characterization
1. Resonator frequencies
2. Coupling strength – g
3. Resonator transient response rate - 𝒦𝓇
2. Photon number calibration
3. Stimulated qubit transitions
1. Comparison with theory
4. Coherence
5. Time dependence and accuracy
1. State preparation – heralding
2. Fidelity at fixed measurement time
3. Time dependence
4. Multiplexed measurement
6. Measurement efficiency
110
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
目次
A) Quantum Mechanics Reference
A) Commutators
A) Products
B) Translation by an operator
C) Baker-Campbell-Haudorff
D) Conjugate Variables
B) Pauli operators
A) Resprensentation
B) Products and commutators
C) Rranslation
C) Rotating Frame
111
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
目次
B) Quantum Oscilator Reference
A) General Form
A) Zero point fluctuation
B) Algebra
C) Equations of Motion
C) IQ Mixer
A) Modulation
B) Demodulation to baseband
C) Demodulation to DC
D) Demodulation Mixer Imbalance
112
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
目次
D) Formal Theory of Superconducting Qubits
A) Introduction – Prallel LC
B) Driving
A) Summary – Simple derivation
C) Coupling
A) Capacitive coupling
B) Summary – Simple derivation
D) Rotating Frame
A) Operators
B) Driving
C) Coupling
E) Discrete Fourier transform of White Noise
113
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
目次
E) Discrete Fourier transform of White Noise
A) White noise
A) Distribution of r2
B) Correlated noise
F) External Loading of a Resonant Mode
F) Parallel-Series Equivalence
F) Large Q limit
G) Loaded resonant mode
114
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
2. Measuring a Qubit’s State
この章では、超伝導量子ビットにおける状態測定の基本物理学について議論する。状態測定の物理的
な背景と歴史的な経緯を説明し、読者がこの論文で行われた研究の動機や後続の章で紹介される技術
的な詳細をより理解しやすくすることを目指す。
この章は3つのパートに分かれている。
1. 最初のセクションでは、状態測定が一般的に難しい問題である理由と、量子コンピュータでの状態
測定の要件について説明する。
2. 2番目のセクションでは、さまざまな種類の超伝導量子ビットで使用される基本的な測定メカニズ
ムについて議論する。
3. 3番目のセクションでは、最新の超伝導量子ビットで使用される状態測定メカニズムの根拠を説明
し、この論文での研究が従来の技術を改善することを意図していた方法について説明する。
115
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
3. Measuring a Qubit’s State
前の章では、歴史的な調査と定性的な議論を通じて、分散測定が量子ビットのコヒーレンスを一部保
持しながら、マルチプレックスされた量子ビットの測定を可能にすることがわかった。本章では、分
散測定を詳細に定量的に分析する。
分散測定では、量子ビットが線形共振器と共鳴しない位置に結合されるため、共振器の周波数は量子
ビットの量子状態に依存する。共振器内の光子は、共振器の周波数とそれによって量子ビットの状態
が変化する位相シフトを獲得する。つまり、光子は量子ビットの状態に応じて「分散」される。した
がって、量子ビットの状態は共振器を探索し、出力光子の位相を測定することで測定される。分析は
自然に2つのステップで行われる。まず、量子ビットが大きな共振器と共鳴しない位置に結合する系に
対するハミルトニアンを展開する。ハミルトニアンから、共振器の周波数シフトを、量子ビット-共振
器の結合強度や共鳴外のデチューニングなどの他のパラメータと関連づける方程式を見つける。次に、
マイクロ波散乱によって共振器の共鳴周波数を測定する古典的な問題を分析する。これらの分析を組
み合わせることで、散乱されたマイクロ波信号が量子ビットの情報を運ぶことが示される。そして、
分散された光子によって情報が持ち去られる過程で、量子ビットの状態が崩壊する様子を説明する。
最後に、実用的な実験環境で増幅器の飽和が重要な制約となる分散測定回路の追加の詳細を説明する。
116
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
3. Measuring a Qubit’s State
分析は自然に2つのステップで行われる。
1. まず、量子ビットが大きな共振器と共鳴しない位置に結合する系に対するハミルトニアンを展開す
る。ハミルトニアンから、共振器の周波数シフトを、量子ビット-共振器の結合強度や共鳴外のデ
チューニングなどの他のパラメータと関連づける方程式を見つける。
2. 次に、マイクロ波散乱によって共振器の共鳴周波数を測定する古典的な問題を分析する。
これらの分析を組み合わせることで、散乱されたマイクロ波信号が量子ビットの情報を運ぶことが示
される。そして、分散された光子によって情報が持ち去られる過程で、量子ビットの状態が崩壊する
様子を説明する。最後に、実用的な実験環境で増幅器の飽和が重要な制約となる分散測定回路の追加
の詳細を説明する。
117
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
4. Bandpass Filter
本章では、分散量子ビット測定のためのバンドパスフィルタを紹介し、分析する。
1. まず、バンドパスフィルタの根拠を説明し、既存のシステムと 定性的な比較を行う。
2. 次に、バンドパスフィルタを定量的に分析し、フィルタ測定システムの応答時間と量子ビットのコ
ヒーレンスとの関係を導く。この分析は数値計算とも照合される。
3. その結果を使用して回路パラメータを選択する。また、所望の回路パラメータを達成するために必
要なハードウェア要素の物理的な幾何学を決定する。
4. 最後に、デバイスを構築するために使用される製造手順について説明する。
118
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
5. Experimental Setup and Methods
本章では、バンドパスフィルタを用いて分散測定をテストするために使用された実験装置を紹介し、
解説する。
1. 最初のセクションでは、装置の完全な概要図を示し、測定信号が量子ビットチップに入出力される
方法について説明する。
2. 次のセクションでは、測定信号の生成の詳細について議論する。最後のセクションでは、測定信号
の検出の詳細について議論する。
119
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
5. Experimental Setup and Methods
本章では、バンドパスフィルタを用いて分散測定をテストするために使用された実験装置を紹介し、
解説する。
1. 最初のセクションでは、装置の完全な概要図を示し、測定信号が量子ビットチップに入出力される
方法について説明する。
2. 次のセクションでは、測定信号の生成の詳細について議論する。最後のセクションでは、測定信号
の検出の詳細について議論する。
120
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
5. Experimental Setup and Methods
 A simplified diagram of the
experimental setup
121
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
5.1.2 Noise attenuation and filtering
 抵抗器は温度および抵抗に依存した電圧と電流のノイズを生成するため、量子ビットと共振器
はクライオスタットの基底温度、約40 mKで制御線からのノイズにさらされている。私たちは、
制御線と量子回路(量子ビットと共振器)との間の結合強度を設計し、この40 mKのノイズが
重要な減衰をもたらさないようにした。
 しかし、クライオスタットの温かい段階では、40 mKのノイズを上回る熱ノイズが生成される。
このより暖かいノイズは回線を伝わり、量子回路と相互作用する可能性があり、設計の前提条
件に反し、アッテネータを導入する可能性がある。したがって、クライオスタットのより温か
いステージからのノイズを、40 mKで生成されるノイズレベルまで減らすために、フィルタと
減衰器を使用する。
122
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
5.1.2 Noise attenuation and filtering
Review of thermal noise
 抵抗Rの熱ノイズは、温度Tでプランク分布に従う。
 抵抗Rの熱ノイズは、温度Tでプランク分布に従う。
 Sp上付き文字 p は、これが正と負の周波数の両方に対して定義された「物理学者」のスペクト
ル密度であることを示しています。
 𝑘𝑏𝑇 ≫ ℎ𝑓 に関して、 ℎ𝑓 𝑘𝑏𝑇 のべき乗展開を行い、 𝑆𝑉
𝑝
𝑓, 𝑇 ≈ 2𝑅(𝑘𝑏𝑇 − ℎ𝑓 2) を求める。
123
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
5.1.2 Noise attenuation and filtering
Review of thermal noise

 Single sidedの「エンジニアの」スペクトル密度に変換するために2倍すると同時に、小さな定
数 − ℎ𝑓 2 を取り除くと、 𝑆𝑉
𝑒
≈ 4𝑅𝑘𝑏𝑇 となり、これは通常のジョンソンノイズの式である。
[18, 35]
 ジョンソンリミットでは、熱ノイズの電力は温度Tに比例してスケーリングする。
 したがって、温度 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ の高温ステージからくるノイズを、温度 𝑇𝑙𝑜𝑤 の低温ステージのノイズ
レベルまで減少させるためには、𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ 𝑇𝑙𝑜𝑤 の比率でラインを減衰させる必要がある。
124
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
5.1.2 Noise attenuation and filtering
Review of thermal noise
 𝑘𝑏𝑇 ≲ ℎ𝑓 のとき、ジョンソンの公式は適用されない。
 このいわゆる「量子限界」では、熱ノイズ電力は、指数関数 exp[− ℎ𝑓 𝑘𝑏𝑇] としてスケールし、これ
はジョンソンリミットでの線形スケーリングよりも強力である。したがって、 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ から 𝑇𝑙𝑜𝑤 に移
る際には、 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ 𝑇𝑙𝑜𝑤 よりも大きな比率で減衰させる必要がある。
 ある一定の周波数f = 6 GHzでの2つの温度の熱ノイズ電力の比率を考える。簡略化された温度を
𝑥 ≡ 𝑘𝑏𝑇 ℎ𝑓と定義し、プランクの電力分布を以下のように表します。
125
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
5.1.2 Noise attenuation and filtering
Review of thermal noise
 このいわゆる「量子限界」では、熱ノイズ電力は、指数関数 exp[− ℎ𝑓 𝑘𝑏𝑇] としてスケールし、これ
はジョンソンリミットでの線形スケーリングよりも強力である。したがって、 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ から 𝑇𝑙𝑜𝑤 に移
る際には、 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ 𝑇𝑙𝑜𝑤 よりも大きな比率で減衰させる必要がある。
 ある一定の周波数 f = 6 GHzでの2つの温度の熱ノイズ電力の比率を考える。簡略化された温度を
𝑥 ≡ 𝑘𝑏𝑇 ℎ𝑓と定義し、プランクの電力分布を以下のように表します。温度 𝛼𝑇 のソースのノイズ電
力と温度 𝑇 のソースからのノイズ電力の比率は、以下のようになります。
 この関数は、𝑇 = 4𝐾 𝑥 = 13.8 , 𝑓 = 6𝐺𝐻𝑧 の条件で、図5.2にプロットされています。
126
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
5.1.2 Noise attenuation and filtering
Review of thermal noise
127
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.1 Characterization
6.1.1 Resonator frequencies
チップ上の4つの共振器の周波数を測定の報告。共振器のパラメータは表6.1にまとめられている。目標
の設計値は括弧内に示されている。
128
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.1 Characterization
6.1.2 Coupling strength – g
量子ビットと共振器の結合強度 g の測定。量子ビットと共振器の間の大きな共振周波数のずれのため、
量子ビットと共振器間のフォトンの交換率の時間分解測定を直接行うことはできなかった。代わりに、
第3章で議論された離調効果を使用した。具体的には、式(3.20)によって g と離調シフト χ を結びつ
けた。
測定された結合強度は、表6.1に示されている。測定条件は、文献を参照。
129
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.1 Characterization
6.1.3 Resonator transient response rate – κr
共振器と環境との結合の強さである漏れ率 κr を測定。共振器と量子ビットの結合項から、量子ビット
の周波数が共鳴器の光子によって次のようにシフトすることがわかる。
ここで、n は共鳴器内の光子の数である。量子ビットの周波数シフトは光子数に比例するため、δω10
の減衰時間の測定は n の時間減衰定数、すなわち κr を測定することになる。
130
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.1 Characterization
6.1.3 Resonator transient response rate – κr
我々は、リングダウン法を用いて時間減衰定数 κr を測定した。パルスシーケンスは図6.3(a)に示さ
れている。量子ビットを |0>に置いた状態で、測定周波数で共鳴器に刺激パルスを送る。このパルス中
に、共鳴器に光子が蓄積され、n が増加し、Eq. (6.2) に従って ω10 がシフトする。共鳴器の駆動パルス
が切れ、共鳴器は自由にリングダウンする。
(中略)
測定された κr の値は、目標値よりも約50%低かった。この不一致は、私たちのチップでは理解されて
いない。
131
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.1 Characterization
6.1.3 Resonator transient response rate – κr Fig 6.3 測定パルス中の共鳴器の光子占有状態。
a)共振器と量子ビットを制御するために使用されるIQミキサーのIポー
トに適用される制御シーケンス。共振器に2つの測定パルス(緑色)を
適用する。パルスの初めに強調があることに注意。これにより、共鳴
器のリングアップタイム1/κrよりも速く共鳴器をリングアップさせる効
果がある。最初のパルス中に、可変時間τと周波数で量子ビットにπパ
ルス(青色)を適用し、量子ビットが励起されるのはωprobeが量子
ビットの周波数と一致する場合だけ。2番目の測定パルスは、πパルス
によって量子ビットが励起されたかどうかを確認。
b)量子ビットの励起確率(カラースケール)とπパルスの時間と周波
数の関係。高い量子ビットの確率の曲線は、測定パルス中の時間に対
する量子ビットの周波数の測定を提供する。
c)共鳴器の光子占有状態に変換された量子ビットの周波数(式(6.2)
を使用)。赤い曲線は指数関数的なフィットである。
132
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.1 Characterization summary
6.1.1 Resonator frequencies
 4つの共振器のうち、3つの共振器の周波数は、目標値から32 MHz以内であり、間隔は目標値から6 MHz以
内。ただし、残り1つの共振器、Q3の共振器は113 MHz高すぎた。このエラーの原因はわかっていない。
おそらくチップのフォトリソグラフィマスクのジオメトリを定義するコンピュータファイルの誤りか、共
振器に物理的な欠陥があってGNDにショートしてしまった可能性がある。これにより、共振器の電気的な
長さが短くなり、周波数が上昇したと思われる。
6.1.2 Coupling strength – g
 表6.2を見ると、設計値に近い値もあれば、離れている値もある。この値はどの程度許容されるものなのか
(OKなのか、NGなのか)記載は見当たらなかった。
6.1.3 Resonator transient response rate – κr
 目標値に対して、値は50%低かった。
133
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.2 Photon number calibration
前のセクションより
 n はphotonの数。
 交流シュタークシフト(AC Stark Shift)を使用して共振器の光子数を測定する方法を示した。
 Eq. 6.2 を使用して、δω10 の時間分解測定を、 n の時間分解測定に変換した。
また、共振器ドライブの振幅と n の定常状態値の間のキャリブレーションも必要である。
駆動振幅を共振器のフォトン数に対応させるために、𝑛 = 𝑚𝐴2 という関係を用いる。
134
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.2 Photon number calibration
共鳴器駆動の振幅に対する量子ビットの周波数の測定が得られる。これは図6.4に示されている。
135
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.3 Stimulated qubit transitions
量子ビット状態の測定の視認性は、より多くの散乱光子(scattered photons)を収集するにつれて向
上する。したがって、より高い出力のパルスを使用して測定回路をプローブすることは、測定の視認
性を向上させるはずである。ただし、光子数が多い場合、共鳴器の光子は|0 状態と|1 状態間の量子
ビットの遷移を引き起こす[19, 44]。その量子ビットdisruptさせずに、測定システムをどれだけ強く駆
動できるかを確定するために、共振器駆動の強さの関数として量子ビット状態の遷移を測定した。
我々は量子ビットを|0 状態または|1 状態に準備し、その後可変パワーの測定パルスを適用した。そ
の後、共鳴器を自由にリングダウンさせ、最終的に測定パルスで共鳴器をプローブして量子ビットの
状態を決定した。このパルスシーケンスは図6.5aに示されている。この方法で、初期状態{|0 、|1 }から
終状態{|0 、|1 、|2 }への量子ビットの遷移の確率を駆動DACの振幅の関数として測定した。そして、
DAC振幅を共鳴器の光子数に変換するために、ac Stark Shift のキャリブレーションを使用した。
136
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.3 Stimulated qubit transitions
図6.5bに示されているように、光子数が十分に高い場合には、刺激された量子ビットの状態遷移が急
激に始まることが観察される。図6.5bに示されているように、|1 状態から|0 状態への遷移は、光子数
が約100以上のところで急に始まる。対応する遷移である|0 状態から|1 状態への遷移は、光子数が約
175以上のところで始まる。また、初期状態から|2 状態への遷移も観察されることに注意する。
137
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.3 Stimulated qubit transitions
図6.5 量子ビットを刺激する測定パルスによる状態遷移。
a) パルスのシーケンス。量子ビットは、青で示されるように、
アイドル状態(π-パルス)で|0 (|1 )状態に準備される。
その後、緑で示されるように測定共振器を可変出力パルスで
駆動する。このパルスは量子ビットの状態遷移を引き起こす
可能性がある。リングダウン期間の後、測定共振器を低出力
パルスでプローブし、量子ビットの状態を測定する。
b) 初期状態が|0 または|1 の場合の量子ビットの最終状態の確
率。各「|i → |f 」でラベル付けられた曲線は、状態|i で
準備された量子ビットがシーケンスの終わりに状態|f で測
定される確率を示している。
138
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.3 Stimulated qubit transitions
少ない光子数では、遷移のない確率(例:|0 → |0 )が1ではない。これに寄与する主要な要因は、
アイドル状態では量子ビットが完全に基底状態にあるわけではない。アイドル状態では4%から8%の|1
の存在が観測され、|0 → |0 の確率は0.92 - 0.96でしかないということを意味している。同様の影響が、
少ない光子数において|1 → |0 を生じさせている。量子ビットが誤って|1 に準備されている場合、|1
を準備するためのπパルスが誤って|0 に量子ビットを置くことになるため、これが少ない光子数におい
て|1 → |0 の nonzeroの確率として現れる。
これらのデータを使用して、最大使用可能な光子数を選択した。一般的な指針として、量子ビット
状態遷移の急激な始まりの値の半分の光子数をkeptした。その正確な値は、各量子ビットのgの値と∆
の操作値に依存した。後で、時間依存測定信頼性の解析において、信頼性の数値自体が励起された量
子ビット遷移の確率に強い制約を与えているがわかるだろう。これは、実験が量子ビット状態を維持
する値の光子数で行われたことの追加の示唆を与える。
139
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.3 Stimulated qubit transitions
6.3.1 Comparison with theory
量子ビットの遷移が誘起される正確な光子数、およびnが増加する急激な起点は、理論的な文献では明
確に理解されていない。この物理現象の特性評価と理論的な理解は、現在の研究から当然継続される
ものになるだろう。
140
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6. 4 Coherence
バンドパスフィルタは、κrT1の値を向上させるために設計された。6.1.3節で、1/19 nsという速いκrの値
を我々は見た。これにより、量子ビットのT1が保護されていることを確認する必要がある。各量子
ビットのT1を異なる周波数範囲で測定し、800 MHzを超える範囲Δで、典型的な値は10 µsから12 µsの
間であった。量子ビット2のフルデータセットを図6.6に示す。フィルタを使用しない場合、∆ = 800
MHzのときのT1制限は ∆ 𝑔 2
𝑘𝑟 = 3.2 μ𝑠 である。測定されたT1の値がこの制限を超えているため、
フィルタは量子ビットをうまく保護したことがわかる。もちろん、量子ビットのT1はフィルタによっ
て許容される上限には達していない。これは意図的なことで、測定回路が量子ビットの追加のデコ
ヒーレンスを引き起こさないようにしたかったためである。言い換えれば、量子ビットのT1は測定回
路以外の損失経路によって支配されていた。
141
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6. 4 Coherence
図6.6 量子ビット Q2の周波数に対するエネル
ギー減衰時間T1。測定共振器の周波数が量子
ビットよりも上にあるため、T1が増加するに
つれてT1に下降トレンドが見られないことか
ら、測定回路が量子ビットの減衰を支配して
いないことが示されている。T1の値は約10µs
前後に分布しており、これはフィルターがな
い場合に予測されるパーセル限界よりも数倍
大きい。5.2 GHzでのT1の減少と乱れは、この
実験では使用されていない共振器バスへの結
合に起因している。
142
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.5 Time dependence and accuracy
6.5 節では、測定精度とその積分時間への依存性について説明する。ここで提示される結果は、この論
文の主な成果である。
143
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.5 Time dependence and accuracy
6.5.1 State preparation – heralding
我々は、量子ビットがアイドル状態にあるときに励起状態になる確率が5%〜8%であることを発見した。
この初期化エラーを測定プロセスの特性評価から取り除くために、通知(heralding)[19]を使用する。
各パルスシーケンスは測定パルスで始まり、この最初の測定パルスが|0>を生成する実験の繰り返しの
みが保持さる。この方法によって、事実上、各パルスシーケンスの開始時に量子ビットを|0>に強制す
る。この通知プロセスにより、後述するように、|0>の準備確率が99.3%以上になる。
144
参考文献 163
Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits
6. Results
6.5 Time dependence and accuracy
6.5.2 Fidelity at fixed measurement time
145
appendix
D. SINGLE-QUBIT GATES
参考文献 194
METROLOGY OF QUANTUM CONTROL AND MEASUREMENT IN SUPERCONDUCTING QUBITS
146
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
1. πパルスが適用される際に、状態 |1 にある量子ビットが |2 に励起されることや、直
接的に|0 から励起されることがあるため、 Leakage Errorの影響が、起こる。πパルス
の間、量子ビットはある程度の時間を状態 |1 で過ごすからである。
2. Phase Errorは、ドライブの存在によって、|1 と|2 のレベル間に反発が生じるために
起こる。これにより、パルスが適用されると 𝜔𝑞
0→1 が変化する。これにより、|0 と|1
の間に相対位相の蓄積が生じる。194
 DRAG procedure195-197(Derivative Reduction by Adiabatic Gate、断熱ゲートによる微分
還元)は、これらの2つの影響に対抗するために、位相差の成分に追加の信号を適用す
ることを目指している。
147
参考文献 194
Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits
(URL: https://web.physics.ucsb.edu/~martinisgroup/theses/Chen2018.pdf)
目次
1. Introduction to Quantum Computing
2. Superconducting Transmon Qubits
3. Superconducting Qubit Fabrication
4. Experimental Infrastructure for Superconducting Qubits
5. Single Qubit Calibration
6. Single Qubit Benchmarking
7. Measuring and Calibrating for Two State Errors
8. Two Qubit Calibration and Benchmarking
9. Readout Induced Qubit Transitions
10. Conclusion
148
参考文献 194
Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits
4. Experimental Infrastructure for Superconducting
Qubits
149
参考文献 194
Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits
4. Experimental Infrastructure for
Superconducting Qubits
150
参考文献 194
Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits
4. Experimental Infrastructure for
Superconducting Qubits
151
参考文献 195
Simple pulses for elimination of leakage in weakly nonlinear qubits(URL:
https://arxiv.org/pdf/0901.0534.pdf)
概要
量子コンピューティングの実現において、非調和振動子の多くのエネルギーレベルから二準位
系(量子ビット)がしばしば単独で取り上げられる。これらの場合、リークレベルとの結合に
より、短時間スケールでの単純な量子ビット制御は失敗する。私たちは、任意の単一制御のア
ナログパルスまたはピクセル化パルスから、このリークを抑制するための容易に実装可能な解
析的な方式を提供する。それは、最初の制御に比例した時間微分の第二の制御を追加すること
に基づく。超伝導量子ビットの現実的なパラメータに対して、この考え方により、最先端技術
に比べて誤差が1桁改善される。また、スムーズかつ実現可能なパルス形状に基づいている。こ
れらの結果は、弱い非調和性でも量子ゲートの実装に制限要素ではなく、一般的に十分である
ことを示している。
152
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
 その仕組みは、波形のエンベロープ s(t) を以下のように修正することである。
 ここで、λ は無次元のスケーリングパラメータであり、λ = 0 はDRAG pulse がない状態
を表し、𝑠(𝑡) は s(t) の時間微分である。
 理論的には、dephasing error (位相ズレ誤差)を低減するための最適な選択肢は
λ = 0.5であり、Leakage error を低減するための最適な選択肢は λ = 1 である。196-198
 式(101)においてIとQを入れ替えることは、Q成分に対するDRAG pulse の適用を意味す
る。
153
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
 波形196(δf = 0は量子ビットの周波数に対応するように定義される)に周波数の離調
子パラメーター(detuning parameter) δf を導入することにより 、つまり以下のように
定義される。
 Leakage Errorを最小限にするために、λ を選定し、そうすると同時に、Phase Error も
低減される。199
 同様に、適切な Virtual-Z gate の使用により、Leakage Error を減少させるためのDRAG
pulse と組み合わせて Phase Error を減少させることも可能である。192
154
D. Single-qubit gates
3. The DRAG scheme
 現代の DRAG pulse を使用した 1量子ビットゲートは、通常、
F1qb(ゲートの信頼性)≳ 0.99 に達している。65,67,199,202-205
 スペクトル的に混雑したデバイスでの 1量子ビットゲート操作には、他の技術も存在
する。
155
appendix
QUTIPS:QUANTUM TOOLBOX IN PYTHON
156
QuTiP:Quantum Toolbox in Python
 https://qutip.org/downloads/4.7.1/qutip-doc-4.7.pdf
 現実世界で遭遇するすべての量子システムは、開放型の量子システムである。なぜなら、外部との不要な相互作用の影響を
実験的に排除するために十分な注意が払われていても、対象となるシステムと外部世界との微小ながらも存在する結合が残
るからである。さらに、システムに対するどんな測定も、測定装置との結合を伴うため、外部の影響源を追加することにな
る。したがって、システムとその環境との相互作用を考慮するための必要なツール(理論的および数値的なツール)を開発
することは、実用的な量子システムのダイナミクスを理解するための重要なステップである。
 一般的に、最も基本的なハミルトニアンを除いて、システムダイナミクスの解析的な記述は不可能であり、運動方程式の数
値シミュレーションに頼る必要があある。量子コンピューターがない場合、これらのシミュレーションは指数的に増加する
ヒルベルト空間の次元に制約され、効率的にシミュレートできるシステムのサイズが制限される。ただし、量子光学、ト
ラップされたイオン、超伝導回路デバイス、そして最近ではナノメカニカルシステムなどの多くの分野では、効果的な振動
子およびスピンコンポーネントを少数使用し、限られた量の量子によって励起されるシステムを設計することが可能で、切
り詰められたヒルベルト空間でクラシカルなシミュレーションに適している。
 Pythonプログラミング言語で書かれたオープンソースのフレームワークである「Quantum Toolbox in Python」、または
「QuTiP」は、上記のようなシステムの開放型量子ダイナミクスをシミュレートするために設計されている。このフレーム
ワークは、以下の利点を提供することで他の利用可能なソフトウェアソリューションと区別される:
157
QuTiP:Quantum Toolbox in Python
 QuTiPは完全にオープンソースソフトウェアに依存しており、ライセンス料や制限なしに自由に変更
および使用できる。
 QuTiPはPythonスクリプト言語に基づいており、変更後にコンパイルする必要がないため、読みやす
く、迅速なコード生成を提供する。
 QuTiPの数値計算は、Numpy、Scipy、およびCythonライブラリのおかげでCコードの速度で実行され
る、実績のあるアルゴリズムに基づいている。また、これらのアルゴリズムは、プロプライエタリソ
フトウェアで使用されているアルゴリズムと多くの点で同じである。
 QuTiPは、(ほぼ)任意の時間依存性を持つハミルトニアンのダイナミクスを解くことを可能にし、
崩壊演算子も含める。
 時間依存性の問題は、パフォーマンス向上のために実行時に自動的にC++コードにコンパイルされる
ことがある。
 ほぼすべての現代コンピューターに備わっている複数の処理コアを活用する。
 QuTiPは、Sze M. Tanの人気のある量子光学ツールボックスを使用経験があるユーザーにとって、学
習コストを最小限に抑えるように設計された。
 優れたMatplotlibパッケージを使用して、高品質のプロットとアニメーションを作成する機能を含んで
いる。
 詳細な情報については、QuTiPの各リリースごとの新機能に関する変更ログを確認。
158
QuTiP
 https://qutip.org/downloads/4.7.1/qutip-doc-4.7.pdf
159
appendix
SCQUBITS
160
scqubits: a Python package for
superconducting qubits
 https://arxiv.org/pdf/2107.08552v2.pdf
 scqubitsは、超伝導回路をシミュレートおよび分析するためのオープンソースのPythonパッケージで
あり、量子ビットをシミュレートおよび分析するためのものである。このパッケージは、transmon,
fluxonium, flux, cos(2φ) , 0-π量子ビットなど、一般的な超伝導量子ビットのエネルギースペクトルを
取得するための便利なルーチンを提供する。また、scqubitsには、計算されたスペクトルデータを視
覚化するためのさまざまなオプションも備えており、外部パラメータの関数としてのエネルギーレベ
ルのプロット、さまざまな演算子の行列要素の表示、および量子ビットの波動関数を簡単にプロット
する手段などがある。これらのツールの多くは、単一の量子ビットに制限されるものではなく、連結
された超伝導量子ビットと調和的(または弱非調和的)モードから成る複合ヒルベルト空間にも適用
できる。このライブラリは、一般的に考慮されるさまざまなノイズチャネルに起因する量子ビットの
コヒーレンス時間を推定するための多くのメソッドを提供している。
 scqubitsのすべての機能はプログラム的にアクセスできますが、パッケージはまた、いくつかのク
リックで関連するPythonオブジェクトを作成し、さまざまなプロットを介してその特性を探索するの
に役立つGUIのようなウィジェットを実装している。該当する場合、ライブラリはマルチプロセッシ
ングを介して複数のコアの計算能力を利用する。さらに、scqubitsはPythonのQuantum Toolbox
(QuTiP)パッケージへの直接インターフェースも提供しており、ユーザーが効率的にQuTiPの証明さ
れた能力を活用できるようにしている。
161
scqubits: a Python package for
superconducting qubits
 API > Modules > Transmon の例
162
appendix
QUPULSE
163
qupulse: A Quantum compUting PULse parametrization and
SEquencing framework
 https://github.com/qutech/qupulse
 QuPulseプロジェクトは、物理的な量子ビットのパルス駆動状態操作を含む実験を容易にす
るソフトウェアツールキットを提供することを目指している。
 これは、パルスの高レベルでハードウェアに依存しない表現を提供し、この表現をハード
ウェア固有のデバイス命令と波形に変換し、これらの命令を実行し、対応する測定を行う
手段を提供する。
 パルスは事前に定義されたサブパルスから構築でき、低レベルのパルスから高レベルのパ
ルスを簡単に構築し、以前の作業を再利用することができる。さらに、すべてのパルスは
パラメータ設定可能であり、ユーザーはパルステンプレートを特定のハードウェアや機能
に合わせて微調整し、適応させることができる。有意義なパラメータ値を確保するために、
パルスごとにパラメータに制約を設定できる。
164
qupulse: A Quantum compUting PULse parametrization and
SEquencing framework
 https://github.com/qutech/qupulse
 Status and stability
 QuPulseライブラリは、RWTHアーヘン大学(ドイツ)の第2物理学研究所の量子テク
ノロジーグループによって効果的に使用されている。そのため、パルスの定義など、
一部の機能はほとんど完成しており、テストも行われており、インターフェースは大
部分が安定していると期待されている(または変更が後方互換性を保つことが期待さ
れている)。主要な目標は、新しいQuPulseのバージョンでも実験が繰り返し可能であ
ること。ただし、これが長期的に使いやすさを向上させる場合、コードベースの既存
の部分を再設計する可能性も残っている。
165
qupulse: A Quantum compUting PULse parametrization and
SEquencing framework
 https://github.com/qutech/qupulse
現在のQuPulseの機能リストは以下の通り:
1. Pythonでの複雑な(任意に深くネストされたりループされたりする)パラメータ化されたパルスの定
義(測定ウィンドウを含む)
2. パラメータ値とパラメータ制約の数学的式評価(sympyベース)
3. パルスのシリアル化(永続的な保存を可能にするため)
4. ハードウェアモデルの表現
5. ハイレベルなパルスからハードウェア構成と波形への変換ルーチン
6. Tabor Electronics、Tektronix、Zurich Instruments AWGsおよびAlazarTech Digitizers向けのハードウェ
アドライバ
7. QuPulse機能にアクセスするためのMATLABインターフェース
保留中の変更は`changes.d`サブディレクトリに追跡され、`towncrier`ツールを使用してリリース時に
`RELEASE_NOTES.rst`に公開されている。
166
qupulse: A Quantum compUting PULse parametrization and
SEquencing framework
 https://github.com/qutech/qupulse
 Requirements and dependencies
 QuPulseには少なくともPython 3.8が必要であり、3.8、3.9、および3.10でテストされている。
また、外部のPythonパッケージを依存関係として使用している。依存関係のインストール
スクリプトで依存パッケージのバージョンを制限しないように意図的にしている。これに
より、互換性がある可能性のある新しいバージョンの依存パッケージの使用が制限されな
いようにしている。ただし、特定の依存パッケージのバージョンに関する問題が発生した
場合は、問題を報告してください。
 TaborAWGsのバックエンドには、こちらで見つけることができるパッケージが必要。簡単
な方法として、Pythonインタープリタから
`qupulse.hardware.awgs.install_requirements(‘tabor’)`を使用してインストールできる。
 AlazarTechカードのデータ取得バックエンドには、残念ながらオープンソースではない
パッケージが必要。必要な場合や質問がある場合は、`simon.humpohl@rwth-aachen.de` に
連絡。
167
appendix
QISKIT
168
Qiskit
 Summary of Quantum Operations
 https://qiskit.org/documentation/tutorials/circuits/3_summary_of_quantum_operations.html
 In this section we will go into the different operations that are available in Qiskit Terra. These
are:
• Single-qubit quantum gates
• Multi-qubit quantum gates
• Measurements
• Reset
• Conditionals
• State initialization
 We will also show you how to use the three different simulators:
• unitary_simulator
• qasm_simulator
• statevector_simulator
169
Qiskit
Pulse gates
 https://qiskit.org/documentation/tutorials/circuits_advanced/05_pulse_gates.html
 ほとんどの量子アルゴリズムは回路操作だけで説明できる。プログラムの低レベルの
実装に対するより多くの制御が必要な場合、パルスゲートを使用できる。パルスゲー
トは、基本ゲートのみを使用して回路を実行する制約を取り除き、また任意の基本
ゲートのデフォルトの実装を上書きすることも可能にする。
 パルスゲートは、論理回路ゲート(たとえば、X)をQiskit Pulseプログラムであるスケ
ジュールにマッピングすることを許可する。このマッピングはキャリブレーションと
呼ばれる。高い忠実度のキャリブレーションは、それがマッピング元の論理操作(た
とえば、XゲートキャリブレーションがXゲートの動作を忠実に実装するかどうかな
ど)を忠実に実行するものである。
170
A Quantum Engineer's Guide to Superconducting Qubits - Qubit Control
A Quantum Engineer's Guide to Superconducting Qubits - Qubit Control

More Related Content

What's hot

The 5 elements of IoT security
The 5 elements of IoT securityThe 5 elements of IoT security
The 5 elements of IoT securityJulien Vermillard
 
Mba 618 global strategy 2011
Mba 618 global strategy 2011Mba 618 global strategy 2011
Mba 618 global strategy 2011Vignesh S Kumar
 
工業機器人 應用與發展
工業機器人 應用與發展工業機器人 應用與發展
工業機器人 應用與發展Collaborator
 
Da Vinci - A scaleable architecture for neural network computing (updated v4)
Da Vinci - A scaleable architecture for neural network computing (updated v4)Da Vinci - A scaleable architecture for neural network computing (updated v4)
Da Vinci - A scaleable architecture for neural network computing (updated v4)Heiko Joerg Schick
 
Лекция 6. Совместный закон распределения
Лекция 6. Совместный закон распределенияЛекция 6. Совместный закон распределения
Лекция 6. Совместный закон распределенияKurbatskiy Alexey
 
Suicide (in finnish)
Suicide (in finnish)Suicide (in finnish)
Suicide (in finnish)aikkuinen
 
Presentation on IOT SECURITY
Presentation on IOT SECURITYPresentation on IOT SECURITY
Presentation on IOT SECURITYThe Avi Sharma
 
Security issues in FPGA based systems.
Security issues in FPGA based systems.Security issues in FPGA based systems.
Security issues in FPGA based systems.Rajeev Verma
 
Fuzzy Logic in the Real World
Fuzzy Logic in the Real WorldFuzzy Logic in the Real World
Fuzzy Logic in the Real WorldBCSLeicester
 
Auto encoding-variational-bayes
Auto encoding-variational-bayesAuto encoding-variational-bayes
Auto encoding-variational-bayesmehdi Cherti
 
Kivy Talk Python Meetup Innsbruck 2017.04.25
Kivy Talk Python Meetup Innsbruck 2017.04.25Kivy Talk Python Meetup Innsbruck 2017.04.25
Kivy Talk Python Meetup Innsbruck 2017.04.25Robert Niederreiter
 

What's hot (20)

Networking
NetworkingNetworking
Networking
 
The 5 elements of IoT security
The 5 elements of IoT securityThe 5 elements of IoT security
The 5 elements of IoT security
 
An introduction to FPGAs and Their MPSOCs
An introduction to FPGAs and Their MPSOCs  An introduction to FPGAs and Their MPSOCs
An introduction to FPGAs and Their MPSOCs
 
Mba 618 global strategy 2011
Mba 618 global strategy 2011Mba 618 global strategy 2011
Mba 618 global strategy 2011
 
AI - Fuzzy Logic Systems
AI - Fuzzy Logic SystemsAI - Fuzzy Logic Systems
AI - Fuzzy Logic Systems
 
工業機器人 應用與發展
工業機器人 應用與發展工業機器人 應用與發展
工業機器人 應用與發展
 
Da Vinci - A scaleable architecture for neural network computing (updated v4)
Da Vinci - A scaleable architecture for neural network computing (updated v4)Da Vinci - A scaleable architecture for neural network computing (updated v4)
Da Vinci - A scaleable architecture for neural network computing (updated v4)
 
IoT introduction
IoT introductionIoT introduction
IoT introduction
 
Лекция 6. Совместный закон распределения
Лекция 6. Совместный закон распределенияЛекция 6. Совместный закон распределения
Лекция 6. Совместный закон распределения
 
Suicide (in finnish)
Suicide (in finnish)Suicide (in finnish)
Suicide (in finnish)
 
IoT Security
IoT SecurityIoT Security
IoT Security
 
Presentation on IOT SECURITY
Presentation on IOT SECURITYPresentation on IOT SECURITY
Presentation on IOT SECURITY
 
Security issues in FPGA based systems.
Security issues in FPGA based systems.Security issues in FPGA based systems.
Security issues in FPGA based systems.
 
edge-computing
edge-computingedge-computing
edge-computing
 
Fuzzy Logic in the Real World
Fuzzy Logic in the Real WorldFuzzy Logic in the Real World
Fuzzy Logic in the Real World
 
Auto encoding-variational-bayes
Auto encoding-variational-bayesAuto encoding-variational-bayes
Auto encoding-variational-bayes
 
Qemu Pcie
Qemu PcieQemu Pcie
Qemu Pcie
 
FPGAs and Machine Learning
FPGAs and Machine LearningFPGAs and Machine Learning
FPGAs and Machine Learning
 
Kivy Talk Python Meetup Innsbruck 2017.04.25
Kivy Talk Python Meetup Innsbruck 2017.04.25Kivy Talk Python Meetup Innsbruck 2017.04.25
Kivy Talk Python Meetup Innsbruck 2017.04.25
 
IoT Applications
IoT ApplicationsIoT Applications
IoT Applications
 

A Quantum Engineer's Guide to Superconducting Qubits - Qubit Control

  • 1. A Quantum Engineer's Guide to Superconducting Qubits Ⅳ QUBIT CONTROL 2023-08-19 I.QONAQAI 1
  • 2. Ⅳ qubit control (4章の目次) 1. In this section (第4章の概要) 2. A. Boolean logic gates used in classical computers 3. B. Quantum logic gates used in quantum computers 4. C. Comparing classical and quantum gates 5. D. Single-qubit gates 6. E. The iSWAP two-qubit gate in tunable qubits 7. F. The CPHASE two-qubit gate in tunable qubits 8. G. Two-qubit gates using only microwaves (CR, bSWAP, MAP, RIP) 9. H. Gate implementations with tunable coupling In this time 2
  • 3. 資料の目次 Ⅳ qubit control 1. In this section (第4章の概要) 2. A. Boolean logic gates used in classical computers 3. B. Quantum logic gates used in quantum computers 4. C. Comparing classical and quantum gates 5. D. Single-qubit gates 6. Quantum Computer and Controller (QuEL-1) 7. Appendix (the table of classical Boolean logic gates) 8. Appendix (Krauss-Cirac Decomposition) 9. Appendix (Solovay-Kitaev theorem) 10. Appendix (ref 163: Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits) 11. Appendix (ref 194: Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits) 3
  • 5. In this section  量子アルゴリズムを実現するために、超伝導量子ビットがどのように操作さ れるかを紹介。  このセクション全体の議論はトランズモン用の現代的な技術に焦点を当てて 行われる。  量子コンピュータだけでなく、古典コンピュータで使用されるゲートについ ても簡単にレビューする。  量子ビットに結合されたマイクロ波伝送線路の容量性結合を通じた1量子ビッ トをドライブする共通の技術について議論する。  Z gates、DRAG pulseについても紹介する。  後半部分(4章 E to H)では、調整可能なトランズモン量子ビット、固定周波 数の量子ビットの両方における2量子ビットの共通の実現についてレビューす る。  1量子ビット、2量子ビットの操作はともに、今日既存の中規模超伝導量子プ ロセッサーの基礎を築いている。 5
  • 6. A. Boolean logic gates used in classical computers 6
  • 7. A. Boolean logic gates used in classical computers  このセクションでは、ブール論理と古典的なコンピューティングの基礎を 紹介し、それが量子コンピューティングの理解の基盤となることを説明し ている。  まず、ブール論理とその基本要素である論理ゲートについて紹介する。そ して、AND、OR、NOTゲートなど、最も一般的な古典的論理ゲートの種 類について説明する。 7
  • 8. A. Boolean logic gates used in classical computers  真理値表とともに Fig.8 において様々な共通の古典論理ゲートが示されて いる。  古典的なブール論理において、ビットは2つの値のうち1つの値をとる。  0の状態: False  1の状態: True  Identity operation以外の、唯一の1ビットブール論理ゲートはNOTゲート である。このゲートは可逆性がある。 注記:identity operation 対象となる全てのオペランドが同じブール値をとるとき,ブール値1を結果として出力するブール演算. これは,否定排他的論理和,または同等一致と呼ばれるもので,EXNORと書かれることが多い. 8
  • 9. A. Boolean logic gates used in classical computers  2ビット論理ゲートについて紹介する。  Input : 2ビット  output: ブール演算の結果  ANDゲートの例: Input Output 0 0 0 0 1 0 1 0 0 1 1 1  不可逆。一旦、演算されてしまうと、Outputではinputの情報が失われて しまっている。次に示すように、様々な2ビット論理ゲートがある。 9
  • 10. A. Boolean logic gates used in classical computers  2ビットの古典論理ゲート  AND and OR  NAND (a combination of NOT and AND) and NOR (a combination of NOT and OR)  XOR (exclusive OR) and NXOR (NOT XOR)  XORゲートは等価(偶奇性?)ゲートであるため、興味深い。  2つの入力の値が同じ場合、論理0に戻る。  2つの入力の値が異なる場合、論理1に戻る。  XORゲートやNXORゲートは、可逆ではない。 XOR and NXOR gates are not reversible 10
  • 11. A. Boolean logic gates used in classical computers  普遍性(universality)という概念は、小さな1ビットゲート、2ビットゲートを使う どんなブール論理アルゴリズムを形成する能力に言及している。  ユニバーサルゲートは、古典ビットによって表される状態空間では、どんな状態も、 どんな他の状態にも、原則として、変えられる。  普遍的な計算を可能にするゲートの組(組み合わせ)は唯一のものではないし、小 さなゲートの組み合わせによって表現される可能性がある。  例として、NOTゲート、ANDゲートはともに、ユニバーサルゲートの組み合わせを 形成する。同様にNANDゲートそれ自身も、普遍的であるし、NORゲートも同様で ある。  任意のブール論理を実行する効率性はゲートの組み合わせの選択に依存する。 11
  • 12. B. Quantum logic gates used in quantum computers 12
  • 13. B. Quantum logic gates used in quantum computers  量子論理(Quantum Logic)は、小さな1量子ビット、2量子ビットによって(古典 論理ゲートと)同じように実行される。  量子ビットは、ブロッホ球上での北極、南極、つまり、古典的状態|0>や |1>状態を 想定している。  しかし、量子ビットはまた、ブロッホ球上のどんな他の位置にも対応して、任意の 重ね合わせの原理(の場所) α|0> + β|1>、も想定している。 13
  • 14. B. Quantum logic gates used in quantum computers  1量子ビット操作(演算)は、特定の軸の一定の角度でブロッホベクトル(スピ ン)を回転ささせることによって、ブロッホ球上のある点から、別の点へ任意の量 子状態を映している。  図9に示されているように、様々な1量子ビット操作がある。  それぞれ、σz 演算子の固有ベクトルによって表される計算上の基礎における量子 演算を説明しているマトリックスによって説明されている。  すなわち、  |0 > ≡ 1 0 𝑇  |1 > ≡ 0 1 𝑇 14
  • 15. B. Quantum logic gates used in quantum computers  identity gateの例:  Identity gateは量子ビットの状態における回転を実行しない。  これは 2 x 2 のマトリックスによって表される。  X gate の例:x軸に対してπだけ回転を実行  Y gate の例:y軸に対してπだけ回転を実行  Z gate の例:z軸に対してπだけ回転を実行  S gate の例:z軸に対してπ/2だけ回転を実行  T gate の例:z軸に対してπ/4だけ回転を実行  H gate の例(Hadamard gate):x-z面に対し対角線の軸についてπ回転を実 行する1量子ビット 15
  • 16. B. Quantum logic gates used in quantum computers  様々な1量子ビットゲート 16
  • 17. B. Quantum logic gates used in quantum computers  様々な1量子ビットゲート 17
  • 18. B. Quantum logic gates used in quantum computers  様々な1量子ビットゲート 18
  • 19. B. Quantum logic gates used in quantum computers  2量子ビット論理ゲートは一般的に conditional gatesであり、入力として2 つの量子ビットを必要とする。  典型的に、最初は制御量子ビット、2つめはターゲット量子ビットである。  ユニタリー演算はターゲット量子ビットに適用され、制御量子ビットの状 態に依存する。  図10に示されている2つの共通の例は、制御されたNOTゲート(CNOT ゲート)と、制御された位相ゲート(CZゲート or CPHASEゲート)であ る。 19
  • 20. B. Quantum logic gates used in quantum computers 20
  • 21. B. Quantum logic gates used in quantum computers  CNOTゲートは、|1>状態である制御量子ビット上で調整されたターゲット 量子ビットの状態を反転させる。  CPHASEゲートは、Zゲートをターゲット量子ビットに適応させ、それは、 |1>状態である制御量子ビットによって調整される。  iSWAP ゲート(もう一つの2量子ビット)はCNOTゲートと1量子ビット ゲートで成り立っている。 21
  • 22. B. Quantum logic gates used in quantum computers  CNOTゲートのユニタリー演算  制御量子ビットの状態に依存するXを適応する  CPHASEゲートのユニタリー演算  最後の等式を比較すると、2つのゲートが密接な関係であるのは明らかで ある。 22
  • 23. B. Quantum logic gates used in quantum computers  CNOTゲート  2つのアダマールゲートを適用することによって、CPHASEゲートから生み 出される場合  前頁の式 23
  • 24. B. Quantum logic gates used in quantum computers  CPHASEゲートは、CZ ゲートとも呼ばれる。 それはCNOT (制御されたX演 算の適用)と同様に、制御された Z 演算を適用するためである。  図10のCPHASEゲートの定義を調べても、どちらの量子ビットがターゲッ トとして機能しているか、どちらの量子ビットがコントロールとして機能 しているかの区別はない。  したがって、回路図は、時に、対照的なファンクションで描かれる。 24
  • 25. B. Quantum logic gates used in quantum computers  CPHASEゲートの観点では、CNOTゲートは、下記のように実現される。  前頁の式 25
  • 26. B. Quantum logic gates used in quantum computers  CNOTゲートやCPHASEゲートのようないくつかの2量子ビットはエンタン グルゲートと呼ばれる。それらは、積状態を入力や出力のエンタングルさ れた状態としてみなされるからである。  これらのゲートは量子論理のユニバーサルゲートの不可欠なコンポーネン トである。  例えば、次の状態にある2量子ビット, A, Bについて考える。 26
  • 27. B. Quantum logic gates used in quantum computers  量子ビットAが制御量子ビット、量子ビットBがターゲット量子ビットと して、CNOTゲートの演算をする場合、結果は次のようになる。  真理値表 Fig.10を参照。 これは切り離された量子ビット-Aと量子ビット-Bに分解できない状態である。これは2量 子ビットの相互作用したベル状態のうちの1つであり、明らかに量子力学的な状態である。 27
  • 28. B. Quantum logic gates used in quantum computers  任意の量子論理を実装するには、1量子ビットと2量子ビットのゲートの普 遍的な集合で十分である。つまり、このゲートセットは原理的には多量子 ビット状態空間のどの状態にも到達できることを意味する。効率的にこれ を行うためには、ゲートセットを構成する量子ゲートの選択に依存する。  また、1量子ビットゲートと2量子ビットゲートのそれぞれが可逆であり、 出力状態から入力状態を一意に決定することにも留意する。  さらに、古典的なゲートと量子ゲートの間のこの違いが生じるのは、量子 ゲートがユニタリ演算Uに基づいているためである。  ユニタリ演算Uが量子ビットに適用される特定のゲートである場合、その エルミート共役(随伴行列)U†を適用することで元の状態を復元できる。 なぜなら、U†U = Iは恒等演算を解決するからである。 28
  • 29. C. Comparing classical and quantum gates 29
  • 30. C. Comparing classical and quantum gates  量子アルゴリズムを表現するために使用されるゲートシーケンスは、古典 的なコンピューティングで使用されるものといくつかの類似点を持ってい るが、いくつかの著しい違いもある。  例えば、図11に示されているように、古典的なNOTゲートと関連する量子 回路を考える。 30
  • 31. C. Comparing classical and quantum gates  古典的なビット反転ゲートは入力状態を反転させるが、一般に量子ビット反転は反転 状態(ブロッホ球上で見た場合)を生成するわけではなく、計算基底で書かれた波動 関数の係数を交換する。  Xは量子ビットに格納された古典的なデータの場合にのみ、古典的なNOTゲートに類 似した動作をする。つまり 𝑋|𝑔 = |𝑔 (ただし、g ∈ {0, 1})という条件の場合にの みである。 31
  • 32. C. Comparing classical and quantum gates  すべての量子ゲートは可逆である。これは、論理演算を実装する演算子が 基礎的にユニタリ性を持つためである。  しかし、量子情報処理で使用される他の一部のプロセスは不可逆である。 具体的には、測定(詳細な議論についてはV章を参照)と環境へのエネル ギー損失(環境の結果状態が分かっていない場合)である。  ここでは、これらのプロセスがどのようにモデル化されるかについては考 慮しないが、関心のある読者には、例えば参考文献178を参照いただく。  また、このセクションの残りの部分では、ユニタリ制御操作のみを考慮し ます。 32
  • 33. C. Comparing classical and quantum gates  量子回路は(適用の順序に従って)左から右に書かれる。ゲートシーケン スの結果の計算は、たとえば回路中の  これは、右から左に演算される。すなわち、 33
  • 34. C. Comparing classical and quantum gates  NORゲートとNANDゲートはそれぞれ古典的なコンピューティングにおいて個別に 普遍的なゲートである。  これらのゲートは直接的な量子的対応がない(可逆性を持たないため)ため、普遍 的な量子コンピュータを構築するためにどのようなゲートが必要かという問いが自 然に生じる。  実際には、ブロッホ球上で任意の軸周りに回転する能力(つまり、完全な単一量子 ビットのゲートセット)に加えて、任意のエンタングルした2量子ビット操作を補完 することで、普遍性が実現できる。  これは、Krauss-Cirac decomposition として知られる手法を使用することによって、 任意の2量子ビットゲートを一連のCNOT操作に分解することができます。178, 180 34
  • 35. C. Comparing classical and quantum gates  共通のユニバーサル量子ゲートセットは下記である。 1. Gate sets and gate synthesis  ここで、𝑃ℎ = 𝑒𝑖θ 1 は単一の量子ビットに全体的な位相𝜃を適用するも のである。 35
  • 36. C. Comparing classical and quantum gates  理論的な観点から特に興味深いもう1つのユニバーサルゲートセットを挙げる 1. Gate sets and gate synthesis  技術的な補足として、離散的なゲートセットへの制限は依然としてユニバーサル性を 持つ。この事実は、ソロヴァイ・キタエフの定理(Solovay-Kitaev theorem)181,182を 使用することに基づいている。  この定理は、𝒢1から𝒪 𝑙𝑜𝑔𝑐 1 𝜖 (𝑤ℎ𝑒𝑟𝑒 𝑐 > 0)の1量子ビットを使用することで、誤 差 𝜖 に近似させることができる。  ゲートセット𝒢1は通常 ‘Clifford +T’セットと呼ばれ、H,S,CNOTは‘Clifford +T’ゲートで ある。 36
  • 37. C. Comparing classical and quantum gates  それぞれの量子コンピュータアーキテクチャは、他のゲート(時に’native’ゲートと呼ば れる)より、ハードウェアレベルで実装するのによりシンプルなゲートを持っている。  それらのゲートは、ゲート実装を制御するハミルトニアンがゲート自身に一致したユニ タリー伝搬関数を引き起こす、典型的なゲートである。  いくつかの例を4章のE,F,Gで示す。  どのゲートが元々利用可能であるかに関係なく、完全なゲートセットがあれば、ソロ ヴァイ・キタエフの定理を使って効率的に他のセットを合成することができる。  一般的に、回路に適用されるゲートの時間ステップの総数(回路の深さと表される)を 可能な限り低く保ちたいものである。また、合成にかかる時間を減らすために、できる だけ多くのネイティブゲートを使用したいものである。 1. Gate sets and gate synthesis 37
  • 38. C. Comparing classical and quantum gates  さらに、量子アルゴリズムを実行することはデバイスの量子ビットへの接続性に依存す る。  ある特定のアルゴリズムを効率的に実装する量子ゲートシーケンスを設計するプロセス はそれぞれ、 gate synthesis, gate compilation,として知られている。  この広範な研究の詳細な議論は、このレビューの範囲外だが、興味のある読者は、例え ば参考文献183-185やそれに含まれる参考文献を参照することで、出発点として活用で きる。 1. Gate sets and gate synthesis 38
  • 39. C. Comparing classical and quantum gates  ゲートの恒等式(同一性)がどのように使用されるかの具体的な例として、式(74)で は、 𝒢1からのアダマールゲートが、 𝒢0からの2つの1量子ビットゲートと、全体のPhase ゲートによって生成されることを示している。 1. Gate sets and gate synthesis 39
  • 40. C. Comparing classical and quantum gates  4章 D1で示すように、ゲート X𝜃、 Y𝜃 、 Z𝜃 は、超伝導量子プロセッサにおいてネイ ティブに利用できる。  次に、1量子ビットの回転と2量子ビット操作がトランズモンを基にした超伝導量子プロ セッサでどのように実装されるかについて説明する。 1. Gate sets and gate synthesis 40
  • 41. C. Comparing classical and quantum gates  トランズモンのような超伝導量子ビットをアドレスするモードは、大まかに2つの主要な カテゴリに分けられる。 I. 共振器(またはフィードライン)と超伝導量子ビットの双極子場の間の、容量結合に より、マイクロ波制御が可能となり、1量子ビットの回転(4章 Dを参照)および特定 の2量子ビットゲート(4章 Gおよび4章 G 4を参照)を実装することができる。 II. Flux-tunable 量子ビットでは、局所的な磁場を使用して個々の量子ビットの周波数を調 整することができる。これにより、Z軸の1量子ビットの回転および複数の2量子ビット ゲートの実装が可能となる(4章 E、 F、 Hを参照)。 2. Addressing superconducting qubits 41
  • 43. D. Single-qubit gates  このセクションでは、超伝導回路へのマイクロ波の容量結合を使用して、1量子ビット ゲートの制御ができることを示すために必要な手順について概説する。  このために、図12(a)に示すように、超伝導量子ビットをマイクロ波源(時には「qubit drive」とも呼ばれる)に結合することを考える。  Fig. 12(a)の回路の完全な回路解析は、このレビューの範囲外なので、ここでは qubit/drive coupling の物理を明らかにするための手順に焦点を当てる。  興味のある読者は、講義ノートや関連する論文(例:参考文献44、163、186-188)を参 照することができる。ここでは、参考文献163に従う。 43
  • 44. D. Single-qubit gates CAPACITIVE COUPLING FOR X, Y CONTROL 44
  • 45. D. Single-qubit gates  最初に、量子ビットを harmonic oscillator としてモデル化する。キルヒホッフの法則か ら出発し、回路量子化の技術を用いて計算される(古典的な)回路ハミルトニアンがあ る。このハミルトニアンは、次の式によって与えられている。163 1. Capacitive coupling for X, Y control  ここで、𝐶Σ = 𝐶 + 𝐶𝑑 はGNDに対する総容量であり、 𝑄 = 𝐶ΣΦ − 𝐶𝑑𝑉𝑑(𝑡) は回路のため に再正規化された電荷変数である。 45
  • 46. D. Single-qubit gates  今、fluxと電荷の変数を量子演算子に昇格させ、drive line への弱結合を仮定することが できる。このため、 𝑄 ≈ 𝑄 となり、次の結果となる。 1. Capacitive coupling for X, Y control  ここで、𝐻𝐿𝐶 = 𝑄2/(2𝐶) + Φ2/(2𝐿)であり、動的変数に結合する項のみを残している。 46
  • 47. D. Single-qubit gates  𝑥, 𝑝 − 空間での harmonic oscillator の運動量演算子のように、電荷変数を上昇演算子 と下降演算子で表現することができる。これは2章で行われたように行う。 1. Capacitive coupling for X, Y control  ここで、𝑄𝑧𝑝𝑓 = ℏ/2𝑍 はゼロ点の電荷ゆらぎを表し、 𝑍 = 𝐿/𝐶 は回路のGNDへのイ ンピーダンスを表す。 47
  • 48. D. Single-qubit gates  したがって、drive line に容量結合されたLC oscillator は、次の通りに表すことができる。 1. Capacitive coupling for X, Y control  最後に、harmonic oscillator の最低エネルギー準位の端数処理をすることにより、𝑎 → 𝜎− と 𝑎† → 𝜎+ の置換をすることができ、次の結果となる。  ここで  Ω = 𝐶𝑑 𝐶Σ 𝑄𝑧𝑝𝑓  𝜔𝑞 = (𝐸1 − 𝐸0)/ℏ 48
  • 49. D. Single-qubit gates  ドライブの役割を明らかにするために、量子ビットと同じ周波数 𝜔𝑞 で回転するフレー ム(「回転フレーム」または「相互作用フレーム」とも呼ばれる)に移行する。  この回転フレームの有用性を確認するために、状態 |𝜓0 >= 1 1 𝑇 2 について考えて みる。時間依存シュレディンガー方程式により、この状態は次の方程式に従って発展す る。 1. Capacitive coupling for X, Y control  ここで、UH0 は H0 に対応する伝播子(プロパゲーター)である。 49
  • 50. D. Single-qubit gates  例えば 𝜓0 𝜎𝑥 𝜓0 = cos(𝜔𝑞𝑡)、 𝜎𝑧 項により、位相が周波数 𝜔𝑞 で巻き 戻っていることが明らかである。  量子ビットの周波数 𝜔𝑞 で回転するフレームに移行することにより、ドラ イブの作用をより明確に理解することができる。  このために、 U𝑟𝑓 = 𝑒𝑖𝐻0𝑡 = 𝑈𝐻0 † と定義し、回転フレームでの新しい状態 を |𝜓𝑟𝑓(𝑡) = U𝑟𝑓|𝜓0 とする。  この新しいフレームでの時間発展は、再びシュレディンガー方程式から求 められる。(略記 𝜕𝑡 = 𝜕 ∕ 𝜕𝑡 を使う。) 1. Capacitive coupling for X, Y control 50
  • 51. D. Single-qubit gates  式(83)の括弧内の項 𝐻0 を、回転フレーム内の 𝐻0 の形式と考えること ができる。  単純な挿入により、期待通りに 𝐻0 = 0となる。(回転フレームは時間依 存性を取り扱うべきである。)  しかしながら、式(83)の括弧内の項を、 U𝑟𝑓 によって与えられる回転フ レーム内の任意のハミルトニアンの形式を計算するための指示として考え ることもできる。この場合、 𝐻0 を他の 𝐻 で置き換える。  一般的には、 𝐻 = 0 ではない場合もある。 1. Capacitive coupling for X, Y control 51
  • 52. D. Single-qubit gates  式(79)に戻ると、回転フレームでの 𝐻𝑑 の形式は次の通りであることが わかる。 1. Capacitive coupling for X, Y control 52
  • 53. D. Single-qubit gates  一般的には、電圧の時間依存部分 𝑉𝑑(𝑡) = 𝑉𝑑𝜐(𝑡) は以下のような一般的な 形式を持つと仮定できる。 1. Capacitive coupling for X, Y control  一般的には、電圧の時間依存部分 𝑉𝑑(𝑡) = 𝑉𝑑𝜐(𝑡) は以下のような一般的な 形式を持つと仮定できる。  ここで、 s(𝑡) は無次元の包絡関数であり、ドライブの振幅は 𝑉0𝑠(𝑡) に よって設定される。定義を採用すると、 53
  • 54. D. Single-qubit gates  回転フレームでの駆動ハミルトニアンは、以下のような形を取る。 1. Capacitive coupling for X, Y control  乗算を行い、平均値がゼロになる高速回転項(すなわち、 𝜔𝑞 + 𝜔𝑑 の 項)を省略することで、回転波近似(RWA)として知られる手法を用いる と、 54
  • 55. D. Single-qubit gates  ここで、δ𝜔 = 𝜔𝑞 − 𝜔𝑑  最後に、式(86)からの定義を再利用することにより、RWAを用いた回 転フレームでの駆動ハミルトニアンは、次のように書くことができる。 1. Capacitive coupling for X, Y control 55
  • 56. D. Single-qubit gates  これにより、位相が同相(𝜙 = 0 、つまり、I 成分)のパルスはx軸周りの 回転に対応し、位相が逆相(𝜙 = 𝜋 ∕ 2 、つまり、Q成分)のパルスはy軸 周りの回転に対応することが示される。  同相パルスの具体的な例として、ユニタリ演算子を展開すると、次のよう になる。 1. Capacitive coupling for X, Y control 56
  • 57. D. Single-qubit gates  これは、回路のマクロな設計パラメータとベースバンドパルスの包絡線で ある s 𝑡 と振幅 𝑉0 にのみ依存し、どちらも任意波形発生器(AWG)を使 用して制御できる。  式(93)は rabi drive として知られ、効率的なゲート操作(利用可能な出 力電圧 𝑉0 に応じて)に必要な回路パラメータを設計するための有用な ツールとして利用することができる。  これを確認するために、次の略記を定義する。 1. Capacitive coupling for X, Y control 57
  • 58. D. Single-qubit gates  これは、キュビットの状態が回転する角度を表すものであり、容量結合、 回路のインピーダンス、振幅𝑉0 および波形の包絡線 s 𝑡 によって与えら れる。  これは、x軸上で 𝜋パルスを実装するためには、方程式Θ(𝑡) = 𝜋 を解き、 量子ビットドライブと位相が一致するように信号を出力する必要があるこ とを意味する。 1. Capacitive coupling for X, Y control 58
  • 59. D. Single-qubit gates  この表現では、パルスのシーケンス(図13(a)を参照)Θ𝑘, Θ𝑘−1, … , Θ0 は、 次の方程式として、量子ビット上でゲート操作のシーケンスに変換される。 1. Capacitive coupling for X, Y control  ここで、𝒯は演算子であり、パルスが U𝑘・・・U1U0 に対応する時間順序で生 成されることを保証する。 59
  • 60. D. Single-qubit gates 1. Capacitive coupling for X, Y control ここで 図13 について説明する。  (a)典型的な量子ビットドライブの回路図。 マイクロ波源は高周波信号(𝜔𝐿𝑂)を供給 し、任意波形発生器( AWG )はパルスの 包絡線( s 𝑡 )を供給する。  AWGによって生成される低周波成分 ( 𝜔𝐴𝑊𝐺 )も含まれる場合がある。  IQミキサーは、2つの信号を組み合わせて周 波数が 𝜔𝑑 = 𝜔𝐿𝑂 ± 𝜔𝐴𝑊𝐺 である形状の波形 𝑉𝑑(𝑡) を生成する。通常、この波形はキュ ビットと共鳴するように調整される。 60
  • 61. D. Single-qubit gates 1. Capacitive coupling for X, Y control 図 13  (b)ゲートシーケンスがAWGによって生成さ れる波形に変換される例。  色は I成分と , Q成分を表している。  (c) 𝑥𝜋∕2 パルスが|0 状態に対して作用するこ とで、|−𝑖 = 1 2 (|0 − 𝑖|1 ) 状態が生成され る。 61
  • 62. D. Single-qubit gates 1. Capacitive coupling for X, Y control  図13では、式(95)で使用されるパルスを 生成するために使用される典型的な IQ変調 セットアップの概要を示している。  図13(a)では、低位相ノイズのマイクロ波発 生器(通常は「ローカルオシレータ (LO)」と呼ばれる)を使用して周波数 𝜔𝑑 のパルスが生成される様子を示している。  また、パルスは LO信号 を IQミキサー で組 み合わせて、AWG で生成されたパルスと形 状を整える。 62
  • 63. D. Single-qubit gates 1. Capacitive coupling for X, Y control  周波数多重化を可能にするために、AWG信 号は通常、低周波成分である 𝜔𝐴𝑊𝐺 を持ち、 LO信号はオフセットされる。  つまり、𝜔𝐿𝑂 + 𝜔𝐴𝑊𝐺 = 𝜔𝑑となる。  複数の周波数( 𝜔𝐴𝑊𝐺1 、 𝜔𝐴𝑊𝐺2 、...)を混 合することで、個々の駆動信号の重ね合わ せを通じ、複数の量子ビット(または読み 出し共振器)に同時にアクセスすることが 可能となる。 63
  • 64. D. Single-qubit gates 1. Capacitive coupling for X, Y control  IQミキサーのI(Q)入力は、ベースバンド 信号をローカルオシレータ(LO)の同相 (反相)成分に乗算する。  図13(b)では、量子回路のXYゲートとAWGで 生成される対応する波形との比較を示して いる(明瞭さのために周波数ωAWG成分は省 略している)。 64
  • 65. D. Single-qubit gates 1. Capacitive coupling for X, Y control  図13(b)のインセットには、(I, Q)軸を示した ブロッホ球上のゲートの例が示されている。  より洗練され、かつコンパクトなアプロー チが存在し、図13に示されているセット アップと比較してXY量子ビット制御に必要 なハードウェアを削減することができる。  詳細については、例として、Ref. 189-191を 参照。 65
  • 67. D. Single-qubit gates 2. Virtual Z gate  第4章D で見たように、x-回転とy-回転の区別は単にマイクロ波信号の位相の選択であり、 回転する角度は Θ(𝑡) によって与えられる。これらはいずれもAWGを使用して生成される。  𝜙 の選択は任意の起点を持っているため、𝜙 → 𝜙 + π/2 と考えることができる。  これにより、I → Q および Q → -I となる。  したがって、位相を変更することは、実質的に、x軸を中心とした回転をy軸を中心とした回 転に変える(逆も同様で、符号が変わる)。  これは、x軸とy軸の回転に対して 𝑍𝜋 回転を適用した結果と似ており、ここで、 𝑍𝜋𝑋𝜋 = 𝑖𝑌𝜋 、 𝑍𝜋𝑌𝜋 = −𝑖𝑋𝜋 である。  AWGで生成された信号の位相をシフトすることと、Z回転を適用することの間の類似性を利 用すると、Virtual Zゲートを実装することができる(参考文献192)。 67
  • 68. D. Single-qubit gates 2. Virtual Z gate  McKayらによって示されたように、この直感は以下の例を通じて形式化することができる。 Iチャネルに角度θのパルス(すなわち、 𝑋𝜃 )を適用した後に、Iチャネル上でさらにθのパ ルスを適用しするが、最初のパルスに対して位相 𝜙0 でずれている。  ( X𝜃 (𝜙0) と表記される。ここで X は I チャネルを使用していることを示しているが、回転軸 は x軸から角度 𝜙0 だけずれている)。  式(95)を用いると、これは以下のようなパルスシーケンスに対応する。 この式から、オフセットの位相 𝜙0 の効果は 𝑍𝜙0 を適用することになる。 68
  • 69. D. Single-qubit gates 2. Virtual Z gate  上記の等式は、三角関数を使って検証することができる。  最後の 𝑍−𝜙0 は、回転が量子ビットの基準フレームであるため。  しかし、読み出しはz軸に沿って行われるため(第5章を参照)、z軸周りの最終位相回転は 測定結果を変えない。 69
  • 70. D. Single-qubit gates 2. Virtual Z gate  したがって、もし以下のゲートシーケンスを実装したい場合、  ここで、𝑈𝑖 が任意のゲート の場合、これは、ゲートシーケンスを変更し、後続のパルスの位相 を変更することで実現することができます。  このようにすることで、全体のゲート数を減らすことができる。  さらに、Virtual Zゲートは「完全」であり、追加のパルスは必要なく、ゲートは「ゼロ時 間」で行われるため、ゲートの信頼性は名目上 unity になる。 70
  • 71. D. Single-qubit gates 2. Virtual Z gate  第4章 E, Fで示すように、2量子ビットゲートの操作では追加の1量子ビットの位相が生じる ことがある。  Virtual Z strategyを使用することで、これらの位相を相殺し、純粋な2量子ビット相互作用を 残すことができる。  最後に、Virtual Zゲートのもう一つの特徴を述べる。Ref.63で示されているように、任意の1 量子ビット操作(グローバル位相を除く)は、次のように書くことができる。 71
  • 72. D. Single-qubit gates 2. Virtual Z gate  適切な 角度θ、𝜙、λ の選択により、単一物理的な 𝑋𝜋/2と Virtual Zを組み合わせることで、 完全な1量子ビットゲートセットにアクセスできることを意味する。  式(100)を具体的な例として挙げると、Hadamardゲートがある。これはH = Z𝜋 2 𝑋𝜋 2 𝑌𝜋 2 と書く ことができるが、Zは仮想的なものであるため、超伝導量子ビットでは効果的な単一パルス 操作としてHadamardゲートを実装することが可能となる。 72
  • 73. D. Single-qubit gates THE DRAG SCHEME 73
  • 74. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme  式 (78)から式 (79)への遷移では、量子ビットの高次準位を 無視できると仮定した。  しかし、トランズモンなどの弱い非調和性を持つ量子ビット の場合、これは正当な仮定ではないかもしれない。なぜなら、 𝜔𝑞 1→2 は 𝜔𝑞(≡ 𝜔𝑞 0→1) と非調和性 𝛼 = 𝜔𝑞 1→2 − 𝜔𝑞 の差だけで あり、これは負の値、かつ通常は200から300 MHz程度であ るため。  この状況は、Fig. 14(a-c)に示されており、標準偏差が σ = {1, 2, 5} ns のガウスパルスは、𝜔𝑞 = 𝜔𝑞 1→2 − 𝛼 周波数と非ゼロ の重なりを持つスペクトル内容を持っていることを示してい る 74
  • 75. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme (Fig. 14) a. 遷移周波数 𝜔𝑑 = 𝜔𝑞 で駆動される弱非調和性ト ランズモン量子ビットの概略のレベルダイアグ ラム。 b. 標準偏差 σ を持つガウス波形。 c. (b)のフーリエ変換。短いパルス長により、 𝜔𝑞 から非調和性α によって分離された 𝜔𝑞 1→2 遷移と の間に重なりが生じることがわかる。 75
  • 76. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme (Fig. 14) d. DRAGモジュレーションのない 𝑋𝜋 パルスの波形。 e. (d)の波形がα = -200 MHz と 𝜔𝑞 = 4 GHzで初期 化された |0 状態の量子ビットに与える影響。 パルス後の |1 からのずれとして、位相誤差が 見える。 f. DRAGモジュレーションのを含んだ 𝑋𝜋 パルスの 波形。α = -200 MHz と DRAGパラメータ λ = 0.5 を持つ量子ビットにおいて、位相誤差をキャン セルするために使用される。(詳細は本文) g. (e)と同じ量子ビットに対する(f)の波形の影響。 QuTiP というソフトウェアのmesolveを使用して 計算されている。 76
  • 77. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme  この状況は、Fig. 14(ac)に示されており、標準偏差が σ = {1, 2, 5} ns のガウスパルスは、 𝜔𝑞 = 𝜔𝑞 1→2 − 𝛼 周波数と非ゼロの重なりを持つスペクトル内容を持っていることを 示している。 (Fig. 14の説明に入る前)  これにより、2つの有害な影響が生じる: 1. 量子ビットを計算部分空間から外れさせるLeakage Error 2. Phase Error 77
  • 78. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme 1. πパルスが適用される際に、状態 |1 にある量子ビットが |2 に励起されることや、直 接的に|0 から励起されることがあるため、 Leakage Errorの影響が、起こる。πパルス の間、量子ビットはある程度の時間を状態 |1 で過ごすからである。 2. Phase Errorは、ドライブの存在によって、|1 と|2 のレベル間に反発が生じるために 起こる。これにより、パルスが適用されると 𝜔𝑞 0→1 が変化する。これにより、|0 と|1 の間に相対位相の蓄積が生じる。194  DRAG procedure195-197(Derivative Reduction by Adiabatic Gate、断熱ゲートによる微分 還元)は、これらの2つの影響に対抗するために、位相差の成分に追加の信号を適用す ることを目指している。 78
  • 79. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme  その仕組みは、波形のエンベロープ s(t) を以下のように修正することである。  ここで、λ は無次元のスケーリングパラメータであり、λ = 0 はDRAG pulse がない状態 を表し、𝑠(𝑡) は s(t) の時間微分である。  理論的には、dephasing error (位相ズレ誤差)を低減するための最適な選択肢は λ = 0.5であり、Leakage error を低減するための最適な選択肢は λ = 1 である。196-198  式(101)においてIとQを入れ替えることは、Q成分に対するDRAG pulse の適用を意味す る。 79
  • 80. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme  実際には、量子ビットへの導線のパルス歪みなどにより、これらの最適値からの偏差 が生じることがある。  通常、 |2 状態の single shot measurement(第5章を参照)を組み合わせた、ランダム 化されたベンチマーキング実験が、最適な λ の値を決定するために、行われる。  λ = {0.5, 1} のトレードオフは、明示的には192、199の論文で示されている。  しかし、元の DRAG pulse の実装を拡張することによって200, 201、両方の Error を同時 に減らすことができる。  波形196(δf = 0は量子ビットの周波数に対応するように定義される)に周波数の離調 子パラメーター(detuning parameter) δf を導入することにより 、つまり以下のように 定義される。 80
  • 81. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme  波形196(δf = 0は量子ビットの周波数に対応するように定義される)に周波数の離調 子パラメーター(detuning parameter) δf を導入することにより 、つまり以下のように 定義される。  Leakage Errorを最小限にするために、λ を選定し、そうすると同時に、Phase Error も 低減される。199  同様に、適切な Virtual-Z gate の使用により、Leakage Error を減少させるためのDRAG pulse と組み合わせて Phase Error を減少させることも可能である。192 81
  • 82. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme  現代の DRAG pulse を使用した 1量子ビットゲートは、通常、 F1qb(ゲートの信頼性)≳ 0.99 に達している。65,67,199,202-205  スペクトル的に混雑したデバイスでの 1量子ビットゲート操作には、他の技術も存在 する。 82
  • 88. Thank you for listening. END 88
  • 89. appendix A. BOOLEAN LOGIC GATES USED IN CLASSICAL COMPUTERS 89
  • 91. appendix C. COMPARING CLASSICAL AND QUANTUM GATES (KRAUSS-CIRAC DECOMPOSITION) 91
  • 92. Krauss-Cirac Decomposition  これは、Krauss-Cirac decomposition として知られる手法を使用することによって、 任意の2量子ビットゲートを一連のCNOT操作に分解することができます。178, 180  文献178  M. A. Nielsen and I. L. Chuang, Quantum Computation and Quantum Information: 10th Anniversary Edition, 10th ed. (Cambridge University Press, New York, NY, USA, 2011). https://www.amazon.co.jp/-/en/Michael-Nielsen/dp/1107002176  文献180  C. P. Williams, Explorations in Quantum Computing, 2nd ed. (Springer Publishing Company, Incorporated, 2008). https://www.amazon.co.jp/Explorations-Quantum-Computing-Computer-Science-ebook/dp/B008BBQWHK  Web検索  The University of Maryland “Quantum Gates” https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf 92
  • 93. The University of Maryland “Quantum Gates” PDF p.57 - 2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition 2つの量子ビット間の相互作用が非自明な量子計算を行うために不可欠であることから、任意の2 量子ビットゲートがCNOTゲートや1量子ビットゲートなどのより基本的なゲートにどのように分解 されるかを理解することは重要である。最初から、必要なCNOTゲートの数が全く明らかではない。 我々が見るように、その答えは対象となる2量子ビットゲートの構造に依存しますが、どの場合でも 3つ以上のCNOTゲートを使用する必要はない [90, 452, 512, 517]。  https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf 93
  • 94. The University of Maryland “Quantum Gates” PDF p.57 - 2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition 任意の2量子ビットゲートを実装できる一般的な回路を見つける鍵は、magic basis transformation を使用することと、KraussとCiracによって発見された任意の2量子ビットゲートの因数分解を組み合 わせることである。KraussとCiracは、任意の4 × 4のユニタリーマトリックスを次の形に分解できる ことを発見した:  https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf ここで、X、Y、Zは3つのPauli行列であり、𝑒𝑀 = 1 + 𝑀 + 1 2 ! (M・M) + 1 3 !(M・M・M)+... は行列指数関数です [277, 296, 562]。また、a、b、c ∈ R です。[277, 296, 562] 94
  • 95. The University of Maryland “Quantum Gates” PDF p.57 - 2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition 我々はすでに任意の1量子ビットゲートのための量子回路を見つける方法を知っているため、Ajの 分解は何であるかに関わらず常に見つけることができる。また、1量子ビットゲートは、核となる2 量子ビットゲートN(a,b,c)のもつれの力を変えることはできないことも知っている。したがって、す べてのアクションは実際には2量子ビットゲートN(a,b,c)に集中しており、これは次のユニタリーマト リックスと等価である:  https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf 95
  • 96. The University of Maryland “Quantum Gates” PDF p.57 - 2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition N(a, b, c)に対する量子回路は図2.39に示されている。 代数的には、次のようになる:  https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf 96
  • 97. The University of Maryland “Quantum Gates” PDF p.57 - 2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition 任意の2量子ビットゲートに対応する行列Uは常にユニタリーであり、その行列式の絶対値は常に1 です、つまり |det(U)| = 1 である。ただし、Uの要素が実数か複素数か、行列式が+1か、それ以外の 可能性の1つ(|det(U)| = 1と一致する)であるか(具体的には-1、+i、または-i)によって、Uを実装 する容易さが異なる。次のように可能性を分類する。:  https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf 97
  • 98. The University of Maryland “Quantum Gates” PDF p.57 - 2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition  https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf 98
  • 99. The University of Maryland “Quantum Gates” PDF p.57 - 2.9 Arbitrary 2-Qubit Gates: The Krauss-Cirac Decomposition 行列Uを実装するために必要なCNOTゲートの数は、Uがどのクラスに属するかに依存する。逆向 きのCNOTを使用して、核となるもつれゲートN(a, b, c)を実装するための回路を次のように記述でき る:  https://iontrap.umd.edu/wp-content/uploads/2016/01/Quantum-Gates-c2.pdf 99
  • 100. appendix C. COMPARING CLASSICAL AND QUANTUM GATES (SOLOVAY-KITAEV THEOREM) 100
  • 101. C. Comparing classical and quantum gates 1. Gate sets and gate synthesis  技術的な補足として、離散的なゲートセットへの制限は依然としてユニバーサル性を 持つ。この事実は、ソロヴァイ・キタエフの定理(Solovay-Kitaev theorem)181,182を 使用することに基づいている。  文献181  Y. A. Kitaev, “Quantum computations: algorithms and errorcorrection,” Russian Mathematical Surveys 52, 1191 (1997). https://iopscience.iop.org/article/10.1070/RM1997v052n06ABEH002155/pdf  文献182  C. M. Dawson and M. A. Nielsen, “The Solovay-Kitaev Algorithm,” Quantum Info. Comput. 6, 81–95 (2006). https://arxiv.org/pdf/quant- ph/0505030.pdf 101
  • 102. “The Solovay-Kitaev Algorithm,” 概要 この教育的なレビューでは、Solovay-Kitaevの定理の証明を、任意の1量子ビッ トゲートを固定かつ有限のセットのゲートの列に効率的にコンパイルする古典的 なアルゴリズムとして示している。このアルゴリズムは、例えばShorのアルゴリ ズムを π ∕ 2^𝑘 の回転を使用して効率的なフォルトトレラント形式にコンパ イルする際に使用できる。このアルゴリズムでは、Hadamardゲート、制御NOT ゲート、 π ∕ 8ゲートのみを使用する。アルゴリズムの実行時間は O(𝑙𝑜𝑔2.71(1 𝜖 )) であり、出力として、望ましい量子ゲートを ε > 0 の精度で近 似することが保証された O(𝑙𝑜𝑔3.97(1 𝜖 )) の量子ゲートの列が生成される。また、 アルゴリズムを多量子ビットゲートやSU(d)のゲートに一般化する方法について も説明している。 102
  • 103. “The Solovay-Kitaev Algorithm,” 結論 Solovay-Kitaevの定理とアルゴリズムは、量子コンピューティングの理論にお ける基本的な結果であり、今後の量子コンピューターの実装において、Shorのよ うな量子アルゴリズムをフォルトトレラントな形式にコンパイルする際に、これ らの結果のバリエーションが使用される可能性が高い。この論文の中でこれらの 結果についての議論は、キーとなるアイデアを明らかにするために最適化された ものであり、精度と効率を最適化することは考慮されていない。これらの構築が どれだけ改善できるかを決定することは興味深い未解決問題であり、Solovay- Kitaevアルゴリズムのバージョンを開発して、最適または近似的に最適な精度と 効率を達成する可能性を検討することが課題となっている。 103
  • 104. appendix D. SINGLE-QUBIT GATES 参考文献 163 FAST, ACCURATE STATE MEASUREMENT IN SUPERCONDUCTING QUBITS 104
  • 105. D. Single-qubit gates  Fig. 12(a)の回路の完全な回路解析は、このレビューの範囲外なので、ここでは qubit/drive coupling の物理を明らかにするための手順に焦点を当てる。  興味のある読者は、講義ノートや関連する論文(例:参考文献44、163、186-188)を参 照することができる。ここでは、参考文献163に従う。 105
  • 106. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits URL: https://web.physics.ucsb.edu/~martinisgroup/theses/Sank2014.pdf 目次 1. Introduction 1. Information processing machines 2. Quantum Bits 3. Superconducting Qubits 4. Fault tolerance 2. Measuring a Qubit’s State 1. Measuring is hard 2. Examples 3. The transmon qubit – RF measurement 106
  • 107. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 目次 3. Dispesive Measurement 1. Introduction 2. Dispersive Hamiltonian 3. Scattering 4. Qubit measurement 5. Fresnel lollipops – separation error 6. Measurement induced dephasing 1. Information theoretic approach 2. Physical mechanism approach 3. Amplifier 7. Resonator energy to output power ratio 1. Resonator internal energy 2. Output power 3. Ratio 107
  • 108. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 目次 4. Bandpass Filter 1. Rationale 2. Analysis 3. Circuit parameters 4. Device 1. Layout 2. Filter 3. Measurement resonators 4. Mode shape coupling factor 5. Prameters 5. Fabrication 108
  • 109. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 目次 5. Experimental Setup and Methods 1. Wiring 1. General view 2. Noise attenuation and filtering 3. Output line 2. Parametric amplifier 3. Signal generation 4. Signal detection 5. Parametric amplifier 109
  • 110. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 目次 6. Results 1. Characterization 1. Resonator frequencies 2. Coupling strength – g 3. Resonator transient response rate - 𝒦𝓇 2. Photon number calibration 3. Stimulated qubit transitions 1. Comparison with theory 4. Coherence 5. Time dependence and accuracy 1. State preparation – heralding 2. Fidelity at fixed measurement time 3. Time dependence 4. Multiplexed measurement 6. Measurement efficiency 110
  • 111. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 目次 A) Quantum Mechanics Reference A) Commutators A) Products B) Translation by an operator C) Baker-Campbell-Haudorff D) Conjugate Variables B) Pauli operators A) Resprensentation B) Products and commutators C) Rranslation C) Rotating Frame 111
  • 112. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 目次 B) Quantum Oscilator Reference A) General Form A) Zero point fluctuation B) Algebra C) Equations of Motion C) IQ Mixer A) Modulation B) Demodulation to baseband C) Demodulation to DC D) Demodulation Mixer Imbalance 112
  • 113. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 目次 D) Formal Theory of Superconducting Qubits A) Introduction – Prallel LC B) Driving A) Summary – Simple derivation C) Coupling A) Capacitive coupling B) Summary – Simple derivation D) Rotating Frame A) Operators B) Driving C) Coupling E) Discrete Fourier transform of White Noise 113
  • 114. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 目次 E) Discrete Fourier transform of White Noise A) White noise A) Distribution of r2 B) Correlated noise F) External Loading of a Resonant Mode F) Parallel-Series Equivalence F) Large Q limit G) Loaded resonant mode 114
  • 115. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 2. Measuring a Qubit’s State この章では、超伝導量子ビットにおける状態測定の基本物理学について議論する。状態測定の物理的 な背景と歴史的な経緯を説明し、読者がこの論文で行われた研究の動機や後続の章で紹介される技術 的な詳細をより理解しやすくすることを目指す。 この章は3つのパートに分かれている。 1. 最初のセクションでは、状態測定が一般的に難しい問題である理由と、量子コンピュータでの状態 測定の要件について説明する。 2. 2番目のセクションでは、さまざまな種類の超伝導量子ビットで使用される基本的な測定メカニズ ムについて議論する。 3. 3番目のセクションでは、最新の超伝導量子ビットで使用される状態測定メカニズムの根拠を説明 し、この論文での研究が従来の技術を改善することを意図していた方法について説明する。 115
  • 116. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 3. Measuring a Qubit’s State 前の章では、歴史的な調査と定性的な議論を通じて、分散測定が量子ビットのコヒーレンスを一部保 持しながら、マルチプレックスされた量子ビットの測定を可能にすることがわかった。本章では、分 散測定を詳細に定量的に分析する。 分散測定では、量子ビットが線形共振器と共鳴しない位置に結合されるため、共振器の周波数は量子 ビットの量子状態に依存する。共振器内の光子は、共振器の周波数とそれによって量子ビットの状態 が変化する位相シフトを獲得する。つまり、光子は量子ビットの状態に応じて「分散」される。した がって、量子ビットの状態は共振器を探索し、出力光子の位相を測定することで測定される。分析は 自然に2つのステップで行われる。まず、量子ビットが大きな共振器と共鳴しない位置に結合する系に 対するハミルトニアンを展開する。ハミルトニアンから、共振器の周波数シフトを、量子ビット-共振 器の結合強度や共鳴外のデチューニングなどの他のパラメータと関連づける方程式を見つける。次に、 マイクロ波散乱によって共振器の共鳴周波数を測定する古典的な問題を分析する。これらの分析を組 み合わせることで、散乱されたマイクロ波信号が量子ビットの情報を運ぶことが示される。そして、 分散された光子によって情報が持ち去られる過程で、量子ビットの状態が崩壊する様子を説明する。 最後に、実用的な実験環境で増幅器の飽和が重要な制約となる分散測定回路の追加の詳細を説明する。 116
  • 117. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 3. Measuring a Qubit’s State 分析は自然に2つのステップで行われる。 1. まず、量子ビットが大きな共振器と共鳴しない位置に結合する系に対するハミルトニアンを展開す る。ハミルトニアンから、共振器の周波数シフトを、量子ビット-共振器の結合強度や共鳴外のデ チューニングなどの他のパラメータと関連づける方程式を見つける。 2. 次に、マイクロ波散乱によって共振器の共鳴周波数を測定する古典的な問題を分析する。 これらの分析を組み合わせることで、散乱されたマイクロ波信号が量子ビットの情報を運ぶことが示 される。そして、分散された光子によって情報が持ち去られる過程で、量子ビットの状態が崩壊する 様子を説明する。最後に、実用的な実験環境で増幅器の飽和が重要な制約となる分散測定回路の追加 の詳細を説明する。 117
  • 118. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 4. Bandpass Filter 本章では、分散量子ビット測定のためのバンドパスフィルタを紹介し、分析する。 1. まず、バンドパスフィルタの根拠を説明し、既存のシステムと 定性的な比較を行う。 2. 次に、バンドパスフィルタを定量的に分析し、フィルタ測定システムの応答時間と量子ビットのコ ヒーレンスとの関係を導く。この分析は数値計算とも照合される。 3. その結果を使用して回路パラメータを選択する。また、所望の回路パラメータを達成するために必 要なハードウェア要素の物理的な幾何学を決定する。 4. 最後に、デバイスを構築するために使用される製造手順について説明する。 118
  • 119. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 5. Experimental Setup and Methods 本章では、バンドパスフィルタを用いて分散測定をテストするために使用された実験装置を紹介し、 解説する。 1. 最初のセクションでは、装置の完全な概要図を示し、測定信号が量子ビットチップに入出力される 方法について説明する。 2. 次のセクションでは、測定信号の生成の詳細について議論する。最後のセクションでは、測定信号 の検出の詳細について議論する。 119
  • 120. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 5. Experimental Setup and Methods 本章では、バンドパスフィルタを用いて分散測定をテストするために使用された実験装置を紹介し、 解説する。 1. 最初のセクションでは、装置の完全な概要図を示し、測定信号が量子ビットチップに入出力される 方法について説明する。 2. 次のセクションでは、測定信号の生成の詳細について議論する。最後のセクションでは、測定信号 の検出の詳細について議論する。 120
  • 121. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 5. Experimental Setup and Methods  A simplified diagram of the experimental setup 121
  • 122. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 5.1.2 Noise attenuation and filtering  抵抗器は温度および抵抗に依存した電圧と電流のノイズを生成するため、量子ビットと共振器 はクライオスタットの基底温度、約40 mKで制御線からのノイズにさらされている。私たちは、 制御線と量子回路(量子ビットと共振器)との間の結合強度を設計し、この40 mKのノイズが 重要な減衰をもたらさないようにした。  しかし、クライオスタットの温かい段階では、40 mKのノイズを上回る熱ノイズが生成される。 このより暖かいノイズは回線を伝わり、量子回路と相互作用する可能性があり、設計の前提条 件に反し、アッテネータを導入する可能性がある。したがって、クライオスタットのより温か いステージからのノイズを、40 mKで生成されるノイズレベルまで減らすために、フィルタと 減衰器を使用する。 122
  • 123. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 5.1.2 Noise attenuation and filtering Review of thermal noise  抵抗Rの熱ノイズは、温度Tでプランク分布に従う。  抵抗Rの熱ノイズは、温度Tでプランク分布に従う。  Sp上付き文字 p は、これが正と負の周波数の両方に対して定義された「物理学者」のスペクト ル密度であることを示しています。  𝑘𝑏𝑇 ≫ ℎ𝑓 に関して、 ℎ𝑓 𝑘𝑏𝑇 のべき乗展開を行い、 𝑆𝑉 𝑝 𝑓, 𝑇 ≈ 2𝑅(𝑘𝑏𝑇 − ℎ𝑓 2) を求める。 123
  • 124. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 5.1.2 Noise attenuation and filtering Review of thermal noise   Single sidedの「エンジニアの」スペクトル密度に変換するために2倍すると同時に、小さな定 数 − ℎ𝑓 2 を取り除くと、 𝑆𝑉 𝑒 ≈ 4𝑅𝑘𝑏𝑇 となり、これは通常のジョンソンノイズの式である。 [18, 35]  ジョンソンリミットでは、熱ノイズの電力は温度Tに比例してスケーリングする。  したがって、温度 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ の高温ステージからくるノイズを、温度 𝑇𝑙𝑜𝑤 の低温ステージのノイズ レベルまで減少させるためには、𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ 𝑇𝑙𝑜𝑤 の比率でラインを減衰させる必要がある。 124
  • 125. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 5.1.2 Noise attenuation and filtering Review of thermal noise  𝑘𝑏𝑇 ≲ ℎ𝑓 のとき、ジョンソンの公式は適用されない。  このいわゆる「量子限界」では、熱ノイズ電力は、指数関数 exp[− ℎ𝑓 𝑘𝑏𝑇] としてスケールし、これ はジョンソンリミットでの線形スケーリングよりも強力である。したがって、 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ から 𝑇𝑙𝑜𝑤 に移 る際には、 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ 𝑇𝑙𝑜𝑤 よりも大きな比率で減衰させる必要がある。  ある一定の周波数f = 6 GHzでの2つの温度の熱ノイズ電力の比率を考える。簡略化された温度を 𝑥 ≡ 𝑘𝑏𝑇 ℎ𝑓と定義し、プランクの電力分布を以下のように表します。 125
  • 126. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 5.1.2 Noise attenuation and filtering Review of thermal noise  このいわゆる「量子限界」では、熱ノイズ電力は、指数関数 exp[− ℎ𝑓 𝑘𝑏𝑇] としてスケールし、これ はジョンソンリミットでの線形スケーリングよりも強力である。したがって、 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ から 𝑇𝑙𝑜𝑤 に移 る際には、 𝑇ℎ𝑖𝑔ℎ 𝑇𝑙𝑜𝑤 よりも大きな比率で減衰させる必要がある。  ある一定の周波数 f = 6 GHzでの2つの温度の熱ノイズ電力の比率を考える。簡略化された温度を 𝑥 ≡ 𝑘𝑏𝑇 ℎ𝑓と定義し、プランクの電力分布を以下のように表します。温度 𝛼𝑇 のソースのノイズ電 力と温度 𝑇 のソースからのノイズ電力の比率は、以下のようになります。  この関数は、𝑇 = 4𝐾 𝑥 = 13.8 , 𝑓 = 6𝐺𝐻𝑧 の条件で、図5.2にプロットされています。 126
  • 127. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 5.1.2 Noise attenuation and filtering Review of thermal noise 127
  • 128. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.1 Characterization 6.1.1 Resonator frequencies チップ上の4つの共振器の周波数を測定の報告。共振器のパラメータは表6.1にまとめられている。目標 の設計値は括弧内に示されている。 128
  • 129. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.1 Characterization 6.1.2 Coupling strength – g 量子ビットと共振器の結合強度 g の測定。量子ビットと共振器の間の大きな共振周波数のずれのため、 量子ビットと共振器間のフォトンの交換率の時間分解測定を直接行うことはできなかった。代わりに、 第3章で議論された離調効果を使用した。具体的には、式(3.20)によって g と離調シフト χ を結びつ けた。 測定された結合強度は、表6.1に示されている。測定条件は、文献を参照。 129
  • 130. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.1 Characterization 6.1.3 Resonator transient response rate – κr 共振器と環境との結合の強さである漏れ率 κr を測定。共振器と量子ビットの結合項から、量子ビット の周波数が共鳴器の光子によって次のようにシフトすることがわかる。 ここで、n は共鳴器内の光子の数である。量子ビットの周波数シフトは光子数に比例するため、δω10 の減衰時間の測定は n の時間減衰定数、すなわち κr を測定することになる。 130
  • 131. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.1 Characterization 6.1.3 Resonator transient response rate – κr 我々は、リングダウン法を用いて時間減衰定数 κr を測定した。パルスシーケンスは図6.3(a)に示さ れている。量子ビットを |0>に置いた状態で、測定周波数で共鳴器に刺激パルスを送る。このパルス中 に、共鳴器に光子が蓄積され、n が増加し、Eq. (6.2) に従って ω10 がシフトする。共鳴器の駆動パルス が切れ、共鳴器は自由にリングダウンする。 (中略) 測定された κr の値は、目標値よりも約50%低かった。この不一致は、私たちのチップでは理解されて いない。 131
  • 132. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.1 Characterization 6.1.3 Resonator transient response rate – κr Fig 6.3 測定パルス中の共鳴器の光子占有状態。 a)共振器と量子ビットを制御するために使用されるIQミキサーのIポー トに適用される制御シーケンス。共振器に2つの測定パルス(緑色)を 適用する。パルスの初めに強調があることに注意。これにより、共鳴 器のリングアップタイム1/κrよりも速く共鳴器をリングアップさせる効 果がある。最初のパルス中に、可変時間τと周波数で量子ビットにπパ ルス(青色)を適用し、量子ビットが励起されるのはωprobeが量子 ビットの周波数と一致する場合だけ。2番目の測定パルスは、πパルス によって量子ビットが励起されたかどうかを確認。 b)量子ビットの励起確率(カラースケール)とπパルスの時間と周波 数の関係。高い量子ビットの確率の曲線は、測定パルス中の時間に対 する量子ビットの周波数の測定を提供する。 c)共鳴器の光子占有状態に変換された量子ビットの周波数(式(6.2) を使用)。赤い曲線は指数関数的なフィットである。 132
  • 133. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.1 Characterization summary 6.1.1 Resonator frequencies  4つの共振器のうち、3つの共振器の周波数は、目標値から32 MHz以内であり、間隔は目標値から6 MHz以 内。ただし、残り1つの共振器、Q3の共振器は113 MHz高すぎた。このエラーの原因はわかっていない。 おそらくチップのフォトリソグラフィマスクのジオメトリを定義するコンピュータファイルの誤りか、共 振器に物理的な欠陥があってGNDにショートしてしまった可能性がある。これにより、共振器の電気的な 長さが短くなり、周波数が上昇したと思われる。 6.1.2 Coupling strength – g  表6.2を見ると、設計値に近い値もあれば、離れている値もある。この値はどの程度許容されるものなのか (OKなのか、NGなのか)記載は見当たらなかった。 6.1.3 Resonator transient response rate – κr  目標値に対して、値は50%低かった。 133
  • 134. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.2 Photon number calibration 前のセクションより  n はphotonの数。  交流シュタークシフト(AC Stark Shift)を使用して共振器の光子数を測定する方法を示した。  Eq. 6.2 を使用して、δω10 の時間分解測定を、 n の時間分解測定に変換した。 また、共振器ドライブの振幅と n の定常状態値の間のキャリブレーションも必要である。 駆動振幅を共振器のフォトン数に対応させるために、𝑛 = 𝑚𝐴2 という関係を用いる。 134
  • 135. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.2 Photon number calibration 共鳴器駆動の振幅に対する量子ビットの周波数の測定が得られる。これは図6.4に示されている。 135
  • 136. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.3 Stimulated qubit transitions 量子ビット状態の測定の視認性は、より多くの散乱光子(scattered photons)を収集するにつれて向 上する。したがって、より高い出力のパルスを使用して測定回路をプローブすることは、測定の視認 性を向上させるはずである。ただし、光子数が多い場合、共鳴器の光子は|0 状態と|1 状態間の量子 ビットの遷移を引き起こす[19, 44]。その量子ビットdisruptさせずに、測定システムをどれだけ強く駆 動できるかを確定するために、共振器駆動の強さの関数として量子ビット状態の遷移を測定した。 我々は量子ビットを|0 状態または|1 状態に準備し、その後可変パワーの測定パルスを適用した。そ の後、共鳴器を自由にリングダウンさせ、最終的に測定パルスで共鳴器をプローブして量子ビットの 状態を決定した。このパルスシーケンスは図6.5aに示されている。この方法で、初期状態{|0 、|1 }から 終状態{|0 、|1 、|2 }への量子ビットの遷移の確率を駆動DACの振幅の関数として測定した。そして、 DAC振幅を共鳴器の光子数に変換するために、ac Stark Shift のキャリブレーションを使用した。 136
  • 137. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.3 Stimulated qubit transitions 図6.5bに示されているように、光子数が十分に高い場合には、刺激された量子ビットの状態遷移が急 激に始まることが観察される。図6.5bに示されているように、|1 状態から|0 状態への遷移は、光子数 が約100以上のところで急に始まる。対応する遷移である|0 状態から|1 状態への遷移は、光子数が約 175以上のところで始まる。また、初期状態から|2 状態への遷移も観察されることに注意する。 137
  • 138. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.3 Stimulated qubit transitions 図6.5 量子ビットを刺激する測定パルスによる状態遷移。 a) パルスのシーケンス。量子ビットは、青で示されるように、 アイドル状態(π-パルス)で|0 (|1 )状態に準備される。 その後、緑で示されるように測定共振器を可変出力パルスで 駆動する。このパルスは量子ビットの状態遷移を引き起こす 可能性がある。リングダウン期間の後、測定共振器を低出力 パルスでプローブし、量子ビットの状態を測定する。 b) 初期状態が|0 または|1 の場合の量子ビットの最終状態の確 率。各「|i → |f 」でラベル付けられた曲線は、状態|i で 準備された量子ビットがシーケンスの終わりに状態|f で測 定される確率を示している。 138
  • 139. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.3 Stimulated qubit transitions 少ない光子数では、遷移のない確率(例:|0 → |0 )が1ではない。これに寄与する主要な要因は、 アイドル状態では量子ビットが完全に基底状態にあるわけではない。アイドル状態では4%から8%の|1 の存在が観測され、|0 → |0 の確率は0.92 - 0.96でしかないということを意味している。同様の影響が、 少ない光子数において|1 → |0 を生じさせている。量子ビットが誤って|1 に準備されている場合、|1 を準備するためのπパルスが誤って|0 に量子ビットを置くことになるため、これが少ない光子数におい て|1 → |0 の nonzeroの確率として現れる。 これらのデータを使用して、最大使用可能な光子数を選択した。一般的な指針として、量子ビット 状態遷移の急激な始まりの値の半分の光子数をkeptした。その正確な値は、各量子ビットのgの値と∆ の操作値に依存した。後で、時間依存測定信頼性の解析において、信頼性の数値自体が励起された量 子ビット遷移の確率に強い制約を与えているがわかるだろう。これは、実験が量子ビット状態を維持 する値の光子数で行われたことの追加の示唆を与える。 139
  • 140. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.3 Stimulated qubit transitions 6.3.1 Comparison with theory 量子ビットの遷移が誘起される正確な光子数、およびnが増加する急激な起点は、理論的な文献では明 確に理解されていない。この物理現象の特性評価と理論的な理解は、現在の研究から当然継続される ものになるだろう。 140
  • 141. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6. 4 Coherence バンドパスフィルタは、κrT1の値を向上させるために設計された。6.1.3節で、1/19 nsという速いκrの値 を我々は見た。これにより、量子ビットのT1が保護されていることを確認する必要がある。各量子 ビットのT1を異なる周波数範囲で測定し、800 MHzを超える範囲Δで、典型的な値は10 µsから12 µsの 間であった。量子ビット2のフルデータセットを図6.6に示す。フィルタを使用しない場合、∆ = 800 MHzのときのT1制限は ∆ 𝑔 2 𝑘𝑟 = 3.2 μ𝑠 である。測定されたT1の値がこの制限を超えているため、 フィルタは量子ビットをうまく保護したことがわかる。もちろん、量子ビットのT1はフィルタによっ て許容される上限には達していない。これは意図的なことで、測定回路が量子ビットの追加のデコ ヒーレンスを引き起こさないようにしたかったためである。言い換えれば、量子ビットのT1は測定回 路以外の損失経路によって支配されていた。 141
  • 142. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6. 4 Coherence 図6.6 量子ビット Q2の周波数に対するエネル ギー減衰時間T1。測定共振器の周波数が量子 ビットよりも上にあるため、T1が増加するに つれてT1に下降トレンドが見られないことか ら、測定回路が量子ビットの減衰を支配して いないことが示されている。T1の値は約10µs 前後に分布しており、これはフィルターがな い場合に予測されるパーセル限界よりも数倍 大きい。5.2 GHzでのT1の減少と乱れは、この 実験では使用されていない共振器バスへの結 合に起因している。 142
  • 143. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.5 Time dependence and accuracy 6.5 節では、測定精度とその積分時間への依存性について説明する。ここで提示される結果は、この論 文の主な成果である。 143
  • 144. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.5 Time dependence and accuracy 6.5.1 State preparation – heralding 我々は、量子ビットがアイドル状態にあるときに励起状態になる確率が5%〜8%であることを発見した。 この初期化エラーを測定プロセスの特性評価から取り除くために、通知(heralding)[19]を使用する。 各パルスシーケンスは測定パルスで始まり、この最初の測定パルスが|0>を生成する実験の繰り返しの みが保持さる。この方法によって、事実上、各パルスシーケンスの開始時に量子ビットを|0>に強制す る。この通知プロセスにより、後述するように、|0>の準備確率が99.3%以上になる。 144
  • 145. 参考文献 163 Fast, Accurate State Measurement in Superconducting Qubits 6. Results 6.5 Time dependence and accuracy 6.5.2 Fidelity at fixed measurement time 145
  • 146. appendix D. SINGLE-QUBIT GATES 参考文献 194 METROLOGY OF QUANTUM CONTROL AND MEASUREMENT IN SUPERCONDUCTING QUBITS 146
  • 147. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme 1. πパルスが適用される際に、状態 |1 にある量子ビットが |2 に励起されることや、直 接的に|0 から励起されることがあるため、 Leakage Errorの影響が、起こる。πパルス の間、量子ビットはある程度の時間を状態 |1 で過ごすからである。 2. Phase Errorは、ドライブの存在によって、|1 と|2 のレベル間に反発が生じるために 起こる。これにより、パルスが適用されると 𝜔𝑞 0→1 が変化する。これにより、|0 と|1 の間に相対位相の蓄積が生じる。194  DRAG procedure195-197(Derivative Reduction by Adiabatic Gate、断熱ゲートによる微分 還元)は、これらの2つの影響に対抗するために、位相差の成分に追加の信号を適用す ることを目指している。 147
  • 148. 参考文献 194 Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits (URL: https://web.physics.ucsb.edu/~martinisgroup/theses/Chen2018.pdf) 目次 1. Introduction to Quantum Computing 2. Superconducting Transmon Qubits 3. Superconducting Qubit Fabrication 4. Experimental Infrastructure for Superconducting Qubits 5. Single Qubit Calibration 6. Single Qubit Benchmarking 7. Measuring and Calibrating for Two State Errors 8. Two Qubit Calibration and Benchmarking 9. Readout Induced Qubit Transitions 10. Conclusion 148
  • 149. 参考文献 194 Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits 4. Experimental Infrastructure for Superconducting Qubits 149
  • 150. 参考文献 194 Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits 4. Experimental Infrastructure for Superconducting Qubits 150
  • 151. 参考文献 194 Metrology of Quantum Control and Measurement in Superconducting Qubits 4. Experimental Infrastructure for Superconducting Qubits 151
  • 152. 参考文献 195 Simple pulses for elimination of leakage in weakly nonlinear qubits(URL: https://arxiv.org/pdf/0901.0534.pdf) 概要 量子コンピューティングの実現において、非調和振動子の多くのエネルギーレベルから二準位 系(量子ビット)がしばしば単独で取り上げられる。これらの場合、リークレベルとの結合に より、短時間スケールでの単純な量子ビット制御は失敗する。私たちは、任意の単一制御のア ナログパルスまたはピクセル化パルスから、このリークを抑制するための容易に実装可能な解 析的な方式を提供する。それは、最初の制御に比例した時間微分の第二の制御を追加すること に基づく。超伝導量子ビットの現実的なパラメータに対して、この考え方により、最先端技術 に比べて誤差が1桁改善される。また、スムーズかつ実現可能なパルス形状に基づいている。こ れらの結果は、弱い非調和性でも量子ゲートの実装に制限要素ではなく、一般的に十分である ことを示している。 152
  • 153. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme  その仕組みは、波形のエンベロープ s(t) を以下のように修正することである。  ここで、λ は無次元のスケーリングパラメータであり、λ = 0 はDRAG pulse がない状態 を表し、𝑠(𝑡) は s(t) の時間微分である。  理論的には、dephasing error (位相ズレ誤差)を低減するための最適な選択肢は λ = 0.5であり、Leakage error を低減するための最適な選択肢は λ = 1 である。196-198  式(101)においてIとQを入れ替えることは、Q成分に対するDRAG pulse の適用を意味す る。 153
  • 154. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme  波形196(δf = 0は量子ビットの周波数に対応するように定義される)に周波数の離調 子パラメーター(detuning parameter) δf を導入することにより 、つまり以下のように 定義される。  Leakage Errorを最小限にするために、λ を選定し、そうすると同時に、Phase Error も 低減される。199  同様に、適切な Virtual-Z gate の使用により、Leakage Error を減少させるためのDRAG pulse と組み合わせて Phase Error を減少させることも可能である。192 154
  • 155. D. Single-qubit gates 3. The DRAG scheme  現代の DRAG pulse を使用した 1量子ビットゲートは、通常、 F1qb(ゲートの信頼性)≳ 0.99 に達している。65,67,199,202-205  スペクトル的に混雑したデバイスでの 1量子ビットゲート操作には、他の技術も存在 する。 155
  • 157. QuTiP:Quantum Toolbox in Python  https://qutip.org/downloads/4.7.1/qutip-doc-4.7.pdf  現実世界で遭遇するすべての量子システムは、開放型の量子システムである。なぜなら、外部との不要な相互作用の影響を 実験的に排除するために十分な注意が払われていても、対象となるシステムと外部世界との微小ながらも存在する結合が残 るからである。さらに、システムに対するどんな測定も、測定装置との結合を伴うため、外部の影響源を追加することにな る。したがって、システムとその環境との相互作用を考慮するための必要なツール(理論的および数値的なツール)を開発 することは、実用的な量子システムのダイナミクスを理解するための重要なステップである。  一般的に、最も基本的なハミルトニアンを除いて、システムダイナミクスの解析的な記述は不可能であり、運動方程式の数 値シミュレーションに頼る必要があある。量子コンピューターがない場合、これらのシミュレーションは指数的に増加する ヒルベルト空間の次元に制約され、効率的にシミュレートできるシステムのサイズが制限される。ただし、量子光学、ト ラップされたイオン、超伝導回路デバイス、そして最近ではナノメカニカルシステムなどの多くの分野では、効果的な振動 子およびスピンコンポーネントを少数使用し、限られた量の量子によって励起されるシステムを設計することが可能で、切 り詰められたヒルベルト空間でクラシカルなシミュレーションに適している。  Pythonプログラミング言語で書かれたオープンソースのフレームワークである「Quantum Toolbox in Python」、または 「QuTiP」は、上記のようなシステムの開放型量子ダイナミクスをシミュレートするために設計されている。このフレーム ワークは、以下の利点を提供することで他の利用可能なソフトウェアソリューションと区別される: 157
  • 158. QuTiP:Quantum Toolbox in Python  QuTiPは完全にオープンソースソフトウェアに依存しており、ライセンス料や制限なしに自由に変更 および使用できる。  QuTiPはPythonスクリプト言語に基づいており、変更後にコンパイルする必要がないため、読みやす く、迅速なコード生成を提供する。  QuTiPの数値計算は、Numpy、Scipy、およびCythonライブラリのおかげでCコードの速度で実行され る、実績のあるアルゴリズムに基づいている。また、これらのアルゴリズムは、プロプライエタリソ フトウェアで使用されているアルゴリズムと多くの点で同じである。  QuTiPは、(ほぼ)任意の時間依存性を持つハミルトニアンのダイナミクスを解くことを可能にし、 崩壊演算子も含める。  時間依存性の問題は、パフォーマンス向上のために実行時に自動的にC++コードにコンパイルされる ことがある。  ほぼすべての現代コンピューターに備わっている複数の処理コアを活用する。  QuTiPは、Sze M. Tanの人気のある量子光学ツールボックスを使用経験があるユーザーにとって、学 習コストを最小限に抑えるように設計された。  優れたMatplotlibパッケージを使用して、高品質のプロットとアニメーションを作成する機能を含んで いる。  詳細な情報については、QuTiPの各リリースごとの新機能に関する変更ログを確認。 158
  • 161. scqubits: a Python package for superconducting qubits  https://arxiv.org/pdf/2107.08552v2.pdf  scqubitsは、超伝導回路をシミュレートおよび分析するためのオープンソースのPythonパッケージで あり、量子ビットをシミュレートおよび分析するためのものである。このパッケージは、transmon, fluxonium, flux, cos(2φ) , 0-π量子ビットなど、一般的な超伝導量子ビットのエネルギースペクトルを 取得するための便利なルーチンを提供する。また、scqubitsには、計算されたスペクトルデータを視 覚化するためのさまざまなオプションも備えており、外部パラメータの関数としてのエネルギーレベ ルのプロット、さまざまな演算子の行列要素の表示、および量子ビットの波動関数を簡単にプロット する手段などがある。これらのツールの多くは、単一の量子ビットに制限されるものではなく、連結 された超伝導量子ビットと調和的(または弱非調和的)モードから成る複合ヒルベルト空間にも適用 できる。このライブラリは、一般的に考慮されるさまざまなノイズチャネルに起因する量子ビットの コヒーレンス時間を推定するための多くのメソッドを提供している。  scqubitsのすべての機能はプログラム的にアクセスできますが、パッケージはまた、いくつかのク リックで関連するPythonオブジェクトを作成し、さまざまなプロットを介してその特性を探索するの に役立つGUIのようなウィジェットを実装している。該当する場合、ライブラリはマルチプロセッシ ングを介して複数のコアの計算能力を利用する。さらに、scqubitsはPythonのQuantum Toolbox (QuTiP)パッケージへの直接インターフェースも提供しており、ユーザーが効率的にQuTiPの証明さ れた能力を活用できるようにしている。 161
  • 162. scqubits: a Python package for superconducting qubits  API > Modules > Transmon の例 162
  • 164. qupulse: A Quantum compUting PULse parametrization and SEquencing framework  https://github.com/qutech/qupulse  QuPulseプロジェクトは、物理的な量子ビットのパルス駆動状態操作を含む実験を容易にす るソフトウェアツールキットを提供することを目指している。  これは、パルスの高レベルでハードウェアに依存しない表現を提供し、この表現をハード ウェア固有のデバイス命令と波形に変換し、これらの命令を実行し、対応する測定を行う 手段を提供する。  パルスは事前に定義されたサブパルスから構築でき、低レベルのパルスから高レベルのパ ルスを簡単に構築し、以前の作業を再利用することができる。さらに、すべてのパルスは パラメータ設定可能であり、ユーザーはパルステンプレートを特定のハードウェアや機能 に合わせて微調整し、適応させることができる。有意義なパラメータ値を確保するために、 パルスごとにパラメータに制約を設定できる。 164
  • 165. qupulse: A Quantum compUting PULse parametrization and SEquencing framework  https://github.com/qutech/qupulse  Status and stability  QuPulseライブラリは、RWTHアーヘン大学(ドイツ)の第2物理学研究所の量子テク ノロジーグループによって効果的に使用されている。そのため、パルスの定義など、 一部の機能はほとんど完成しており、テストも行われており、インターフェースは大 部分が安定していると期待されている(または変更が後方互換性を保つことが期待さ れている)。主要な目標は、新しいQuPulseのバージョンでも実験が繰り返し可能であ ること。ただし、これが長期的に使いやすさを向上させる場合、コードベースの既存 の部分を再設計する可能性も残っている。 165
  • 166. qupulse: A Quantum compUting PULse parametrization and SEquencing framework  https://github.com/qutech/qupulse 現在のQuPulseの機能リストは以下の通り: 1. Pythonでの複雑な(任意に深くネストされたりループされたりする)パラメータ化されたパルスの定 義(測定ウィンドウを含む) 2. パラメータ値とパラメータ制約の数学的式評価(sympyベース) 3. パルスのシリアル化(永続的な保存を可能にするため) 4. ハードウェアモデルの表現 5. ハイレベルなパルスからハードウェア構成と波形への変換ルーチン 6. Tabor Electronics、Tektronix、Zurich Instruments AWGsおよびAlazarTech Digitizers向けのハードウェ アドライバ 7. QuPulse機能にアクセスするためのMATLABインターフェース 保留中の変更は`changes.d`サブディレクトリに追跡され、`towncrier`ツールを使用してリリース時に `RELEASE_NOTES.rst`に公開されている。 166
  • 167. qupulse: A Quantum compUting PULse parametrization and SEquencing framework  https://github.com/qutech/qupulse  Requirements and dependencies  QuPulseには少なくともPython 3.8が必要であり、3.8、3.9、および3.10でテストされている。 また、外部のPythonパッケージを依存関係として使用している。依存関係のインストール スクリプトで依存パッケージのバージョンを制限しないように意図的にしている。これに より、互換性がある可能性のある新しいバージョンの依存パッケージの使用が制限されな いようにしている。ただし、特定の依存パッケージのバージョンに関する問題が発生した 場合は、問題を報告してください。  TaborAWGsのバックエンドには、こちらで見つけることができるパッケージが必要。簡単 な方法として、Pythonインタープリタから `qupulse.hardware.awgs.install_requirements(‘tabor’)`を使用してインストールできる。  AlazarTechカードのデータ取得バックエンドには、残念ながらオープンソースではない パッケージが必要。必要な場合や質問がある場合は、`simon.humpohl@rwth-aachen.de` に 連絡。 167
  • 169. Qiskit  Summary of Quantum Operations  https://qiskit.org/documentation/tutorials/circuits/3_summary_of_quantum_operations.html  In this section we will go into the different operations that are available in Qiskit Terra. These are: • Single-qubit quantum gates • Multi-qubit quantum gates • Measurements • Reset • Conditionals • State initialization  We will also show you how to use the three different simulators: • unitary_simulator • qasm_simulator • statevector_simulator 169
  • 170. Qiskit Pulse gates  https://qiskit.org/documentation/tutorials/circuits_advanced/05_pulse_gates.html  ほとんどの量子アルゴリズムは回路操作だけで説明できる。プログラムの低レベルの 実装に対するより多くの制御が必要な場合、パルスゲートを使用できる。パルスゲー トは、基本ゲートのみを使用して回路を実行する制約を取り除き、また任意の基本 ゲートのデフォルトの実装を上書きすることも可能にする。  パルスゲートは、論理回路ゲート(たとえば、X)をQiskit Pulseプログラムであるスケ ジュールにマッピングすることを許可する。このマッピングはキャリブレーションと 呼ばれる。高い忠実度のキャリブレーションは、それがマッピング元の論理操作(た とえば、XゲートキャリブレーションがXゲートの動作を忠実に実装するかどうかな ど)を忠実に実行するものである。 170